3 / 178
序章
第三話 新たな戦場^H^H職場
しおりを挟む
真辺は、大通りを歩いて移動した。
約束している鉄板焼屋は、すこし高級な店で、スポンサーが居る時でないと使う事はない。
篠原との会合ではよく使われる店なので、”いつもの店”と云ういい方になっている。
店の重厚なドアを開けて入ると、肉が焼ける、いいにおいが漂ってくる。
「19時に篠原の名前で予約されていると思います」
真辺が出迎えた店長にそう告げる。
「伺っております。どうぞこちらへ」
店長が案内したのは、いつものテーブル席ではなく、奥にある個室だ。
(ほぉ・・・よほど太い客なのか?)
「こちらです。何かお飲み物をお持ちしましょうか?」
「あぁ全員揃ってからお願いします」
「かしこまりました」
店長が出ていってから、席を見回すと、まだ誰も来ていないようだ。
テーブル席になっていて、手前に鉄板がセットされている。
客がわからないので、一番の下座に座って待っている事にする。
全部で5名の様だ。こちらは、真辺と篠原だけで、先方が3名なのだろう。上座の方に、3つセットされている。
19時をすこし回った時に、ドアがノックされた。
先程案内した店長が入ってきて、待ち合わせの人たちが着いたと知らせてくれた。
立ち上がって、迎い入れる。
(篠原の旦那は遅刻か?)
先頭で篠原が入ってくる。その後に、前の会社の同僚だった片桐が入ってきた。
その後に、片桐の上司と思われる人間とシステム屋特有の匂いがしない人物が入ってくる。
(もしかして、ドクターか?)
座席に着いてから、ドリンクを注文した。
料理はコースを頼んであるようだ。コースの説明と苦手な物がるか聞いてくれている。苦手な物があれば別の物に変えてくれるようだ。オーダを終えて、座席に着いた
篠原が仕切るようだ
「松本先生。本日はありがとうございます。弊社の真辺です。」
「はじめまして、真辺といいます。」
それから、各々挨拶をする。
やはり、SIer案件の様だ。片桐は前の会社を退職して、自分で会社を興したようだ。そこで、世話になった人が隣に座っている大手SIerの白鳥の様だ。片桐の話は、今度ゆっくり聞く事にして、仕事の話に入る事になった。食事をしながら、大まかな話を聞いて、食事後に依頼内容の確認をする事になった。篠原と片桐が、やけに真辺を持ち上げるのが気になって仕方がなかった。こういう時の仕事は、何か裏がある場合が多い。予算的な問題だったり、納期的な問題だったり、その両方だったり・・・。面倒な話になる事は、この時点で確定した。
本来なら美味しいはずの、黒毛和牛200gのコースが美味しく感じない。ドリンク込みで約2万円/人が無駄に消費される。
コースも最後のデザートが出てきた。
食後のドリンクを頼んだ。
「それで、真辺部長には、全体を見ていただきたい。」
「全体とは?」
食事中の話から、松本先生と呼ばれて居た人物は、やはりドクターだった。
ドクターと言っても、経営をメインにやっている人物だ。
そして、10月から開業する医療施設付きの介護老人ホーム 及び 知的障害児者施設 及び 幼保育園 及び 出張介護マッサージ事業 のオーナでもある。
なんとも統一性のない複合施設だが、その出張介護マッサージ事業のシステムとWebサイトを片桐が行っている。その他のシステムをSIerが請け負っていて、幾つかのメーカに入札を行わせているという話だ。
基本的にはパッケージを導入して、運営しながらカスタマイズをしていく事を考えている。そう、SIerは説明していた。危ないなぁ10月カットオーバでまだメーカも決まっていない。
会計システムは一つにするつもりだろうけど・・・従業員の教育や接続を考えたら、もうギリギリだな。
それでも、SIerは大見得を切っているようだ。6月から、建設中の病院や施設に入られるようになるので、それまでにパッケージを決めて、6月はじめから導入を開始すると言うことだ。
6月から集まったメーカや開発会社の取りまとめをやってほしいという事だ。
本来なら、SIerがやれば美味しい話だが、SIerはハードウェアとネットワークを担当する。”その為に、全体のまとめをする人員をさけない”という、言い分だ。
明らかにおかしい。返事を保留したい案件である。
真辺と篠原は、ハンドサインを決めてある。実際に、営業中に、即答を求められる事もある為だ。
返事を保留したいときには、両手をテーブルの上に載せて、両手の指を絡めるようにする。
OKの場合には、右手だけをテーブルの上に出す。
NGの場合には、左手をテーブルの上に出して、テーブルをコツコツと叩く。
真辺は、保留のサインを出した。篠原からは受諾のサインが返された
