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6.ぎこちない会話
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最近は朝が冷える季節になり、山岡が来るまでの間に、温かいお茶を飲みながら待っておくかと給湯室に入った。
飲みたかったのが、正直どこに何があるかわからなかった。年配の同僚が勝手に茶を煎れて飲んでいたので、それなら自分もと思ったのだ。
ポットの湯は、先程の同僚が入れて沸かしてくれている。あとは茶葉だが、茶筒がいくつかあって、どれを使ったらいいのかがわらない。
うろうろとしていると、入口に気配を感じて振り返った。
出勤してきた真緒が立っており、おはようございます、と口が動いた。声は聞こえないが、形でわかる。
「おはよ……」
ぺこりと頭を下げた真緒は、そのまま通り過ぎようとした。
創平は慌てて、
「あ、倉橋さん、ちょっと待って」
思わず呼び止めてしまった。
『はい』
真緒が振り返った。
「あの……お茶、飲んでいいのがどれかわからなくて……」
しどろもどろに尋ねると、真緒は入口にバッグを置き、創平の側に歩み寄った。
いくつかある茶筒を手で示した彼女は、
『これが従業員用のお茶です』
シュポンッと音を立てて、銀色の茶筒を開け、中を見せた。ティーバッグのお茶が入っており、これが社員の休憩用のものだと教えてくれた。
「これが、飲んでいい分ね。じゃあこっちが?」
もう一つ、塗り物であろう茶筒があり、真緒は同じようにそれを開けて、見せてくれた。こちらは茶葉が半分ほど入っている。
「来客用ってことか」
どうやら高いお茶らしい。それは創平にもわかった。
真緒が自分を指差して、
『お茶を淹れますよ』
と伝えてきた。
「お茶、淹れてくれるって?」
『はい』
うんうん、と真緒は頷く。
「あ、いや、けど、いつも淹れてもらってるし、倉橋さんが来るまでに自分の分くらいは自分で淹れようと思ったんだけど……」
結局何もわからなかったし、と気まずそうに目を反らした。
『大丈夫です。すぐ、淹れられますよ』
真緒は頷いた。
朝でも昼でも、飲みたいなと思えば、小夜子や真緒が淹れてくれる。
それを当たり前のように思ってはいけないと最近は思うようになっていた。
創平のマグカップにティーバッグを落として、湯を注ぐ。
適当に揺らしてたあと、ティーバッグを除けると、
『どうぞ』
真緒は差し出してくれた。
「……ありがとう」
ふと、創平は一旦マグカップと近くに置いたあと、
「あの、ありが……とう」
手話で「ありがとう」と伝えた。
真緒は少し目を大きくして驚いたが、
『どういたしまして』
と口の動きと一緒に、手話でそう言った。
どういたしまして、というものだということはわかった。
「ありがとう」と「どういたしまして」はセットで覚えたからだ。
(俺の手話、伝わった)
達成感のような高揚感のような、不思議な胸の高鳴りを感じた。
(よかった)
「おはよー。俺もお茶欲しいなあ」
その声に振り返ると、出勤してきた山岡が立っていた。
邪魔すんなよ、と言いかけて、その言葉はおかしいなと口を噤む。
「……はよ」
「真緒ちゃん、申し訳ない、俺もついでに欲しいな」
「はあ?」
創平は顔をしかめたが、
『はい』
真緒は笑顔で頷いた。
(山岡にはそういう顔するんだよな……やっぱ)
山岡に気があるのだろうか、と疑ってしまう。
(けど、男がいるんだっけ……。山岡じゃないよな。山岡だったら不倫だし)
真緒は、山岡のマグカップを手にすると、同じように湯を注いだ。
『どうぞ』
「ありがと」
創平と山岡の茶で使ったティーバッグは、真緒のマグカップに投入され、二つのティーバッグで茶を作った。
「えっ、それ、俺と山岡の作ったやつ」
『はい……そうですけど……?』
「俺のコップと山岡のコップに入れた分だろ?」
すると、真緒は右手の人差し指を左右に振った。
「なんで、って真緒ちゃん訊いてるよ」
「なんで、って……。人に淹れたあとのだし……」
真緒はきょとんとしている。
『まだ出るし、二つ分ならいい味がまだまだ出ますので……』
「まだ飲めるから、って」
こくり、と真緒は頷いた。
「いや、まあ、そうかもだけど」
