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13話
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670年 冬 バルクド帝国 帝都マグギルにある宮廷のとある部屋にて
「それで、食料と武器、奴隷は揃ったのか?」
不機嫌なのを隠そうともせずに聞いてきたのはこの帝国の皇帝アルザーン・ド・バルクドである。
「そ、それが・・・武器はこの冬の間に集まるのですが、食料の方が未だ予定の半分にしかならず、奴隷の数もあまり増やせていません 食料は他国から輸入しないと予定の量には達しそうにありません」
必死に頭を下げながら報告している過労によりやせ細ったこの人はこの国の大臣カルグ・ゲーツである。
「お主は阿呆なのか!?他国から輸入でもしてみろ!すぐさま戦争の準備だと見破られるのだぞ!提案するならまともな案をだしやがれ!この無能が! 奴隷などそこらへんにいる奴等を適当に捕まえてこい!」
違う、輸入などしなくても他国からは戦争を始めようとしていることなどお見通しなのだ。
「も、申し訳ございません!」すぐさま頭を下げ謝罪するカルグに、
「ふん!貴様の禿げた頭から知能が毛と一緒に抜けていってるのではないのか?昔はまだ使えるやつだと思ったのだがな!期待外れも甚だしいわ!」
「申し訳ございません」
カルグの頭頂部は確かに薄くなってきている、これが年齢によるものであればまだいいのだが、彼はまだ31歳なのだ。そう、大臣になってしまったがゆえにこの愚帝による度重なるストレスによって髪が薄くなってしまっているのである。
そもそも彼は決して無能ではなく、ただ少し内気なだけなのだ。
「仕方ない、今度は戦税として食料を下々の無能共から巻き上げるとするか」
ニヤニヤしながらそんなことを言い出したアルザーンにカルグは唖然としてしまう。以前も戦税という名目で兵役として15歳以上の男は強制出兵を課されていた。
「陛下!そ、それはあんまりです!そんなことしては民が餓死してしまいます!何卒、何卒!ご再考を!」
土下座をしながら必死に考え直すよう訴えるカルグにアルザーンは、
「貴様っ!我の決定に物申すかっ!?これまでの大恩を仇で返すつもりか!?」
アルザーンは土下座をしているカルグに歩み寄り容赦なく頭を踏みつけ、衛兵を呼ぶ
「こやつは反逆者だ!即刻首を刎ねよ!」
手で出ていけと合図をしながらそう言って、アルザーンは金ぴかのゴブレットに葡萄酒を乱暴に注ぎ一気に飲み干した。
衛兵は大臣のカルグを処刑場に連れていくふりをして少々寄り道をしつつ、カルグを城の外に連れていき、
「カルグ様、申し訳ございません。カルグ様をお助けするには私ではこの方法しか思いつきませんでした。せめてこちらを旅費の足しにして生き延びてください」
衛兵は頭を下げ陳謝して、幾ばくかの硬貨が入った皮の袋とフード付きのローブをカルグに渡した。
「なっ!そんなことをしてはお主が罪に問われるぞ!私のことは気にせんでよい、もう疲れたのだ・・・」
「気にしないでください。私も近いうちにこの国を離れますから」
城を見上げ悲しそうに言う衛兵に、
「すまない、私が皇帝を諫めれなかったばかりに・・・」そう頭を下げ、礼を言いこの国を出ていくのであった。
数週間ののち、とある数人の衛兵がそれぞれの家族と一緒に他国に亡命をしたことを知ったアルザーンは激怒し執務室で暴れまわったとか・・・。
そしてその愚かな皇帝は冬が明けると同時に再びフェイシル王国に戦争を仕掛けるのであった。
「それで、食料と武器、奴隷は揃ったのか?」
不機嫌なのを隠そうともせずに聞いてきたのはこの帝国の皇帝アルザーン・ド・バルクドである。
「そ、それが・・・武器はこの冬の間に集まるのですが、食料の方が未だ予定の半分にしかならず、奴隷の数もあまり増やせていません 食料は他国から輸入しないと予定の量には達しそうにありません」
必死に頭を下げながら報告している過労によりやせ細ったこの人はこの国の大臣カルグ・ゲーツである。
「お主は阿呆なのか!?他国から輸入でもしてみろ!すぐさま戦争の準備だと見破られるのだぞ!提案するならまともな案をだしやがれ!この無能が! 奴隷などそこらへんにいる奴等を適当に捕まえてこい!」
違う、輸入などしなくても他国からは戦争を始めようとしていることなどお見通しなのだ。
「も、申し訳ございません!」すぐさま頭を下げ謝罪するカルグに、
「ふん!貴様の禿げた頭から知能が毛と一緒に抜けていってるのではないのか?昔はまだ使えるやつだと思ったのだがな!期待外れも甚だしいわ!」
「申し訳ございません」
カルグの頭頂部は確かに薄くなってきている、これが年齢によるものであればまだいいのだが、彼はまだ31歳なのだ。そう、大臣になってしまったがゆえにこの愚帝による度重なるストレスによって髪が薄くなってしまっているのである。
そもそも彼は決して無能ではなく、ただ少し内気なだけなのだ。
「仕方ない、今度は戦税として食料を下々の無能共から巻き上げるとするか」
ニヤニヤしながらそんなことを言い出したアルザーンにカルグは唖然としてしまう。以前も戦税という名目で兵役として15歳以上の男は強制出兵を課されていた。
「陛下!そ、それはあんまりです!そんなことしては民が餓死してしまいます!何卒、何卒!ご再考を!」
土下座をしながら必死に考え直すよう訴えるカルグにアルザーンは、
「貴様っ!我の決定に物申すかっ!?これまでの大恩を仇で返すつもりか!?」
アルザーンは土下座をしているカルグに歩み寄り容赦なく頭を踏みつけ、衛兵を呼ぶ
「こやつは反逆者だ!即刻首を刎ねよ!」
手で出ていけと合図をしながらそう言って、アルザーンは金ぴかのゴブレットに葡萄酒を乱暴に注ぎ一気に飲み干した。
衛兵は大臣のカルグを処刑場に連れていくふりをして少々寄り道をしつつ、カルグを城の外に連れていき、
「カルグ様、申し訳ございません。カルグ様をお助けするには私ではこの方法しか思いつきませんでした。せめてこちらを旅費の足しにして生き延びてください」
衛兵は頭を下げ陳謝して、幾ばくかの硬貨が入った皮の袋とフード付きのローブをカルグに渡した。
「なっ!そんなことをしてはお主が罪に問われるぞ!私のことは気にせんでよい、もう疲れたのだ・・・」
「気にしないでください。私も近いうちにこの国を離れますから」
城を見上げ悲しそうに言う衛兵に、
「すまない、私が皇帝を諫めれなかったばかりに・・・」そう頭を下げ、礼を言いこの国を出ていくのであった。
数週間ののち、とある数人の衛兵がそれぞれの家族と一緒に他国に亡命をしたことを知ったアルザーンは激怒し執務室で暴れまわったとか・・・。
そしてその愚かな皇帝は冬が明けると同時に再びフェイシル王国に戦争を仕掛けるのであった。
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