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第四章 拠点
第三話 神殿=拠点
しおりを挟むヤスは、エミリアの操作を始めたが、操作項目が少ないのに気がついた。
「マルス。あまり操作項目が少ないな」
『討伐記録で増やす事で、操作項目が増えます』
「やっぱり、そこに行き着くのだな」
『マスター。現在、コボルトとゴブリンとオークの討伐記録があります。神殿の補修を優先したいのですがよろしいでしょうか?』
「そうだ、忘れていた。マルス。神殿を攻略した証明とかできるのか?」
『可能です』
「どうしたらいい?」
『最奥部にある。神殿のコアを見せれば大丈夫です』
「・・・。わかった。今度、ダーホスを連れてくるから、準備を頼む」
『了』
「そう言えば、マルスもエミリアも喋り方が大分人間に寄っているようだが?」
『はい。個体名リーゼや個体名アフネスや個体名イザークや個体名ダーホスとマスターの会話から学びました。不快でしたら戻します』
「いや、今のままで問題ない」
『了』
この時点で、多少の設定の矛盾があるがヤスは気にしない事にした。
自分が考えてもしょうがないという思いも有るし、なんとかなるという思いも有る。全部”アーティファクト”の一言で済ます事を考えている。それが通用しないときには、神殿の権能という事もできると思っていた。
事実、調べてもわからない物がアーティファクトと呼ばれている。そして、神殿の権能は”よく解っていない”事だけが解っている事だ。
解っていないのだが、コアを最初に触れた者が支配する権利を有する事は解っている。その者が死去した場合は、登録の書き換えを行えば新たな支配者を置くことができる事までは解っている。
実際に、バッケスホーフ王国の王宮地下に存在している神殿のコアは代々王家の者に引き継がれる事になっている。
「マルス。ディアナにトレーラーを作りたいけどどうしたらいい?」
『エミリアから作成が可能です』
「ん?あぁディアナアプリか?」
『はい』
ヤスは、ディアナアプリを起動した。
現状利用できるマシンが表示されていて、新規作成となっている部分もある。
一覧に表示されているトラクターを選択すると、オプションが表示されるが、現状で選択できるオプションは何もない状態になっている。下部にある新規作成を選択すると、作る事ができるオプションが一覧で表示されて、必要なポイントが表示されている。
現状では、ポイントが足りていないのか、全てがENABLEになっていない。
「マルス。”ポイント”てなんだ?」
『討伐ポイントです。討伐記録が数値化された物です』
「それは、どこで見ればいい?」
『マスターアプリから確認できます』
ヤスは、言われたとおりに”ヤスアプリ”を起動する。
ステータスが表示されて、伴侶が空白になっている。
ポイントは、10ポイントと表示されていた。
マルスを起動すると、神殿内部を見る事ができるようだ。1階層より上層階は居住区になっているようだ。
地下にマップが広がっているのがわかる。そこには、赤い点で魔物が存在しているのがわかった。
ヤスは、アプリを眺めていたが、10ポイントでは何もできそうもなかった。
「なにか方法はないかな?」
『マスター。神殿の権能をお使いください。神殿の権能は、魔力によって動作します。マスターの魔力を、神殿に流し込む事で、施設を充実させる事ができます』
「ん?討伐記録・・・。討伐ポイントとは違うのか?」
『同義だとお考えください。マスターの権能である”スキルマルス”は討伐ポイントが必要になります』
「・・・・。マルス。神殿の地下1階層に、最弱の魔物を配置する事はできるか?」
『可能です』
「それを、俺が倒せば、討伐ポイントになるよな?」
『なります』
「何が配置できる?」
『”マルスアプリ”からご確認ください。現在、神殿に存在している魔物が一覧で表示されます。なお、魔物の名前はマスターの記憶を利用しております』
ヤスは、言われたとおりに、マルスアプリから魔物を確認した。
殆どの魔物の名前がわからない状況になっていた。
「マルス。魔物の写真だけを表示する事はできるか?」
『可能です』
「設定しておいてくれ、ダーホスやドーリスに確認して名前がわかる魔物や性質がわかる状態にしておきたい」
『了』
(スライムは、倒すのが面倒だろう・・・、ラノベ設定では・・・。ゴブリンやコボルトは、俺が倒せるか不安だ。強さは大丈夫だろうけど、精神的に難しそうだ。何か無いかな・・・)
ヤスは、アプリに出ている魔物を眺めながらなにか良さそうな魔物がいないか探している。
討伐ポイントが高くて楽に倒せそうで、血が出ないもの・・・。とてつもなく難しい条件で探していたのだ。
そして、1つの魔物のページで手が止まった。
「マルス。神殿の権能で、魔物を出す時に出現場所の指定はできるのか?」
『可能です』
「やり方は?」
『神殿のマップ上を選択して、配置する魔物を選択すれば出現します』
「わかった。魔力は、神殿に流せばいいのか?」
『はい』
「魔力量はどこでわかる?」
『”マルスアプリ”に表示されます』
ヤスが起動したマルスアプリのステータスを見ると、魔力ポイントと表示されている部分があり、100ポイントと表示されていた。
ヤスが見つけた魔物は、6000ポイントで討伐ポイントが12000と破格な魔物だ。
ちなみに、ゴブリンは出現させるのに20ポイントで討伐ポイント2となっている。コボルトは、ゴブリンの半分になっている。殆どの魔物が、出現ポイントの1/10が討伐ポイントになっているのに、ヤスが見つけた魔物は討伐ポイントが倍になっているのだ。
ヤスは、6000になるまで魔力を流し込んだ。
(よし!)
ヤスは、魔力ポイントが溜まったことを確認してから、地下1階に移動した。
もちろん怖いので地下1階に居た魔物は全部削除している。階段の近くにある小部屋に入って扉を閉める。
ヤスが呼び出そうとしている魔物は、ゴールデンスカラベだ。ヤスは、名前からフンコロガシだと予想している。そして、某国民的RPGに出てくる特別なスライムのような物ではないかと思っている。
ゴールデンスカラベを配置してすぐに、5cm程度の黄金のフンコロガシが現れる。
ヤスは、迷わず踏み潰す。逃げられたらもったいないと思ったのだ。
ヤスの目論見通りにゴールデンスカラベはヤスの力で踏みつけた事で討伐する事ができた。
ヤスは、魔力が続く限りこれを繰り返した。
実際にヤスの魔力は多少人よりも多いレベルだったのだが、ゴールデンスカラベを討伐する事で、魔力の底上げができてしまったのだ。
そして、ヤスの見立て通りゴールデンスカラベは、特別な魔物だった。
ゴールデンスカラベは敏捷性に特化した魔物で、見つけてもすぐに逃げてしまう。倒せば、討伐ポイントが大量に入る事や金を落とす事が有るために、冒険者からは見つけたらすぐに討伐しなければならない魔物として認知されていた。1、000体の魔物を見つけて1体の見つける事ができるかどうか・・・。可能性として、0.1%未満の希少性が高い魔物なのだ。
その希少性が高い魔物を、ヤスは調子に乗って大量討伐を始めたのであった。
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