チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね

文字の大きさ
92 / 161
第六章 ギルド

第十二話 散策

しおりを挟む

 見る物すべてが珍しいのか、ミアは周りを見ては、ミルに質問をしている。

 ミルも嬉しそうに、ミアの手を握りながら、説明を行っている。俺から少しだけ前を歩く形になっていて、俺には二人の会話が聞こえない。

「あるじ!」

 ミアが、後ろを振り返って俺を見た。

「どうした?」

「ミルお姉ちゃんと、あるじは”ふうふ”なの?」

「ん?ミトナルさん?」

 ミルを見ると、視線を逸らした。
 レオが目線をそらすという器用な真似をしている。

「レオ!」

”ワフ・・・”

 レオは、ミルを見つめる。
 やはり元凶は、ミルのようだ。

「あのね。あるじ。ミルお姉ちゃんが教えてくれた!」

「ミア!」「ミア。なんて、教えられたの?」

「えぇとね・・・」

 まぁ許容範囲かな?
 ミルは、言い訳を始めているけど、どうやら、ミアが街中に居る夫婦を見つけて、俺とミルが”ふうふ”なのか聞いたようだ。ミルは、当然のように”ふうふ”だと答えた。

「そうか、俺とミルが”ふうふ”か?」

「そう!」

「ミアは、”ふうふ”にみえる?」

「うーん。わからない。でも、あるじとミルお姉ちゃんは一緒がいい!」

 子供の素直な意見だ。聞いておこう。
 ミルに手を差し出す。ミルが握ろうとすると、ミアがインターセプトする勢いで、俺の手を握る。どうやら、俺とミルの間に入りたいようだ。

 丁度、少しだけ前を歩く家族が子供を真ん中にして歩いている。
 あんな感じにしたいようだ。ニコニコ顔のミアを見ると、ミルも文句が言えないようだ。

 立ち寄った道具屋で、値段は高かったが、自動調整機能付きの腕輪が見つかった。頼んだら、テイマーの意匠を刻んでくれた。なんでも、同じような依頼を受けたことがあると言っていた。やはり、”筋”では有名な話のようだ。

 準備ができるまで、道具屋の女将と話をした。

「テイマーの意匠を彫ると、素材やら調整が必要になるけど、いいのかい?」

「それでも、無いと不便だから、頼みます」

「こっちは商売だからいいけど、予備に10本も必要なのかい?」

 値段を聞いて、腕輪サイズを5本と首輪サイズを5本で依頼をした。
 魔石でもOKだと言われたので、持っていた魔石を見せたら、買い取りの値段を聞いて、本数を決めた。

「えぇ他にも、予定ですけど・・・」

「まぁこっちは商売だから、いいけど・・・。それに、意匠だけを真似て、他にはオートアジャストだけって注文だから・・・。本当にいいのかい?」

 女将さんは、奥で作業している旦那さんに視線をむける。
 まずは、レオ用の腕輪を作ってくれている。意匠だけでなく、白い毛並みに合うように色を何色か持ってきて、ミルとミアに聞いている。

 それを、二人が選んでいる状況だ。
 他の、10本もミルとミアに色を選んでもらう予定だ。

「えぇ構いません。テイムをしている魔物だと解るようにしないと・・・。意匠が彫られていないと、連れて歩けないですからね」

 首輪だけで問題がなければ、アウレイアやアイルを連れて歩ける。リデルは、希少性が高いから難しい。他のヒューマは大丈夫かもしれないけど、ジャッロやヴェルデやビアンコやラトギは無理だろう。

「他には、どんな魔物を予定している?」

 話をぶった切って、こちらからの質問に切り替える。
 女将さんのペースで話をしていたら、こちらが聞きたいことが聞けない。

「女将さんに聞きたいのですが・・・」

「なんだい?」

「俺が持ってきた腕輪の素性は・・・」

「あぁ教会が売り出した物だろう?」

「やっぱり・・・。それで?」

「知っているよ。あれを付けなくて正解だよ」

「え?」

 女将は、俺を手招きして、さっきよりも2段ほど音量を落とした。

「前までは、優秀なテイマーを配下に置けば、魔物討伐が優位に進められるからだとか、魔物は危険だから教会が管理するとか、いろいろ理由を付けていたけど、結局は、教会派の貴族の子弟に、強力な魔物を渡すための仕組みだったのさ」

