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第一部
休んで(2)
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「でも顔色まだ悪いよ、疲れてるんじゃないかな」
小さい子に言い聞かせるみたいな言い方。さっきは「バカ!」とか言ってたのに、なんでだろう。
「さっき寝てたし…大丈夫です」
そう答えてから、もしかしたら先生が寝たいから言ってるんじゃないかと気がついた。教師はいそがしいし、先生の生活サイクルを崩すのは申し訳ないもんな…
「あの、僕ここにいるので、先生寝てください」
貰った毛布……これも先生のだよね。もしかしたらこの時期だから使わないかもしれないけど…と思いつつも貰った毛布を返そうとする。先生はそれは受け取らないで僕の横に座った。
「俺はまだ寝ないよ?ちょっと仕事あるし。」
「あ…すみません」
こんな夜中まで仕事するの?とおもったけど僕が騒ぎを起こしたせいで終わるはずだった仕事が終わらなかったのかもしれない。それ以上なんて言えば良いのかわからなくて俯いてしまう。
どうしよう、なんでこんなに上手く話せないんだろう。
先生は優しく僕の膝を叩いた。
「眠くないならそれでいいけど、とりあえずここで横になっておきな」
あまり口答えしてたらいけない気がして、それには頷く。寝たくはないけど体が休みを求めてるのは事実だから。横になってるだけ、横になるだけなら大丈夫。
先生が立ち上がって机の方の椅子に腰掛ける。こちらを見られているのは分かったけど、横になったり寝転んでいるところを見られるのは居心地が悪い。でもゆっくりと体を横たえると、先生は安心したように僕から視線を逸らしてくれた。
先生はパソコン開いてカタカタと作業を始めた。ヘッドフォンをつけている。横顔だけで、仕事できる大人って感じ。
養護教諭の夜中までかかるお仕事ってどんなのだろう?保体のプリント作ったりかな?
あ、あそこに僕の部屋にはない傷がある。
へえ、先生はあの備え付けの棚ああやって使うんだ。
キッチン綺麗だったな、先生料理いつもしてるのかな。イケメンもお徳用シャンプー使うなんてびっくりした。ここに女子がいればギャップ萌えしたかな?
うだうだと眠気をこらえて考え事を巡らす。嫌な記憶を浮かべれば眠気は飛ぶけど苦しくなるし万が一ねてしまったら間違いなく悪夢になるから考えない。
毛布からする香りはしらないもの。それなのに妙に落ち着く。
キーボードの音が耳に入ってきて、そのリズムが眠気を誘ってくる。
目は知らずしらずのうちに閉じていって、深い夢の中に取り込まれていった。
落ちる気がして伸ばした手は、ぱたりと毛布の上に落ちただけだった。
小さい子に言い聞かせるみたいな言い方。さっきは「バカ!」とか言ってたのに、なんでだろう。
「さっき寝てたし…大丈夫です」
そう答えてから、もしかしたら先生が寝たいから言ってるんじゃないかと気がついた。教師はいそがしいし、先生の生活サイクルを崩すのは申し訳ないもんな…
「あの、僕ここにいるので、先生寝てください」
貰った毛布……これも先生のだよね。もしかしたらこの時期だから使わないかもしれないけど…と思いつつも貰った毛布を返そうとする。先生はそれは受け取らないで僕の横に座った。
「俺はまだ寝ないよ?ちょっと仕事あるし。」
「あ…すみません」
こんな夜中まで仕事するの?とおもったけど僕が騒ぎを起こしたせいで終わるはずだった仕事が終わらなかったのかもしれない。それ以上なんて言えば良いのかわからなくて俯いてしまう。
どうしよう、なんでこんなに上手く話せないんだろう。
先生は優しく僕の膝を叩いた。
「眠くないならそれでいいけど、とりあえずここで横になっておきな」
あまり口答えしてたらいけない気がして、それには頷く。寝たくはないけど体が休みを求めてるのは事実だから。横になってるだけ、横になるだけなら大丈夫。
先生が立ち上がって机の方の椅子に腰掛ける。こちらを見られているのは分かったけど、横になったり寝転んでいるところを見られるのは居心地が悪い。でもゆっくりと体を横たえると、先生は安心したように僕から視線を逸らしてくれた。
先生はパソコン開いてカタカタと作業を始めた。ヘッドフォンをつけている。横顔だけで、仕事できる大人って感じ。
養護教諭の夜中までかかるお仕事ってどんなのだろう?保体のプリント作ったりかな?
あ、あそこに僕の部屋にはない傷がある。
へえ、先生はあの備え付けの棚ああやって使うんだ。
キッチン綺麗だったな、先生料理いつもしてるのかな。イケメンもお徳用シャンプー使うなんてびっくりした。ここに女子がいればギャップ萌えしたかな?
うだうだと眠気をこらえて考え事を巡らす。嫌な記憶を浮かべれば眠気は飛ぶけど苦しくなるし万が一ねてしまったら間違いなく悪夢になるから考えない。
毛布からする香りはしらないもの。それなのに妙に落ち着く。
キーボードの音が耳に入ってきて、そのリズムが眠気を誘ってくる。
目は知らずしらずのうちに閉じていって、深い夢の中に取り込まれていった。
落ちる気がして伸ばした手は、ぱたりと毛布の上に落ちただけだった。
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