37 / 60
継続編
第三十七話 彰悟の死
しおりを挟む
「ここは…?廃ビル?」
一は、気がつくと廃ビルのような建物の中にいた。そして、目の前には今までとは明らかに異質な怪物がいた。それは、全身黒い甲冑のようなものを身にまとい、刀のような物を腰にさしていた。両脚で起立したまま静止しており、後ろ姿だけ見れば人間に見える。
「なんだこいつ?!人型だと?!」
思わず一がそう言った瞬間、そいつが振り向いた。黒兜の中の顔は明らかに生きた人間のものではなかった。黒兜の奥から、人間とは全く異なった生き物の骨が剥き出しになっていた。
「やはり化け物か?!」
一が身構えようとした瞬間、怪物が一に突っ込んできた。
「グギギギギギ」
「?!」
奇妙な声をたてながら突進してきた。5mほど離れていたが、一瞬で距離をつめた。速い。目にもとまらぬ速さだった。
「くっ!」
なんとかギリギリのところで黒兜の一振りをかわした。これまでに数多くの死線をくぐってきた一だからこそできた芸当だが、常人なら間違いなく死んでいた。
「サン!」
『complete』
ケータイを起動させ、応戦する。素早くボタンを押す。
『20110 enter,blade mode 』
一のケータイが刀状に変形した。黒兜に負けず、一も刀を振りさばく。
ガキィィン!
と激しい音がする。両者譲らずに刀を打ちつけ合う。刀と刀が衝突する瞬間、火花が散り、風圧で壁にヒビが走る。凄まじい迫力の戦いだ。
「(っくそ!ほぼ互角!これじゃ埒があかない!)」
すると黒兜は刀をもう一つ抜いた。
「(二刀流だと?!)」
先ほどにもまして黒兜の動きは一段と速く、激しくなった。
「ぐはっ!」
一は斬撃をもろに胴にくらった。
「(剣術では敵わないな…。なら!)」
『4010,shotgun mode』
「グギッ?!」
ズドンッという爆音と共に黒兜の胴に一の放った銃撃が命中。黒兜は少しひるみ、一と距離をとるため後ずさった。
「逃がすか!」
『1111,machine-gun mode』
すかさず攻撃を繰り出す一。黒兜は一に背を向けて逃げ出した。
「待て!」
一は黒兜を追いかけた。しばらく追いかけると、突然黒兜は動きを止めた。何かを見つけたようだった。一は、黒兜の目線の先を見た。するとそこには彰悟と末永がいた。
「なんで二人がここにいるんだ?!はやく逃げろ!」
一は思い切り叫んだがどうやら二人には聞こえていない。それに二人ともケガをして疲れきっており、逃げれそうもなかった。そして黒兜は末永に襲いかかった。
「やめろおぉ!」
一の叫び声も虚しく、黒兜の攻撃は末永、ではなく末永を庇った彰悟に命中した。
「ぶはっ!」
彰悟は吐血した。どんどんと体から力が抜けていくのが目に見えた。
「うそ…だろ…。」
一の動きが一瞬停止した。その間にも黒兜は再び末永を襲おうとしていた。
「うわあぁ!」
慌てふためく末永。
「ふざけんじゃねぇぞてめぇ!」
怒り狂う一。
『0973,magnam mode』
ズドンズドンと爆音が廃ビルのなかに響き渡る。
「グゴゴゴ!」
黒兜にマグナムが命中した。不気味な叫び声をあげ、その場にひざまずく。
「死ねぇ!」
『20110,bkade mode』
ザンッ!
