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第四章 連合軍

第十話 【王国】ダンジョン

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 どうしよう。どうしよう。
 死にたくない。死にたくない。

 転生して、”ひゃっは!”して、ポイントを無駄に使ったのが悔やまれる。
 楽しくて、使わない武器や防具を交換した。王国の奴らが、喜んでくれたから嬉しくて、ダンジョンの宝物にした。アイツらが居ると、俺のポイントが増える。アイツらは俺から宝物として、武器や防具やポーションを得ている。”WIN-WIN”な関係だと思っていた。
 王国の奴らは、深層に降りてこない。
 調べても、弱い。俺では勝てないが、俺の眷属で十分に戦える。1対10でも勝てるくらいの戦闘力しかなかった。
 ときどき、戦闘力が強い者がやってくることもあったが、それでも眷属と同じくらいか、下だった。

 俺は、余裕を持って、ダンジョンを運営していた。

「自業自得です」

 コアの声が、俺の思考を止める。
 もしかして、声に出していたのか?

 コアを眷属するまで、人型の魔物を作らなかった
 裏切られるのが怖かった。

 人型で、会話が可能な眷属を作った。
 ”伽”を許可するように考えたが、辞めた。なんとなく、”感”が危険だと告げていた。人型の魔物を作るときに、性別の選択がなかった。つまり、そういうことだろう。よかった。
 コアの性格で、男で”伽”ありの状況で攻められたらOKを出してしまいそうだ。

 コアは、無事?女性型になった。”伽”は聞くな。美形のコアで、姿形は俺の好みだ。そして、凄く癒された。そういうことだ。

「コア!言い方!」

 どちらが、イニシアティブを握っているのかも聞かないで欲しい。

 死にたくない理由は、俺が殺されてしまうか、ダンジョン・コアが破壊されてしまうと、コアが消えてしまうからだ。
 他の眷属たちも消えてしまう。俺と一緒に消えるのだから関係ないかもしれないけど・・・。関係ないとは思えない。

「はぁ・・・。魔王様。声に出ています。恥ずかしいです。それで、どうしますか?迎撃しますか?」

 迎撃ができれば最高だけど・・・。
 既に、コアを覗く眷属たちが戦って負けている。ダンジョン内でロストしているから、復活ができるけど、デス・ペナルティが発生している。

「可能なのか?」

 コアの態度が変わらない?
 可能なら嬉しいが・・・。

「不可能です。戦闘力を言いましょうか?」

 コアは、夜は素直なのに・・・。あんなに、可愛く、俺を求めているのに・・・。

 また、声に出ていた?
 一人での期間が長かったから、独り言が多くなって、考えている事が声に出てしまう事がある。

「はぁ・・・。魔王様。何度も、言っていますが・・・。私たちは、繋がっているので、考えている事が解ってしまうのですよ?いい加減に、思考をカットする方法を覚えてください。それに、”夜は素直”とはどういうことですか?答え次第では、”処し”ますよ」

「ごめん。それでコア。嫌な予感がするけど、一応、戦闘力を聞いておこうかな?」

 思考のカットは、これでよかったと思う。
 何かを考えながら別の事を考える感じで行えば、思考が流れないと言っていた。

 コアの表情が、呆れている感じになっているけど、大丈夫だ。
 声には出ていない。出していない。思考も漏れていない。大丈夫だ。

 うん。
 やっぱり、コアは可愛い。可愛いだけじゃなくて、綺麗だ。声も好きだ。

 コアの耳が赤くなっているけど、聞こえていないし、漏れていない。大丈夫だ。

「全員、戦闘力63万を越えていて、計測不可能です」

 上限を越えている?
 それは、コアじゃなくても無理だと思うはずだ。

 どうしたらそれだけの戦力を整えられるの?

 外に出しているのなら、眷属ではないのだろう?
 現地でスカウトした者たちに、そんな戦闘力を与えて裏切られたらどうするのだろう?

 何か、縛る方法があるのかな?

