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第四章 連合軍
第九話 【王国】魔王
しおりを挟むカンウとモミジとヒアとミアは、王国にあるダンジョンの攻略を行っている。
魔王カミドネの支配領域が広がらなかったことから、隠されたダンジョンがあると考えたのだ。
魔王カミドネに連絡を付けて、ダンジョンの当たりを付けた。
支配領域をギリギリまで広げた場所から、等間隔にある場所にダンジョンがあるのではないかと予測していた。
王国の隠し砦が存在している場所を引き当てた。
「どうしますか?」
慎重論を唱えたのは、ヒアだ。
他の3人は自分たちで突破が出来なければ、魔王様に改めて情報の精査をお願いする必要があると考えていた。その為にも、威力偵察は必須だと主張した。実際に、砦に居る兵は14-5人だ。
「ミア。敵兵力は?」
「20未満」
「そうか、一人あたり五人。強者は?」
「スキルを持っている者は解りません。しかし、標準的な王国兵士だと思われます」
「ヒア。行けるな?」
「・・・。はい」
ヒアとしては、ミアに王国兵士との戦闘には、あまり参加して欲しくない。特に、ミアは対人では、この中では最弱だ。特に、範囲攻撃が可能なスキル持ちが居る倍には、ミアは防御の手段が限られてしまう。
カンウとモミジもヒアの気持ちが解っている。
厳密に言えば、ミア以外・・・。ミアの妹であるミイを含めて全員がヒアの気持ちには気が付いている。しかし、誰も手助けをしない。魔王から止められている。”他人が口を挟むな”と、命令されている。
砦は、四つの門がある。
豪華な門を、カンウが攻撃を開始する。モミジとヒアの見立てでは、カンウならスキルを使わなくても門を突破ができる。カンウに兵を差し向けたら、残りの3方向から攻撃を行う。
砦への攻撃はあっさりと成功した。
戦闘力というよりも、元々の士気が低かった。
15名の兵士で砦を守っていたが、誰も攻めてこないと考えていた。
ここに、砦が築かれていると知られていないと思っていたようだ。
「さて、君には、二つの未来がある」
カンウが、捕えた兵士に尋問を始める。
「二つ?」
「一つは、王国の情報をしゃべらずに俺たちに殺されるか?」
「・・・」
「もう一つは、お前が知っている”砦”に関する全ての情報を吐き出して生き残るか、選ばせてやる」
「話す。なんでも話す」
生き残った兵士は、3人だったが簡単に情報を話した。
どうやら、王国もダンジョンを有効に利用する方法を思い立ったようで、このダンジョンは成長を待っている状況らしい。
ダンジョンの魔王との交渉も行われている。
王国兵の3人は、割れ先に知っていることを話した。助かりたい一心だ。
カンウとモミジも約束は守った。生き残った3人は、これから、魔王カミドネの支配領域に送られる。全ての獣人たちの村を回ってから、カミドネ・ダンジョンに連れていかれることになっている。王国や神聖国や連合国の兵を捕えた時に行っている儀式だ。
魔王も魔王カミドネも、村で何が行われるのかは黙認すると明言している。獣人に対して何もしていなければ、石を投げられることも、刺されることも、スキルの的にされることも、目を抉られることも、腕を切り落とさることも、足を切り落とされることも、なにもない。無事に村を抜け出せる。
村を出る時に、眷属がスキルを使って、身体の傷を治す。殺されない限り、復活して次の村に連れて行く。
そして、カミドネ・ダンジョンの中層で兵士たちに選択を迫る。
・奴隷として生き残るか?
・中層で戦い続けるか?
・この場で死ぬか?
