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37,罠
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シア達は道具屋の店主に教えてもらった武器屋に来ていた。だが、
「うーん、どれがいいのかわからないな」
「難しいよね。素直に使うならこの直剣だけど……」
「私は魔法を使うのに杖は要らないし、そうかと言って剣だと動きにくいし……」
「斬るのが苦手なんだよね、単純に殴る方がいいよ」
「大きな金槌があれば鍛冶の要領でやりやすいのかな?」
悩んでいるシア達に武器屋の店主が声をかけた。
「悩んでいるみたいだがどうしたんだ?」
「皆自分が得意な武器がわからないんですよね」
「……今までどうしてた?」
「そこのシア以外はほとんど魔法で戦ってました」
「……魔法か。近接戦闘はほとんどしていないのか。ランクは?」
「そこのシアがSS級で、他はS級です」
「……マジか、それで得意な武器がわからないというのか」
店主はそれを聞いて一つの提案をした。
「お前たちのランクだと武器を持たずに入るという手があるな」
「武器を持たない?」
「ああ、ダンジョンで宝箱が出るだろう。そこで出た武器を使うのさ」
「宝箱から出た武器ですか?」
「ああ、この店の品物もそういうのが大半だな。例えばこの剣は斬れば火が出る。あの杖は水魔法が撃てるな。そこの短剣は毒が出る。罠にさえ気を付ければ色々試せるだろう」
「罠があるのですか?」
「ああ、ダンジョン自体に落とし穴もあるし、魔物だらけの部屋や、踏んだら変な場所に飛ばされる罠もある。宝箱そのものが開けようとした瞬間にミミックになって襲ってくることもあるな」
「ミミックって宝箱に擬態した魔物ですよね」
「ああ、そうだ。だがお前たちのランクでその人数なら50階層までは楽に行けるだろう。そこまででもこの店にあるような武器や防具も出るからな。下手に買わずに素手で入って宝箱の武器を使うというのはいいと思うぜ」
「そんなことを言っていると儲からないのでは?」
「……俺の心配してくれるのか。だったらお前たちがダンジョンで出した不要な武器と防具があればギルドに内緒で売ってくれ。ダンジョン産の武器と防具は高く売れるからな。それで儲けさせてもらうよ」
「……ありがとうございます。ではいらない武器と防具はこちらのお店に持ってきますね」
「ああ、期待しているぜ。お前たちなら全部制覇しそうだしな。頼んだぜ」
「いい店主だったな」
「うん。食料品だけ買ったら、ダンジョンに突入しようか」
「そうだね。別に明日にする理由もないからね」
シア達は食料品を大量に買い込み、シアの亜空間収納に入れると早速ダンジョンに向かった。
ダンジョンの入口はすぐに分かった。街の中のいたるところに看板が立ち並んでいたからだ。だが、
「あの銅像の姿を絵にして看板に貼らなくてもいいよな……」
「ああ、シアのアレが描かれることになるな」
「何で俺のアレが描かれることになるんだよ」
「そりゃあフライブルク王国で一番有名なアレだからな」
「シア君のアレはルーナだけのアレですよ」
「ルーナ……、恥ずかしくないの?」
ダンジョンの入口には大量の冒険者が列を作っていた。そのほとんどが大きな背負い袋をぶら下げて重装備をしており、彼らに向かって地図や薬草を売る者達がたむろしていた。だがシア達はあらかじめ受付嬢が言っていたこともありその全てを無視した。
すると、シア達に無視された男が目の前にいた5歳くらいの女の子を蹴り飛ばした。その女の子は手に持っていた薬草を道に投げ出してしまう。その姿をみたルーナが駆け寄り薬草を拾うと、その女の子を助け起こした。
「大丈夫?」
「うん。いつもだから。大丈夫」
「いつも?」
「うん。しょうがないの……」
そう言った女の子の目を見たルーナは、
「ねぇ、ひょっとして目が見えないのかな?」
「少しだけわかるの。音は聞こえるし、匂いもするの。お姉ちゃんいい匂いだね」
「少し待ってね」
そう言うと、ルーナはその女の子に回復魔法をかける。
「えっ少し見えるよ。見えるよ」
「少しだけかな?」
「ぼんやりとだけど見えるよ。ワンちゃんもいるね」
「シア君、治してあげられないかな?」
ルーナに頼まれたシアがその子を見る。シアの魔力が女の子の体の中に浸透すると、
「ルーナ、この子の頭の中に小さなできものがあるのを感じられるかな?」
「やってみるね」
ルーナも女の子に自分の魔力を浸透させていく。
「わかった。後頭部にあるね。小さいできものが」
「それを消し去るつもりで魔力を流してみて」
ルーナが女の子の後頭部にあるできものを消すイメージをしながら魔力を流すと、女の子の目に光が灯った。
