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【第4部】浩輔編
11.修羅場
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部屋で待ってる、とミサに誘われ、遅い時間に彼女の部屋を訪ねた。もう何度も訪ねているので、勝手もだいぶわかってきた。今夜はすぐにベッドインしそうな気がする。
訪ねた時には、もう仕事を終えて着替えも済んでいた。シャワーも浴びたらしい。
部屋に入るなり、ミサに飛びかかってくるように抱きつかれた。
「会いたかったー」
「……うん」
「ね、早く、しよ?」
「……うん」
目的は一つだ。
浩輔の服を脱ごうとすると、ミサが手伝うと言ってスラックスのベルトを外し始めた。
「焦らないで」
「だって待ちきれなかったんだもん」
裸になった浩輔の首に抱きついたあと、自分もすぐに着ているものを取り払った。下着は着けていなかったようで、すぐに彼女の肌が表れる。
もどかしいとでも言うように唇を奪われ、浩輔もミサの身体をベッドに押し倒した。唇を貪ったあと、敏感になっているミサのいくつかの場所に順々に触れていった。
「俺としたかったの?」
「すっごくしたかった」
「他にもいるでしょ、ミサさんを悦ばせてくれる男」
「三原君がいいの」
「ほんとに?」
「意地悪しないで早く触ってよぅ……」
三原君に触ってほしいから、と耳元で囁かれ、身体がぞくぞくする。全部ミサに教えてもらったことではあるが、悦ぶことを焦らしながら順番にしていく。
両脚をぐいっと開き、顔を近づけ、あとで自分のものを受け止めるその場所に舌を這わせた。次から次へと愛液が溢れ、ぷくりと膨れた場所を舌先で攻め立てた。ひくひくと動くのを見て、にんまりとした。
身体を起こし、そそり立つ自分のものを、濡れた場所に擦りつける。
「もう挿れる……?」
「まーだ。まだだからね」
自分のものではなく、そっと指を入れ、抜き差しを繰り返した。ミサの腰はひくひくと動き、指を締め付けた。
「指で満足しないでね」
今度は胸の頂に向かい、舌を出した。
片方の先端を口に含み、もう片方は指先で抓んでは膨らみの感触を味わう。両方に繰り返し、ミサに快楽を与えた。
「三原君のも……」
「いいよ、今日は。ミサさんの中に早く挿れたい」
急いでゴムを付け、ミサに跨がる。
「その代わり、今日はめちゃくちゃ激しくするけど、いい?」
「……うん、いいよ」
つながると、浩輔は予告通り激しく突き上げた。ミサの嬌声が余計に煽っているように思えた。前からも後ろからも、体勢を崩したりもしながら、ミサを悦ばせることに必死になった。ミサが何度か果て、自分も限界が来て、果ててしまった。
果てたあとにミサは頭をかき抱いて、撫でてくれた。
「今日もよかった……」
「俺も……」
「今日どうしてそんなに激しくしたの……?」
「ミサさんが、そうして欲しそうだったから……」
「そう?」
「うん」
二人はベッドで微睡み、浩輔はうとうとし始めた。
「ちょっとだけ寝かせてください……」
「……うん、いいよ……わたしも……少し寝るね……」
すうっと二人とも、寝息を立て始めた。
浩輔は、誰かが言い争う物音で目を覚ました。
隣にいるはずのミサの姿がない。
(あれ……)
「ミサさん……?」
玄関のほうから声がする。
起き上がり、下着とスラックスを急いで履いた後、シャツを羽織った。
「ミサさん……?」
玄関に向かうと、声が聞き取れるようになってきた。
「俺が悪かったって言ってるだろ」
「悪いのはわかってる」
「やり直したい。やり直そう。いいだろ!?」
「良くない!」
無精髭の男が、ミサに掴みかかっていた。
「ミサさん!?」
「あっ」
「なんだおまえ!」
男は浩輔を見てカッと目を見開き、こちらに掴みかかってきた。
「やめて!」
「俺と別れてもう男作ってんのか!」
「悪い!?」
「そうだよな、おまえは男がいないと駄目な女だったよな!」