「松本先生。白鳥部長。なにか、資料などがございましたら、検討してお返事を差し上げたいと思います」
「篠原さん。返事はいつ貰えるのですか?」
「はい。見積もりと合わせるのでしたら、1週間程度は頂きたい」
「・・・解りました。1週間ですか?なる早でお願いします。松本先生。よろしいですか?」
「あぁ・・・・そうだ、真辺さん。よろしかったら、一度病院に遊びに来て下さい。そうしたら、詳細な説明も出来ます」
「あっありがとうございます。あいにく、すこし予定が有りまして、即答出来ませんが、後日予定を調整いたしまして、お伺いしたいと思います」
「真辺さん。うちの会社にも寄って下さい。そこで説明できる人間を紹介致します」
「わかりました。先程話した通り、予定を調整しなければならないので、篠原から返事を差し上げる事になると思います」
「解りました。お返事お待ちしております」
この後は、すこし雑談をしてから、篠原は松本と白鳥を連れて夜の街に消えていった。
「片桐。すこし付き合えよ。聞きたい事が山ほどある。」
「・・・あぁわかった。」
真辺は、片桐を伴って、いつも部下たちと行く居酒屋に入った。
ここは、個人がやっているが、味もいいし、酒のセンスもいい。それに、小さな個室から大きな個室まであるので、よく使っている。
店に電話をかけて、個室の状況を聞いた。幸いにも、個室が空いているという返事をもらったので、”今から行く”とだけ連絡した。
「いらっしゃい。ナベさん。いつもの個室に、ボトル置いてあります。お通しは要らないですよね。串を適当でいいのだよね」
「あぁそれで頼む。」
「お連れの方の飲み方は?」
「あ。俺は、何かノンアルコールを」
「あっ解りました、ウーロン茶でよければ、セットで置いてあります。」
「あっそれじゃそれもらいます。」
店に入って2分で注文が終わった。
真辺が好きで頼む物は店側も把握しているので、何もいわないで『いつもの物』が出てくる。
この店の常連である真辺は、部下達も気楽に使わせている。
真辺は、高給取りだが、金の使いみちが多いわけじゃない。唯一の家族をなくしてからは、夕飯もここで済ます事が多くなっている。
支払いが面倒になって、店長にまとまった金額を預けるようにしている。信頼していると言えば聞こえがいいが、裏切られたらそれはそれと思っている所がある。
ボトルも部下たちが勝手に飲んで新しい物を入れる時に、そのデポジットから引かれるようになっている。昼のランチも始めてくれて、昼と夕飯をここで食べるようになっている。
「片桐。話せよ。何が問題だ?」
手酌でウーロンハイを作りながら真辺は”ド直球”で聞いた。
「・・・なんの事だ」
「今更隠すなよ。急に、俺の事を思い出して、美味しい仕事をくれるほど、俺とお前は仲が良かったわけじゃないよな」
「・・・。あぁそうだな。お前の話は、高橋さんから聞いた」
「そうか、半年位の前の案件で、高橋さんの所から人が入ってきたな」
「そうだ、俺もこの仕事を受けてから、誰か居ないかと思って、高橋さんに話をしたら、お前の話が出てきて、篠原さんも一緒だって云うから、連絡した」
「経緯はわかった。それで、”なんで”俺に話を持ってきた?今の口ぶりだと、高橋さんに断られているのだろう?」
「あぁ考えても見ろよ。電子カルテが解って、医事会計が解って、ネットワークやハードウェアの事が解って、医療機器の接続が解って、施設運営や老人ホームや給食の事が解る人間なんて居ないぞ」
「別に、俺が全部に精通しているわけじゃない」
「それでも、お前なら、全部の担当と話ができるだろう?」
「ある程度は・・・な。システム構築した経験はあるからな」
「頼む。受けてくれ」
片桐は、テーブルに擦れるくらいに頭を下げた。
「頭上げろよ。だから、どうしてだ?まだ始まっていないプロジェクトなのだろう?」
「・・・」
「違うのか・・・あぁそうか、そういう事か・・・事故物件なのだな?」
「・・・そうだ。連続しているのは、俺だけだ」
「SIerは知っているのか?」
「・・・・あいつらが問題で、元々は、あいつらの別部署が訪問介護マッサージとWebサイト以外を担当するはずだった」
「ほぉそれにしては、根を上げるのが早くないか?」
「・・・・。ナベ。黙っていてくれるか?」
「あぁ・・・出来る限りでな」
「そうか、なるべくなら黙っていて欲しいが・・・」
片桐が話すのはよくある話だ。
大手SIerが受注した案件を子会社丸投げする。そして、子会社がシステム会社に自社案件として仕事を流す。そして、システム会社は、派遣から人を集めて体裁を整える。
