28 / 160
第二章 転生者
幕間 ウォルシャタ・フォン・アゾレム
しおりを挟む
/*** ウォルシャタ・フォン・アゾレム Side ***/
やっと王都に着ける。
全部、あのマガラ渓谷で落ちたやつの責任だ。なんで俺様が居るのに、止められなければならない。
俺様が大丈夫と言ったのに、何を調べると言うのだ!
頭が悪い奴らだ。
アロイの警備兵も、メルナ街の警備兵の奴らも、俺が何者かわかっていないのだろう。
おかげで、2日以上遅れてしまったではないか!
---
事実、アゾレム御一行は、予定よりも2日遅く、リン達がパシリカを終えた3日後に王都に到着することになる。
アゾレムの跡継は、自分は悪くないと思っているのだが、100%この跡継が問題だったのだ。マガラ渓谷に人が落ちたのはしょうがない。毎年、何十人レベルでの犠牲者が出ている。
アゾレムの跡継が、中途半端に突っかかって手負いのままのがしてしまったコボルトが問題になっているのだ。
そのために、アゾレム一行は足止めされていた。逃げた方向も、”跡継は覚えていない。俺は倒した、逃したのは別の人間だ”と、繰り返すばかりで話にならない状態が続いていた。
やっと近くにいた人間から状況を聞いて、逃げた方向を把握したのは、取り逃がしてから、1日以上経過していた。
今更追っても間に合わないのはわかっていたが、形式的と言われようが、警備兵は渓谷の中を探索するしかなかった。
/*** アルド=ウー・ランベルク Side ***/
子守をしながら、やっとの思いで、王都が見える場所まで来た。
先々代が、マガラ渓谷を越えて、魔物や賊を追い出し作り出した、アゾレム領。その功績を持って、男爵に叙せられた。
先代もその流れを組んで善政を引いた。人が増え、街にもなった。より親から、筆頭男爵の屋号も貰った。それで、空いている場所に、新しい男爵を立てた。
俺は、その話を聞いて、すぐに剣を取り、先代の下に走った。
”武”に自信が有ったわけではない。特別なスキルは持っていない。それでも努力を積み重ねて、気がついたら、アゾレム領の守護隊の隊長を任せてもらえるほどになっていた。いくつもの戦いで、傷をおった。
当代の領主は・・・何も言わない。
俺は、守備隊の隊長だ。領主からの理不尽な命令でも、それが領主からの命令なら従う。
しかい、当代の領主に輪をかけて、目の前に居る跡継は質が悪い。
虚勢を張ることは悪いことではない。しかし、この跡継は、できない事も出来るといい。できなかった事は他人の責任。多少の功績を過大に報告する癖が強い。
子供の頃に倒した(と、自慢している)ゴブリンも、跡継は逃げただけだ。剣の1合も浴びせていない。
村に居た兄妹の妹が襲われそうになったのを、兄が助けたのだ。
それだけではない。第三皇女を跡継が無理やりに近いかたちで、魔物が居る森に連れ出した。自分がかっこよく魔物を倒す所を見せたかったのだろう。
現実は違った。俺が左目を失い。跡継は、第三皇女を置いて逃げたのだ。従者も連れてだ。1人残された第三皇女を救ったのも、ゴブリンを倒した兄妹の兄なのだ。
俺は、あの時の事を鮮明に覚えている。
跡継がむやにも攻撃したためいん、手負いになったグレートグリズリー。いろんな意味で終わったと思った。なんとか、跡継が皇女殿下を連れて逃げる事を祈って、間に割って入った。
跡継は、自分の従者や守備隊に命じて、自分を守らせて、逃げたのだ。皇女殿下を置き去りにしてだ。
俺は、左目を奴に持っていかれながら、なんとか踏みとどまっていた。
奴が、皇女殿下に狙いを変更した時に、間に入ったのが、兄妹の兄だ。妹になにやら頼んでいた。
兄は、自分の身体を盾にしているように見えて、徐々に皇女殿下から距離を離していた。
20分くらい睨み合って居た。グレートグリズリーがなんで攻撃を躊躇したのかはわからなかったが、兄は攻撃をうけずに、グレートグリズリーを皇女殿下から引き離すことに成功していた。
妹が、何やらやっていた場所まで、グレートグリズリーを誘導したと思ったら、グレートグリズリーの身体が沈んだ。
