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【第4部】浩輔編
34.自覚
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ドアを開けると、茫然自失といったふうの舞衣が座り込んでいた。
まだそこにいたことに安心する。
胸が苦しくて、ズキズキ痛んで、蹲りそうになった浩輔は、途中で引き返し、舞衣の部屋へ戻ったのだ。
「え……? 三原君……?」
浩輔はそのまま舞衣を抱き締めた。
「無理」
「え?」
「俺がずっと舞衣を好きだったの、わかってるだろ」
「…………」
「二度もふられたのに、出会って十五年経って、初恋の女の子が俺を好きだって言ってんだ、嬉しくないわけないだろ」
舞衣は浩輔を見上げる。
彼女の両頬に手を当て、唇を重ねる。
離れると、その顔を見て胸がドキドキした。
(苦しい……でも、もっとキスしたくなる)
「嬉しいけど、わからないんだ。舞衣のことは好きだ。でも、それは恋愛感情なのか、わからないんだ。……昔みたいに、舞衣を好きだって自信持って言えない。俺は恋愛の始め方がわからない」
「それは……やっぱりわたしのせいだね。わたしは三原君が好きだよ。セフレでもいいって思うくらいは三原君が好きだよ」
舞衣から、貪るようなキスを何度も何度もされて、二人ともその場にへたり込んだ。
「三原君を傷つけたのに、今更三原君を好きだなんてどの口が言うんだって思われるけど。三原君と再会して、わたしはまた三原君に恋したよ」
もう昔の優柔不断なわたしじゃない、と彼女は言った。
「三原君にまた好きになってもらえるように……これからも側にいたいと思ってる」
ダメかな、と顔を覗き込まれ、
「ダメなわけあるか」
と笑った。
舞衣を抱きかかえ、ベッドに運んだ。
「また舞衣が欲しくなった。でも、今度は真剣に、だ。遊びじゃない」
舞衣は頷いてくれた。
まだ部屋着を着ていないのはラッキーだと思った。簡単にキャミソールを脱がせて下着を引き剥がし、彼女の身体に吸い付いた。
恥ずかしそうにしている舞衣が愛おしい。
初恋の女の子を目の前にして。
何度も抱いてきたというのに。
あちこちに唇を這わせ、彼女を愛した。
舞衣がぼうっとするくらいにまで、浩輔は丁寧な前戯を舞衣にした。
髪を撫でたり、キスをしたり、今までで一番丁寧に彼女を愛したつもりだ。
細い腰に、小さめではあるが、柔らかくてきれいな双房に浩輔も興奮が収まらない。
あっという間に果てそうになるが、堪えてゆっくり腰を打ち付けた。舞衣の手と自分の手を絡めると、舞衣も握り返してきた。
(可愛い……)
顔だけでなく身体まで火照っているのがわかった、
涙なのか汗なのかわからない舞衣の滴に、自分の汗が落ちて混じっていく。
「舞衣……好きだ……」
浩輔は腰を振り、何度もささやいた。
「やっと……言ってもらえた……。わたしも……好き……」
言ったことがなかったのか、と気づく。
好きなのかどうかもわからなかったのだから、言ったことがなくて当然ではあった。
(可愛いと思ったことはあるけど)
愛おしい気持ちがこみ上げてくる、これが「好き」という気持ちなのだろうか。昔感じた気持ちとは違う。子供の頃よりも、もっと激しく昂ぶる気持ちがあった。
「嬉しくてイキそう……すっげー早いみたいになってるけど、違うからな。舞衣のナカが気持ちよすぎて早いだけだからな」
舞衣は何度も頷いてくれた。
果てた舞衣は、恥ずかしそうだが嬉しそうに浩輔を見た。
可愛くて足りないと思う浩輔だった。
浩輔と舞衣は少し微睡み、浩輔は帰ることにした。
「身体、大丈夫か?」
「……うん、大丈夫」
照れくさそうに俯く舞衣の顎に手をやり、上向かせた。
「何回も……無理させてごめんな」
ううん、と首を振る舞衣。
「……嬉しいから」
「……そうか」
またキスを落とし、頬を撫でた。
「他の男は見るなよ」
「……うん」
「絶対だぞ」
「うん」
「俺も他の女は見ない。舞衣だけだ」
もう一度キスをする。
「好きな人いるんじゃないの……?」
「いないけど……」
「前に、ミサ、って言われたから……」
「え……」
マジか、と顔を覆った。
「ミサさんって、呼ばれたことあるよ。三原君は気づいてないかもしれないけど」
「ごめん」
ミサとしている時にも、舞衣の名前を呼んだことがあると言われた。
今度は反対だ。
(……最低最悪じゃん、俺)
「その人のことはいいの?」
「……その人とはもう切れてるし、好きってわけじゃない。流されて、関係持った女だ」
「そう」
「もう会うことないし、好きになることもない。誓って言える」
「誓わなくても、いいけど……」
舞衣は悲しげな顔になった。
(悲しませない)
「舞衣」
「はい」
「言ってなかった」
「?」
