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第二章 転生者
第十六話 鑑定と隠蔽
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/*** ミトナル=セラミレラ・アカマース(鵜木和葉) ***/
宿屋は、朝早くに出た。
そして、フェムの店によって、今日一日用事があると告げてから、門に急いだ。僕が遅れるわけには行かない。凛くんを待たせる訳にはいかない。
よかった。
まだ来ていない。来ないかも知れない。でも、このアドラの”ゲーム”の意味がわからないとは思えない。21人のサバイバルではない。凛くんの奪い合いになるのは間違いない。茂手木くんというジョーカーが居る。でも、僕が知っている事実。これが多分重要な意味を持ってくる。
重久さんや中里さんの言葉が正しければ、これは凛くんが中心になるように考えられている。
二人が覚えていた、男子の名前を聞いたときに、全身の血が沸騰するかと思った。凛くんに仇なす者と思っていたが、本当に”仇”だとは思わなかった。
立花肇/山崎徹/西沢祐太/冴木武夫/川島茂/橋本芳雄/加藤恵一/三塚浩市/細田博行/森中定和
美和さんの報告書を呼んでから、頭から離れない名前だ。
偶然にしては出来すぎている。立花と山崎が混じっていたのは認識していた。全員が、凛くんの弟さんの”事件”の関係者だとは思わなかった。そして、凛くんの両親と、僕の両親の”死の原因”を作った奴ら。
まだ、僕はこの事実を、凛くんに告げる勇気がない。告げていいのかわからない。
マヤさん?
向こうから歩いてきているのは、確かに、凛くんと一緒に居た女の子。妹と言っていた。
僕をまっすぐ見ている。凛くんが、女の子だけで、危ない可能性がある所に送り出すわけがない。でも、間違いなく、僕を見ている。綺麗な目で、まっすぐと・・・。
「ミトナルさん?」
やはり、僕が目的で間違いなかった
「はい。そうです」
「これを見て!」
そう言って出されたのは、僕が凛くんを呼び出すのに使った、羊皮紙だ。
僕の署名の下に、”神埼凛”と書かれていた。涙が出そうだ。
「内容は僕には読めなかった、読んでもらって、全部説明してもらった。カズハさん。貴女は、リンの敵ですか?味方ですか?」
そう言って、マヤさんは後ろに飛んで、腰の短剣に手をかける。
僕は慌てて、両手を上げる。
「僕は、味方・・・ううん。違う。僕は、僕の全部は、彼の物。僕は、彼の役に立ちたい。ただそれだけ、彼の事が好き。でも、彼を求めているわけじゃない」
「そう・・・嘘じゃないよね?」
「うん。僕は、彼のためなら何だってやる。死ねと言われたら、この場で死んでもいい。だから、お願い」
ダメ。涙が出てくる。こらえないと、僕は、泣いていい立場じゃない。
「今は信じる。でも、裏切ったら殺す。どんな些細な事でも傷つけたら殺す」
「それでいい。僕の命を彼に預ける」
マヤさんから急に、握手を求められた。
ステータスの確認をしたいのだろうか?僕は、迷わず、マヤさんから差し出された手をにぎる。僕は、ステータスの確認はしない。マヤさんからしてもいいと言われるまで・・・。
マヤさんから手を離してくれた。合格だったのだろうか?
すごく可愛い笑顔を向けられた。
「わかった。ついてきて、待っている」
マヤさんは、僕の少し前を歩く、僕は、それに着いていく状態だ。
「ミトナルさん。そう言えば、僕の名前言っていなかったね」
「えぇ」
「僕は、マヤ。マヤ=フリークス・テルメン。リン=フリークス・テルメンの義理の妹」
え?義理?