崖になっている所を、木々や葉っぱで隠していたのだ。兄は、木に縛ったロープで身体を固定していたのだ。グレートグリズリーが崖の下に落ちたのを確認して、兄は俺たちの所に来た。
皇女殿下に何やら話しかけている。急に、グレートグリズリーが皇女殿下に狙いを変えた理由がこれで解った。グレートグリズリーは、排尿の匂いにひかれるのだ。これ以上は、皇女殿下の名誉に関わる事だな。
耳まで真っ赤にしてうつむいている。妹が戻ってきて、兄を殴っている。
皇女殿下を連れて森のなかに消えていった。戻ってきた時には、皇女殿下の格好は、狩人がするような格好になっていたとだけ言っておく。
俺は、皇女殿下を連れて、街に戻った。
街では、ポルタ村の兄妹が、グレートグリズリーを引き連れて、アゾレムの跡継を襲ったという話になっていて、皇女殿下はそれに巻き込まれたという事になっていた。
俺と、皇女殿下が生きて帰ってきた事で、その話は、間違いであった事が証明されたのだが、跡継は、俺は逃げたのではない。戦力を集めて救いに行こうとしていた所だと主張して、その主張は従者や周りの者たちの証言で証明された。
どうでも、いい事だが、アゾレムは終わりなのかもしれないな。
俺も、この護衛の任務が終わったら、引退する。
もう理不尽な理由を付けて、村に攻め込んだりするのはしたくない。
「どういう事だ。ランベルク!」
ぼっちゃんがお怒りのご様子です。
「どういう事かとおっしゃられても・・・王都に入るための列ですよ?パシリカの隊列が居るから混んでいるのでしょう?」
そう答えるしか無いだろうな。
「だから、どうして、貴族である俺が並ばなければならない。誰もできなかった、マガラ渓谷を越えて、魔物の森を開いた、アゾレム男爵である俺が、平民と一緒に並ばなければならない」
あんたは、貴族ではなく、貴族のご子息。そして、マガラ渓谷を越えたのは、貴方のお祖父様で、貴方はその恩恵をうけただけ。それに、あんたは、まだアゾレム男爵ではない。身分的には、俺よりも下に位置している。
いちいち指摘はしないが、誰しもが思っている。
「なんとかしろ!」
言われた方は溜まったものではない。
そもそも、遅れたのは、あんたが無茶したせいだ。それがなければ、もうとっくに宿に入って、エールを飲んで寝ていただろう。
「ウォルシャタ様。我が行ってきます」
「お!ロラ・ゴーチエ。頼む。コイツラではあてにならない」
「はっ」
武器商人の小倅だ。
まぁこれで、ぼちゃんたちが先に行ってくれたほうが助かる。
10分してから、ロラ・ゴーチエが戻ってきた。話を付けてきたという事だ。
ぼっちゃんとロラ・ゴーチエ。流しの商人---奴隷商なのは見れば解る---の息子、イアン・ブォーノ。アゾレム街の行政官---主に農業---の息子のエスタール・ティロン。隣領の三男。父親や跡継に反発している クンジナ=ユルワーフ・フォン・ドワイト。アゾレム領の行政官---主に商業---の息子の息子のマルビン・オットー。
見事に問題児ばかりだが、それらが、ぼっちゃんに従って消えてくれるのは嬉しい。
そのまま、今日は、王都にある、アゾレムの屋敷に入るようだ。
俺たちは、他の街や村から来た子どもたちを、宿に振り分けてから、教会に行って、報酬をもらう。
それを、アゾレムの館に届ければ終わりだ。既に、辞表は出している。このまま王都で暫く過ごしてから、商隊の護衛でもしながら、各地をてんてんとする事にしている。
あの二人には気の毒な事をしてしまったが、ガルドバがうまくやってくれている事を祈ろう。
/*** ウォルシャタ・フォン・アゾレム Side ***/
パシリカは、二日後に決まった。
親父殿からのご命令で、二日間は、屋敷に居なければならない。今日、遅くても、明日には到着すると言っていた。宰相様からの呼び出しが掛かったという事だ。
どうやら、教会の有力者が、特別室でパシリカをうけられるように取り計らったようだ。
王族や有力貴族や教会関係者だけが使う部屋だという事だ。