「何、間接キスとか思ってんの?」
「はあ!?」
「洗ったあとのコップだし、よっぽど汚いヤツのなら洗ってても抵抗あるかもしれないけど、真緒ちゃんには俺らはそんな抵抗はないみたいだよ?」
真緒は少し顔を赤らめながら、頷いた。
『考えたこと、なかったです……。勿体ないと思っただけなので。これから気をつけます』
「えっと、勿体ないから? そんな発想はなかった? ってさ。合ってる? 今度からは、そういうのは気をつける、って。そういうことだよね?」
山岡の通訳に、真緒はまた頷いた。
「いや、まあ……別に、俺はいいんだけど……。女の子のほうが、抵抗あるもんだと思ってたから、びっくりしただけで……」
二人の男に見下ろされ、真緒は恥ずかしそうに俯いていた。
「あ、もしさ、これが笠間さんのお茶を入れた後でも使う?」
山岡が言うと、
『あ……無理です……』
真緒はスンとした顔になった。
「無理だって。俺らなら平気だけど笠間さんは抵抗あるんだ」
彼女には、平気な人、無理な人、一応はあるらしい。
(そっか……)
自分は平気な人のカテゴリーなのだと知って、なぜかホッとした。
「じゃ、淹れてもらったお茶飲んで、現場に行く準備するかな」
「あ、う、うん」
二人は給湯室を出た。
真緒は背を向け、自分のマグカップに湯を注いでいた。
相変わらずあまり接点はないが、真緒が困っていないか気にかけるようになっている。
真緒を見ていると、山岡をはじめ、ほかの社員とはよく笑って話している。
「手話ではどうやるの?」
手話を教えて、と言われて笑顔で応えているのだ。
自分も、世間話くらいはしてみてもいいのかな、と考えてはいる。
山岡や他の者達は、めちゃくちゃなジェスチャーが混じっているが、コミュニケーションはとっているようだ。
あんなの絶対手話じゃないだろ、と思うが、それを言うこともなく、ぼんやり眺めているだけだった。
現場では、近くに店があればそこで食事をすることもあるし、コンビニやスーパーがあれば弁当やパンを買って、現場や現場へ行き来する車の中で食べることが多い。夏場は食中毒の心配があるので、弁当を持参することはなかった。山岡も手作り弁当は、涼しいまたは寒い季節だけにしている様子だ。
社用車の運転席で、山岡はシートを倒して昼寝をしている。
助手席で、同じようにシートを倒して創平もいつは寝るのだが、最近は涼しくなってきたので、外に出ている。車の陰に腰を下ろし、とある動画を見るようになっていた。
「どこ行ったかと思えば……動画か? 別に気にせず見ていいのに。俺が外で昼寝するけど」
「いいよ別に。邪魔したら悪いだろ」
「何の動画? あれ、それって手話の動画?」
「……まあ」
「真緒ちゃんと話するためか? うんうん、頑張れ頑張れ」
「……別にそういうわけじゃ。まあ、覚えて損はないかと思っただけだよ」
(俺だけ知らなかったし)
知らず知らずのうちに疎外感があったのは否めない。
あれだけ毛嫌いして貶していたというのに。
非があるのは自分だということも否めず、自分も歩み寄ってみる必要があると純粋に思うようになっていたのだ。
「あ、そうだ。指文字って習った?」
「指文字?」
「基礎の手話と同時に、指文字って覚えたほうが便利。んとね、英語習った時に、アルファベットならったじゃん? あんな感じ。「あ」だったらこういう指の形、「い」だったらこんな形……って」
山岡は習得しているのか、指で、五十音のいくつかを示してくれた。
「この単語、手話ではわからないな、って思った時に、一文字ずつ示せば、わかってもらえることがあるから」
「そうなのか」
「例えば……」
山岡は、人差し指で創平を軽く指した後、親指、人差し指、中指を伸ばしてそれを下に向けた。次に、指でキツネを表す時のように、人差し指と小指を立てて後は倒した。どうやらそれが指文字らしく、そのあと、人差し指を自分の口から前に出した。手話と指文字を合わせたもののようだ。
創平も山岡の真似をする。
「そう、それ。いいね。たぶん使えるから覚えといたほうがいいよ。真緒ちゃんに使ってみたらいいと思うけど」
「……は? で、どういう意味?」
「『あなたが、す、き、です』」
「は?」
無言になり、創平はスマホの画面に目を落とした。
「使い道ない手話教えてくんな」