「お姉ちゃん、綺麗……はっきり見えるよ」
そう言うと、その女の子はルーナに抱きついて泣いてしまった。ルーナが優しく慰めていると、アーサーがやってきて、
「お兄ちゃん達がこれでその薬草を全部買うからな。もし困ったことがあればこれをもって冒険者ギルドに行けばお兄ちゃんに話が出来るようにしておくからね」
そう言うと、アーサーはお金の入った袋と王家の紋章が入ったカードを手渡した。
その女の子は泣き止むとシア達に何度もお礼を言いながら去っていった。
「アーサー、あのお金は……」
「ああ、エマがいい仕事をしたぜ」
「ふふん。劇作家としては悪役から回収するのは当然でしょ」
「で、ノイマンとアラガンが男をあの木に吊るしていると……」
「そうだね。あんな小さな女の子を蹴り飛ばした奴なんて遠慮することはないからね」
「はは~、王子様、お許しを~」
「冗談言ってないで入ろうぜ」
かくして、全く緊張感のない一行がカルクレイルのダンジョンに入っていった。
小さな神殿のような作りのダンジョンの入口で冒険者ギルドの職員にタグと許可証を見せる。誘導に従い扉を開けて中に入ると、一気に暗い洞窟の中に入っていた。
「凄いな、一瞬で景色が変わったな」
「ああ、でも罠があるって言ってたよな」
「罠をどうやって発見するかだよな」
「シア君、さっきの使えないかな?」
「さっきの?」
「そう、魔力を浸透させて異物を見つけたでしょ。このダンジョンに魔力を浸透させておかしなところを見つけられないかなと思って」
「……やってみようか」
シアがルーナの発案でダンジョンに魔力を浸透させる。すると、
「ルーナ、やってみて。全員試してよ。いいよこれ」
そこで全員が同じようにダンジョンに魔力を浸透させると、
「確かにわかるな」
「魔物の気配もするね」
「変な感じになっているところがあるよね」
「そこに罠があるのかな?」
「じゃあ変な感じがするところに行ってみようか」
全員が違和感を覚えた場所は同じであった。
「ここの床だね」
「落とし穴かな?」
「この骨を落とそうか」
シアがその場所に亜空間収納から出した魔物の骨を落とすと、小さな落とし穴が現れた。
「これで罠は大丈夫だね」
「それに魔力の流れで何となく道筋がわかるな」
「確かに、この階層の階段はあの先かな、近いぞ」
「1階層だしね」
そのまま真っ直ぐ道を進むと確かに階段があった。
「魔物に全く会わずに来たね」
「まぁ気にしないで下に行こうよ」
その調子でシア達は魔物に全く遭遇せずに5階層まで進んだのであった。
「うーん、どれがいいのかわからないな」
「難しいよね。素直に使うならこの直剣だけど……」
「私は魔法を使うのに杖は要らないし、そうかと言って剣だと動きにくいし……」
「斬るのが苦手なんだよね、単純に殴る方がいいよ」
「大きな金槌があれば鍛冶の要領でやりやすいのかな?」
悩んでいるシア達に武器屋の店主が声をかけた。
「悩んでいるみたいだがどうしたんだ?」
「皆自分が得意な武器がわからないんですよね」
「……今までどうしてた?」
「そこのシア以外はほとんど魔法で戦ってました」
「……魔法か。近接戦闘はほとんどしていないのか。ランクは?」
「そこのシアがSS級で、他はS級です」
「……マジか、それで得意な武器がわからないというのか」
店主はそれを聞いて一つの提案をした。
「お前たちのランクだと武器を持たずに入るという手があるな」
「武器を持たない?」
「ああ、ダンジョンで宝箱が出るだろう。そこで出た武器を使うのさ」
「宝箱から出た武器ですか?」
「ああ、この店の品物もそういうのが大半だな。例えばこの剣は斬れば火が出る。あの杖は水魔法が撃てるな。そこの短剣は毒が出る。罠にさえ気を付ければ色々試せるだろう」
「罠があるのですか?」
「ああ、ダンジョン自体に落とし穴もあるし、魔物だらけの部屋や、踏んだら変な場所に飛ばされる罠もある。宝箱そのものが開けようとした瞬間にミミックになって襲ってくることもあるな」
「ミミックって宝箱に擬態した魔物ですよね」
「ああ、そうだ。だがお前たちのランクでその人数なら50階層までは楽に行けるだろう。そこまででもこの店にあるような武器や防具も出るからな。下手に買わずに素手で入って宝箱の武器を使うというのはいいと思うぜ」
「そんなことを言っていると儲からないのでは?」
「……俺の心配してくれるのか。だったらお前たちがダンジョンで出した不要な武器と防具があればギルドに内緒で売ってくれ。ダンジョン産の武器と防具は高く売れるからな。それで儲けさせてもらうよ」
「……ありがとうございます。ではいらない武器と防具はこちらのお店に持ってきますね」
「ああ、期待しているぜ。お前たちなら全部制覇しそうだしな。頼んだぜ」
