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5.大人男子✕大人女子
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海と、一つ年上の里紗は幼馴染だ。
海は母子家庭であり、近所の里紗がよく面倒を見てくれていた。
里紗の両親も共働きで、学校から帰るとよく遊んでくれていた。里紗には四歳年上の兄がおり、彼も時々一緒に遊んでくれていたが、中学に上がってからは部活に勤しんで、専ら里紗が面倒を見てくれた。
海は里紗を慕っていた。
当たり前のように、里紗しか見えていなかった。
里紗は、高校を卒業後は、看護学部のある大学に合格し、進学することになった。しばらく会えないと思うと、居たたまれない気持ちでいっぱいだった。
告白しよう、と決意した海だった。
里紗の家に行き、返事がないので勝手に部屋を訪ねた。それはしてはいけないことだと後で思ったが、もう遅かった。
そっと部屋を覗くと、里紗は制服を脱いでいるところだった。里紗の着替えをじっと覗き見したあと、彼女に気付かれないよう自分のアパートに戻った。
心臓がドキドキしていた。
彼女の制服姿を見て、その中身を想像したこともあった。夏の薄着の日には、その服を脱がせて見てみたいとも思った。丈の短いスカートを履いているのを見て、そのスカートの中を覗きたいという破廉恥なことを思ったこともあった。
でも今日、思わぬ形でそれを見てしまった。
急いでアパートに帰り、ズボンとパンツを脱いだ。
(あ……告白しそびれた……)
と思ったが、自分のものを握り、動かすことに夢中になった。
「里紗ちゃん……里紗ちゃん……好きだ……」
その叫びは里紗に届くことはなかった。
里紗が定期的に帰省すると、海は里紗の部屋の行き、彼女の身辺を探った。
恋人が出来たのだろうか、いるならどんなヤツだろう、と。
里紗は何の疑いもなく、部屋に入れてくれた。
海も大学に入り、里紗とは頻繁には会えなくなったが、それでも里紗に会いたくて、ちょくちょく実家へ帰ってきていた。
──男女の関係になったのは、大学四年生の秋だった。
里紗の部屋に行き、海の県職員採用試験内定の話を伝えると、里紗はもちろん喜んでくれた。
「ありがとう」
「頑張ったね! お母さんもとっても喜んでくれたでしょう」
「うん。苦労掛けたけど、頑張ってきてよかった」
「じゃあ、お祝いしなきゃいけないね」
と彼女は笑ってそう言ってくれた。
「お祝い……?」
「うん、してあげるよ。何でも言ってよ」
「ほしいものがある」
と海は静かに伝えた。
「里紗ちゃんが、欲しい」
「え?」
「里紗ちゃんと……セックスしたい」
「え……それは駄目だよ、無理。海ちゃんとはしちゃ駄目」
里紗はもちろん断ってきた。
「里紗ちゃん」
急に抱きつき。
「ちょ、ちょっと、駄目ってば」
抵抗する里紗の顔をじっと見つめ、キスを迫る。
「俺のこと、海ちゃんなんて呼んで子供扱いしないでよ。もう俺大人だよ?」
何度か唇に触れ、里紗を押し倒す。
「本当に嫌なら、全力で俺をつきとばしてよ。そしたら諦める」
抵抗していた里紗だったが、おずおずと海のキスを受け入れた。
そのまま身体ごと里紗に迫ったが、里紗は受け入れた。
海も社会人になった。
里紗が、自分の通っていた大学の付属の病院に勤務しているのを知っている海だ。
自分も内定をもらい、転勤はあるものの初任地は、里紗の勤務先に近い場所にある庁舎だった。
それもあって、互いのアパートを行き来している。
セフレの関係になって……もう二年目だ。
海にも、大学時代には恋人がいなかったわけではなかった。女の子のほうから告白され、いいよと承諾して付き合ったこともあった。
でも彼女のことが特別好きなわけではなかったし、彼女は別の男性を好きになってそのまま別れてしまっていた。
里紗にもきっと恋人がいたことがあっただろうな、と海は感じていた。