「義理?」
マヤさんが、横に並んでくる。
「そ、だから、結婚もできるし、子供作れる!」
あっそうか、僕の事を・・・。
「大丈夫。僕は、彼の彼女じゃない。彼が僕を求めたら従う。でも、僕から、彼を求める事はない。してはダメ」
緊張している。
「・・・そう・・・わかった。こっちだよ。あっ僕の事は、マヤって呼んでね。呼び捨てにして」
「うん。僕の事は、ミルと呼んで。親しい人は、そう呼んでいた」
「わか・・・ん。”呼んでいた”?」
「うん。両親・・・だけじゃなくて、僕を除く、村人全員。貴族のバカ息子の遊びで殺された。僕は、偶然村に居なくて助かった」
「え?あっごめんなさい」
「ううん。もう・・終わった・・・こと」
「違うの・・・僕・・・なんでもない。でも、ごめんなさい。ミル」
「ありがとう。マヤ」
宿屋にたどり着いた。
凛くんの部屋は知っている。そこまでまっすぐに向かった。
「リン。連れてきたよ」
「え?あっありがとう。入って」
部屋に入った。
そこには、何も変わらない笑顔でこちらを見ている。僕の初恋の人。
僕の両親が、彼の両親を奪った。
ダメ。泣いちゃダメ。でも、意識とは別に、涙が溢れてくる。
/*** リン=フリークス・マノーラ ***/
マヤがいい出した事だ。
自分が、和葉。ミトナルを連れてくるから、宿屋で待っていて欲しいと・・・。
マヤが部屋から出ていって、20分くらいが経った頃だろうか?
「リン。連れてきたよ」
すごく緊張してしまっている。
声が上ずっていないといい。
「え?あっありがとう。入って」
それだけは言えた。
ドアが開けられて、先に、マヤが入ってくる。身長は、マヤより少し低いだろうか。青い髪の毛をすごく綺麗にまとめている。綺麗な黒目が僕を捕らえている。マヤは、可愛いという表現がぴったりだが、和葉・・・ミトナルは、綺麗で、美人という表現が合っている。
僕を見て、目をそらさない。
左目から、一筋の涙が流れている。それから、右目からも決壊するように涙が流れ出ている。
「和葉さん?」
「あっごめん。凛くん。鵜木和葉。こちらでは、ミトナル=セラミレラ・アカマース。ミルと呼んで欲しい」
「そうだね。僕は、リン=フリークス・テルメン。神崎凛です」
次の言葉が出てこない。
「リンも、ミルも、とりあえず座ったら?」
「そうだね。ミル。よかったらベッドに座って」
「いいの?」
ミルは、なぜかマヤを見る。マヤもどうぞという動作をする。ミルが、ベッドに座って、僕は、備え付けの椅子に腰を下ろす。マヤは、ミルの近くに座るようだ。
「ミル。情報交換したいけど問題ない?」
「ない。なんでも聞いて」
「え?いいの?」
「もちろん。知っている事は何でも話す。僕は、そのために来た、リンくんに会いたかった」
「あぁそうか、まずは、リンと呼んで、”くん”付けされるの好きじゃない」
「ごめん。”リン”でいい?」
「うん。ありがとう」
さて、まずはどうしよう?
そうだマヤの事を聞かないと・・・
「ミル。マヤが一緒でもいい?」
「僕は問題ない。リンが一緒の方がいいと判断するのなら、一緒でいい」
「わかった。マヤ。悪いけど、下で、飲み物を3つ買ってきて、その後は話に加わってほしい」
「わかった」
マヤにお金を渡した。マヤが部屋から出ていくのを確認してから、ミルに問いかけた
「ミル。白い部屋で、僕に話しかけたよね?なんで?」
「僕は、リンに報いなければならない。だから・・・」
「そう・・・理由は、いずれ教えてくれる?」
「うん。ごめん」
「いいよ。それよりも、アドラがゲート開いてすぐに入ったよね?なんで?」
これが一番疑問だった。
僕に対してなにかあるのなら、安全を確認してから入るべきだったのではないか?行動が矛盾しているように感じていた。
「あの時は、説明できなかった。アドラが言っていた、1秒が1440倍になっている世界だって」
「そうだね」
「僕は、少し考えた。白い部屋が、地球の時間感覚なのか、こっちの世界なのかわからないけど、1秒で1日進む世界に飛び込む」
「うん」
「あの場所で、誰かが先に飛び込んで、それから6分程度躊躇していたら」
「あっそうか!それだけで、一年無駄に過ごしてしまう事になるのだね」
「うん。実際に、僕たちが飛び込んだ、後で、躊躇している皆に、アドラが似たような事を言ったらしい」
「そうか、ありがとう。これで、ミルの事を信用できる」
「え?」
「あと、ミルに聞きたい。きみは、日本に帰りたい?」
少しの沈黙