業務知識もないままに”言語知識”と”経験”だけの人間が集まる。最初の頃は期間もあるから、集まった人間にも余裕がある。余裕があるからある程度の業務知識の吸収もできる。作成を始めると、当初の予定より、人手が必要な状況になってくる。これは、業務知識がない人間を担当者にしてしまった事の問題が出てくる。
この辺りで客に説明すれば、被害は部分的な物になる。しかし、SIerの子会社は、自社の失点になる事を恐れて、それをシステム会社に責任転嫁する。
要求が増えていく中、システム会社は人の補充が出来ないまま時間だけが過ぎていく。派遣で来ている人間への支払いも難しい状況になるのに、それほど時間は必要としない。
資金ショートが目に見えている。数年にも渡るシステム開発は確かに大手には美味しい案件だが、小規模のシステム会社では社運をかけるほどの物だ。
そして、資金ショートしてしまった、システム会社は回収が出来ない状態で、飛んでしまう。
慌てるのは、子会社だ。今まで、丸投げされた子会社は、客への報告を行っているが、システム屋特有の言い回しでごまかしてきていた。
子会社は、飛んでしまったシステム会社の変わりを探し始める。これは、時間との勝負だ。業界は、広いようで狭い。どこで人が繋がっているか解らない。子会社は、今まで支払った金額や自社で溶かした金額を覗いた金額で受注できる会社を探すが、そんな会社は存在しない。そこで改めて、機能を細分化して、切り売りを始める。
最初に見つかったのが、『出張介護マッサージ』のパッケージを作っていた。片桐の会社だった。
片桐は、パッケージを導入するだけなら協力するという約束で参加をした。
子会社にパッケージを導入して終わりだと思っていた。しかし、質問という形の要望が大量に届けられる。契約と違うと怒鳴り込む事も出来たが、受け取った金はすでに溶かしてしまっていた。
渋々、追加料金を貰って、要望に答える事にした。その時に、子会社から親会社を紹介された。子会社は、これで面子が保たれた・・・かに、思えた。
しかし、片桐の所で出来るのは、一つの機能のみ。それもパッケージがあるだけで、顧客の要望を全面的に満足させる事が出来る物ではない。
親会社は慌てて、自社に居る人間たちを集めて自社開発をする事になった。出張介護マッサージ事業以外の部分を・・・・で、ある。
子会社と親会社は、片桐の会社がシステム開発を担当していると説明した。間違いではないが、正解ではない。これも、システム屋独特の言い回しで客に錯覚させた。
客の方にもまったく非がなかったわけじゃない。窓口になった人間が、子会社にリベートを要求していたのだ。
子会社は、この時点で親会社に訴えていれば、ここまで酷くはならなかっただろうが、要求されたリベートの支払いに応じてしまったのだ。
そして、片桐の会社が入った事に寄って、システムの一部が動き出したのがとどめになった。
『出張介護マッサージ』の部分は元々パッケージなので、完成度も高い。事業に適さない部分もあったが、改修すれば、運営対応で、回避できるレベルの物だ。
客もすこしは安心する事になった。しかし、『出張介護マッサージ』以外の部分を見せる事が出来ないでいる。ハードウェアの選定もまだ出来ていない。そんな状況が続いた事によって、客から親会社と子会社を飛ばして、片桐の所に連絡が入った。
客が怒鳴り込んでくるという状況になったのだ。片桐としては、『出張介護マッサージ』は自分達が担当しているが、他は親会社と子会社が担当しているから、知らないと説明するしかない。
言ってはダメだろうとは思っていたが、そうとしか客を説得する方法はなかった。
その後、客は片桐を伴って、子会社に乗り込む。その後で、親会社に乗り込む。
4社揃っての協議にはなったが、幸いな事にその時には期間がまだ残されていた。片桐の所の様な成功事例がある事から、親会社はトップに近い人間が謝罪して、自分の所仕切りで、パッケージを集めて開業までには間に合わせますという話で落ち着かせた。内部的には、子会社の部署がまるまる飛ばされて、副社長や役員連中の首が飛んだ。片桐は、この時点でシステム料金を貰って撤退すべきだったのだ。
損切りが出来ない懐事情も有ったのだろう。撤退時期を見誤った。
この時点で、この案件は”事故物件”となっている。
SIerは、"生贄の羊”を探していたのだ。
「ナベ。頼む」
「・・・・」
真辺は、正直気乗りはしない。気乗りどころか、断る方向で気持ちが動いている。
「ナベ」
「うちの馬鹿どもがどうするかだな・・・。開発が必要になったら、お前の所か、SIerが担当するよな?」
「あぁ多分白鳥さんの所が担当する」
「お前と白鳥さんの関係は?」
「会社を興したばかりの時に、金を借りた」
「返したのだろう?」