お互いそれは言わなかった。
社会人になり、恋人はいないまま、里紗と関係を持ってからは、ますます彼女と頻繁に会うようになっていた。
「今日行ってもいい?」
「いいよ」
誘うのはいつも海からだった。
里紗から誘うことはない。
海は仕事を終えて、里紗のアパートへ向かった。
里紗が夜勤の時は、またにする、と引き下がるが、何も言われなかったので日勤だろうと予想する。
「何か作ろうか?」
「ううん、いいよ。里紗ちゃんはもう食べたの?」
「うん、軽くね」
「じゃあ俺はいいよ。わざわざ作ってもらうの悪いし。ビールとつまみ、買ってきた」
「空きっ腹にビールはやめときなよ」
里紗は軽く睨む。
飲む準備をしてくれる里紗のそばに行き、背後から近づく。
「わ、びっくりした」
後ろから抱きすくめ、耳元で囁く。
「今日もセックスしたい。いい?」
「……いいよ。でもビールは?」
「後でいい。里紗ちゃんと早くしたい。一週間我慢してたから、めちゃくちゃセックスしたいんだ」
「……うん、わかった」
里紗が頷くと、すぐに振り向かせ、キスをする。貪るように激しく口内を侵し、里紗も受け入れた。シャツの上から胸を掴み、強く揉んだ。キスをしながら彼女の身体のあちこちに触れ、身に纏っているものを脱がせた。
海もネクタイを外し、カッターシャツを脱ぐ。里紗が脱ぐのを手伝ってくれ、二人はすぐに裸になってベッドに転がった。
上半身裸で抱き合ったあと、里紗の胸に直に触れた。胸の先を口に含み、いやらしい音を立てて吸い付くと、里紗は海の頭を抱いた。
海は激しく里紗を抱く。
里紗も喘いで海を受け入れてくれる。
(他の男にも抱かれてるのかな)
探りたくても探れない。
初めて里紗とした時は、初めてではなさそうだった。かくいう自分も大学時代に出来た彼女何人かと経験している。
里紗が「いるよ」と言って「もうこの関係はやめよう」と言われるのが怖い。
毎回、最後にしようと言われてもいいくらいの覚悟で彼女を激しく抱いている海だった。
(でも、最後は嫌だ……)
海は母子家庭であり、近所の里紗がよく面倒を見てくれていた。
里紗の両親も共働きで、学校から帰るとよく遊んでくれていた。里紗には四歳年上の兄がおり、彼も時々一緒に遊んでくれていたが、中学に上がってからは部活に勤しんで、専ら里紗が面倒を見てくれた。
海は里紗を慕っていた。
当たり前のように、里紗しか見えていなかった。
里紗は、高校を卒業後は、看護学部のある大学に合格し、進学することになった。しばらく会えないと思うと、居たたまれない気持ちでいっぱいだった。
告白しよう、と決意した海だった。
里紗の家に行き、返事がないので勝手に部屋を訪ねた。それはしてはいけないことだと後で思ったが、もう遅かった。
そっと部屋を覗くと、里紗は制服を脱いでいるところだった。里紗の着替えをじっと覗き見したあと、彼女に気付かれないよう自分のアパートに戻った。
心臓がドキドキしていた。
彼女の制服姿を見て、その中身を想像したこともあった。夏の薄着の日には、その服を脱がせて見てみたいとも思った。丈の短いスカートを履いているのを見て、そのスカートの中を覗きたいという破廉恥なことを思ったこともあった。
でも今日、思わぬ形でそれを見てしまった。
急いでアパートに帰り、ズボンとパンツを脱いだ。
(あ……告白しそびれた……)
と思ったが、自分のものを握り、動かすことに夢中になった。
「里紗ちゃん……里紗ちゃん……好きだ……」
その叫びは里紗に届くことはなかった。
里紗が定期的に帰省すると、海は里紗の部屋の行き、彼女の身辺を探った。
恋人が出来たのだろうか、いるならどんなヤツだろう、と。
里紗は何の疑いもなく、部屋に入れてくれた。
海も大学に入り、里紗とは頻繁には会えなくなったが、それでも里紗に会いたくて、ちょくちょく実家へ帰ってきていた。
──男女の関係になったのは、大学四年生の秋だった。