「僕は、リンが望むのなら、喜んで死ぬ」
「え?」
「あっごめん。今のは忘れて」
「あぁわかった。なぁミル。僕の両親の事故」
表情で解ってしまった。
噂話程度で聞いていた。間違いないだろう。僕は、あの事故は別のなにかが隠されていると思っている。おかしなことだらけなのだ。もしかしたら、ミルが知っているのかも知れない。
「リン。これでよかった?」
マヤが部屋に戻ってきた。
「あっうん。ありがとう。足りた?」
「うん。あれ?何も話していなかったの?」
マヤがなんでそう思ったのかわからないけど、ちょうどよかった。
話を変える丁度いいタイミングだ。
「そうだな。ミル。他の連中は?フェムは、重久だろう?」
「あ・・・うん。僕が、知っているのは、松田さん以外の女子だけ。昨日の段階で、8人揃った。それにリンが加わって9人になる」
「そうか・・・茂手木だけは、早く見つけたいのだけどな」
「え?なんで?茂手木くん?」
僕の考えを述べる。
僕は、地球に、日本に帰るつもりはない。心残りがないとは言えないけど、こっちに残る。マヤがすごく嬉しそうにしているのが印象的だ。
「立花たちは、10人揃うだろうけど、どうせ、数年もしたら、仲間割れしだすだろう?そのときに、女子がまとまっていれば、女子の誰かがトップになれる可能性がある。そうしたときに、僕をこっちの世界に残してほしいとお願いする事ができる。立花たちにはできない。3人選ぶよりも、2人選ぶ方が、心理的な負担は少ないだろう?気休めだろうけどね」
「そうだね。3人選ぶよりも、1人を選ぶほうがいいだろうね」
「ミル?」
「うん。僕も、こっちに残るつもり。あっちの世界に未練は・・・ない」
「そうか・・・それで、重久たちは何をしようとしているの?」
「え?”ギルド”を作ると言っていた」
「へぇギルドかぁ・・確かに、すぐには無理だろうけど、じわじわと効いてくるだろうな。ギルドの代表になれば、名声も得られるだろうからな」
「うん。フェムもそう言っていた。ギルドの代表に”リン”を考えてるみたい」
はぁ?僕を?なんで?
「なんで?僕が?重久や瞳がやればいいのに?」
「うん。でも、”リン”が適任だと言っていた。それよりも・・・いくつか聞きたいけどいい?」
「僕に、答えられる事なら」
「まず、なんで、茂手木くんを見つけ出す必要がある?」
茂手木の能力は過小評価すべきではない。
「一言では難しいし、ひとみや、重久たちは知らないかも知れないけど、茂手木が、多分このサバイバルのジョーカーだと思うよ」
「なんで?」
「ギルドを思いつく重久は、多分、異世界転生者とかが好きかもしれない。茂手木は、生粋のオタクで、知識が豊富というのはもちろん、中二病を患っていて、自分が異世界転生した時のために、余計な知識を大量に詰め込んでいる」
「は?」
「そうなるよね。多分、あいつ以上に、異世界に来て喜んでいる奴はいないと思うよ」
「・・・それで?」
「あぁミルは、砂糖の作り方や、塩・・・海水や塩湖からの作り方や、にがりのとり方、メイプルシロップの作り方や、味噌/醤油/日本酒やどぶろくの作り方知っている?ビールやウィスキーや他の蒸留酒の作り方は?小麦粉や薄力粉の作り方は?重久や瞳がいれば料理をするだろうけど、そのための包丁や調味料の調達は?あと、定番物とか言っていたけど、ポンプや馬車改良のためのサスペンションとか、できるかわからないけど、ボールペアリングとか、キャスターとか、水車の作り方とかも書いていたな」
「・・・それを、全部、茂手木くんが?」
「そうだよ。立花たちに見つかる前に確保すべきだと思わない?」
「たしかに・・・」
「でも、見つける事ができれば、釣るのはそれほど難しくはないと思うよ」
「どうして?」
「エルフや猫耳・犬耳の獣人族をあてがえば、縛れると思うからね」
「・・・わかった。もう一つ、リンは真命が違うのはなぜ?」
僕もそれは気になっていた。
みんなはなぜ真命を変えていないのか?
最初は、皆と合流するためだと思っていたが、そうでもなさそうだ。
「ミルの”隠蔽”ではできないの?」
「うん。昨日やってみたけど、できなかった」
「そう・・・そうだ。ミル。僕を鑑定してみて、僕のステータスやスキルは覚えているよね?それと、僕が”神崎凛”だってわかったのはなぜ?」
「まずは、リンが凛くんだってわかったのは、ジョブとステータスの値、スキルを僕が覚えていたから、真命は違っていたけど、間違いないと思った」
なぜか、マヤがうなずいている。
いつ仲良くなったの?
