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第三章 復讐の前に

第一話 日常?

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 ユウキたちの拠点の近くには、人が増えた。

 拠点は、今までと同じで、異世界から帰ってきた者たちしか住んでいない。
 拠点以外の場所には、町ができ始めている。
 主に、拠点に居る者の関係者だが、レナートに残った者たちの関係者も移り住んでいる。各国から、来日してきていることも、住民が増えている原因の一つだ。人が増えれば、その増えた人を目当てにした人が増える。
 もう一つの原因が、ユウキたちが戯れで作った魔道具が原因になっている。

「ユウキ!」

「おかえりなさい。森田さん。何か、用事ですか?」

「あ?!ユウキ!俺がどれだけ苦労して、帰国したと思っている!」

「え?あっ。申し訳ない」

 ユウキたちと別れた森田は、リチャードとロレッタの動きが早すぎて、森田が出国する前に、事件が発生してしまった。森田が疑われたわけではないが、とある宗教団体が壊滅したことや、違法薬物や人体実験を行っていた事実が世界中に衝撃を与えた。
 その結果、森田だけではなく、宗教団体を基盤としたテロを警戒した国々が入国時のチェックを厳しくした。
 それだけなら、森田には影響がなかったのだが、森田はユウキに会う前に、韓国→中国→欧州→中東→南米→北米に入国してから、米国に渡っている。どう考えても怪しい動きだ。どれもが、滞在1日未満で、痕跡を消していると思われてもしょうがない。
 テロとの連絡員だと疑われた。
 国籍が、日本なのも悪かった。パスポートの価値が高くて、各国に入国する手間が少ない日本国籍は、テロの要員として欲しがる場合が多い。

「まぁいい。途中で、ミケール殿に連絡がついて、無事に戻ってこられた」

「へぇ・・・。それで?」

「俺が苦労している時に、ユウキたちは楽しい事をしていたみたいだから、愚痴の一つも言いたくなっただけだ」

 森田は、お土産とばかりに、手に持っていた、テンジンヤのおでんをユウキに差し出す。
 どこで買ってきたのか、冷えていた。

「あっ。そうだ。森田さん!」

 ユウキは、手渡されたおでんをスキルで温めながら、思い出したことを森田に聞くことにした。

「なんだ。テロに間違えられるのは、人生で一回だけでいいぞ?」

 森田の言い方もおかしいが、確かにテロに間違われて、当局に拘束されるなんて出来事は、一生に一度でいいだろう。2回目は多すぎる。

「いや、そうではなくて、宿屋・・・。規模としては、民宿が10軒くらい束ねた規模ですが、主になってくれる人を知りませんか?未経験者でも」

 ユウキの言い方が気になったが、森田はユウキが何を求めているのかしっかりと把握した。

「ん?宿の店主?」

「あっそうですね」

「それは、お前たちが面白半分で作った魔道具に関連するのか?」

 ユウキたちが作ったのは、お湯が湧きだす魔道具だ。
 それだけでも、十分過ぎるのに、”温泉の効能”を知ったマリウスやモデスタが暴走した。お湯に、ポーションと同等の効用が付けられないか実験して作ってしまった。レナートでも同じような物を作っていたので、地球で作ったら出来てしまったのだ。
 素材の関係で、レナートと同じ効能にはならなかったが、効能としては、十分に実用に耐えられるレベルの物だ。

 皮膚炎位なら治療ができる。骨折も治せてしまう。骨がくっついてしまうので、位置の調整は必要だ。
 そんな、温泉が出来てしまった。

「まぁそうですね」

「佐川さんから聞いたぞ、とんでもない物を作ったな」

「そうですか?向こうでも使っていた物ですし、やっぱり欲しいですからね」

「まぁいい。それで、どうして”宿”に繋がる?」

「簡単に言うと、今川さんが口を滑らしてしまって・・・」

 ユウキたちの窓口になっている今川は、マスコミの中では有名な存在になっている。ユウキたちの話を聞きたい者たちが押し寄せる。ユウキたちが未成年で、社会的にもいろいろ問題がある為に、マスコミが直接手を出すのには敷居が高い。
 しかし、マスコミとしてはユウキたちを取り上げるのは、ネタとしては最高の素材だ。