里紗の部屋に行き、海の県職員採用試験内定の話を伝えると、里紗はもちろん喜んでくれた。
「ありがとう」
「頑張ったね! お母さんもとっても喜んでくれたでしょう」
「うん。苦労掛けたけど、頑張ってきてよかった」
「じゃあ、お祝いしなきゃいけないね」
と彼女は笑ってそう言ってくれた。
「お祝い……?」
「うん、してあげるよ。何でも言ってよ」
「ほしいものがある」
と海は静かに伝えた。
「里紗ちゃんが、欲しい」
「え?」
「里紗ちゃんと……セックスしたい」
「え……それは駄目だよ、無理。海ちゃんとはしちゃ駄目」
里紗はもちろん断ってきた。
「里紗ちゃん」
急に抱きつき。
「ちょ、ちょっと、駄目ってば」
抵抗する里紗の顔をじっと見つめ、キスを迫る。
「俺のこと、海ちゃんなんて呼んで子供扱いしないでよ。もう俺大人だよ?」
何度か唇に触れ、里紗を押し倒す。
「本当に嫌なら、全力で俺をつきとばしてよ。そしたら諦める」
抵抗していた里紗だったが、おずおずと海のキスを受け入れた。
そのまま身体ごと里紗に迫ったが、里紗は受け入れた。
海も社会人になった。
里紗が、自分の通っていた大学の付属の病院に勤務しているのを知っている海だ。
自分も内定をもらい、転勤はあるものの初任地は、里紗の勤務先に近い場所にある庁舎だった。
それもあって、互いのアパートを行き来している。
セフレの関係になって……もう二年目だ。
海にも、大学時代には恋人がいなかったわけではなかった。女の子のほうから告白され、いいよと承諾して付き合ったこともあった。
でも彼女のことが特別好きなわけではなかったし、彼女は別の男性を好きになってそのまま別れてしまっていた。
里紗にもきっと恋人がいたことがあっただろうな、と海は感じていた。
お互いそれは言わなかった。
社会人になり、恋人はいないまま、里紗と関係を持ってからは、ますます彼女と頻繁に会うようになっていた。
「今日行ってもいい?」
「いいよ」
誘うのはいつも海からだった。
里紗から誘うことはない。
海は仕事を終えて、里紗のアパートへ向かった。
里紗が夜勤の時は、またにする、と引き下がるが、何も言われなかったので日勤だろうと予想する。
「何か作ろうか?」
「ううん、いいよ。里紗ちゃんはもう食べたの?」
「うん、軽くね」
「じゃあ俺はいいよ。わざわざ作ってもらうの悪いし。ビールとつまみ、買ってきた」
「空きっ腹にビールはやめときなよ」
里紗は軽く睨む。
飲む準備をしてくれる里紗のそばに行き、背後から近づく。
「わ、びっくりした」
後ろから抱きすくめ、耳元で囁く。
「今日もセックスしたい。いい?」
「……いいよ。でもビールは?」
「後でいい。里紗ちゃんと早くしたい。一週間我慢してたから、めちゃくちゃセックスしたいんだ」
「……うん、わかった」
里紗が頷くと、すぐに振り向かせ、キスをする。貪るように激しく口内を侵し、里紗も受け入れた。シャツの上から胸を掴み、強く揉んだ。キスをしながら彼女の身体のあちこちに触れ、身に纏っているものを脱がせた。
海もネクタイを外し、カッターシャツを脱ぐ。里紗が脱ぐのを手伝ってくれ、二人はすぐに裸になってベッドに転がった。
上半身裸で抱き合ったあと、里紗の胸に直に触れた。胸の先を口に含み、いやらしい音を立てて吸い付くと、里紗は海の頭を抱いた。
海は激しく里紗を抱く。
里紗も喘いで海を受け入れてくれる。
(他の男にも抱かれてるのかな)
探りたくても探れない。
初めて里紗とした時は、初めてではなさそうだった。かくいう自分も大学時代に出来た彼女何人かと経験している。
里紗が「いるよ」と言って「もうこの関係はやめよう」と言われるのが怖い。
毎回、最後にしようと言われてもいいくらいの覚悟で彼女を激しく抱いている海だった。
(でも、最後は嫌だ……)
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