「夜中に近所迷惑でしょ、帰って! もう二度と来ないで!」
浩輔から男を引き剥がし、ドアを開けて外に追い出そうとした。
「次会ったら警察呼ぶからね!」
「あんたも気をつけろ、こいつはな、男なら誰にでも股を開く女だからな」
「うるっさい!」
ついにドアの外へ追い出し、急いで鍵を掛けた。
ドアを背に、はあはあ、と息を荒くしている。
「ごめん、寝てて気づくのが遅れた……」
「ううん、いいよ」
「怪我、してない?」
「大丈夫、ちょっと掴まれただけ」
ミサの手首周りが赤くなっていることに気づき、その手を取った。
「赤くなってるよ」
「大丈夫だから」
起こしてごめんね、とミサは浩輔を見上げた。
「俺のほうは大丈夫。あの人……何回か来たりするの?」
「……前は店の帰り道に待ち伏せしたりとかはあったかな。ここには、滅多に来ることはなかったけど」
「あの人、彼氏?」
言おうか迷ったが、そう尋ねた。会話からして、きっとそうだとは思ったのだが。
「……前に付き合ってた人。この仕事に就く前から付き合ってたけど、わたしの生活が不規則になったら、あの人、別に女作ってて……」
「…………」
「別れたんだけど、こういう状態で。お金を融通したりしたこともあったから、いい金蔓を逃したくないだけなんだと思う」
「そう……」
なんだかもやりとする。
(俺、当て馬的な感じ……? 俺だけじゃないだろうけど……)
遊びなんだから別にどうでもいいだろ、という気持ちがある。だが自分に色事を教えてくれた彼女に対して、情がないわけではない。純粋に心配になる。
「仕事の帰りとか……大丈夫?」
「それは大丈夫。他の子と一緒に帰ってくるから」
「だったらいいけど……。一人になる時は、タクシー使うとか、ちゃんと気をつけてくださいよ」
「わかってる。心配してくれてありがと」
にこっと笑うミサの笑顔は、営業のものではなかったような気がした。
「心配するよ……」
「また、来てくれる?」
「うん、ミサさんが来てほしいなら俺は飛んでくる」
「ありがと」
浩輔に抱きつき、後ろに倒れそうになったがなんとか留まり、ミサの身体に腕を回した。
訪ねた時には、もう仕事を終えて着替えも済んでいた。シャワーも浴びたらしい。
部屋に入るなり、ミサに飛びかかってくるように抱きつかれた。
「会いたかったー」
「……うん」
「ね、早く、しよ?」
「……うん」
目的は一つだ。
浩輔の服を脱ごうとすると、ミサが手伝うと言ってスラックスのベルトを外し始めた。
「焦らないで」
「だって待ちきれなかったんだもん」
裸になった浩輔の首に抱きついたあと、自分もすぐに着ているものを取り払った。下着は着けていなかったようで、すぐに彼女の肌が表れる。
もどかしいとでも言うように唇を奪われ、浩輔もミサの身体をベッドに押し倒した。唇を貪ったあと、敏感になっているミサのいくつかの場所に順々に触れていった。
「俺としたかったの?」
「すっごくしたかった」
「他にもいるでしょ、ミサさんを悦ばせてくれる男」
「三原君がいいの」
「ほんとに?」
「意地悪しないで早く触ってよぅ……」
三原君に触ってほしいから、と耳元で囁かれ、身体がぞくぞくする。全部ミサに教えてもらったことではあるが、悦ぶことを焦らしながら順番にしていく。
両脚をぐいっと開き、顔を近づけ、あとで自分のものを受け止めるその場所に舌を這わせた。次から次へと愛液が溢れ、ぷくりと膨れた場所を舌先で攻め立てた。ひくひくと動くのを見て、にんまりとした。
身体を起こし、そそり立つ自分のものを、濡れた場所に擦りつける。
「もう挿れる……?」
「まーだ。まだだからね」
自分のものではなく、そっと指を入れ、抜き差しを繰り返した。ミサの腰はひくひくと動き、指を締め付けた。
「指で満足しないでね」
今度は胸の頂に向かい、舌を出した。
片方の先端を口に含み、もう片方は指先で抓んでは膨らみの感触を味わう。両方に繰り返し、ミサに快楽を与えた。