俺が使えるのは当然として、取り巻き連中も使えるようになったようだ。その礼をいうために、親父殿が王都に来られて、王弟殿下と宰相様にお礼をいうっと書かれていた。
ようするに、貢物をするのだろう・
ゴーチエかブォーノが出した物を持っていくのだろう。女の奴隷なら俺も2~3人必要だな。この前のおもちゃは壊れてしまったからな。あいつらに下げてやったが喜んでいたから、また新しいおもちゃを用意しないとならないな。
テルメンの所の娘もいい女だが、まだまだ子供だな。王都には、いい女が多いと聞いていたが、それほどでもないようだな。親父殿も、王都のメイドなら若いメイドだけでいいのに、こんな年寄りじゃ夜の遊び相手にもならないだろう。
こんな事なら、村から連れてきてやった奴らから、数名出させればよかったな。
まぁいい。今日は、男だけでエールでも飲んで寝てしまおう。
/*** 二日後 ***/
うぉぉぉぉ頭がいてぇぇぇ
なんだこれは、パシリカでこんな事になるとは聞いてないぞ!神官、殺してやる・・・。ころして・・・ん?
あぁ思い出した!
俺は、立花。立花肇だ!日本で産まれて育った。この世界に、無理やり連れてこられた!
とにかく、仲間を、奴らを探さないと・・・。
頭の痛みに耐えながら、表に出る。
神官に頭が痛い事を訴えると、魔法を使って和らげると言った。治療をうけていると、領で働いている、俺の部下が出てくる。
それから、教会関係者や他の地域の子供だろうか。何人かが出てくる。
ロラ・ゴーチエが話しかけてくる
「立花だよな?」
はぁ?お前誰だよ?
そうか、触ればステータスがわかって、名前が解るのだったな。
「西沢か?」
「あぁそうだ。お前が貴族の跡継とはな・・・」
「そういうお前は、商人の息子か?」
「あぁ偶然とはいえ怖いな」
「そうだな。俺だけじゃないぞ、細田はブォーノで、山崎は、ティロンだ。あと、隣領のクンジナが橋本だぞ」
「え?あぁなんか反映するとかなんとか言っていたな。見た目はたしかに変わっているけど、そうか、それなら苦労なく集まれそうだな」
「そうだな」
西沢祐太 - ロラ・ゴーチエ
細田博行 - イアン・ブォーノ
山崎徹-エスタール・ティロン
橋本芳雄 - クンジナ=ユルワーフ・フォン・ドワイト
立花肇-ウォルシャタ・フォン・アゾレム
「そうか、そうなると、俺の屋敷を拠点にしたほうが良さそうだな」
「あぁそれを頼みに来た。俺と、細田と橋本はここに残って探す。山崎は、お前に付いていないとダメだろうからな」
「そうだな。それで頼む。後、女が見つかったら、そのまま連れてこいよ。俺がしっかり教育するからな」
「はい。はい。わかっているよ。後で、俺たちにも回せよな?」
「もちろんだ。何をするにしても、下僕は必要だからな」
「そうだな。茂手木の奴や、神崎が見つかったら、すぐに知らせるからな」
「任せる。山崎!帰るぞ!」
遠くから、声が聞こえる。
山崎が小走りによってくる。
「立花。おまたせ」
「あぁ屋敷に行くぞ」
「はい。はい。それじゃ西沢頼むな。特に、茂手木は絶対に逃がすなよ。女どもに取られると厄介だからな」
「わかっている。神崎は?」
「奴はいいだろう?女どもからも嫌われているみたいだったからな!!!」
俺は貴族の跡継か?
これなら、俺が一番になるだろう。西沢や細田と方向性を決めればいいだろう。俺が皇帝になるというのも悪くないかも知れない。
最初は、面倒だと思ったが、なかなか楽しめそうだな。
ここなら、女を犯して、殺しても罪にはならない。同級生の女どもを奴隷にして、毎日順番にいじめてもいいだろうし、それこそ、”うすのろ”のまで、委員長を犯して、委員長から俺を求めるように調教しても楽しいだろうな。身体に飽きたら殺してしまえばいいだろうからな。それでも罪に問われないのだから、異世界バンザイって所だな。
やっと王都に着ける。
全部、あのマガラ渓谷で落ちたやつの責任だ。なんで俺様が居るのに、止められなければならない。
俺様が大丈夫と言ったのに、何を調べると言うのだ!
