ONE

四百珊瑚

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継続編

第三十三話 母が眠る場所

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「まったく、貴方という人はどうしてこんなに堪え性が無いんです。わんわん君も呆れているじゃないですか」

「え」

「うう……だって、皆楽しそう……わんわんの声、聞こえる。我慢、やだ」

「あ、ごめんねー。俺らの話し声がうるさくて集中出来ないんでしょ、ワンコ書記は騒がしいの嫌いだもんね」

「いっそ耳栓でも使いますか?」

「ダメ、わんわんの声……聞こえなくなる。耳栓いらな、い」

「面倒臭ぇなテメーは、じゃあどうすんだよ」

「頑張ってください、先輩ならきっと最後までやり遂げるって信じてます!」


いや、えーっと。
多分普通に手伝ったりすれば早く終わるんじゃないだろうか。その選択肢は無いの?
ちらちら俺を見る涙目の書記さまは、さっきからお仕事があまり進んでいないようだし。

ハア、とため息を吐く隊長さん。


「仕方ないですね、全く」


そう言って何やら書記さまに耳打ちを――。
え、どうして急にひそひそ話?



「!!」


突如くわっと目を見開いた書記さま(ちょっと怖かった)が物凄い勢いで机上のPCをカタカタ打ち始めた。な、何事!?
書類作成の続きだよねこれ。
ただし、速さが今までの比じゃないんだけど。一心不乱に文章打ち込んでて、手元の分厚い紙束がどんどん少なくなっていく。
す、すげぇよ書記さま。隊長さんは一体何を言ったんだ?


「ふう、ようやく真剣になってくださいましたか。この調子だと作業もすぐ終わりそうですね。ああ、でも念のため会長さまには引き続き、書記さまの監視をお願いします」

「お、おう」


名指しされ、ビクッとする会長さま。
ごまかすみたいに空咳を一つして自分の仕事机へと戻って行ったけれど。
会計さまなんか肩で笑ってるし、ばればれですよ。

実は意外と結構なビビりさんだったりすんのかな。
本人に言ったら怒られそうだけど、ちょっと可愛いかも。



「それじゃあ僕は皆さまに飲み物のお代わりを用意しますね。わんわん君、すみませんが手伝ってくれますか?」

「あ、はい。もちろんですっ」


隊長さんの言葉に直ぐさま席を立つ。
お茶くみは俺の数少ない仕事の一つだもんね。むしろ言われるまで気付かなくてすみません、て感じだし。
ただ、今回は他の意図があったらしく一緒に手伝おうとする他三人を

「わんわん君と少し二人だけで話したい事もあるので」

と断る隊長さん。
そうして俺たちは生徒会室の奥にある別室へと向かうのだった。

.
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