スキルが芽生えたので復讐したいと思います~スライムにされてしまいました。意外と快適です~

北きつね

文字の大きさ
上 下
35 / 143
第二章 スライム街へ

第三話 タカとフクロウとキメラ?

しおりを挟む

 私の生活が一変してから、1ヶ月が経過した。
 世間は、とある感染病で自粛が続いている。学校も、8月の末から始まる予定だったが、緊急事態宣言が発布されて、延期になったと教えられた。

 久しぶりにスマホの電源を入れたら、同級生からメールが来ていた。
 私が休学になったのを聞いて、連絡をしてきてくれたらしい。当たり障りのない返事を出したら、それからメールが来なくなった。皆が、自分のことで忙しいのだろう。元々、学校では一人だった。家族が居なくなって、独りになった。学校でも、独りになることが多かった。
 でも、今は独りではない。私のことを心配してくれる家族が出来た。種族は違うけど、家族だ。

 居間のTVを見ていると、ギルドが大幅に変わると、偉そうな人が説明していた。
 ふーん。と、しか思えない。どうせ、私には関係がない。ハンターと呼ばれる人たちが出来るようだ。私の家族や、私を守る手段を考えなければダメかもしれない。家の裏山は、私有地になっている。自衛隊やギルドでも、無理やり入り込むことはないだろう。でも、TVの情報では不確かなこともある。魔物が産まれる条件がはっきりしてきたと言っていながら、その条件を伝えてくれない。
 裏山に、大量だと思われる魔物がいた事や、裏山だけではなく近隣の山にも大量に魔物は存在していた。

 私が、スキルとギフトの検証を行っている最中も、家族は、裏山や近隣の山々を周っている。魔物を発見しては、対処を行っている。

 私が分体を作って安全に過ごせる様になってから、カーディナルとアドニスは積極的に”狩り”に出かけるようになった。
 隣の山に住んでいた、タカの夫婦をスカウトしてきた。
 最初は警戒していた二匹だが、私の前に出てきて”伏せ”の形になった。鑑定で見てみると、”魔物”にはなっていなかったが、カーディナルとアドニスが言うには、二匹には『復讐したい魔物が存在している。そのために、力を得られるのなら、”魔物”になりたい』と、いうことらしい。
 二匹にもう一度だけ確認を行って、了承を得られた。
 私は、初めて自分の意思で動物を”魔物”にして、”支配”を行った。パスが繋がる感じがして、二人に名前を与えた。雄には、”キング”という名前を、雌には、”クイーン”を与えた。

 アドニスも、カーディナルと同じ様に、4匹のフクロウを連れてきた。
 概ね、キングとクイーンと同じ理由だ。二組の番だ。キングとクイーンと同じ魔物に、子供を殺された。

 4人にそれぞれ、コノハズクの番には、”テネシー”と”クーラー”と名付けた。コミミズクの番には、”ピコン”と”グレナデン”と名付けた。

 新しく加わった6人の家族は、当然の様にスキルが使えて、私に新しいギフトを芽生えさせてくれた。
 復讐の準備を行うために、カーディナルとアドニスと一緒に、山々を巡っている。魔物から、弱い者たちを守るためだ。

 キングたちからの提案を受けて、弱い結界を作ることにした。
 まだ検証を行っているが、弱い結界でも魔物が湧き出すのを抑制できるようだ。産まれてしまった魔物を排除するには、強い結界が必要だけど、産まれなくするのは、可能なようだ。
 裏山の近くの山々を、弱い結界で覆ってしまう計画だ。
 これで、キングたちのような悲劇を減らすことができるかもしれない。すぐに、いくつかの結界を作成した。薄く伸ばすような結界で、結界の強度よりは、広さを重視した物だ。

 アイテムボックスの魔石がなくなりかけていたが、また増え始める。私の”負”に繋がる感情は、ライと一緒になってから治まっている。正確には、感情が流れ込んでくるが、私だけで耐える必要がなくなった。ライが、感情を吸収して和らげてくれる。