「え?」

「あんた・・・。気が付いたから、意匠を真似した物を注文したのではないのか?”鑑定”持ちなら、判るだろう?」

「あっ。鑑定は、俺じゃないので・・・」

 ミルに視線を向けると、女将さんはなんか納得した表情を浮かべる。
 ”鑑定”をばらすなら、ミルが持っていることにした方がよいだろうということになっている。

「そう・・・。奥さん?」

「えぇまぁ。それで?」

「テイムをされた魔物を取り上げるためだよ」

「・・・」

 ”やっぱり”と、いう印象しかでてこない。最悪な方法だ。
 レオの様子を見て居ると、両者の間で納得しないと、テイムはできない。力ずくで行う方法もあるのだが、そんな方法で従えても、100%の力は発揮されない。

「その時に、邪魔になるのが、魔物の主人だ」

「え?」

「あの腕輪を両者がするのには理由があって、魔物に主人を誤解させるためだと言われている」

「(最悪だな)」

「ん?それと、他の10本の意匠はどうする?」

「意匠は違ってもいいのですか?」

「大丈夫だ。腕輪。あぁ主人側と同じ意匠が刻まれることが約束だ」

「そうですか・・・。ミル!ミア!」

 二人を呼んで、意匠をあと2つ決めてもらう。
 俺とミルが使うためだ。

 ミアは、護衛用に4体が追加できるように予備に作ってもらう。俺に2体で、ミル(マヤ)に4体を護衛兼連絡係にすれば、外でも眷属たちと一緒に居られる。まぁ連れて行けるのは種族を選ぶ必要はあるだろうけど・・・。

「女将さん。俺以外にも、似たような依頼があったと言っていましたけど・・・」

「あぁ。なんでも、貴族様が庶民や商人の依頼を受ける場所を作ったらしくて、そこで”鑑定”を持っている子が居るらしくてね」

 お?
 ミルも女将さんの話を聞いて、ミアをレオに預けて、こっちの話を聞くことにしたようだ。

「へぇ・・・。どこの家か、女将さんは知っていますか?」

「もちろん。ミヤナック家で、ローザス殿下も協力しているという話だよ」

「へぇ。その人たちが居る場所は知っていますか?」

「もちろん」

 女将さんは、簡単な地図を書いてくれた。
 これで、ギルドの位置がわかった。フェムの店に行く前に、情報が得られたのはいいことだ。

 それにしても、もう活動を開始していた。
 それとも、フレット関係から教会筋の情報が流れたのか?

 まぁいけば情報が手に入るだろう。

 ミルが俺を見て居るのに気が付いた。
 ミルも、ギルドの話だと解ったのだろう。ギルドが立ち上がっているだろうとは思ったけど、ここまで急激に拡大したのは、ミヤナック家とローザスが依頼を出しているのかもしれないけど、道具屋まで噂だけかもしれないけど、話が来ているとは思っていなかった。

 ギルドの話は、女将さんは、それほど詳しくは知らなかった。
 それからは、教会の愚痴や貴族からの依頼の愚痴を聞かされて居る時に、腕輪が完成した。

 代金は、魔石で支払って、おつりが有ると言われたけど、女将さんに面白い話が聞けたお礼だと言って渡した。

 レオに首輪を嵌めた。最初は、腕輪にしようかと思ったけど、レオから首輪のほうが動きやすいと言われたので、首輪にした。ミアも同じ意匠の腕輪をした。

 店を出た所で、ミルがミアを抱きかかえて、レオに乗せる。

「リン」

「ギルドの位置がわかった。急がなくてもいいだろう」

「うん!」

 今度はレオに乗ったままのミアを俺とミルで挟むようにして、王都を散策する。
 道具屋で、魔石を換金してもらったので、ミルの武器やミアの服を買う事ができた。

「あるじ」

「どうした?」

「レオが、前から嫌な感じがするって・・・」

 嫌な感じ?
 前方を見るけど、何も見えない。

「ミル?」

「うん」

 ミルが、前方に向かう。何も無ければいいけど、誰かが、レオを狙っているのだとしたら仕掛けてくる可能性がある。

「あるじ。ミルお姉ちゃんは?」

「大丈夫。レオが気にしている物を確認するために、少しだけ離れた」

「・・・。うん。大丈夫?」

「大丈夫だよ。ミルは強い」

「うん。レオも、ミルお姉ちゃんは強いと言っている」

「だろう。だから、安心していいよ」

「・・・。うん。わかった」

 5分くらいしてから、ミルから連絡が入った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...