上 下
62 / 86
第十一章 ネットワーク会議

第二話 調査

しおりを挟む

 ユウキとファミレスで食事をして、家に帰った。
 家に着いて、メールを確認すると、未来さんと美和さんからメールが届いていた。

 未来さんは、依頼をまとめてくれていた。
 美和さんは、報酬に関する事と、納期に関する事が書かれていた。報酬は金額とは別に用意されていた。報酬は、かなりの後払いにされそうだけど、約束してもらったのでありがたく貰っておく。

 ネットワーク会議のシステムは、選択肢は少ない。
 未来さんの要望であった”独自サービスに見える”が意外と難しいのだ。

 Skype にがわを被せようか?
 Skype なら、APIが公開されているし、ライブラリもあるから、独自のサービスに見せる事も可能だ。

 ひとまず、提案書を書いていく。
 案件は3つ。
 一つは、余裕だ。美和さんと未来さんのパソコンなら、Skype で十分なはずだ。
 ソフトウェアの代金を考えると、かなりの高額になってしまう。

 Flash はダメだろう。もう、アンイストールが推奨されている。

 着信だ。オヤジ?
 このタイミングで、電話がかかってくるのは、未来さんの件で”なにか”あるのだろう。

『タクミ。未来の奴が面倒を言い出したようだな』

「それはいいけど・・・」

『あぁSkypeのサーバがほしいのだろう?真一から貰った。あとでWindows Server と一緒に送る。まだラックには空きはあるだろう?』

「ライセンスは?」

『正規の物だ。クライアントのライセンス数も問題ない。美和からおおよその人数を聞いて、用意した』

「わかった。でも、足が出てしまわないか?」

『大丈夫だ。美和が、仕組みを他の弁護士に売り込む』

「は?」

『弁護士も大変ってことだな。それと、真一が営業と話を付けた。やつらも、弁護士が使っているインパクトが欲しいらしい。全面的なバックアップが約束されている』

「いいのか?」

『問題はない。美和と未来が営業と話をした。業務内容までは話せないが、どういった使い方をしているのかを、実績として乗せてもいいという話で落ち着いた』

「大掛かりな話だな。いいのか?」

『大丈夫だ』

「地下で運用すればいいのか?」

『そうだ。固定回線を追加するぞ。他の混同するのはよくない。ルータも真一から送られてくる』

「わかった。中も分離するのか?」

『まかせる。美和や未来は、最初の回線からアクセスさせたほうがいいだろう?クライアントには、VPNで繋いで貰ったほうが、話の種が増えるだろう』

「マニュアルが面倒だけどいいのか?」

『この手のやつは、少しだけ面倒なほうが喜ばれる。自分が特別だと思えるからな』

「わかった」

 オヤジからありがたい助言と援助を受けて、一気に実現が簡単になった。
 Skype for Business は、触った事がないから、セットアップや利用方法の情報収集から始める事になる。マナベさんとオヤジが勧めてくるのなら、業務を行うのにスペックは、問題ではないのだろう。セットアップがされているのかわからないから、その辺りから調べておこう。

 ADの運用を考えると、未来さんや美和さんのパソコンを参加させる必要があるのか?
 会議室での運用を考えると、ADに参加は問題ではないだろう。

 ライセンスを考えなくて良いのは本当に楽だ。あの会社の製品で面倒なのが、ライセンスの管理だからな。解らなければ、営業に問い合わせるのが一番だと、マナベさんやオヤジには言われているけど、高校生がマイクロソフトの営業に連絡するなんて”不可能”だ。
 連絡すれば丁寧に教えてくれるのは解っている。それでも・・・。

 提案書は、スムーズに書き上げられた。

 問題がないか、チェックをして、期限前に送付しておこう。

 秘密基地からリビングに戻ると、ユウキがゲームをしていた。

「タクミ。終わったの?」

「ひとまず」

「どうする?お風呂?それとも、寝る?」

「そうだな。ゆっくり風呂に入ってから寝るか」

「うん。僕、お風呂を入れてくるね。タクミ。あと、お願い!」

「おっおう」

 ユウキからゲームのコントローラを渡される。
 ジリ貧な負け戦じゃないか?

