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第1章
【8話】当日
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今日は12月25日。クリスマス。俺はいま譜久里とカップルに埋め尽くされたアウトレットに2人でいる。あぁぁぁぁぁぁ幸せ。道を行く腐女子が俺たちのことを見たら、俺達のことも恋人同士だと思われてしまうんだろうか。いや、逆に思ってくれ。
2週間前、俺が本村にクリスマスのことを相談したあの日。なんと譜久里は俺が言い出す直前で、逆に俺たちに遊びに行こうと誘ってきた。まさか、むこうから誘われるなんて思わなかった。
それからというもの、暇さえあればデートの作戦を考えて、もとい妄想していたのは言うまでもない。
少し経って、「あれ、クリスマスに一緒に過ごすってことは、譜久里の友達順位の1位が俺ってことじゃね」と思いついたときにはにやけが止まらなかった。我ながら気持ち悪い発想だとは思うが。
「3人でどっか行こうぜ」という言葉の通り、譜久里は本村も誘っていた。だがこの場はいない。風邪だから今日は行けないというメッセージがグループに入っていたが、それは真実ではない。俺が本村に頼んでドタキャンしてもらったのだ。
本村は快く了承してくれた。というより、もとからそうするつもりだったらしい。そうは言っても来年は受験があるから、今年のクリスマスが、高校最後の楽しいクリスマスである。本村も仲の良い譜久里と一緒に出掛けたかったに違いない。そう思うと、申し訳無さで押しつぶされそうになる。だが、この際、手段を選んではいられないんだ。
本村のおかげで、こうして譜久里と“デート”できている。申し訳無さを上回る幸せを享受している。本村には後でよくお礼を言っておこう……。
今日の“デート”は俺にとって大成功だった。朝からキュンキュンしまくっている。
まず私服。かわいい。かっこいい。シンプルながらいつもの譜久里とは全く違う、少し大人びた雰囲気がある。最高。
次にメガネ。はい推しのメガネは反則。これもまたシンプルなウェリントンだが、朝に会ったとき腰が抜けるかと思ったくらい似合っている。ぎゃああああ! その眩しい顔でこっちをみるな! 惚れてしまうだろ(惚れている)。
時間はあっという間に過ぎ、気づけばもう夕食時だ。もう1日が終わってしまうのかと考えると、途端に悲しくなる。
夕食には近くのレストランを予約しておいた。重いかな……と思ったが、譜久里は特に気にすることなく喜んでくれた。そして会計のときに俺がサッと譜久里の分まで払う。そして
「今日は付き合ってくれてありがとう。楽しかったよ。お礼の気持として奢らせて」
というセリフを吐くのだ。これで好感度アップ間違いなし!
2週間前、俺が本村にクリスマスのことを相談したあの日。なんと譜久里は俺が言い出す直前で、逆に俺たちに遊びに行こうと誘ってきた。まさか、むこうから誘われるなんて思わなかった。
それからというもの、暇さえあればデートの作戦を考えて、もとい妄想していたのは言うまでもない。
少し経って、「あれ、クリスマスに一緒に過ごすってことは、譜久里の友達順位の1位が俺ってことじゃね」と思いついたときにはにやけが止まらなかった。我ながら気持ち悪い発想だとは思うが。
「3人でどっか行こうぜ」という言葉の通り、譜久里は本村も誘っていた。だがこの場はいない。風邪だから今日は行けないというメッセージがグループに入っていたが、それは真実ではない。俺が本村に頼んでドタキャンしてもらったのだ。
本村は快く了承してくれた。というより、もとからそうするつもりだったらしい。そうは言っても来年は受験があるから、今年のクリスマスが、高校最後の楽しいクリスマスである。本村も仲の良い譜久里と一緒に出掛けたかったに違いない。そう思うと、申し訳無さで押しつぶされそうになる。だが、この際、手段を選んではいられないんだ。
本村のおかげで、こうして譜久里と“デート”できている。申し訳無さを上回る幸せを享受している。本村には後でよくお礼を言っておこう……。
今日の“デート”は俺にとって大成功だった。朝からキュンキュンしまくっている。
まず私服。かわいい。かっこいい。シンプルながらいつもの譜久里とは全く違う、少し大人びた雰囲気がある。最高。
次にメガネ。はい推しのメガネは反則。これもまたシンプルなウェリントンだが、朝に会ったとき腰が抜けるかと思ったくらい似合っている。ぎゃああああ! その眩しい顔でこっちをみるな! 惚れてしまうだろ(惚れている)。
時間はあっという間に過ぎ、気づけばもう夕食時だ。もう1日が終わってしまうのかと考えると、途端に悲しくなる。
夕食には近くのレストランを予約しておいた。重いかな……と思ったが、譜久里は特に気にすることなく喜んでくれた。そして会計のときに俺がサッと譜久里の分まで払う。そして
「今日は付き合ってくれてありがとう。楽しかったよ。お礼の気持として奢らせて」
というセリフを吐くのだ。これで好感度アップ間違いなし!
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