「『好き』っていう手話は別にあるけどね」
「…………」
胸の奥がざわざわするのを無視し、指文字の動画を探すことにした。
飲みたかったのが、正直どこに何があるかわからなかった。年配の同僚が勝手に茶を煎れて飲んでいたので、それなら自分もと思ったのだ。
ポットの湯は、先程の同僚が入れて沸かしてくれている。あとは茶葉だが、茶筒がいくつかあって、どれを使ったらいいのかがわらない。
うろうろとしていると、入口に気配を感じて振り返った。
出勤してきた真緒が立っており、おはようございます、と口が動いた。声は聞こえないが、形でわかる。
「おはよ……」
ぺこりと頭を下げた真緒は、そのまま通り過ぎようとした。
創平は慌てて、
「あ、倉橋さん、ちょっと待って」
思わず呼び止めてしまった。
『はい』
真緒が振り返った。
「あの……お茶、飲んでいいのがどれかわからなくて……」
しどろもどろに尋ねると、真緒は入口にバッグを置き、創平の側に歩み寄った。
いくつかある茶筒を手で示した彼女は、
『これが従業員用のお茶です』
シュポンッと音を立てて、銀色の茶筒を開け、中を見せた。ティーバッグのお茶が入っており、これが社員の休憩用のものだと教えてくれた。
「これが、飲んでいい分ね。じゃあこっちが?」
もう一つ、塗り物であろう茶筒があり、真緒は同じようにそれを開けて、見せてくれた。こちらは茶葉が半分ほど入っている。
「来客用ってことか」
どうやら高いお茶らしい。それは創平にもわかった。
真緒が自分を指差して、
『お茶を淹れますよ』
と伝えてきた。
「お茶、淹れてくれるって?」
『はい』
うんうん、と真緒は頷く。
「あ、いや、けど、いつも淹れてもらってるし、倉橋さんが来るまでに自分の分くらいは自分で淹れようと思ったんだけど……」
結局何もわからなかったし、と気まずそうに目を反らした。
『大丈夫です。すぐ、淹れられますよ』
真緒は頷いた。
朝でも昼でも、飲みたいなと思えば、小夜子や真緒が淹れてくれる。
それを当たり前のように思ってはいけないと最近は思うようになっていた。
創平のマグカップにティーバッグを落として、湯を注ぐ。
適当に揺らしてたあと、ティーバッグを除けると、
『どうぞ』
真緒は差し出してくれた。
「……ありがとう」
ふと、創平は一旦マグカップと近くに置いたあと、
「あの、ありが……とう」
手話で「ありがとう」と伝えた。
真緒は少し目を大きくして驚いたが、
『どういたしまして』
と口の動きと一緒に、手話でそう言った。
どういたしまして、というものだということはわかった。
「ありがとう」と「どういたしまして」はセットで覚えたからだ。
(俺の手話、伝わった)
達成感のような高揚感のような、不思議な胸の高鳴りを感じた。
(よかった)
「おはよー。俺もお茶欲しいなあ」
その声に振り返ると、出勤してきた山岡が立っていた。
邪魔すんなよ、と言いかけて、その言葉はおかしいなと口を噤む。
「……はよ」
「真緒ちゃん、申し訳ない、俺もついでに欲しいな」
「はあ?」
創平は顔をしかめたが、
『はい』
真緒は笑顔で頷いた。
(山岡にはそういう顔するんだよな……やっぱ)
山岡に気があるのだろうか、と疑ってしまう。
(けど、男がいるんだっけ……。山岡じゃないよな。山岡だったら不倫だし)
真緒は、山岡のマグカップを手にすると、同じように湯を注いだ。
『どうぞ』
「ありがと」
創平と山岡の茶で使ったティーバッグは、真緒のマグカップに投入され、二つのティーバッグで茶を作った。
「えっ、それ、俺と山岡の作ったやつ」
『はい……そうですけど……?』
「俺のコップと山岡のコップに入れた分だろ?」
すると、真緒は右手の人差し指を左右に振った。
「なんで、って真緒ちゃん訊いてるよ」
「なんで、って……。人に淹れたあとのだし……」
真緒はきょとんとしている。
『まだ出るし、二つ分ならいい味がまだまだ出ますので……』
「まだ飲めるから、って」
こくり、と真緒は頷いた。
「いや、まあ、そうかもだけど」
「何、間接キスとか思ってんの?」
「はあ!?」
「洗ったあとのコップだし、よっぽど汚いヤツのなら洗ってても抵抗あるかもしれないけど、真緒ちゃんには俺らはそんな抵抗はないみたいだよ?」
真緒は少し顔を赤らめながら、頷いた。
『考えたこと、なかったです……。勿体ないと思っただけなので。これから気をつけます』
「えっと、勿体ないから? そんな発想はなかった? ってさ。合ってる? 今度からは、そういうのは気をつける、って。そういうことだよね?」
山岡の通訳に、真緒はまた頷いた。
「いや、まあ……別に、俺はいいんだけど……。女の子のほうが、抵抗あるもんだと思ってたから、びっくりしただけで……」
二人の男に見下ろされ、真緒は恥ずかしそうに俯いていた。
「あ、もしさ、これが笠間さんのお茶を入れた後でも使う?」
山岡が言うと、
『あ……無理です……』
真緒はスンとした顔になった。
「無理だって。俺らなら平気だけど笠間さんは抵抗あるんだ」
彼女には、平気な人、無理な人、一応はあるらしい。
(そっか……)
自分は平気な人のカテゴリーなのだと知って、なぜかホッとした。
「じゃ、淹れてもらったお茶飲んで、現場に行く準備するかな」
「あ、う、うん」
二人は給湯室を出た。
真緒は背を向け、自分のマグカップに湯を注いでいた。
相変わらずあまり接点はないが、真緒が困っていないか気にかけるようになっている。
真緒を見ていると、山岡をはじめ、ほかの社員とはよく笑って話している。
「手話ではどうやるの?」
手話を教えて、と言われて笑顔で応えているのだ。
自分も、世間話くらいはしてみてもいいのかな、と考えてはいる。
山岡や他の者達は、めちゃくちゃなジェスチャーが混じっているが、コミュニケーションはとっているようだ。
あんなの絶対手話じゃないだろ、と思うが、それを言うこともなく、ぼんやり眺めているだけだった。
現場では、近くに店があればそこで食事をすることもあるし、コンビニやスーパーがあれば弁当やパンを買って、現場や現場へ行き来する車の中で食べることが多い。夏場は食中毒の心配があるので、弁当を持参することはなかった。山岡も手作り弁当は、涼しいまたは寒い季節だけにしている様子だ。
社用車の運転席で、山岡はシートを倒して昼寝をしている。
助手席で、同じようにシートを倒して創平もいつは寝るのだが、最近は涼しくなってきたので、外に出ている。車の陰に腰を下ろし、とある動画を見るようになっていた。
「どこ行ったかと思えば……動画か? 別に気にせず見ていいのに。俺が外で昼寝するけど」
「いいよ別に。邪魔したら悪いだろ」
「何の動画? あれ、それって手話の動画?」
「……まあ」
「真緒ちゃんと話するためか? うんうん、頑張れ頑張れ」
「……別にそういうわけじゃ。まあ、覚えて損はないかと思っただけだよ」
(俺だけ知らなかったし)
知らず知らずのうちに疎外感があったのは否めない。
あれだけ毛嫌いして貶していたというのに。
非があるのは自分だということも否めず、自分も歩み寄ってみる必要があると純粋に思うようになっていたのだ。
「あ、そうだ。指文字って習った?」
「指文字?」
「基礎の手話と同時に、指文字って覚えたほうが便利。んとね、英語習った時に、アルファベットならったじゃん? あんな感じ。「あ」だったらこういう指の形、「い」だったらこんな形……って」
山岡は習得しているのか、指で、五十音のいくつかを示してくれた。
「この単語、手話ではわからないな、って思った時に、一文字ずつ示せば、わかってもらえることがあるから」
「そうなのか」
「例えば……」
山岡は、人差し指で創平を軽く指した後、親指、人差し指、中指を伸ばしてそれを下に向けた。次に、指でキツネを表す時のように、人差し指と小指を立てて後は倒した。どうやらそれが指文字らしく、そのあと、人差し指を自分の口から前に出した。手話と指文字を合わせたもののようだ。
創平も山岡の真似をする。
「そう、それ。いいね。たぶん使えるから覚えといたほうがいいよ。真緒ちゃんに使ってみたらいいと思うけど」
「……は? で、どういう意味?」
「『あなたが、す、き、です』」
「は?」
無言になり、創平はスマホの画面に目を落とした。
「使い道ない手話教えてくんな」
「『好き』っていう手話は別にあるけどね」
「…………」
胸の奥がざわざわするのを無視し、指文字の動画を探すことにした。
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