 ユウキが戻ってくるまで現状維持に徹した。ユウキにコントローラを返すと、ゲームをセーブしないで終了させていた。

 風呂に入ってから寝室に移動した。
 明日からは、暫くは未来さんと美和さんからの依頼の下調べだな。マナベさんから送られてくるサーバが届くのがわからないけど、オヤジの言い方だと明日にでも届きそうだ。

”ポーン”

 端末に重要なメールが着信した。枕元に置いているタブレットを使ってメールを確認する。

「え?」

「どうした?」

 寝落ち状態だったユウキが起きてしまった。

「あぁマナベさんが送ってくれた荷物が明日の夕方には届くらしい」

「へぇ。それで?」

 そりゃぁ興味はないよな。

「ん?あぁ。予想よりも数が多くてびっくりしただけだ」

「そうなの?ミクさんの所の話?」

「あぁ」

「そんなに多いの?」

「マナベさんから、送られてきたのが、ダンボールで6箱になっている」

「6箱?大きさは?」

「そこまでは書かれていない。明日は、学校での用事もないし、まっすぐに帰ってきて荷物を受取るとしたら・・・16時には帰ってこられるけど、18時くらいにしておくか」

 学校から帰ってから、荷物を受け取ってセットアップを始める。
 提案書の内容から若干変更があるかもしれないが、大本は変わらないだろう。

 学校には、バイクで行った。ユウキを乗せているので、大将の所におかせてもらった。
 授業が終わって、ユウキを待ってから家に帰ると、16時を回った所だった。17時でも間に合った。荷物の到着まで、ラック周りを片付ける。
 多分、2Uのサーバだろうと予測して、ラックを確認する。ディスプレイにはまだ余裕があるので、繋げておけばいいだろう。

 18時を少しだけ回った所で、荷物が来た。
 裏に回って貰って6箱を受け取った。

 一度、倉庫に入れてから、開封した。
 2Uのサーバと、1Uに4台の小型サーバがセットされている物と、ルータが二つとハブが入っていた。あとは、ライセンスが書かれた物やソフトウェアが入っている箱だ。

 軽自動車が買えるくらいの資産価値があるぞ?サーバは少しだけ古いけど、十分現役で使えそうだ。
 ラックに設定して、火をいれる。物理で二つのCPUが入っている。メモリも16Gも積まれている。小型サーバの方は、監視ソリューションが詰め込まれていた。

 そう言えば、回線を増やすらしいから、ルータは、そのためなのだろう。
 ライセンスの箱は、秘密基地で保管しておけばいいだろう。あとで、リストを作っておこう。

 機材を取り付けて、火をいれる。
 まずは、家のネットワークに接続してみる。IPの設定や現在の状況は、マナベさんのメモが入っていた。内容を確認して、受領のメールを出す。

 オヤジからの返事で、回線工事が来週の土曜日に決まったと連絡が入った。立ち会いも問題ないので、返事をしておく。

 提案書で心配な部分は、クライアントに配布するアプリケーションだ。
 いろいろ実験的に作ってみるしかないだろう。

 この週末に実験的に作ってみるしかないな。

「タクミ!」

「ん?どうした?」

「週末。僕、ママの買い物に付き合ってきていい?テーブルとかソファーとか買いに行くみたい」

「わかった。俺は、秘密基地に籠もっているから気にしなくていいぞ」

「うん。夕方には帰ってくるから、ご飯をよろしく!」

「土日の両方か?」

「うん。いろいろ回るみたい」

「わかった。美和さんが車を出すのか?」

「ううん。美優先輩と梓先輩が手伝いで来てくれる」

「・・・。わかった、二人の分も夕ご飯を用意しておく」

「うん!先輩たちを家に案内していいの?」

「そういう約束をしているからな」

「わかった!ありがとう。タクミ!」

「何が食べたい?」

「簡単な物でいいよ。それこそ、庭でバーベキューでもいいよ!」

「そうだな。1日はそうしよう。もう1日は、タコパでもするか?」

「うん!」

 土日の両方で買い物に行くのか?
 美和さんも本格的に始めるようだな。ネットワーク会議が必要になるような状況が考えにくいけど、必要になっているのだろう。

 ユウキが出かけるのなら、秘密基地に籠もってプログラムを作成しても良さそうだな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

たとえ性別が変わっても

てと
BL
ある日。親友の性別が変わって──。 ※TS要素を含むBL作品です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

処理中です...