もちろん、獣人族への虐待や犯罪行為が見つからなかった兵士は通常の捕虜として扱うことになっている。
「さて、ダンジョンの魔王。聞いているのだろう?貴様を守っていた、王国兵は居なくなる。これから、俺たちが攻略を始める。戦闘力の一部は見ただろう」
カンウの宣言から、聞き出しているダンジョンの入口をヒアとミアが開ける。
ダンジョンは、洞窟タイプから始まっていた。
「聞いた話では、30階層だと言っていた。フロアは、まだ広がっていない」
攻略は順調に進んだ。
1階層に30分程度で攻略が出来た。ミアの種族特性とスキルが重なって、階層の探索が簡単にできるようになっている。
既に、20階層に到達している。
怪我らしい怪我どころか、まだ全員で戦う程の敵にも遭遇していない。
今は、20階層を抜けた場所で、休憩している。
セーフエリアではなく、通常のフィールドだ。この辺りなら、敵が出てきても撃退できる自信がある。実際には、心配性の魔王が、ヒアとミアの影に潜む眷属を付けている。
野営の準備をしていたモミジが、何かを考えてから、立ち上がった。
「カンウ」
「なんだ?」
カンウは、ヒアと協力して近くの探索に出かけようとしていた。
野営中に何かが近づいてきてもいいように地形を把握しておこうと思っていた。
「あぁ・・・。呼びかけておいて、悪い。ミア」
モミジは、カンウの顔を見てから、自分が考えた事を検討するのには、カンウではなくミアが正しい選択だろうと思い直した。
「なんだよ。モミジ。俺じゃダメなのか?」
カンウも別に難しい話がしたいのではなく、振り返ってから、カンウではなくミアと話をすると言われれば気分も悪い。
それで、眷属が不仲になるほどではない。
「ミアの方が確実だと思っただけだ。他意はない」
モミジが頭を下げてから、ミアの方が確実だと言ったので、話の内容が”本”の内容だと思い至ったカンウは、手を上げて周りの探索に戻った。
モミジとカンウの話を聞いていたが、カンウが離れたのを確認してから、ミアがモミジに話しかける。
「なんでしょうか。モミジ様」
「今まで、5階層と10階層にボスが居た。これは・・・」
「はい。私も感じていました。魔王様が言っていた、”お約束”なのでしょうか?」
二人はそう感じていた。
このダンジョンは、自分たちが敬愛するダンジョンの魔王と近い時代から来ている。
もしかしたら、同郷なのかもしれないと考えた。
『あぁ・・・。あぁ・・・。聞こえるか?』
モミジとミアには、しっかりと聞こえた。
辺りを見回す。警戒を強める。すぐにでも最下層に走り出す雰囲気さえ醸し出し始める。
「誰ですか?魔王ですか?」
『そうだ。名は言えないが、このダンジョンの魔王だ。貴殿たちと話がしたい』
「話ですか?意味がありません。私たちは、魔王様のご命令で、ダンジョンの消滅を目的としています」
『ちょっ・・・。ちょっと待って欲しい。消滅。消滅は、俺が殺されるのか?』
「そうなります。気にしなくていいです。コアを破壊すれば、魔王は死にます。貴殿が何代目なのか知りませんが、繰り返せば、ダンジョンを消滅させることが出来ます」
『待って欲しい。他に、何かないのか?望みなら、欲しい物を用意する。すぐには無理でも、絶対に用意する。俺は、死にたくない』
「私たちが欲しいのは、魔王様からのお褒めの言葉です」
『え?俺も魔王だけど?』
「貴様ではありません。私たちが敬愛する魔王様を侮辱するのなら、すぐに殺して差し上げます」
『君たち?眷属なの?なんで、そんなに強いの?』
「私たちが敬愛する魔王様のお力です。それ以上は、知る必要は無いでしょう。どうせ、明日には最下層に到達します」
『だから、待ってくれ、何かない?本当に?』
「ありません。それでは、明日、最下層でお会いしましょう。楽しみにしていてください。誰に殺されたいのか考えておいてくれると嬉しいです。魔王さん」
明らかに挑発だ。簡単に突破出来ている感じから、最下層までも時間は掛からないと思っていた。
舐めているわけではないが、強敵が居たとしても、魔王から与えられたスキルや武器や防具には、絶対の信頼を寄せている。
それだけではなく、カミドネ・ダンジョンやカプレカダンジョンや、本拠地の森で、訓練を行っている。
「カンウ!ヒア!ミア!ダンジョンの魔王からの招待状だ。野営はしないで、スキルで調整だけして、下層に向かう!」
モミジのテンションが上がってしまった。”知”に傾いていても、眷属として正しいと思うのは、”敬愛する魔王様”の偉業を広める事で、自分たちが死んでも次の誰かが攻略すればいいと本気で考えている。簡単に死ぬつもりは無いのだが、それでも命を繋ぐ方法は既に構築されている。無駄死にはならない。
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