「もちろんだ!でも、そのときの恩義があるから、俺は降りられない」
「そうか・・・今、お前の所の清算はどうなっているのだ?」
「あぁ3ヶ月まとめだ」
「末締め翌10日払いとかに出来るか?」
「俺の所と契約なら無理だ。白鳥さんの所なら交渉次第だと思う」
「わかった」
「受けてくれるか?」
「わからん。部下の意見も聞かないと答えられない。全員で行く必要はないだろうが、資料を見てからだな」
「そうか・・・。悪いな」
「いい。ここ。お前が持てよな」
「あぁわかった」
それから、すこしだけ昔話しと近況報告をしてから別れた。
翌朝。
パソコンを見ると篠原からメールが来ていた。
資料一式が会社のサーバに入れてあるとの事だ。
面倒だとは思ったが、VPNで接続してRDTに接続し、サーバのファイルを閲覧する。
経緯説明はなく今入札をしている企業や技術の説明。それから、松本先生の略歴や建設予定の施設の紹介がされていた。
そして、入札をしているパッケージを持つ企業から出ている資料が大量に存在していた。
(こりゃ無理だ。RDTじゃ見難い。しょうがない。会社に行くか・・・。)
ラフな格好に着替えて、会社に向かった。
すでに朝という時間帯ではない上に、別に長々と会社に居るわけではないので、車を走らせる事にした。
昼すこし前に会社に着いた。
自分のデスクのパソコンでファイルを閲覧する。
想像以上に何も考えていないのが解る。入札されているシステムを見ると、動くOSだけじゃなく、求めるDBが違っているし、連携の方法も違っている。
多分、これ値段が安い奴を導入するつもりだぞ。クラサバのシステムもあれば、Webシステムもある。DBを使わないで、ファイル共有を使う物まである。
求めるスペックが違いすぎる。どれを採用しても、繋ぐ事を考えれば、かなりチグハグなシステムになってしまう。
(片桐には悪いけど、こりゃ無理だな。断ろう。)
真辺は、一応体裁を整えるために、現状の分析を簡単にしてから、篠原に”無理”とメールした。
メールの送信を行った瞬間にデスクの電話がなった。
社内のシステムでは、真辺がデスクに居る事が解るようになっている。篠原なら、電話ではなく足を運ぶだろうと思ったが、電話に出る。
「おぉナベ。悪いな」
「いえ、それで無理ですよ」
「あぁ俺もそう思って、上に昨日の段階で難しい旨を伝えた」
「・・・そうですか、ありがとうございます」
「帰るのか?」
「はい。そのつもりです」
「すこし付き合え、昼飯位おごってやる」
「解りました。今は混んでいると思うので、13時にいつもの居酒屋に行きます」
「あぁ解った」
真辺は片付けをしてから、外にでた。社内居ると碌な事にならないのは経験で解っている。
それに、今は休暇中なのだ。駐車場の料金がすこし気になるが、まぁしょうがない。本屋で時間を潰してから、居酒屋に移動した
「あ、いらっしゃい。ナベさん。篠原さん来ていますよ」
「あぁありがとう。俺、いつものね」
「はい。ナベさんスペシャル。あっ!”のどぐろ”が有るけどどうする?」
「あぁ刺し身で頼む」
「はいよ。”のどぐろ”追加で」
普通の刺し身定食だが、真辺が貝類や甲殻類が食べられないので、白身の魚を増やした定食だ。後、"もりそば”が付く。
それで、980円。昼飯としては高いが、満足する物だ。
「篠原の旦那」
「・・・あぁナベ。すまん。やられた」
「どうしたのですか?」
「白鳥の野郎。副社長に握らせやがった」
「はぁ?」
約束している鉄板焼屋は、すこし高級な店で、スポンサーが居る時でないと使う事はない。
篠原との会合ではよく使われる店なので、”いつもの店”と云ういい方になっている。
店の重厚なドアを開けて入ると、肉が焼ける、いいにおいが漂ってくる。
「19時に篠原の名前で予約されていると思います」
真辺が出迎えた店長にそう告げる。
「伺っております。どうぞこちらへ」
店長が案内したのは、いつものテーブル席ではなく、奥にある個室だ。
(ほぉ・・・よほど太い客なのか?)
「こちらです。何かお飲み物をお持ちしましょうか?」
「あぁ全員揃ってからお願いします」
「かしこまりました」
店長が出ていってから、席を見回すと、まだ誰も来ていないようだ。
テーブル席になっていて、手前に鉄板がセットされている。
客がわからないので、一番の下座に座って待っている事にする。
全部で5名の様だ。こちらは、真辺と篠原だけで、先方が3名なのだろう。上座の方に、3つセットされている。
19時をすこし回った時に、ドアがノックされた。
先程案内した店長が入ってきて、待ち合わせの人たちが着いたと知らせてくれた。
立ち上がって、迎い入れる。
(篠原の旦那は遅刻か?)