「いい店主だったな」
「うん。食料品だけ買ったら、ダンジョンに突入しようか」
「そうだね。別に明日にする理由もないからね」
シア達は食料品を大量に買い込み、シアの亜空間収納に入れると早速ダンジョンに向かった。
ダンジョンの入口はすぐに分かった。街の中のいたるところに看板が立ち並んでいたからだ。だが、
「あの銅像の姿を絵にして看板に貼らなくてもいいよな……」
「ああ、シアのアレが描かれることになるな」
「何で俺のアレが描かれることになるんだよ」
「そりゃあフライブルク王国で一番有名なアレだからな」
「シア君のアレはルーナだけのアレですよ」
「ルーナ……、恥ずかしくないの?」
ダンジョンの入口には大量の冒険者が列を作っていた。そのほとんどが大きな背負い袋をぶら下げて重装備をしており、彼らに向かって地図や薬草を売る者達がたむろしていた。だがシア達はあらかじめ受付嬢が言っていたこともありその全てを無視した。
すると、シア達に無視された男が目の前にいた5歳くらいの女の子を蹴り飛ばした。その女の子は手に持っていた薬草を道に投げ出してしまう。その姿をみたルーナが駆け寄り薬草を拾うと、その女の子を助け起こした。
「大丈夫?」
「うん。いつもだから。大丈夫」
「いつも?」
「うん。しょうがないの……」
そう言った女の子の目を見たルーナは、
「ねぇ、ひょっとして目が見えないのかな?」
「少しだけわかるの。音は聞こえるし、匂いもするの。お姉ちゃんいい匂いだね」
「少し待ってね」
そう言うと、ルーナはその女の子に回復魔法をかける。
「えっ少し見えるよ。見えるよ」
「少しだけかな?」
「ぼんやりとだけど見えるよ。ワンちゃんもいるね」
「シア君、治してあげられないかな?」
ルーナに頼まれたシアがその子を見る。シアの魔力が女の子の体の中に浸透すると、
「ルーナ、この子の頭の中に小さなできものがあるのを感じられるかな?」
「やってみるね」
ルーナも女の子に自分の魔力を浸透させていく。
「わかった。後頭部にあるね。小さいできものが」
「それを消し去るつもりで魔力を流してみて」
ルーナが女の子の後頭部にあるできものを消すイメージをしながら魔力を流すと、女の子の目に光が灯った。
「お姉ちゃん、綺麗……はっきり見えるよ」
そう言うと、その女の子はルーナに抱きついて泣いてしまった。ルーナが優しく慰めていると、アーサーがやってきて、
「お兄ちゃん達がこれでその薬草を全部買うからな。もし困ったことがあればこれをもって冒険者ギルドに行けばお兄ちゃんに話が出来るようにしておくからね」
そう言うと、アーサーはお金の入った袋と王家の紋章が入ったカードを手渡した。
その女の子は泣き止むとシア達に何度もお礼を言いながら去っていった。
「アーサー、あのお金は……」
「ああ、エマがいい仕事をしたぜ」
「ふふん。劇作家としては悪役から回収するのは当然でしょ」
「で、ノイマンとアラガンが男をあの木に吊るしていると……」
「そうだね。あんな小さな女の子を蹴り飛ばした奴なんて遠慮することはないからね」
「はは~、王子様、お許しを~」
「冗談言ってないで入ろうぜ」
かくして、全く緊張感のない一行がカルクレイルのダンジョンに入っていった。
小さな神殿のような作りのダンジョンの入口で冒険者ギルドの職員にタグと許可証を見せる。誘導に従い扉を開けて中に入ると、一気に暗い洞窟の中に入っていた。
「凄いな、一瞬で景色が変わったな」
「ああ、でも罠があるって言ってたよな」
「罠をどうやって発見するかだよな」
「シア君、さっきの使えないかな?」
「さっきの?」
「そう、魔力を浸透させて異物を見つけたでしょ。このダンジョンに魔力を浸透させておかしなところを見つけられないかなと思って」
「……やってみようか」
シアがルーナの発案でダンジョンに魔力を浸透させる。すると、
「ルーナ、やってみて。全員試してよ。いいよこれ」
そこで全員が同じようにダンジョンに魔力を浸透させると、
「確かにわかるな」
「魔物の気配もするね」
「変な感じになっているところがあるよね」
「そこに罠があるのかな?」
「じゃあ変な感じがするところに行ってみようか」
全員が違和感を覚えた場所は同じであった。
「ここの床だね」
「落とし穴かな?」
「この骨を落とそうか」
シアがその場所に亜空間収納から出した魔物の骨を落とすと、小さな落とし穴が現れた。
「これで罠は大丈夫だね」
「それに魔力の流れで何となく道筋がわかるな」
「確かに、この階層の階段はあの先かな、近いぞ」
「1階層だしね」
そのまま真っ直ぐ道を進むと確かに階段があった。
「魔物に全く会わずに来たね」
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