 ユウキも、マスコミに取り上げられるのは、最終的な目的を達成するのに必要なことだと理解しているが、準備が整っていない状況では逆効果だと解っている。そのために、今川にマスコミが集中することになってしまっている。

「はぁ?今川が?何を?」

「すごく効能がいい温泉に入った・・・。それを、少しだけ--自己申告--酔っていた佐川さんが認めてしまったみたいで・・・」

「ん?もしかして?」

「はい。頼まれて、園と皆の家には、引き入れています。もともと、温泉が引き込まれる仕組みになっていたので、難しくなかったですよ」

「・・・。効能は聞いていないけど、一般的な程度に収まっているのだろうな?」

「拠点と拠点近くの物以外は、一般的だと思える範囲です」

 拠点と家族や関係者だけは使える温泉施設には、低級ポーションと同じ効用がある。

「それは?」

「低級ポーションの20%程度です。実験結果では、50時間連続で浸かった時に、低級ポーションと同じ効能でした。飲んでも、効能が無いようにしました」

 ユウキは、20%と言っているが、薄めているわけではない。
 スキルの向きを変えているだけだ。拠点で使っている温泉は、飲んでも効用が期待できるが、町の温泉は飲んでも効用は期待ができない。

「・・・。微妙だが、確かによく効くと言われる温泉よりは、よさそうだな」

「打身程度なら、2-3回で痛みは無くなり、軽めの捻挫なら治療ができると思います。あと今川さんが、肩こりと腰痛が治ったと言っています。佐川さんは、目から来る頭痛が治まると言っています」

「万病に効く感じだな。わかった。外の人間を使うのは、問題があるだろう。俺が、主になる。文句はないな」

 森田は、温められたおでんを摘まんでいる。

「え?いいのですか?」

「あぁもともと、そのつもりなのだろう?」

 食べ終わった串で、ユウキを指しながら、決められていたレールだと気が付いて、のっかることにした。

 もともと、どこかに引きこもる事を考えていて、引きこもるのなら、ユウキの拠点の近くしかないと思っていた。
 社会的な地位も手に入るし、大手を振って引きこもれるのなら、森田が断る理由はない。

 ユウキの雰囲気から失敗しても文句は言われないだろうという打算も働いている。

 後日、この選択を森田は後悔するのだが、今は忙しくならないだろうと気楽に考えていた。

「説得の方法を考えていました。あとは、空き家を改装して、今川さんが宣伝してくれるらしいです。先生も、賛成してくれています」

 森田の串を奪い取って、ユウキは森田を当てにしていたとあっさりと認めた。

「はぁ先生を出されたら、俺に拒否権はない。わかった。それで、民宿にするのだろう?」

 森田が懸念したのは、民宿にするのなら、料理の提供を考える必要がある事だ。

「うーん。鍵だけを管理して、貸別荘やペンションみたいに出来ませんか?掃除は、子供たちが担当って事で、ダメですか?」

 ユウキがイメージしたのは、民宿ではなく、貸別荘の形態だ。
 療養の温泉なのだから、長期滞在が基本になると思っている。貸別荘なら、料理の提供はない。掃除だけを徹底すればいいと思っていた。海も近いし、温泉もあるし、山もある。キャンプも出来れば、海に出てマリンスポーツを楽しむことができる。場所としては、それほど悪くない。

「そうだな。まぁ大丈夫だろう。値段は、近隣の温泉や民宿よりも、高めにするぞ」

 森田は、自分が楽をするために、値段設定を高くすると宣言した。
 周りの観光地よりも安くして、殺到しても忙しくなるだけだと思っている。

「お任せします。子供たちへの賃金を高めでお願いします」

 ユウキも、儲けようとは思っていない。掃除を担当する者たちへの賃金さえ支払われれば問題はないと思っている。

「解っている。ここは、学校に通うのも大変だろう?」

「それは、なんとかなっている。でも、俺がそうだったように、学校では必要以上に金が必要だ」

「そうだな。本当に、無駄な金が必要だよな」

 二人は、残っていたおでんに手を出しながら、詳細を詰め始める。
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