頭が悪い奴らだ。
アロイの警備兵も、メルナ街の警備兵の奴らも、俺が何者かわかっていないのだろう。
おかげで、2日以上遅れてしまったではないか!
---
事実、アゾレム御一行は、予定よりも2日遅く、リン達がパシリカを終えた3日後に王都に到着することになる。
アゾレムの跡継は、自分は悪くないと思っているのだが、100%この跡継が問題だったのだ。マガラ渓谷に人が落ちたのはしょうがない。毎年、何十人レベルでの犠牲者が出ている。
アゾレムの跡継が、中途半端に突っかかって手負いのままのがしてしまったコボルトが問題になっているのだ。
そのために、アゾレム一行は足止めされていた。逃げた方向も、”跡継は覚えていない。俺は倒した、逃したのは別の人間だ”と、繰り返すばかりで話にならない状態が続いていた。
やっと近くにいた人間から状況を聞いて、逃げた方向を把握したのは、取り逃がしてから、1日以上経過していた。
今更追っても間に合わないのはわかっていたが、形式的と言われようが、警備兵は渓谷の中を探索するしかなかった。
/*** アルド=ウー・ランベルク Side ***/
子守をしながら、やっとの思いで、王都が見える場所まで来た。
先々代が、マガラ渓谷を越えて、魔物や賊を追い出し作り出した、アゾレム領。その功績を持って、男爵に叙せられた。
先代もその流れを組んで善政を引いた。人が増え、街にもなった。より親から、筆頭男爵の屋号も貰った。それで、空いている場所に、新しい男爵を立てた。
俺は、その話を聞いて、すぐに剣を取り、先代の下に走った。
”武”に自信が有ったわけではない。特別なスキルは持っていない。それでも努力を積み重ねて、気がついたら、アゾレム領の守護隊の隊長を任せてもらえるほどになっていた。いくつもの戦いで、傷をおった。
当代の領主は・・・何も言わない。
俺は、守備隊の隊長だ。領主からの理不尽な命令でも、それが領主からの命令なら従う。
しかい、当代の領主に輪をかけて、目の前に居る跡継は質が悪い。
虚勢を張ることは悪いことではない。しかし、この跡継は、できない事も出来るといい。できなかった事は他人の責任。多少の功績を過大に報告する癖が強い。
子供の頃に倒した(と、自慢している)ゴブリンも、跡継は逃げただけだ。剣の1合も浴びせていない。
村に居た兄妹の妹が襲われそうになったのを、兄が助けたのだ。
それだけではない。第三皇女を跡継が無理やりに近いかたちで、魔物が居る森に連れ出した。自分がかっこよく魔物を倒す所を見せたかったのだろう。
現実は違った。俺が左目を失い。跡継は、第三皇女を置いて逃げたのだ。従者も連れてだ。1人残された第三皇女を救ったのも、ゴブリンを倒した兄妹の兄なのだ。
俺は、あの時の事を鮮明に覚えている。
跡継がむやにも攻撃したためいん、手負いになったグレートグリズリー。いろんな意味で終わったと思った。なんとか、跡継が皇女殿下を連れて逃げる事を祈って、間に割って入った。
跡継は、自分の従者や守備隊に命じて、自分を守らせて、逃げたのだ。皇女殿下を置き去りにしてだ。
俺は、左目を奴に持っていかれながら、なんとか踏みとどまっていた。
奴が、皇女殿下に狙いを変更した時に、間に入ったのが、兄妹の兄だ。妹になにやら頼んでいた。
兄は、自分の身体を盾にしているように見えて、徐々に皇女殿下から距離を離していた。
20分くらい睨み合って居た。グレートグリズリーがなんで攻撃を躊躇したのかはわからなかったが、兄は攻撃をうけずに、グレートグリズリーを皇女殿下から引き離すことに成功していた。
妹が、何やらやっていた場所まで、グレートグリズリーを誘導したと思ったら、グレートグリズリーの身体が沈んだ。
崖になっている所を、木々や葉っぱで隠していたのだ。兄は、木に縛ったロープで身体を固定していたのだ。グレートグリズリーが崖の下に落ちたのを確認して、兄は俺たちの所に来た。
皇女殿下に何やら話しかけている。急に、グレートグリズリーが皇女殿下に狙いを変えた理由がこれで解った。グレートグリズリーは、排尿の匂いにひかれるのだ。これ以上は、皇女殿下の名誉に関わる事だな。
耳まで真っ赤にしてうつむいている。妹が戻ってきて、兄を殴っている。
皇女殿下を連れて森のなかに消えていった。戻ってきた時には、皇女殿下の格好は、狩人がするような格好になっていたとだけ言っておく。