「え?なんで?」
鑑定したみたいだな。
「鑑定してみてくれた?」
「うん。ジョブも違うし、それに、スキルが?鑑定では見えるはず。たしかに、前は見えた。リンのスキルには、鑑定系と会話というスキルがあった」
「ミル。鑑定していい?」
「もちろん」
真命:鵜木和葉(1)
ジョブ:魔法剣士
体力:240
魔力:320
腕力:180
敏捷性:190
魅力:100
魔法:青(3)・赤(3)・黄(1)・灰(1)・黒(2)
スキル:隠蔽、(隠蔽)魔法の吸収、(隠蔽)剣技の吸収
ユニークスキル:(隠蔽)鑑定
隠蔽されているスキルを見る事ができる。
「ミル。マヤに鑑定させてもいい?」
「いいです。マヤは、リンと同じ」
「マヤ。ミルを鑑定して、スキルとユニークスキルの数を教えて」
「わかった」
マヤがミルを見ている。
正直美少女二人が並んでいる眼福である。
「リン。3つと1つだよね」
「うん。ありがとう。今度は、ミルがマヤを鑑定してみて同じ事を教えて」
さて、マヤの隠蔽されているエクストラスキルが見えるのか?
「スキルはないの?え?鑑定が有るはずだよね?」
これで確実になった。
僕の隠蔽と鑑定は、少なくても、ミルが持っている隠蔽と鑑定とは違うのだろう。鑑定は、なんとなくそう思っていたが、隠蔽まで別物だとは思わなかった。
さて、これで、重久たちに協力する事ができるな。
宿屋は、朝早くに出た。
そして、フェムの店によって、今日一日用事があると告げてから、門に急いだ。僕が遅れるわけには行かない。凛くんを待たせる訳にはいかない。
よかった。
まだ来ていない。来ないかも知れない。でも、このアドラの”ゲーム”の意味がわからないとは思えない。21人のサバイバルではない。凛くんの奪い合いになるのは間違いない。茂手木くんというジョーカーが居る。でも、僕が知っている事実。これが多分重要な意味を持ってくる。
重久さんや中里さんの言葉が正しければ、これは凛くんが中心になるように考えられている。
二人が覚えていた、男子の名前を聞いたときに、全身の血が沸騰するかと思った。凛くんに仇なす者と思っていたが、本当に”仇”だとは思わなかった。
立花肇/山崎徹/西沢祐太/冴木武夫/川島茂/橋本芳雄/加藤恵一/三塚浩市/細田博行/森中定和
美和さんの報告書を呼んでから、頭から離れない名前だ。
偶然にしては出来すぎている。立花と山崎が混じっていたのは認識していた。全員が、凛くんの弟さんの”事件”の関係者だとは思わなかった。そして、凛くんの両親と、僕の両親の”死の原因”を作った奴ら。
まだ、僕はこの事実を、凛くんに告げる勇気がない。告げていいのかわからない。
マヤさん?
向こうから歩いてきているのは、確かに、凛くんと一緒に居た女の子。妹と言っていた。
僕をまっすぐ見ている。凛くんが、女の子だけで、危ない可能性がある所に送り出すわけがない。でも、間違いなく、僕を見ている。綺麗な目で、まっすぐと・・・。
「ミトナルさん?」
やはり、僕が目的で間違いなかった
「はい。そうです」
「これを見て!」
そう言って出されたのは、僕が凛くんを呼び出すのに使った、羊皮紙だ。
僕の署名の下に、”神埼凛”と書かれていた。涙が出そうだ。
「内容は僕には読めなかった、読んでもらって、全部説明してもらった。カズハさん。貴女は、リンの敵ですか?味方ですか?」
そう言って、マヤさんは後ろに飛んで、腰の短剣に手をかける。
僕は慌てて、両手を上げる。
「僕は、味方・・・ううん。違う。僕は、僕の全部は、彼の物。僕は、彼の役に立ちたい。ただそれだけ、彼の事が好き。でも、彼を求めているわけじゃない」
「そう・・・嘘じゃないよね?」
「うん。僕は、彼のためなら何だってやる。死ねと言われたら、この場で死んでもいい。だから、お願い」
ダメ。涙が出てくる。こらえないと、僕は、泣いていい立場じゃない。
「今は信じる。でも、裏切ったら殺す。どんな些細な事でも傷つけたら殺す」
「それでいい。僕の命を彼に預ける」
マヤさんから急に、握手を求められた。
ステータスの確認をしたいのだろうか?僕は、迷わず、マヤさんから差し出された手をにぎる。僕は、ステータスの確認はしない。マヤさんからしてもいいと言われるまで・・・。
マヤさんから手を離してくれた。合格だったのだろうか?
