それは淡い花の香りでした。

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出逢いなんてそれほど。

第1話

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4月。それは始まりの季節。

誰もが不安と期待を同時に背負い、夢へと向かって一歩を踏み出す。

受験を経て、私が今日から通うのは、名門大学付属の高校だ。

受験、と言っても中学時代は勉強につまずくこともなかったため、多少の苦労はしたものの、その程度だった。

もちろん不安はあった。

同じ中学の友達はひとりもいないし、勉強にだってついていけるか心配だ。

桜の木の下を通りながら色々なことを考えていた。

それが表情に出ていたのだろう。

「ね、大丈夫?」

ひとりの女の子に心配そうに声をかけられた。

「あっ、大丈夫、です…」

そう答えると彼女はにこにこして言った。

「君も新入生でしょ?同級生なんだから敬語はやめよー?」

人懐っこい印象の彼女は返事を待たずに話し続ける。

「私は相澤 美彩(あいざわ みさ)、最近はカラオケによく行くんだー。ね、今度一緒に行こうよ!」

彼女に続いて私も自己紹介をする。

「一ノ瀬 椿、趣味は本読むことかな…。」

「本!私も結構読むよー!漫画だけどね笑」

「小説も面白いよ!今度貸すね!」

そんなこんなで話しながら歩いていると、校舎の入口に着いた。

「なんか、緊張するね、入学式。」

「もうここの生徒になるんだよね。」

お互いそう口にし、正門に足を踏み入れた。
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