先頭で篠原が入ってくる。その後に、前の会社の同僚だった片桐が入ってきた。
その後に、片桐の上司と思われる人間とシステム屋特有の匂いがしない人物が入ってくる。
(もしかして、ドクターか?)
座席に着いてから、ドリンクを注文した。
料理はコースを頼んであるようだ。コースの説明と苦手な物がるか聞いてくれている。苦手な物があれば別の物に変えてくれるようだ。オーダを終えて、座席に着いた
篠原が仕切るようだ
「松本先生。本日はありがとうございます。弊社の真辺です。」
「はじめまして、真辺といいます。」
それから、各々挨拶をする。
やはり、SIer案件の様だ。片桐は前の会社を退職して、自分で会社を興したようだ。そこで、世話になった人が隣に座っている大手SIerの白鳥の様だ。片桐の話は、今度ゆっくり聞く事にして、仕事の話に入る事になった。食事をしながら、大まかな話を聞いて、食事後に依頼内容の確認をする事になった。篠原と片桐が、やけに真辺を持ち上げるのが気になって仕方がなかった。こういう時の仕事は、何か裏がある場合が多い。予算的な問題だったり、納期的な問題だったり、その両方だったり・・・。面倒な話になる事は、この時点で確定した。
本来なら美味しいはずの、黒毛和牛200gのコースが美味しく感じない。ドリンク込みで約2万円/人が無駄に消費される。
コースも最後のデザートが出てきた。
食後のドリンクを頼んだ。
「それで、真辺部長には、全体を見ていただきたい。」
「全体とは?」
食事中の話から、松本先生と呼ばれて居た人物は、やはりドクターだった。
ドクターと言っても、経営をメインにやっている人物だ。
そして、10月から開業する医療施設付きの介護老人ホーム 及び 知的障害児者施設 及び 幼保育園 及び 出張介護マッサージ事業 のオーナでもある。
なんとも統一性のない複合施設だが、その出張介護マッサージ事業のシステムとWebサイトを片桐が行っている。その他のシステムをSIerが請け負っていて、幾つかのメーカに入札を行わせているという話だ。
基本的にはパッケージを導入して、運営しながらカスタマイズをしていく事を考えている。そう、SIerは説明していた。危ないなぁ10月カットオーバでまだメーカも決まっていない。
会計システムは一つにするつもりだろうけど・・・従業員の教育や接続を考えたら、もうギリギリだな。
それでも、SIerは大見得を切っているようだ。6月から、建設中の病院や施設に入られるようになるので、それまでにパッケージを決めて、6月はじめから導入を開始すると言うことだ。
6月から集まったメーカや開発会社の取りまとめをやってほしいという事だ。
本来なら、SIerがやれば美味しい話だが、SIerはハードウェアとネットワークを担当する。”その為に、全体のまとめをする人員をさけない”という、言い分だ。
明らかにおかしい。返事を保留したい案件である。
真辺と篠原は、ハンドサインを決めてある。実際に、営業中に、即答を求められる事もある為だ。
返事を保留したいときには、両手をテーブルの上に載せて、両手の指を絡めるようにする。
OKの場合には、右手だけをテーブルの上に出す。
NGの場合には、左手をテーブルの上に出して、テーブルをコツコツと叩く。
真辺は、保留のサインを出した。篠原からは受諾のサインが返された
「松本先生。白鳥部長。なにか、資料などがございましたら、検討してお返事を差し上げたいと思います」
「篠原さん。返事はいつ貰えるのですか?」
「はい。見積もりと合わせるのでしたら、1週間程度は頂きたい」
「・・・解りました。1週間ですか?なる早でお願いします。松本先生。よろしいですか?」
「あぁ・・・・そうだ、真辺さん。よろしかったら、一度病院に遊びに来て下さい。そうしたら、詳細な説明も出来ます」
「あっありがとうございます。あいにく、すこし予定が有りまして、即答出来ませんが、後日予定を調整いたしまして、お伺いしたいと思います」
「真辺さん。うちの会社にも寄って下さい。そこで説明できる人間を紹介致します」
「わかりました。先程話した通り、予定を調整しなければならないので、篠原から返事を差し上げる事になると思います」
「解りました。お返事お待ちしております」
この後は、すこし雑談をしてから、篠原は松本と白鳥を連れて夜の街に消えていった。
「片桐。すこし付き合えよ。聞きたい事が山ほどある。」
「・・・あぁわかった。」
真辺は、片桐を伴って、いつも部下たちと行く居酒屋に入った。
ここは、個人がやっているが、味もいいし、酒のセンスもいい。それに、小さな個室から大きな個室まであるので、よく使っている。
店に電話をかけて、個室の状況を聞いた。幸いにも、個室が空いているという返事をもらったので、”今から行く”とだけ連絡した。
「いらっしゃい。ナベさん。いつもの個室に、ボトル置いてあります。お通しは要らないですよね。串を適当でいいのだよね」
「あぁそれで頼む。」
「お連れの方の飲み方は?」