俺は、皇女殿下を連れて、街に戻った。
街では、ポルタ村の兄妹が、グレートグリズリーを引き連れて、アゾレムの跡継を襲ったという話になっていて、皇女殿下はそれに巻き込まれたという事になっていた。
俺と、皇女殿下が生きて帰ってきた事で、その話は、間違いであった事が証明されたのだが、跡継は、俺は逃げたのではない。戦力を集めて救いに行こうとしていた所だと主張して、その主張は従者や周りの者たちの証言で証明された。
どうでも、いい事だが、アゾレムは終わりなのかもしれないな。
俺も、この護衛の任務が終わったら、引退する。
もう理不尽な理由を付けて、村に攻め込んだりするのはしたくない。
「どういう事だ。ランベルク!」
ぼっちゃんがお怒りのご様子です。
「どういう事かとおっしゃられても・・・王都に入るための列ですよ?パシリカの隊列が居るから混んでいるのでしょう?」
そう答えるしか無いだろうな。
「だから、どうして、貴族である俺が並ばなければならない。誰もできなかった、マガラ渓谷を越えて、魔物の森を開いた、アゾレム男爵である俺が、平民と一緒に並ばなければならない」
あんたは、貴族ではなく、貴族のご子息。そして、マガラ渓谷を越えたのは、貴方のお祖父様で、貴方はその恩恵をうけただけ。それに、あんたは、まだアゾレム男爵ではない。身分的には、俺よりも下に位置している。
いちいち指摘はしないが、誰しもが思っている。
「なんとかしろ!」
言われた方は溜まったものではない。
そもそも、遅れたのは、あんたが無茶したせいだ。それがなければ、もうとっくに宿に入って、エールを飲んで寝ていただろう。
「ウォルシャタ様。我が行ってきます」
「お!ロラ・ゴーチエ。頼む。コイツラではあてにならない」
「はっ」
武器商人の小倅だ。
まぁこれで、ぼちゃんたちが先に行ってくれたほうが助かる。
10分してから、ロラ・ゴーチエが戻ってきた。話を付けてきたという事だ。
ぼっちゃんとロラ・ゴーチエ。流しの商人---奴隷商なのは見れば解る---の息子、イアン・ブォーノ。アゾレム街の行政官---主に農業---の息子のエスタール・ティロン。隣領の三男。父親や跡継に反発している クンジナ=ユルワーフ・フォン・ドワイト。アゾレム領の行政官---主に商業---の息子の息子のマルビン・オットー。
見事に問題児ばかりだが、それらが、ぼっちゃんに従って消えてくれるのは嬉しい。
そのまま、今日は、王都にある、アゾレムの屋敷に入るようだ。
俺たちは、他の街や村から来た子どもたちを、宿に振り分けてから、教会に行って、報酬をもらう。
それを、アゾレムの館に届ければ終わりだ。既に、辞表は出している。このまま王都で暫く過ごしてから、商隊の護衛でもしながら、各地をてんてんとする事にしている。
あの二人には気の毒な事をしてしまったが、ガルドバがうまくやってくれている事を祈ろう。
/*** ウォルシャタ・フォン・アゾレム Side ***/
パシリカは、二日後に決まった。
親父殿からのご命令で、二日間は、屋敷に居なければならない。今日、遅くても、明日には到着すると言っていた。宰相様からの呼び出しが掛かったという事だ。
どうやら、教会の有力者が、特別室でパシリカをうけられるように取り計らったようだ。
王族や有力貴族や教会関係者だけが使う部屋だという事だ。
俺が使えるのは当然として、取り巻き連中も使えるようになったようだ。その礼をいうために、親父殿が王都に来られて、王弟殿下と宰相様にお礼をいうっと書かれていた。
ようするに、貢物をするのだろう・
ゴーチエかブォーノが出した物を持っていくのだろう。女の奴隷なら俺も2~3人必要だな。この前のおもちゃは壊れてしまったからな。あいつらに下げてやったが喜んでいたから、また新しいおもちゃを用意しないとならないな。
テルメンの所の娘もいい女だが、まだまだ子供だな。王都には、いい女が多いと聞いていたが、それほどでもないようだな。親父殿も、王都のメイドなら若いメイドだけでいいのに、こんな年寄りじゃ夜の遊び相手にもならないだろう。
こんな事なら、村から連れてきてやった奴らから、数名出させればよかったな。
まぁいい。今日は、男だけでエールでも飲んで寝てしまおう。
/*** 二日後 ***/
うぉぉぉぉ頭がいてぇぇぇ
なんだこれは、パシリカでこんな事になるとは聞いてないぞ!神官、殺してやる・・・。ころして・・・ん?
