おちゆく先に

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11話

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 前回と違って十分な助走があったため、数秒でジグレイドとメスのファングブルは正面から衝突し、
 “ドゴッ!”と鈍い音を響かせた。
 「ぐう・・・サルシャっ!」
 歯を食いしばり耐えたジグレイドにサルシャは唖然としており、呼び掛けられるまで正気に戻れなかった。
 「・・・はっ!?」
 正気に戻り慌てて先ほどと同じ魔法でメスのファングブルにとどめを刺したサルシャは平然としているジグレイドに詰め寄った。

 「ジグ君!大丈夫なの?それよりさっきのは魔法!?普通あんなの素で受け止めれないよ!」
 ものすごい剣幕で捲し立てられジグレイドは思わずたたらを踏みながら後ずさり、サルシャを落ち着かせてから質問に答えた。
 「いや、実は俺も1つの魔法だけ使えるんだよねー・・・」あはは、と苦笑いしながら答える。
 「それなら先に言っててよ!もうボクの心臓とまったらどうするのさ!?」
 頬を膨らませて怒るサルシャをジグレイドは『久しぶりにだなー、この可愛い怒り方見るの 癒される』と阿呆なことを考えていた。怒られて癒されるなんて完全に変態である。

 ファングボアを倒し終えた2人はとりあえず話をするのは後にして解体するためにそそくさと川辺に移動した。時間が立つと血の臭いに誘われて新しい魔物がくるため主に解体は川などで行うからである。

 「この2頭で依頼分足りる?」
 「んー、地味に足りないような気がするな 念のためにもう1頭狩っていこうか」
 ジグレイドがそう言ったのを最後に黙々と2人は解体を始めるのだった。

 数時間後、そろそろ日も登りきった時には2人とも解体は終わっていた。
 「よし、解体も終わったし少し離れたところでご飯にしよっか」
 「そうだね、ボクが作るよ 師匠に散々こき使われたから野外での料理上手になったんだよ」
 そう言ってサルシャは落ちてる木の枝とかを拾い集める。もちろん俺も手伝いましたとも!主に薪拾いとか石集めとか・・・。

 数十分後、目の前には新鮮なファングブルのお肉を使ったいい匂いのする鍋があった。
 「美味しいっ!野外でこんなに美味しい食事初めてだよ!」
 「ふふっ、お口に合ったようでなによりだよ」大絶賛するジグレイドを眺めながらサルシャは満面の笑みを浮かべながら食べる。

 「ふう、美味しすぎてあっという間だったよ」
 「そう?ジグ君さえよければいつでも作るよ?」そう言われジグレイドは目を見開き、
 「ほんとに!?ぜひぜひ、お願いします!」
 とサルシャの手を握りながら懇願してきたので、サルシャは真っ赤になり慌てて話題を変える。
 「そういえばジグ君が使った魔法ってなんていう魔法なの?」
 興味深そうに尋ねてくるサルシャにジグレイドは頬をかきながら言いにくそうにしながらも話はじめた。
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