「あ。俺は、何かノンアルコールを」
「あっ解りました、ウーロン茶でよければ、セットで置いてあります。」
「あっそれじゃそれもらいます。」
店に入って2分で注文が終わった。
真辺が好きで頼む物は店側も把握しているので、何もいわないで『いつもの物』が出てくる。
この店の常連である真辺は、部下達も気楽に使わせている。
真辺は、高給取りだが、金の使いみちが多いわけじゃない。唯一の家族をなくしてからは、夕飯もここで済ます事が多くなっている。
支払いが面倒になって、店長にまとまった金額を預けるようにしている。信頼していると言えば聞こえがいいが、裏切られたらそれはそれと思っている所がある。
ボトルも部下たちが勝手に飲んで新しい物を入れる時に、そのデポジットから引かれるようになっている。昼のランチも始めてくれて、昼と夕飯をここで食べるようになっている。
「片桐。話せよ。何が問題だ?」
手酌でウーロンハイを作りながら真辺は”ド直球”で聞いた。
「・・・なんの事だ」
「今更隠すなよ。急に、俺の事を思い出して、美味しい仕事をくれるほど、俺とお前は仲が良かったわけじゃないよな」
「・・・。あぁそうだな。お前の話は、高橋さんから聞いた」
「そうか、半年位の前の案件で、高橋さんの所から人が入ってきたな」
「そうだ、俺もこの仕事を受けてから、誰か居ないかと思って、高橋さんに話をしたら、お前の話が出てきて、篠原さんも一緒だって云うから、連絡した」
「経緯はわかった。それで、”なんで”俺に話を持ってきた?今の口ぶりだと、高橋さんに断られているのだろう?」
「あぁ考えても見ろよ。電子カルテが解って、医事会計が解って、ネットワークやハードウェアの事が解って、医療機器の接続が解って、施設運営や老人ホームや給食の事が解る人間なんて居ないぞ」
「別に、俺が全部に精通しているわけじゃない」
「それでも、お前なら、全部の担当と話ができるだろう?」
「ある程度は・・・な。システム構築した経験はあるからな」
「頼む。受けてくれ」
片桐は、テーブルに擦れるくらいに頭を下げた。
「頭上げろよ。だから、どうしてだ?まだ始まっていないプロジェクトなのだろう?」
「・・・」
「違うのか・・・あぁそうか、そういう事か・・・事故物件なのだな?」
「・・・そうだ。連続しているのは、俺だけだ」
「SIerは知っているのか?」
「・・・・あいつらが問題で、元々は、あいつらの別部署が訪問介護マッサージとWebサイト以外を担当するはずだった」
「ほぉそれにしては、根を上げるのが早くないか?」
「・・・・。ナベ。黙っていてくれるか?」
「あぁ・・・出来る限りでな」
「そうか、なるべくなら黙っていて欲しいが・・・」
片桐が話すのはよくある話だ。
大手SIerが受注した案件を子会社丸投げする。そして、子会社がシステム会社に自社案件として仕事を流す。そして、システム会社は、派遣から人を集めて体裁を整える。
業務知識もないままに”言語知識”と”経験”だけの人間が集まる。最初の頃は期間もあるから、集まった人間にも余裕がある。余裕があるからある程度の業務知識の吸収もできる。作成を始めると、当初の予定より、人手が必要な状況になってくる。これは、業務知識がない人間を担当者にしてしまった事の問題が出てくる。
この辺りで客に説明すれば、被害は部分的な物になる。しかし、SIerの子会社は、自社の失点になる事を恐れて、それをシステム会社に責任転嫁する。
要求が増えていく中、システム会社は人の補充が出来ないまま時間だけが過ぎていく。派遣で来ている人間への支払いも難しい状況になるのに、それほど時間は必要としない。
資金ショートが目に見えている。数年にも渡るシステム開発は確かに大手には美味しい案件だが、小規模のシステム会社では社運をかけるほどの物だ。
そして、資金ショートしてしまった、システム会社は回収が出来ない状態で、飛んでしまう。
慌てるのは、子会社だ。今まで、丸投げされた子会社は、客への報告を行っているが、システム屋特有の言い回しでごまかしてきていた。
子会社は、飛んでしまったシステム会社の変わりを探し始める。これは、時間との勝負だ。業界は、広いようで狭い。どこで人が繋がっているか解らない。子会社は、今まで支払った金額や自社で溶かした金額を覗いた金額で受注できる会社を探すが、そんな会社は存在しない。そこで改めて、機能を細分化して、切り売りを始める。
最初に見つかったのが、『出張介護マッサージ』のパッケージを作っていた。片桐の会社だった。
片桐は、パッケージを導入するだけなら協力するという約束で参加をした。
子会社にパッケージを導入して終わりだと思っていた。しかし、質問という形の要望が大量に届けられる。契約と違うと怒鳴り込む事も出来たが、受け取った金はすでに溶かしてしまっていた。
渋々、追加料金を貰って、要望に答える事にした。その時に、子会社から親会社を紹介された。子会社は、これで面子が保たれた・・・かに、思えた。
しかし、片桐の所で出来るのは、一つの機能のみ。それもパッケージがあるだけで、顧客の要望を全面的に満足させる事が出来る物ではない。
親会社は慌てて、自社に居る人間たちを集めて自社開発をする事になった。出張介護マッサージ事業以外の部分を・・・・で、ある。
子会社と親会社は、片桐の会社がシステム開発を担当していると説明した。間違いではないが、正解ではない。これも、システム屋独特の言い回しで客に錯覚させた。
客の方にもまったく非がなかったわけじゃない。窓口になった人間が、子会社にリベートを要求していたのだ。
子会社は、この時点で親会社に訴えていれば、ここまで酷くはならなかっただろうが、要求されたリベートの支払いに応じてしまったのだ。
そして、片桐の会社が入った事に寄って、システムの一部が動き出したのがとどめになった。
『出張介護マッサージ』の部分は元々パッケージなので、完成度も高い。事業に適さない部分もあったが、改修すれば、運営対応で、回避できるレベルの物だ。
客もすこしは安心する事になった。しかし、『出張介護マッサージ』以外の部分を見せる事が出来ないでいる。ハードウェアの選定もまだ出来ていない。そんな状況が続いた事によって、客から親会社と子会社を飛ばして、片桐の所に連絡が入った。
客が怒鳴り込んでくるという状況になったのだ。片桐としては、『出張介護マッサージ』は自分達が担当しているが、他は親会社と子会社が担当しているから、知らないと説明するしかない。
言ってはダメだろうとは思っていたが、そうとしか客を説得する方法はなかった。
その後、客は片桐を伴って、子会社に乗り込む。その後で、親会社に乗り込む。
4社揃っての協議にはなったが、幸いな事にその時には期間がまだ残されていた。片桐の所の様な成功事例がある事から、親会社はトップに近い人間が謝罪して、自分の所仕切りで、パッケージを集めて開業までには間に合わせますという話で落ち着かせた。内部的には、子会社の部署がまるまる飛ばされて、副社長や役員連中の首が飛んだ。片桐は、この時点でシステム料金を貰って撤退すべきだったのだ。
損切りが出来ない懐事情も有ったのだろう。撤退時期を見誤った。
この時点で、この案件は”事故物件”となっている。
SIerは、"生贄の羊”を探していたのだ。
「ナベ。頼む」
「・・・・」
真辺は、正直気乗りはしない。気乗りどころか、断る方向で気持ちが動いている。
「ナベ」
「うちの馬鹿どもがどうするかだな・・・。開発が必要になったら、お前の所か、SIerが担当するよな?」
「あぁ多分白鳥さんの所が担当する」
「お前と白鳥さんの関係は?」
「会社を興したばかりの時に、金を借りた」
「返したのだろう?」
「もちろんだ!でも、そのときの恩義があるから、俺は降りられない」
「そうか・・・今、お前の所の清算はどうなっているのだ?」
「あぁ3ヶ月まとめだ」
「末締め翌10日払いとかに出来るか?」
「俺の所と契約なら無理だ。白鳥さんの所なら交渉次第だと思う」
「わかった」
「受けてくれるか?」
「わからん。部下の意見も聞かないと答えられない。全員で行く必要はないだろうが、資料を見てからだな」
「そうか・・・。悪いな」
「いい。ここ。お前が持てよな」
「あぁわかった」
それから、すこしだけ昔話しと近況報告をしてから別れた。
翌朝。
パソコンを見ると篠原からメールが来ていた。
資料一式が会社のサーバに入れてあるとの事だ。
面倒だとは思ったが、VPNで接続してRDTに接続し、サーバのファイルを閲覧する。
経緯説明はなく今入札をしている企業や技術の説明。それから、松本先生の略歴や建設予定の施設の紹介がされていた。
そして、入札をしているパッケージを持つ企業から出ている資料が大量に存在していた。
(こりゃ無理だ。RDTじゃ見難い。しょうがない。会社に行くか・・・。)
ラフな格好に着替えて、会社に向かった。
すでに朝という時間帯ではない上に、別に長々と会社に居るわけではないので、車を走らせる事にした。
昼すこし前に会社に着いた。
自分のデスクのパソコンでファイルを閲覧する。
想像以上に何も考えていないのが解る。入札されているシステムを見ると、動くOSだけじゃなく、求めるDBが違っているし、連携の方法も違っている。
多分、これ値段が安い奴を導入するつもりだぞ。クラサバのシステムもあれば、Webシステムもある。DBを使わないで、ファイル共有を使う物まである。
求めるスペックが違いすぎる。どれを採用しても、繋ぐ事を考えれば、かなりチグハグなシステムになってしまう。
(片桐には悪いけど、こりゃ無理だな。断ろう。)
真辺は、一応体裁を整えるために、現状の分析を簡単にしてから、篠原に”無理”とメールした。
メールの送信を行った瞬間にデスクの電話がなった。
社内のシステムでは、真辺がデスクに居る事が解るようになっている。篠原なら、電話ではなく足を運ぶだろうと思ったが、電話に出る。
「おぉナベ。悪いな」
「いえ、それで無理ですよ」
「あぁ俺もそう思って、上に昨日の段階で難しい旨を伝えた」
「・・・そうですか、ありがとうございます」
「帰るのか?」
「はい。そのつもりです」
「すこし付き合え、昼飯位おごってやる」
「解りました。今は混んでいると思うので、13時にいつもの居酒屋に行きます」
「あぁ解った」
真辺は片付けをしてから、外にでた。社内居ると碌な事にならないのは経験で解っている。
それに、今は休暇中なのだ。駐車場の料金がすこし気になるが、まぁしょうがない。本屋で時間を潰してから、居酒屋に移動した
「あ、いらっしゃい。ナベさん。篠原さん来ていますよ」
「あぁありがとう。俺、いつものね」
「はい。ナベさんスペシャル。あっ!”のどぐろ”が有るけどどうする?」
「あぁ刺し身で頼む」
「はいよ。”のどぐろ”追加で」
普通の刺し身定食だが、真辺が貝類や甲殻類が食べられないので、白身の魚を増やした定食だ。後、"もりそば”が付く。
それで、980円。昼飯としては高いが、満足する物だ。
「篠原の旦那」
「・・・あぁナベ。すまん。やられた」
「どうしたのですか?」
「白鳥の野郎。副社長に握らせやがった」
「はぁ?」
0
お気に入りに追加
306
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~
北きつね
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。
ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。
一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。
ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。
おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。
女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。
パーティ追放が進化の条件?! チートジョブ『道化師』からの成り上がり。
荒井竜馬
ファンタジー
『第16回ファンタジー小説大賞』奨励賞受賞作品
あらすじ
勢いが凄いと話題のS級パーティ『黒龍の牙』。そのパーティに所属していた『道化師見習い』のアイクは突然パーティを追放されてしまう。
しかし、『道化師見習い』の進化条件がパーティから独立をすることだったアイクは、『道化師見習い』から『道化師』に進化する。
道化師としてのジョブを手に入れたアイクは、高いステータスと新たなスキルも手に入れた。
そして、見習いから独立したアイクの元には助手という女の子が現れたり、使い魔と契約をしたりして多くのクエストをこなしていくことに。
追放されて良かった。思わずそう思ってしまうような世界がアイクを待っていた。
成り上がりとざまぁ、後は異世界で少しゆっくりと。そんなファンタジー小説。
ヒロインは6話から登場します。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
転生したので、とりあえず最強を目指してみることにしました。
和麻
ファンタジー
俺はある日、村を故郷を喪った。
家族を喪った。
もう二度と、大切なものを失わないためにも俺は、強くなることを決意する。
そのためには、努力を惜しまない!
まあ、面倒なことになりたくないから影の薄いモブでいたいけど。
なにげに最強キャラを目指そうぜ!
地球で生きていた頃の知識と、転生するときに神様から貰ったチートを生かし、最強を目指します。
主人公は、騎士団に入ったり、学園に入学したり、冒険者になったりします。
とにかく、気の向くままに、いきあたりばったりに書いてるので不定期更新です。
最初シリアスだったのにギャグ要素が濃くなって来ました。
というか登場人物たちが暴走しすぎて迷走中です、、、。
もはや、どうなっていくのか作者にも想像がつかない。
1月25日改稿しました!多少表現が追加されていますが、読まなくても問題ありません。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
これがホントの第2の人生。
神谷 絵馬
ファンタジー
以前より読みやすいように、書き方を変えてみました。
少しずつ編集していきます!
天変地異?...否、幼なじみのハーレム達による嫉妬で、命を落とした?!
私が何をしたっていうのよ?!!
面白そうだから転生してみる??!
冗談じゃない!!
神様の気紛れにより輪廻から外され...。
神様の独断により異世界転生
第2の人生は、ほのぼの生きたい!!
――――――――――
自分の執筆ペースにムラがありすぎるので、1日に1ページの投稿にして、沢山書けた時は予約投稿を使って、翌日に投稿します。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる