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第一章
第二話
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◇◇◇
「林玄さん」
「おや、詩涵様。何か忘れものでも?」
「いえ、借りた本に栞が挟まっていたので、それを返しに」
懐から薄紅色の栞を取り出して、林玄さんに差し出す。
「おやまぁ、これは海沄様のですね」
「え゛っ」
「娘娘」
海沄様と言えば、この国の皇帝である。私にしてみれば今最も会いたくない男である。
関わりという関わりを一切持たずに、後宮を下がることが出来るのではないかと思っていたのに、まさかこんなところで縁が出来ようとは。
「林玄さん、こちらしれっとお返し願えませんか?文徳楼に落ちていたということに……」
「詩涵様、仮にもこの国の妃でしょう。顔も合わせたことがないなんて、前代未聞です」
「まさか、私みたいにほったらかしで後宮にいる妃とかざらにいたと思いますけれど」
「この林玄が、責任をもって海沄様の元まで連れて行きます」
きらきらとまばゆい笑顔で言い切ってくれた申し出を断れるはずもなく、私は受け取って貰えなかった栞を再び懐に入れた。
***
庭に咲いている花を見てると幾分か気持ちは落ち着くけれど、どうにも居心地が悪い。早く室に帰りたい気持ちでいっぱいである。
雅鹿殿は皇帝が妃を招くのによく使われる場所で、煌びやかな装飾に、窓からの光の入り方が綺麗な一室である。大きめの几と腰掛が真ん中に並んでいる。場合が場合でなければ、じっくりと本を読むのにいいかもしれない。
私はなるべく日の当たらない方の腰掛に腰を下ろした。
気持ちは既におしとやかで嫋やかな妃である。
陛下付きのの侍女が出してくれるお茶を飲んでは、一息吐いて弦沙に目線を投げる。
弦沙は何もしてあげられることはありません、と首を振り、林玄さんは笑みを絶やさずニコニコしている。
もういっそ、気が狂った振りでもして走って帰ってしまえないだろうか。
この際、恥を捨てれば……と思ったけれど、私には一応偉めの父親がいた。天職に就いたお父様のおかげで本が読み漁れるのだから、おかしな行動は慎まなければいけない。
「詩涵様、政務に片が付くまでもう少しだけお待ちいただけますか」
戸を開いて入ってきたのは、彼の側近。
輿入れしたあの日、皇帝からの言葉を私に伝えてくれた人。
名前は、たしか……
「羲和様、お忙しいのでしたら、こちらをお返しいただけますか?」
「大家は詩涵様にお会いしたいと申しております。もう少しだけお待ちくださいますよう」
彼は栞をやんわりと押し返す。決して受けとりませんというのがヒシヒシと伝わってくる。
「……この後少し用事がありまし――」
「娘娘、もう少し待たせていただきましょう」
弦沙の食い気味の言葉、林玄さんの恐ろしい笑み、羲和様の有無を言わせない圧力的な何か。
何も出来ない私は、さっきよりも背筋を伸ばして座りなおした。
なぜ、私に会いたいのだろう。こんなことまでして、この栞を手ずから返して何になると言うのだろう。
こうしている間にも私の時間が奪われているということに、少し腹が立つ。
「弦沙、宮に行って凌梁にまだ時間がかかると伝えてくれる?栞一枚にどれだけ時間をかけるんだって怒っていると思うから」
私は嫌味を乗せて言伝を頼む。弦沙はちらりと羲和様の顔色をうかがい、礼をとって出て行った。
「林玄さんも、あまり長く私に付き添っていると父に文句を言われますから、お戻りください」
「そうですか?お一人で平気ですか」
「大丈夫です。お父様によろしくお伝えください」
羲和さんはいつの間にかいなくなっていて、侍女も下げさせたのでここには私一人だけだ。
立ち上がって、窓の方に寄る。
窓枠に手をついて外を眺めると、目に入る緑とつつじ色の鮮やかさ。
開け放たれたままの扉から、生暖かい風が吹いてくる。
外では庭の花に、蝶が寄ってきている。
ツツジには甘い蜜があるから、寄ってきてしまうのも仕方がない。ひらひらと日当たりのよいツツジに吸い寄せられる蝶が、なぜかうらやましい。早く帰りたい。
「いきなり飛べたりしないかな」
「それは無理じゃないか?羽が無いんだから」
笑いを含んだ声が後ろからかけられた。
まさか、と出来るだけゆっくりと振り返る。
「陛下……」
後ろに羲和様を控えさせた見たことない顔の男性。この国の皇帝、海沄様その人である。
私は大慌てで礼を取り、顔を伏せた。
「頭は下げなくてもいい、私の妃なのだから」
彼は思っていたよりも精悍な顔をしていた。
21歳だと聞いていたから、自分とさほど変わらないのかと思っていたがずいぶんと大人びている。
「お時間を取らせてしまって申し訳ありません」
「あなたとは顔を合わせていなかったから、いい機会だと思ってな」
彼に勧められて腰掛に腰を下ろす。
栞を返すだけでは、終わらなそうである。
「林玄からの先触れで聞いた。私の栞を拾ってくれたそうだな」
「はい。借りた本に挟まっておりまして、こちらです」
さっき押し返された栞を懐から出す。
「ああ、たしかに私のものだ。礼を言う」
「あの……それでなのですけれど」
「なんだ?」
栞を懐にしまいながら、彼は私の目を見つめた。人の目を真っ直ぐに見るあたり、そう悪い人でもないのかもしれない。
「本を開いた拍子に出て来たので、何項まで読んでいらっしゃったのか分からなくなってしまって……。『雪尽』という題名の本で、内容的には冬の間だけの恋愛を題材にした本なんです。短編集なので、読んでいたところの人物だけでも覚えていたら、林玄さんにお願いして別の栞を挟んでもらう形でお戻ししよう思うのですが、どうですか?覚えていらっしゃいますか?」
「ふむ。人物か……」
「印象に残っている文章でも、覚えていることなら」
彼は目を瞑って記憶の中を探っているようだ。
目立たずのままでいたい、その思いは変わっていないが、彼が嫌な人じゃないということが分かっただけで随分と気が楽になった。
恐らくこれきりの関係だし、もう会うこともないだろうし、もう少しくらい話をしてみてもいいかもしれない。
「『絳雪が死にゆく貴方の手向けになるなら、私は貴方に何も出来やしない』だったか、そのような文章があったのを覚えている」
「とても良い文章ですね」
「そこからは覚えていないから、まだ読んでいないのだと思う」
「分かりました。戻ったら読んで探します」
なんて良い台詞だろうか。
話の文脈が分からないから意味も掴み切れないけれど、読んだ時にそれが分かると思うと心が弾む。
「随分と嬉しそうだな」
「私、浰青さんの著書は全て好きなんです。いつだって私の心を踊らせて、満たしてくれます。あの人の言葉全部を知りたいくらいに好きなんです」
浰青さんの言葉はいつも胸を打つ。本のどこかに散りばめられている私を満たしてくれる言葉を探しては、心に刻んで。それを繰り返す。
「あ、申し訳ありません……こんな、不躾に」
お父様や林玄さんと話す時みたいに彼について語り出してしまうところだった。そうなると時間なんて関係なく語り始めてしまうため、気を付けろと言われていたのに。
「いや、構わない。あなたの話を聞くのは楽しそうで、なんだか好ましい」
そう言って優しく微笑んだ彼に、私は確信を強めた。
彼は絶対に良い人だ、と─────。
「林玄さん」
「おや、詩涵様。何か忘れものでも?」
「いえ、借りた本に栞が挟まっていたので、それを返しに」
懐から薄紅色の栞を取り出して、林玄さんに差し出す。
「おやまぁ、これは海沄様のですね」
「え゛っ」
「娘娘」
海沄様と言えば、この国の皇帝である。私にしてみれば今最も会いたくない男である。
関わりという関わりを一切持たずに、後宮を下がることが出来るのではないかと思っていたのに、まさかこんなところで縁が出来ようとは。
「林玄さん、こちらしれっとお返し願えませんか?文徳楼に落ちていたということに……」
「詩涵様、仮にもこの国の妃でしょう。顔も合わせたことがないなんて、前代未聞です」
「まさか、私みたいにほったらかしで後宮にいる妃とかざらにいたと思いますけれど」
「この林玄が、責任をもって海沄様の元まで連れて行きます」
きらきらとまばゆい笑顔で言い切ってくれた申し出を断れるはずもなく、私は受け取って貰えなかった栞を再び懐に入れた。
***
庭に咲いている花を見てると幾分か気持ちは落ち着くけれど、どうにも居心地が悪い。早く室に帰りたい気持ちでいっぱいである。
雅鹿殿は皇帝が妃を招くのによく使われる場所で、煌びやかな装飾に、窓からの光の入り方が綺麗な一室である。大きめの几と腰掛が真ん中に並んでいる。場合が場合でなければ、じっくりと本を読むのにいいかもしれない。
私はなるべく日の当たらない方の腰掛に腰を下ろした。
気持ちは既におしとやかで嫋やかな妃である。
陛下付きのの侍女が出してくれるお茶を飲んでは、一息吐いて弦沙に目線を投げる。
弦沙は何もしてあげられることはありません、と首を振り、林玄さんは笑みを絶やさずニコニコしている。
もういっそ、気が狂った振りでもして走って帰ってしまえないだろうか。
この際、恥を捨てれば……と思ったけれど、私には一応偉めの父親がいた。天職に就いたお父様のおかげで本が読み漁れるのだから、おかしな行動は慎まなければいけない。
「詩涵様、政務に片が付くまでもう少しだけお待ちいただけますか」
戸を開いて入ってきたのは、彼の側近。
輿入れしたあの日、皇帝からの言葉を私に伝えてくれた人。
名前は、たしか……
「羲和様、お忙しいのでしたら、こちらをお返しいただけますか?」
「大家は詩涵様にお会いしたいと申しております。もう少しだけお待ちくださいますよう」
彼は栞をやんわりと押し返す。決して受けとりませんというのがヒシヒシと伝わってくる。
「……この後少し用事がありまし――」
「娘娘、もう少し待たせていただきましょう」
弦沙の食い気味の言葉、林玄さんの恐ろしい笑み、羲和様の有無を言わせない圧力的な何か。
何も出来ない私は、さっきよりも背筋を伸ばして座りなおした。
なぜ、私に会いたいのだろう。こんなことまでして、この栞を手ずから返して何になると言うのだろう。
こうしている間にも私の時間が奪われているということに、少し腹が立つ。
「弦沙、宮に行って凌梁にまだ時間がかかると伝えてくれる?栞一枚にどれだけ時間をかけるんだって怒っていると思うから」
私は嫌味を乗せて言伝を頼む。弦沙はちらりと羲和様の顔色をうかがい、礼をとって出て行った。
「林玄さんも、あまり長く私に付き添っていると父に文句を言われますから、お戻りください」
「そうですか?お一人で平気ですか」
「大丈夫です。お父様によろしくお伝えください」
羲和さんはいつの間にかいなくなっていて、侍女も下げさせたのでここには私一人だけだ。
立ち上がって、窓の方に寄る。
窓枠に手をついて外を眺めると、目に入る緑とつつじ色の鮮やかさ。
開け放たれたままの扉から、生暖かい風が吹いてくる。
外では庭の花に、蝶が寄ってきている。
ツツジには甘い蜜があるから、寄ってきてしまうのも仕方がない。ひらひらと日当たりのよいツツジに吸い寄せられる蝶が、なぜかうらやましい。早く帰りたい。
「いきなり飛べたりしないかな」
「それは無理じゃないか?羽が無いんだから」
笑いを含んだ声が後ろからかけられた。
まさか、と出来るだけゆっくりと振り返る。
「陛下……」
後ろに羲和様を控えさせた見たことない顔の男性。この国の皇帝、海沄様その人である。
私は大慌てで礼を取り、顔を伏せた。
「頭は下げなくてもいい、私の妃なのだから」
彼は思っていたよりも精悍な顔をしていた。
21歳だと聞いていたから、自分とさほど変わらないのかと思っていたがずいぶんと大人びている。
「お時間を取らせてしまって申し訳ありません」
「あなたとは顔を合わせていなかったから、いい機会だと思ってな」
彼に勧められて腰掛に腰を下ろす。
栞を返すだけでは、終わらなそうである。
「林玄からの先触れで聞いた。私の栞を拾ってくれたそうだな」
「はい。借りた本に挟まっておりまして、こちらです」
さっき押し返された栞を懐から出す。
「ああ、たしかに私のものだ。礼を言う」
「あの……それでなのですけれど」
「なんだ?」
栞を懐にしまいながら、彼は私の目を見つめた。人の目を真っ直ぐに見るあたり、そう悪い人でもないのかもしれない。
「本を開いた拍子に出て来たので、何項まで読んでいらっしゃったのか分からなくなってしまって……。『雪尽』という題名の本で、内容的には冬の間だけの恋愛を題材にした本なんです。短編集なので、読んでいたところの人物だけでも覚えていたら、林玄さんにお願いして別の栞を挟んでもらう形でお戻ししよう思うのですが、どうですか?覚えていらっしゃいますか?」
「ふむ。人物か……」
「印象に残っている文章でも、覚えていることなら」
彼は目を瞑って記憶の中を探っているようだ。
目立たずのままでいたい、その思いは変わっていないが、彼が嫌な人じゃないということが分かっただけで随分と気が楽になった。
恐らくこれきりの関係だし、もう会うこともないだろうし、もう少しくらい話をしてみてもいいかもしれない。
「『絳雪が死にゆく貴方の手向けになるなら、私は貴方に何も出来やしない』だったか、そのような文章があったのを覚えている」
「とても良い文章ですね」
「そこからは覚えていないから、まだ読んでいないのだと思う」
「分かりました。戻ったら読んで探します」
なんて良い台詞だろうか。
話の文脈が分からないから意味も掴み切れないけれど、読んだ時にそれが分かると思うと心が弾む。
「随分と嬉しそうだな」
「私、浰青さんの著書は全て好きなんです。いつだって私の心を踊らせて、満たしてくれます。あの人の言葉全部を知りたいくらいに好きなんです」
浰青さんの言葉はいつも胸を打つ。本のどこかに散りばめられている私を満たしてくれる言葉を探しては、心に刻んで。それを繰り返す。
「あ、申し訳ありません……こんな、不躾に」
お父様や林玄さんと話す時みたいに彼について語り出してしまうところだった。そうなると時間なんて関係なく語り始めてしまうため、気を付けろと言われていたのに。
「いや、構わない。あなたの話を聞くのは楽しそうで、なんだか好ましい」
そう言って優しく微笑んだ彼に、私は確信を強めた。
彼は絶対に良い人だ、と─────。
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