「三原君のも……」
「いいよ、今日は。ミサさんの中に早く挿れたい」
急いでゴムを付け、ミサに跨がる。
「その代わり、今日はめちゃくちゃ激しくするけど、いい?」
「……うん、いいよ」
つながると、浩輔は予告通り激しく突き上げた。ミサの嬌声が余計に煽っているように思えた。前からも後ろからも、体勢を崩したりもしながら、ミサを悦ばせることに必死になった。ミサが何度か果て、自分も限界が来て、果ててしまった。
果てたあとにミサは頭をかき抱いて、撫でてくれた。
「今日もよかった……」
「俺も……」
「今日どうしてそんなに激しくしたの……?」
「ミサさんが、そうして欲しそうだったから……」
「そう?」
「うん」
二人はベッドで微睡み、浩輔はうとうとし始めた。
「ちょっとだけ寝かせてください……」
「……うん、いいよ……わたしも……少し寝るね……」
すうっと二人とも、寝息を立て始めた。
浩輔は、誰かが言い争う物音で目を覚ました。
隣にいるはずのミサの姿がない。
(あれ……)
「ミサさん……?」
玄関のほうから声がする。
起き上がり、下着とスラックスを急いで履いた後、シャツを羽織った。
「ミサさん……?」
玄関に向かうと、声が聞き取れるようになってきた。
「俺が悪かったって言ってるだろ」
「悪いのはわかってる」
「やり直したい。やり直そう。いいだろ!?」
「良くない!」
無精髭の男が、ミサに掴みかかっていた。
「ミサさん!?」
「あっ」
「なんだおまえ!」
男は浩輔を見てカッと目を見開き、こちらに掴みかかってきた。
「やめて!」
「俺と別れてもう男作ってんのか!」
「悪い!?」
「そうだよな、おまえは男がいないと駄目な女だったよな!」
「夜中に近所迷惑でしょ、帰って! もう二度と来ないで!」
浩輔から男を引き剥がし、ドアを開けて外に追い出そうとした。
「次会ったら警察呼ぶからね!」
「あんたも気をつけろ、こいつはな、男なら誰にでも股を開く女だからな」
「うるっさい!」
ついにドアの外へ追い出し、急いで鍵を掛けた。
ドアを背に、はあはあ、と息を荒くしている。
「ごめん、寝てて気づくのが遅れた……」
「ううん、いいよ」
「怪我、してない?」
「大丈夫、ちょっと掴まれただけ」
ミサの手首周りが赤くなっていることに気づき、その手を取った。
「赤くなってるよ」
「大丈夫だから」
起こしてごめんね、とミサは浩輔を見上げた。
「俺のほうは大丈夫。あの人……何回か来たりするの?」
「……前は店の帰り道に待ち伏せしたりとかはあったかな。ここには、滅多に来ることはなかったけど」
「あの人、彼氏?」
言おうか迷ったが、そう尋ねた。会話からして、きっとそうだとは思ったのだが。
「……前に付き合ってた人。この仕事に就く前から付き合ってたけど、わたしの生活が不規則になったら、あの人、別に女作ってて……」
「…………」
「別れたんだけど、こういう状態で。お金を融通したりしたこともあったから、いい金蔓を逃したくないだけなんだと思う」
「そう……」
なんだかもやりとする。
(俺、当て馬的な感じ……? 俺だけじゃないだろうけど……)
遊びなんだから別にどうでもいいだろ、という気持ちがある。だが自分に色事を教えてくれた彼女に対して、情がないわけではない。純粋に心配になる。
「仕事の帰りとか……大丈夫?」
「それは大丈夫。他の子と一緒に帰ってくるから」
「だったらいいけど……。一人になる時は、タクシー使うとか、ちゃんと気をつけてくださいよ」
「わかってる。心配してくれてありがと」
にこっと笑うミサの笑顔は、営業のものではなかったような気がした。
「心配するよ……」
「また、来てくれる?」
「うん、ミサさんが来てほしいなら俺は飛んでくる」
「ありがと」
浩輔に抱きつき、後ろに倒れそうになったがなんとか留まり、ミサの身体に腕を回した。
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