すごく可愛い笑顔を向けられた。
「わかった。ついてきて、待っている」
マヤさんは、僕の少し前を歩く、僕は、それに着いていく状態だ。
「ミトナルさん。そう言えば、僕の名前言っていなかったね」
「えぇ」
「僕は、マヤ。マヤ=フリークス・テルメン。リン=フリークス・テルメンの義理の妹」
え?義理?
「義理?」
マヤさんが、横に並んでくる。
「そ、だから、結婚もできるし、子供作れる!」
あっそうか、僕の事を・・・。
「大丈夫。僕は、彼の彼女じゃない。彼が僕を求めたら従う。でも、僕から、彼を求める事はない。してはダメ」
緊張している。
「・・・そう・・・わかった。こっちだよ。あっ僕の事は、マヤって呼んでね。呼び捨てにして」
「うん。僕の事は、ミルと呼んで。親しい人は、そう呼んでいた」
「わか・・・ん。”呼んでいた”?」
「うん。両親・・・だけじゃなくて、僕を除く、村人全員。貴族のバカ息子の遊びで殺された。僕は、偶然村に居なくて助かった」
「え?あっごめんなさい」
「ううん。もう・・終わった・・・こと」
「違うの・・・僕・・・なんでもない。でも、ごめんなさい。ミル」
「ありがとう。マヤ」
宿屋にたどり着いた。
凛くんの部屋は知っている。そこまでまっすぐに向かった。
「リン。連れてきたよ」
「え?あっありがとう。入って」
部屋に入った。
そこには、何も変わらない笑顔でこちらを見ている。僕の初恋の人。
僕の両親が、彼の両親を奪った。
ダメ。泣いちゃダメ。でも、意識とは別に、涙が溢れてくる。
/*** リン=フリークス・マノーラ ***/
マヤがいい出した事だ。
自分が、和葉。ミトナルを連れてくるから、宿屋で待っていて欲しいと・・・。
マヤが部屋から出ていって、20分くらいが経った頃だろうか?
「リン。連れてきたよ」
すごく緊張してしまっている。
声が上ずっていないといい。
「え?あっありがとう。入って」
それだけは言えた。
ドアが開けられて、先に、マヤが入ってくる。身長は、マヤより少し低いだろうか。青い髪の毛をすごく綺麗にまとめている。綺麗な黒目が僕を捕らえている。マヤは、可愛いという表現がぴったりだが、和葉・・・ミトナルは、綺麗で、美人という表現が合っている。
僕を見て、目をそらさない。
左目から、一筋の涙が流れている。それから、右目からも決壊するように涙が流れ出ている。
「和葉さん?」
「あっごめん。凛くん。鵜木和葉。こちらでは、ミトナル=セラミレラ・アカマース。ミルと呼んで欲しい」
「そうだね。僕は、リン=フリークス・テルメン。神崎凛です」
次の言葉が出てこない。
「リンも、ミルも、とりあえず座ったら?」
「そうだね。ミル。よかったらベッドに座って」
「いいの?」
ミルは、なぜかマヤを見る。マヤもどうぞという動作をする。ミルが、ベッドに座って、僕は、備え付けの椅子に腰を下ろす。マヤは、ミルの近くに座るようだ。
「ミル。情報交換したいけど問題ない?」
「ない。なんでも聞いて」
「え?いいの?」
「もちろん。知っている事は何でも話す。僕は、そのために来た、リンくんに会いたかった」
「あぁそうか、まずは、リンと呼んで、”くん”付けされるの好きじゃない」
「ごめん。”リン”でいい?」
「うん。ありがとう」
さて、まずはどうしよう?