一の一振りで黒兜の首が跳ねた。
「彰悟…彰悟…。」
敵を仕留め、変わり果てた姿の友のもとへフラフラと歩み寄る一。
「おい彰悟ぉ!目ぇ覚ませよ!また遊ぶんだろ!弟や親父さんはどうするだよ!なぁ!」
大粒の涙を垂らしながら一は彰悟に問いかける。彰悟の吹き出した血と一の涙がぐちゃぐちゃに混ざった液体で彰悟の体が汚れていく。
「てめぇが…てめぇがこんなとこに彰悟を呼ぶからだぞ!わかってんのか末永!」
「…。」
責める一。黙る末永。末永は青ざめた表情でただただ、呆然と泣いていた。
『任務終了!ただちに帰還せよ!』
一の頭の中の声が終わりを告げる。
「まだ終わってねぇよ!終わってねぇよちくしょう!」
彰悟の心臓は完全に停止していた。
一は、気がつくと廃ビルのような建物の中にいた。そして、目の前には今までとは明らかに異質な怪物がいた。それは、全身黒い甲冑のようなものを身にまとい、刀のような物を腰にさしていた。両脚で起立したまま静止しており、後ろ姿だけ見れば人間に見える。
「なんだこいつ?!人型だと?!」
思わず一がそう言った瞬間、そいつが振り向いた。黒兜の中の顔は明らかに生きた人間のものではなかった。黒兜の奥から、人間とは全く異なった生き物の骨が剥き出しになっていた。
「やはり化け物か?!」
一が身構えようとした瞬間、怪物が一に突っ込んできた。
「グギギギギギ」
「?!」
奇妙な声をたてながら突進してきた。5mほど離れていたが、一瞬で距離をつめた。速い。目にもとまらぬ速さだった。
「くっ!」
なんとかギリギリのところで黒兜の一振りをかわした。これまでに数多くの死線をくぐってきた一だからこそできた芸当だが、常人なら間違いなく死んでいた。
「サン!」
『complete』
ケータイを起動させ、応戦する。素早くボタンを押す。
『20110 enter,blade mode 』
一のケータイが刀状に変形した。黒兜に負けず、一も刀を振りさばく。
ガキィィン!
と激しい音がする。両者譲らずに刀を打ちつけ合う。刀と刀が衝突する瞬間、火花が散り、風圧で壁にヒビが走る。凄まじい迫力の戦いだ。
「(っくそ!ほぼ互角!これじゃ埒があかない!)」
すると黒兜は刀をもう一つ抜いた。
「(二刀流だと?!)」
先ほどにもまして黒兜の動きは一段と速く、激しくなった。
「ぐはっ!」
一は斬撃をもろに胴にくらった。
「(剣術では敵わないな…。なら!)」
『4010,shotgun mode』
「グギッ?!」
ズドンッという爆音と共に黒兜の胴に一の放った銃撃が命中。黒兜は少しひるみ、一と距離をとるため後ずさった。
「逃がすか!」
『1111,machine-gun mode』
すかさず攻撃を繰り出す一。黒兜は一に背を向けて逃げ出した。
「待て!」
一は黒兜を追いかけた。しばらく追いかけると、突然黒兜は動きを止めた。何かを見つけたようだった。一は、黒兜の目線の先を見た。するとそこには彰悟と末永がいた。
「なんで二人がここにいるんだ?!はやく逃げろ!」
一は思い切り叫んだがどうやら二人には聞こえていない。それに二人ともケガをして疲れきっており、逃げれそうもなかった。そして黒兜は末永に襲いかかった。
「やめろおぉ!」
一の叫び声も虚しく、黒兜の攻撃は末永、ではなく末永を庇った彰悟に命中した。
「ぶはっ!」
彰悟は吐血した。どんどんと体から力が抜けていくのが目に見えた。
「うそ…だろ…。」
一の動きが一瞬停止した。その間にも黒兜は再び末永を襲おうとしていた。
「うわあぁ!」
慌てふためく末永。
「ふざけんじゃねぇぞてめぇ!」
怒り狂う一。
『0973,magnam mode』
ズドンズドンと爆音が廃ビルのなかに響き渡る。
「グゴゴゴ!」
黒兜にマグナムが命中した。不気味な叫び声をあげ、その場にひざまずく。
「死ねぇ!」
『20110,bkade mode』
ザンッ!
一の一振りで黒兜の首が跳ねた。
「彰悟…彰悟…。」
敵を仕留め、変わり果てた姿の友のもとへフラフラと歩み寄る一。
「おい彰悟ぉ!目ぇ覚ませよ!また遊ぶんだろ!弟や親父さんはどうするだよ!なぁ!」
大粒の涙を垂らしながら一は彰悟に問いかける。彰悟の吹き出した血と一の涙がぐちゃぐちゃに混ざった液体で彰悟の体が汚れていく。
「てめぇが…てめぇがこんなとこに彰悟を呼ぶからだぞ!わかってんのか末永!」
「…。」
責める一。黙る末永。末永は青ざめた表情でただただ、呆然と泣いていた。
『任務終了!ただちに帰還せよ!』
一の頭の中の声が終わりを告げる。
「まだ終わってねぇよ!終わってねぇよちくしょう!」
彰悟の心臓は完全に停止していた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m


【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる