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668年 夏 ジグレイドは大陸南部にあるフェイシル王国の【メイル】という都市にいた。
『やっと15歳か、漸く組合に登録できるな』と思いつつ中立を示す天秤の看板が掲げられている組合の建物に向かって足を進めた。
組合に入ると受付と酒場が併設してあり酒と汗が混じった臭いがした。
今は昼より少し前くらいの時間帯なので組合員の人たちは少なく受付の人も暇そうにしていた。
ジグレイドは受付の方に足を進め暇そうにしている長い金髪を後ろで束ねて一つ結びにした受付嬢に話しかけた。
「すみません、組合の登録手続きお願いします」
「えーっと、組合は15歳からしか登録できないの。ごめんなさいね」
申し訳なさそうにそう言われ、少しの間呆けてしまうが慌てて訂正する。
「ちょ、ちょっと待ってください!俺はもう15歳です!鑑定士に見てもらっても構いません!」
鑑定士は鑑定魔法を使い触れたものの詳細を知ることができる人のことであり、鑑定魔法は使える人が少なく鑑定士というだけでお金には困ることはなくなるらしい。なお、生物に関しては名称(種族)と年齢くらいしかわからないそうだ。
「そう?なら手を出してくれる?お姉さんが鑑定するから」
なんと受付嬢のお姉さんは鑑定士だったのかと内心驚きつつ手を差し出す。すると受付嬢のお姉さんが“鑑定”と呟き俺の手に触れた。
「あら?ほんとに15歳みたいね、ごめんなさいね」と言いつつ頭を下げてきた。
まーわからんでもない。今の俺の身なりはかなり酷いのだ。なにせボロボロの服に痩せこけた身体、9歳くらいから1日1食あればいいくらいの生活をしてきたせいで身長は140もないのだ。
(cm=単位なし m=メル km=キル)
「15歳みたいだし、この紙に名前と得意なこととか書いてもらえる?そのあとに登録するからね」
そそくさと名前だけを書いて受付嬢のお姉さんに渡して待つこと数分・・・。
「はい、ジグレイド君 これがあなたの登録証ね。もし失くしても銀貨5枚で再発行できるけど極力失くさないようにしてね。それから午後の鐘が鳴ってから初心者への講習会を開いているからなるべく参加するように!とりあえずここで説明するのはこのくらいかな。質問は講習会でしてね」
『よし、やっと登録できた!あとは講習会とかいうのに参加すれば依頼を受けられるはずだ!もう手持ちのお金が無くなりそうなんだよな』とか考えつつ登録証の板を受け取り、そわそわしながら講習会までギルドで時間をつぶして待っているジグレイドを受付嬢や組合員は微笑ましそうに眺めているのだった。
もちろん本人は気づいていない。
『やっと15歳か、漸く組合に登録できるな』と思いつつ中立を示す天秤の看板が掲げられている組合の建物に向かって足を進めた。
組合に入ると受付と酒場が併設してあり酒と汗が混じった臭いがした。
今は昼より少し前くらいの時間帯なので組合員の人たちは少なく受付の人も暇そうにしていた。
ジグレイドは受付の方に足を進め暇そうにしている長い金髪を後ろで束ねて一つ結びにした受付嬢に話しかけた。
「すみません、組合の登録手続きお願いします」
「えーっと、組合は15歳からしか登録できないの。ごめんなさいね」
申し訳なさそうにそう言われ、少しの間呆けてしまうが慌てて訂正する。
「ちょ、ちょっと待ってください!俺はもう15歳です!鑑定士に見てもらっても構いません!」
鑑定士は鑑定魔法を使い触れたものの詳細を知ることができる人のことであり、鑑定魔法は使える人が少なく鑑定士というだけでお金には困ることはなくなるらしい。なお、生物に関しては名称(種族)と年齢くらいしかわからないそうだ。
「そう?なら手を出してくれる?お姉さんが鑑定するから」
なんと受付嬢のお姉さんは鑑定士だったのかと内心驚きつつ手を差し出す。すると受付嬢のお姉さんが“鑑定”と呟き俺の手に触れた。
「あら?ほんとに15歳みたいね、ごめんなさいね」と言いつつ頭を下げてきた。
まーわからんでもない。今の俺の身なりはかなり酷いのだ。なにせボロボロの服に痩せこけた身体、9歳くらいから1日1食あればいいくらいの生活をしてきたせいで身長は140もないのだ。
(cm=単位なし m=メル km=キル)
「15歳みたいだし、この紙に名前と得意なこととか書いてもらえる?そのあとに登録するからね」
そそくさと名前だけを書いて受付嬢のお姉さんに渡して待つこと数分・・・。
「はい、ジグレイド君 これがあなたの登録証ね。もし失くしても銀貨5枚で再発行できるけど極力失くさないようにしてね。それから午後の鐘が鳴ってから初心者への講習会を開いているからなるべく参加するように!とりあえずここで説明するのはこのくらいかな。質問は講習会でしてね」
『よし、やっと登録できた!あとは講習会とかいうのに参加すれば依頼を受けられるはずだ!もう手持ちのお金が無くなりそうなんだよな』とか考えつつ登録証の板を受け取り、そわそわしながら講習会までギルドで時間をつぶして待っているジグレイドを受付嬢や組合員は微笑ましそうに眺めているのだった。
もちろん本人は気づいていない。
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