そうだマヤの事を聞かないと・・・
「ミル。マヤが一緒でもいい?」
「僕は問題ない。リンが一緒の方がいいと判断するのなら、一緒でいい」
「わかった。マヤ。悪いけど、下で、飲み物を3つ買ってきて、その後は話に加わってほしい」
「わかった」
マヤにお金を渡した。マヤが部屋から出ていくのを確認してから、ミルに問いかけた
「ミル。白い部屋で、僕に話しかけたよね?なんで?」
「僕は、リンに報いなければならない。だから・・・」
「そう・・・理由は、いずれ教えてくれる?」
「うん。ごめん」
「いいよ。それよりも、アドラがゲート開いてすぐに入ったよね?なんで?」
これが一番疑問だった。
僕に対してなにかあるのなら、安全を確認してから入るべきだったのではないか?行動が矛盾しているように感じていた。
「あの時は、説明できなかった。アドラが言っていた、1秒が1440倍になっている世界だって」
「そうだね」
「僕は、少し考えた。白い部屋が、地球の時間感覚なのか、こっちの世界なのかわからないけど、1秒で1日進む世界に飛び込む」
「うん」
「あの場所で、誰かが先に飛び込んで、それから6分程度躊躇していたら」
「あっそうか!それだけで、一年無駄に過ごしてしまう事になるのだね」
「うん。実際に、僕たちが飛び込んだ、後で、躊躇している皆に、アドラが似たような事を言ったらしい」
「そうか、ありがとう。これで、ミルの事を信用できる」
「え?」
「あと、ミルに聞きたい。きみは、日本に帰りたい?」
少しの沈黙
「僕は、リンが望むのなら、喜んで死ぬ」
「え?」
「あっごめん。今のは忘れて」
「あぁわかった。なぁミル。僕の両親の事故」
表情で解ってしまった。
噂話程度で聞いていた。間違いないだろう。僕は、あの事故は別のなにかが隠されていると思っている。おかしなことだらけなのだ。もしかしたら、ミルが知っているのかも知れない。
「リン。これでよかった?」
マヤが部屋に戻ってきた。
「あっうん。ありがとう。足りた?」
「うん。あれ?何も話していなかったの?」
マヤがなんでそう思ったのかわからないけど、ちょうどよかった。
話を変える丁度いいタイミングだ。
「そうだな。ミル。他の連中は?フェムは、重久だろう?」
「あ・・・うん。僕が、知っているのは、松田さん以外の女子だけ。昨日の段階で、8人揃った。それにリンが加わって9人になる」
「そうか・・・茂手木だけは、早く見つけたいのだけどな」
「え?なんで?茂手木くん?」
僕の考えを述べる。
僕は、地球に、日本に帰るつもりはない。心残りがないとは言えないけど、こっちに残る。マヤがすごく嬉しそうにしているのが印象的だ。
「立花たちは、10人揃うだろうけど、どうせ、数年もしたら、仲間割れしだすだろう?そのときに、女子がまとまっていれば、女子の誰かがトップになれる可能性がある。そうしたときに、僕をこっちの世界に残してほしいとお願いする事ができる。立花たちにはできない。3人選ぶよりも、2人選ぶ方が、心理的な負担は少ないだろう?気休めだろうけどね」
「そうだね。3人選ぶよりも、1人を選ぶほうがいいだろうね」
「ミル?」
「うん。僕も、こっちに残るつもり。あっちの世界に未練は・・・ない」
「そうか・・・それで、重久たちは何をしようとしているの?」
「え?”ギルド”を作ると言っていた」
「へぇギルドかぁ・・確かに、すぐには無理だろうけど、じわじわと効いてくるだろうな。ギルドの代表になれば、名声も得られるだろうからな」
「うん。フェムもそう言っていた。ギルドの代表に”リン”を考えてるみたい」
はぁ?僕を?なんで?
「なんで?僕が?重久や瞳がやればいいのに?」
「うん。でも、”リン”が適任だと言っていた。それよりも・・・いくつか聞きたいけどいい?」
「僕に、答えられる事なら」
「まず、なんで、茂手木くんを見つけ出す必要がある?」
茂手木の能力は過小評価すべきではない。
「一言では難しいし、ひとみや、重久たちは知らないかも知れないけど、茂手木が、多分このサバイバルのジョーカーだと思うよ」
「なんで?」
「ギルドを思いつく重久は、多分、異世界転生者とかが好きかもしれない。茂手木は、生粋のオタクで、知識が豊富というのはもちろん、中二病を患っていて、自分が異世界転生した時のために、余計な知識を大量に詰め込んでいる」
「は?」
「そうなるよね。多分、あいつ以上に、異世界に来て喜んでいる奴はいないと思うよ」
「・・・それで?」
「あぁミルは、砂糖の作り方や、塩・・・海水や塩湖からの作り方や、にがりのとり方、メイプルシロップの作り方や、味噌/醤油/日本酒やどぶろくの作り方知っている?ビールやウィスキーや他の蒸留酒の作り方は?小麦粉や薄力粉の作り方は?重久や瞳がいれば料理をするだろうけど、そのための包丁や調味料の調達は?あと、定番物とか言っていたけど、ポンプや馬車改良のためのサスペンションとか、できるかわからないけど、ボールペアリングとか、キャスターとか、水車の作り方とかも書いていたな」
「・・・それを、全部、茂手木くんが?」
「そうだよ。立花たちに見つかる前に確保すべきだと思わない?」
「たしかに・・・」
「でも、見つける事ができれば、釣るのはそれほど難しくはないと思うよ」
「どうして?」
「エルフや猫耳・犬耳の獣人族をあてがえば、縛れると思うからね」
「・・・わかった。もう一つ、リンは真命が違うのはなぜ?」
僕もそれは気になっていた。
みんなはなぜ真命を変えていないのか?
最初は、皆と合流するためだと思っていたが、そうでもなさそうだ。
「ミルの”隠蔽”ではできないの?」
「うん。昨日やってみたけど、できなかった」
「そう・・・そうだ。ミル。僕を鑑定してみて、僕のステータスやスキルは覚えているよね?それと、僕が”神崎凛”だってわかったのはなぜ?」
「まずは、リンが凛くんだってわかったのは、ジョブとステータスの値、スキルを僕が覚えていたから、真命は違っていたけど、間違いないと思った」
なぜか、マヤがうなずいている。
いつ仲良くなったの?
「え?なんで?」
鑑定したみたいだな。
「鑑定してみてくれた?」
「うん。ジョブも違うし、それに、スキルが?鑑定では見えるはず。たしかに、前は見えた。リンのスキルには、鑑定系と会話というスキルがあった」
「ミル。鑑定していい?」
「もちろん」
真命:鵜木和葉(1)
ジョブ:魔法剣士
体力:240
魔力:320
腕力:180
敏捷性:190
魅力:100
魔法:青(3)・赤(3)・黄(1)・灰(1)・黒(2)
スキル:隠蔽、(隠蔽)魔法の吸収、(隠蔽)剣技の吸収
ユニークスキル:(隠蔽)鑑定
隠蔽されているスキルを見る事ができる。
「ミル。マヤに鑑定させてもいい?」
「いいです。マヤは、リンと同じ」
「マヤ。ミルを鑑定して、スキルとユニークスキルの数を教えて」
「わかった」
マヤがミルを見ている。
正直美少女二人が並んでいる眼福である。
「リン。3つと1つだよね」
「うん。ありがとう。今度は、ミルがマヤを鑑定してみて同じ事を教えて」
さて、マヤの隠蔽されているエクストラスキルが見えるのか?
「スキルはないの?え?鑑定が有るはずだよね?」
これで確実になった。
僕の隠蔽と鑑定は、少なくても、ミルが持っている隠蔽と鑑定とは違うのだろう。鑑定は、なんとなくそう思っていたが、隠蔽まで別物だとは思わなかった。
さて、これで、重久たちに協力する事ができるな。
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そんな相棒とともに、制限速度がなく、俺以外トラックなんて持っていない。
俺は、異世界=レールテを気ままに爆走する。
レールテの物流は俺に任せろ!
注)作者が楽しむ為に書いています。
作者はトラック運転手ではありません。描写・名称などおかしな所があると思います。ご容赦下さい。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第、直していきますが、更新はまとめてになると思います。
誤字脱字、表現がおかしいなどのご指摘はすごく嬉しいです。
アルファポリスで先行(数話)で公開していきます。
異世界のリサイクルガチャスキルで伝説作ります!?~無能領主の開拓記~
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ガルフ・ライクドは領主である父親の死後、領地を受け継ぐ事になった。
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隣の領地の侵略、魔王軍の活性化等、問題が発生し。
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※他サイト様にても投稿しています。
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番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
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初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
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