あぁ思い出した!
俺は、立花。立花肇だ!日本で産まれて育った。この世界に、無理やり連れてこられた!
とにかく、仲間を、奴らを探さないと・・・。
頭の痛みに耐えながら、表に出る。
神官に頭が痛い事を訴えると、魔法を使って和らげると言った。治療をうけていると、領で働いている、俺の部下が出てくる。
それから、教会関係者や他の地域の子供だろうか。何人かが出てくる。
ロラ・ゴーチエが話しかけてくる
「立花だよな?」
はぁ?お前誰だよ?
そうか、触ればステータスがわかって、名前が解るのだったな。
「西沢か?」
「あぁそうだ。お前が貴族の跡継とはな・・・」
「そういうお前は、商人の息子か?」
「あぁ偶然とはいえ怖いな」
「そうだな。俺だけじゃないぞ、細田はブォーノで、山崎は、ティロンだ。あと、隣領のクンジナが橋本だぞ」
「え?あぁなんか反映するとかなんとか言っていたな。見た目はたしかに変わっているけど、そうか、それなら苦労なく集まれそうだな」
「そうだな」
西沢祐太 - ロラ・ゴーチエ
細田博行 - イアン・ブォーノ
山崎徹-エスタール・ティロン
橋本芳雄 - クンジナ=ユルワーフ・フォン・ドワイト
立花肇-ウォルシャタ・フォン・アゾレム
「そうか、そうなると、俺の屋敷を拠点にしたほうが良さそうだな」
「あぁそれを頼みに来た。俺と、細田と橋本はここに残って探す。山崎は、お前に付いていないとダメだろうからな」
「そうだな。それで頼む。後、女が見つかったら、そのまま連れてこいよ。俺がしっかり教育するからな」
「はい。はい。わかっているよ。後で、俺たちにも回せよな?」
「もちろんだ。何をするにしても、下僕は必要だからな」
「そうだな。茂手木の奴や、神崎が見つかったら、すぐに知らせるからな」
「任せる。山崎!帰るぞ!」
遠くから、声が聞こえる。
山崎が小走りによってくる。
「立花。おまたせ」
「あぁ屋敷に行くぞ」
「はい。はい。それじゃ西沢頼むな。特に、茂手木は絶対に逃がすなよ。女どもに取られると厄介だからな」
「わかっている。神崎は?」
「奴はいいだろう?女どもからも嫌われているみたいだったからな!!!」
俺は貴族の跡継か?
これなら、俺が一番になるだろう。西沢や細田と方向性を決めればいいだろう。俺が皇帝になるというのも悪くないかも知れない。
最初は、面倒だと思ったが、なかなか楽しめそうだな。
ここなら、女を犯して、殺しても罪にはならない。同級生の女どもを奴隷にして、毎日順番にいじめてもいいだろうし、それこそ、”うすのろ”のまで、委員長を犯して、委員長から俺を求めるように調教しても楽しいだろうな。身体に飽きたら殺してしまえばいいだろうからな。それでも罪に問われないのだから、異世界バンザイって所だな。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる