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しおりを挟むまずいぞ。こいつがいたらデスハッピーズに行くことはできない。どうすればいい?どうすればいいか考えろ。
「ケインーーー!ジョニーー!」
背後から俺たち二人を呼ぶ声が聞こえた。リサだ。
「ねえねえ、二人とも暇でしょ?カフェに寄っていかない?」
「悪いけど俺は用事があるから。ジョニーと行ってきてくれ」
「ええー…。じゃあジョニー、二人だけで行く?」
「あ、でもケインが…」
「二人で行って来いよ。じゃあな!」
俺はリサとジョニーを置いて走り去った。
正直ジョニーとリサを一緒にするのは気が気じゃない。
だがジョニーさえ始末してしまえばそんなことはもう関係ない。
今すぐデスハッピーズに行って依頼内容を変更しよう。このままでは俺だけでなくリサも巻き込まれるかもしれない。
俺はそのまま全速力でデスハッピーズへ向かった。
デスハッピーズ…確かこの路地裏を曲がったところにあったはずだ。
「あれだ!」
俺はデスハッピーズのドアを開けようとノブを回した。しかしどんなにガチャガチャと動かしても開かない。ふとドア窓に目をやるとプレートがぶらさがっていた。
《☆本日お休み☆みなさん生と死を実感してHappyな一日をお過ごしください♪》
俺は絶望した。人の死を取り扱っているくせに休みを取るなんてなんて無責任な業者なんだ。
まずい、まずいぞ、どうすればいいんだ。そうだ、業者の緊急連絡先が契約書に書いてあったはずだ。
俺は家に帰り即刻連絡した。
「ターゲットを一人に絞ってほしい…?つまり巻き込みOKのチェックを外したいということですか?」
「そうだ」
「お値段が5割増しになりますが、よろしいですか」
「5割だと…!?どうにかできないのか?ターゲットを絞らないと…ジョニーは俺にずっと付きまとってるんだ。このままじゃ俺まであんたたち業者に殺される」
「お客様のお命を第一にということでしたら、キャンセルにすることも可能です。キャンセル料はお支払いいただいた9割になります。つまり返金させていただくのは1割になりますね」
「キャンセルだとしても9割もとるのか…!?」
「先日記入いただいた依頼書の契約内容にもあります通りです」
男は契約内容を見返した。確かにその通りの記載があった。
「くっ…」
しまった。昨日はジョニーを消すことに浮かれすぎて契約内容をそこまで確認していなかった。これは完全に誤算だ。だが背に腹は代えられない。俺の命がかかっている。
「…わかった。それじゃあキャンセルにしてくれ。今すぐに」
「かしこまりました」
くそ、俺はなんて馬鹿なんだ。これじゃあ金をどぶに捨てたようなもんじゃないか。
「ただいまスタッフに連絡がいきまして、作戦中止にてキャンセルとなりました。またのご利用をお待ちして…」
「二度と頼むもんか!!!!」
俺はぶつ切りして受話器を壁にぶん投げた。
なんてことだ、俺が三年間バイトで必死に溜めた金はほぼ消えた。何故こうなったんだ。
そもそもジョニーが現れなければこんなことにならなかったじゃないか。
ジョニーのせいだ。ジョニーが憎い。
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