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【第4部】浩輔編
38.エピローグ
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「……とまあ、小学校一年生からの付き合いって感じかな。付き合ったのは、ほんと大人になってから」
舞衣との馴れ初めやこれまでの話を、適当に端折り、適当に盛って、そこそこ真実をきちんと混ぜて祐策達に話した。
「別に大したエピソードもなかっただろ。祐策みたいにドキドキするようなこともないし、トモさんみたいに運命的なものもないし……ごくごく普通」
「そんなことない」
祐策は笑いながら否定した。その笑いは、悪いものではなく、なぜか嬉しそうな笑いだった。
「長い付き合いで、お互い初恋の相手で、って、ドラマみたいだと思いますけどね」
和宏も目をきらきらさせて浩輔を見た。
この二人の男達は、浩輔の話を肯定的にみてくれているようだった。これは浩輔が舞衣に対してセフレ扱いをしていた……ことを端折ったせいだと思われた。再会して遊ぶようになって、付き合うことになった、というような流れを話している。実際はその間に、彼女にひどい扱いをしていたのだから、さすがにそれを聞けば引いてしまうだろう。
「いろんな形の恋愛があるもんだな」
祐策がしみじみ言った。
「まあ、十人十色って言いますしね」
和宏が頷いた。
「まさか俺が恋愛できるなんて思わなかったから、こうして二人に話して、振り返ってみたら、なんか不思議な感じがする」
「そんなことないと思うけど。それ言われたら俺だって……同じ」
祐策は小さく笑った。
「俺もそう思いますよ。トモさんだって、特定の相手は不要、って言ってたのに、今じゃ聡子さんにベタ惚れですからね」
一人に執着しないはずだった智幸が、恋人に首ったけなことに、三人は笑ってうなずき合った。
何がどうなるかわからないものだ。
その後も三人は、恋バナに花を咲かせたのだった。
《浩輔編》fin...
舞衣との馴れ初めやこれまでの話を、適当に端折り、適当に盛って、そこそこ真実をきちんと混ぜて祐策達に話した。
「別に大したエピソードもなかっただろ。祐策みたいにドキドキするようなこともないし、トモさんみたいに運命的なものもないし……ごくごく普通」
「そんなことない」
祐策は笑いながら否定した。その笑いは、悪いものではなく、なぜか嬉しそうな笑いだった。
「長い付き合いで、お互い初恋の相手で、って、ドラマみたいだと思いますけどね」
和宏も目をきらきらさせて浩輔を見た。
この二人の男達は、浩輔の話を肯定的にみてくれているようだった。これは浩輔が舞衣に対してセフレ扱いをしていた……ことを端折ったせいだと思われた。再会して遊ぶようになって、付き合うことになった、というような流れを話している。実際はその間に、彼女にひどい扱いをしていたのだから、さすがにそれを聞けば引いてしまうだろう。
「いろんな形の恋愛があるもんだな」
祐策がしみじみ言った。
「まあ、十人十色って言いますしね」
和宏が頷いた。
「まさか俺が恋愛できるなんて思わなかったから、こうして二人に話して、振り返ってみたら、なんか不思議な感じがする」
「そんなことないと思うけど。それ言われたら俺だって……同じ」
祐策は小さく笑った。
「俺もそう思いますよ。トモさんだって、特定の相手は不要、って言ってたのに、今じゃ聡子さんにベタ惚れですからね」
一人に執着しないはずだった智幸が、恋人に首ったけなことに、三人は笑ってうなずき合った。
何がどうなるかわからないものだ。
その後も三人は、恋バナに花を咲かせたのだった。
《浩輔編》fin...
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