「はぁ馬鹿なの?63万?弱点は、水に弱いとか・・・」

 弱点の属性がわかれば・・・。

「私には、そんな機能はありません。貴方が、”戦闘力”がわかれば大丈夫だと言っていたのは・・・」

 そうだよな。
 俺が作ったのだから、そんな機能は存在していない。

 それに、属性を持った眷属たちが既に負けている。

 勝てるわけがない。

「俺だ。俺の・・・。はぁ」

「・・・」

 コアの沈黙が怖い。
 呆れているのではない。俺を心配してくれている。

 コアが、自分を盾にしてでも、俺を守ろうと考えている。
 でも、俺は、コアが居なくなったら・・・。ダメだ。

「なんとかならないのか?」

「無理です。戦闘力が違いすぎます。規格外です。ポイントも残っていません」

 そうだよな。
 王国の奴らに依頼されて、武器や防具やポーションを大量に渡したばかりだからな。

 あと、5階層
 覚悟を・・・。無理だ。

 何か、方法は・・・。眷属だけでも・・・。

---

 本当に、同じ”魔王”なのか?

 あまりにも、魔王様と違いすぎる。弱すぎる。脆すぎる。そして、愚かだ。

「モミジ様」

「どうしました?」

 魔王様が現地でスカウトして、眷属にした狐人だ。鍛錬を繰り返して、魔王様からお借りした書物を読み込んで、知識と武力とスキルを身に着けた。言っていないが、単純な戦いでは四天王にも匹敵する。
 単独で、ミアに勝てるのは純粋な戦闘職であるカンウとバチョウくらいだ。

「はい。聖典から得た知識ですが、相手が弱いと見せかけている可能性は無いのでしょうか?」

 私も同じことを考えていたが、ミアにはない能力スキルが私にはある。
 そのスキルを使うと、ダンジョンの眷属なのか判断ができる。中層くらいで出てきた、少しだけ強かった者たちが、このダンジョンの眷属だ。それ以降は、出現していないことから、眷属が残っていたとしても、同等程度の戦力だろう。
 私とカンウとミアとヒアでは、過剰戦力だ。正直な話として、ヒアだけでも勝てる。

「それは無いでしょう」

 階層主たちの前で余裕なのは成長の証だと考えて良いのでしょう。
 ミアは、視線を階層主から離していない。バチョウが教えたことだ。しっかりと実践で活かしている。

「わかりました。ヒア。大丈夫。先にカンウ様と攻撃を開始して、私とモミジ様で左右の魔物を倒す」

 すっかり、軍師の役割が身についてきたようですね。

 私や四天王は、魔王様の護衛として産み出されている。
 本来なら、他のダンジョンに遠征に出ることはない。

 これからは、私たちではなく、ミアを中心にした戦力で、他のダンジョンや国と戦う方法を考えた方がいいかもしれない。

 この階層の階層主も余裕ですね。

 お約束のように、5の倍数だけに配置されていると思ったら、階層主が居た次の階層でも階層主が配置されている。

 強さは変わっていない。眷属でもないことから、最初からの配置なのでしょう。
 この程度の魔物で、私たちが討伐できると考えているのなら、甘く見すぎているように思える。

 罠も、カンウとヒアが解除できる程度の罠しか設置されていない。
 魔王様が構築されたダンジョンの罠で訓練をしている私たちには、児戯だと思えてしまう。

 ギミックハウスのネタにもならない。
 本当に、”獲る”物が何もないダンジョンです。

 滅ぼした方がいいのでしょう。

 次は、魔王が話しかけてきてから10階層目です。
 まだ下があるかもしれないですね。

「ミア。次は、ミアだけで倒してみますか?」

「いいのですか?」

「カンウ。ヒア。ミアのサポートを!」

「はい!!」「わかった」

 ミアにも戦わせないと、爆発したら怖い。
 この程度の相手なら、爆発はしないと思うけど、魔王様からミアも適度に戦わせるように言われている。

 でも、ミアが相手だと・・・。

 もって、30秒。

「終わりました!」

 ほら、20秒程度でしょうか?
 召喚されて、現れるまでの時間の方が長かった。

 おや、この階層で最後の様です。
 次の階層に向かう為の階段も魔法陣も現れない。

 魔王様は、この仕組みを利用して罠を作成しているけど、今までの罠を考えると、このダンジョンの魔王は、魔王様とは違うように思えます。

 さて、コアルームなのか、魔王の部屋なのか、楽しみです。
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