 キングたちが家族に加わって、他にもパルたちが巣分かれをした。
 新たな嬢王蜂が産まれたが、名前は必要なかった。パルが女王をまとめる女王になる。身体は”大きい”ミツバチだが生体は別物のようだ。パルの要望を聞いて、私は頑張った。正確には、錬金のスキルが素晴らしく有効だった。スキル錬金に複製というスキルがあり、ミツバチの養蜂箱を複製できた。偵察を兼ねて、いろいろな場所に配置したいと言われた。養蜂箱の設置が難しそうな場所には、巣になりそうな場所を構築した。

 もうひとり?家族が増えた。
 裏山の見晴らしがいい場所に、魔物の犠牲になった動物や魔物になってしまった者たちを屠った。そのときに、一緒に魔石を埋めたのだが、なんと”キメラ”が産まれてしまった。不可抗力だ。裏山の偵察に出ていたカーディナルが慌てて戻ってきて驚いた。報告だけ聞くと、ホラーなのだが、骨だけで動いているとか、ゲームやアニメでは何度も見たけど、実際に見ると、怖さよりも滑稽に見えた。
 鑑定で調べたら、種族名が”キメラ・スケルトン”となっていた。

 そして、このキメラ・スケルトンが進化した。キメラ・スケルトンは、暴れないが、意識がない状況だった。意識が混濁している印象もなかった。ただ、存在しているだけだ。
 進化は、完全に私が悪い。新たに送られてきた、魔石を結合して、こぶし大の魔石を作成して、ライの意識を入れた分体を作成した。そして、キメラ・スケルトンを吸収させた。

 キメラ・スケルトンに、ライの意識と私が持つスキルが”再生”された。
 そして、キメラ・スケルトンとして、”再生”された。血肉が付いて、スケルトンではなくなったが、キメラなのは確かだ。魔石の力を使って、固有スキルが芽生えた。

 ライは、ライとして、私と一緒になっている。
 しかし、キメラになったライも、またライなのだ。ライは、キメラの名前として使うことに決めた。

 ライのすごいところは、キメラなので、キメラに使われた素体には、変わることが出来る。

 そして、ライは私でもあるので、私の意識を乗り移すことが出来た。

 そして・・・。薄々気がついていたが、ライの素体の中には、”人”が含まれていた。多分、頭蓋骨から二人だと思う。
 私が記憶している中で、人が裏山や近くの山で死んだというニュースは知らない。行方不明になったという話も聞いたことがない。しかし、1-2年前に、隣の県で、いじめを苦にした自殺が報道された。自殺した場所が、富士の樹海だと言われている。サイトを検索しても、”見つかった”という報道はなかった。もしかしたらという思いは、存在しているが確認する方法がない。ライに、”人”になってもらったが、ニュースで流れている人物とは似ていない。むしろ、私に似ている。ある一部が小さいところなどそっくりだ。ライも忖度して、大きくしてもいいのだよ。あっダメだ。下着のサイズが合わなくなる。似ているだけで、私ではない。もしかしたら、私の意識と、女の子?の意識が混じり合った結果、こんなに可愛い私が出来上がったのだろうか?

 中学や高校では校則で禁止されていて、出来なかった・・・。夢だった、腰まである長髪で、黒髪だ。太陽光の下で見ると、黒ではなく”赤”に近い色に見える。胸は、高校生だった私と同じサイズだ。ブラがぴったり過ぎて悲しくなった。少しくらい夢を見させてくれてもいいのに・・・。
 身長は、元々の私と同じくらい。多分、150cmに届かない。こんな所まで・・・。年齢は、よくわからないけど、顔立ちから12-3歳くらい?中学に入ったくらいの私に似ている。

 キメラに意識を移して気がついたのだけど、”男の子”にもなれるようだ。なんとなく、ダメな気がして、男の子にはなっていない。女の子になったときに、全裸だった。だから、男の子にはなっていない。興味がないと言ったら嘘になる。でも、ダメな気がする。

 これで、私は、”リム○様”に近づいた。私は、最強のスライムになる!

 ライと、私と、家族の復讐相手に繋がるヒントが備考(履歴)に書かれていた。
 ライと一つになったときに、相手の認識が出来た。顔はわからなかったが、千数百回も私を殺した人。同級生だ。クラスで苛められていた人だと思う。私も、クラスでは、ある事情からアンタッチャブル状態だから、よくわからない。

 手段がわからなかったが、はっきりと書かれていた。

 探し出して、復讐しなければならない相手は、”スキル魔物化”を持つ人物だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

処理中です...