ごくりと息をのみ、舞衣をみやる。
「俺と、付き合って。俺と恋愛、してくれ」
「……うん、もちろん」
まだそこにいたことに安心する。
胸が苦しくて、ズキズキ痛んで、蹲りそうになった浩輔は、途中で引き返し、舞衣の部屋へ戻ったのだ。
「え……? 三原君……?」
浩輔はそのまま舞衣を抱き締めた。
「無理」
「え?」
「俺がずっと舞衣を好きだったの、わかってるだろ」
「…………」
「二度もふられたのに、出会って十五年経って、初恋の女の子が俺を好きだって言ってんだ、嬉しくないわけないだろ」
舞衣は浩輔を見上げる。
彼女の両頬に手を当て、唇を重ねる。
離れると、その顔を見て胸がドキドキした。
(苦しい……でも、もっとキスしたくなる)
「嬉しいけど、わからないんだ。舞衣のことは好きだ。でも、それは恋愛感情なのか、わからないんだ。……昔みたいに、舞衣を好きだって自信持って言えない。俺は恋愛の始め方がわからない」
「それは……やっぱりわたしのせいだね。わたしは三原君が好きだよ。セフレでもいいって思うくらいは三原君が好きだよ」
舞衣から、貪るようなキスを何度も何度もされて、二人ともその場にへたり込んだ。
「三原君を傷つけたのに、今更三原君を好きだなんてどの口が言うんだって思われるけど。三原君と再会して、わたしはまた三原君に恋したよ」
もう昔の優柔不断なわたしじゃない、と彼女は言った。
「三原君にまた好きになってもらえるように……これからも側にいたいと思ってる」
ダメかな、と顔を覗き込まれ、
「ダメなわけあるか」
と笑った。
舞衣を抱きかかえ、ベッドに運んだ。
「また舞衣が欲しくなった。でも、今度は真剣に、だ。遊びじゃない」
舞衣は頷いてくれた。
まだ部屋着を着ていないのはラッキーだと思った。簡単にキャミソールを脱がせて下着を引き剥がし、彼女の身体に吸い付いた。
恥ずかしそうにしている舞衣が愛おしい。
初恋の女の子を目の前にして。
何度も抱いてきたというのに。
あちこちに唇を這わせ、彼女を愛した。
舞衣がぼうっとするくらいにまで、浩輔は丁寧な前戯を舞衣にした。
髪を撫でたり、キスをしたり、今までで一番丁寧に彼女を愛したつもりだ。
細い腰に、小さめではあるが、柔らかくてきれいな双房に浩輔も興奮が収まらない。
あっという間に果てそうになるが、堪えてゆっくり腰を打ち付けた。舞衣の手と自分の手を絡めると、舞衣も握り返してきた。
(可愛い……)
顔だけでなく身体まで火照っているのがわかった、
涙なのか汗なのかわからない舞衣の滴に、自分の汗が落ちて混じっていく。
「舞衣……好きだ……」
浩輔は腰を振り、何度もささやいた。
「やっと……言ってもらえた……。わたしも……好き……」
言ったことがなかったのか、と気づく。
好きなのかどうかもわからなかったのだから、言ったことがなくて当然ではあった。
(可愛いと思ったことはあるけど)
愛おしい気持ちがこみ上げてくる、これが「好き」という気持ちなのだろうか。昔感じた気持ちとは違う。子供の頃よりも、もっと激しく昂ぶる気持ちがあった。
「嬉しくてイキそう……すっげー早いみたいになってるけど、違うからな。舞衣のナカが気持ちよすぎて早いだけだからな」
舞衣は何度も頷いてくれた。
果てた舞衣は、恥ずかしそうだが嬉しそうに浩輔を見た。
可愛くて足りないと思う浩輔だった。
浩輔と舞衣は少し微睡み、浩輔は帰ることにした。
「身体、大丈夫か?」
「……うん、大丈夫」
照れくさそうに俯く舞衣の顎に手をやり、上向かせた。
「何回も……無理させてごめんな」
ううん、と首を振る舞衣。
「……嬉しいから」
「……そうか」
またキスを落とし、頬を撫でた。
「他の男は見るなよ」
「……うん」
「絶対だぞ」
「うん」
「俺も他の女は見ない。舞衣だけだ」
もう一度キスをする。
「好きな人いるんじゃないの……?」
「いないけど……」
「前に、ミサ、って言われたから……」
「え……」
マジか、と顔を覆った。
「ミサさんって、呼ばれたことあるよ。三原君は気づいてないかもしれないけど」
「ごめん」
ミサとしている時にも、舞衣の名前を呼んだことがあると言われた。
今度は反対だ。
(……最低最悪じゃん、俺)
「その人のことはいいの?」
「……その人とはもう切れてるし、好きってわけじゃない。流されて、関係持った女だ」
「そう」
「もう会うことないし、好きになることもない。誓って言える」
「誓わなくても、いいけど……」
舞衣は悲しげな顔になった。
(悲しませない)
「舞衣」
「はい」
「言ってなかった」
「?」
ごくりと息をのみ、舞衣をみやる。
「俺と、付き合って。俺と恋愛、してくれ」
「……うん、もちろん」
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