おちゆく先に

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16話

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 671年 春 深緑の森 某所にて

 「うふふ、早く始まらないかなあー」
 ご機嫌そうに1人用のソファに寝転がり足をバタバタさせながら笑う少女
 「今はいいが戦場ではまじめにしろ」
 薄暗い部屋に置いてある八角形のテーブルを囲む8人のうち、ひと際豪華な椅子に座っている男が静かに注意をする。
 「わかってるよおー やればできる子なんだよおー、私ってばあー」
 「ぎゃははは!そのやればでき子はこの前の任務失敗してたけどな!どこらへんができるのかおしえてほしいぜ!ぎゃはははは!」
 無駄に語尾を伸ばしながら喋る少女を大声で笑いながら罵倒するのは腰は曲がっているが無駄な筋肉など一切ついていない若い大柄な男
 「なんだと!?やんのか犬っころが!大体私は隠密行動なんて性に合わねーんだよ!」
 「あ?事実だろうが!あれの尻拭い誰がしたと思ってんだ!」
 薄暗い部屋で大声で言い争う2人にこの中で1,2を争うほど小さいおっさんが煩わしそうに口を出す
 「おい!お主らちと煩いぞ!静かにせんか!」
 「この計画には我らの長年の怨恨を晴らすためのものだ、貴様らぬかるなよ。我らの復讐はまだまだ始まったばかりなのだから・・・」

 豪華な椅子に座っている奴が不敵な笑みを浮かべ立ち上がり部屋を出ていくと続々と立ち上がり部屋から出ていった。


 同時期のカザフ要塞都市にある城のとある部屋にて

 「ローレン将軍、カリーナ殿よくお越しくださった。此度の戦争はご助力いただけるので?」
 少し棘のある言い方で将軍たちを出迎えたこの屈強な男はカザフ要塞都市にある城の城主オウルーゼル・ノストフェルスである。前回の戦争で見事バルクド帝国軍を撃退したノストフェルス公爵本人である。

 「公爵閣下、前回のことは申し訳なかった。こちらにも事情があったのだ」
 「わかっておるわ!ローレンももう若くないいつまで現役でいるつもりなのだ。友として心配になるぞ」
 「ははは、知っているだろう? 私は生涯現役!死ぬまで祖国の敵を打ち倒す所存だぞ。それを言うならオウルこそ引退すべきだろう。一応、公爵家の当主だろうに・・・次世代を育てんといかんぞ」

 仲良さげに話す2人にカリーナは驚いていた。あの堅物の将軍が親し気に話しているのだ。ふと我に返りこのままでは長引くと思い、
 「そろそろ本題に入りませんか?」恐る恐る発言をするカリーナに
 「おー、すまんなんだ。ローレンに会うのは久しぶりでな。では本題に入ろう・・・」
 すぐに真面目な顔になり会議を始めたのであった。


 カザフ要塞が保有する戦力 一個連隊およそ3000人の歩兵、一個中隊およそ100人の騎兵と参加組合員およそ300人であり、対してバルクド帝国の戦力は全部でおよそ2000人であり戦力差は歴然としていた。
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