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継続編
第三十一話 歪んだ愛情
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「愛してるよ、はるか。」
その言葉が暗闇のなかで響き渡り、はるかは目を覚ました。大量の汗をかき、過呼吸になりながら起きる。最近は同じ夢を見て、同じように苦しみながら起きる。
「また同じ夢…。」
目から涙が溢れた。目を擦りながら、ダイニングへ向かう。ダイニングには朝食の匂いが漂っていた。
「あらおはようはるか。」
そこには料理をしている母がいた。母に実際に会うのは数週間ぶりだ。
「ごめんなさいね。昨日は疲れていて、早く眠ってしまったわ。昨日の帰りは遅かったのね?体は大丈夫?」
昨夜もはるかは仕事の都合で深夜に帰宅した。母はもう寝てしまっていて、久々に母の姿を見て、話したいのは山々だったが、起こすのも悪いと思い、入浴した後就寝した。
「大丈夫だよ!元気いっぱい!」
全エネルギーを振り絞って無理やり笑顔を作った。
「そう…。ならよかったわ。ごめんなさいね、実の家族なのになかなか会えなくて…。そういえば、おとうさんとはうまくいってる?」
「え?うん…。おとうさんとっても優しいよ…。」
「そう…。よかったわ。でも、何かおとうさんとうまくいかないことがあったら、私に相談していいわよ。まだ難しいこともあるでしょ。」
「そうだね…。だけど、お母さん、パパが亡くなってずっと悲しくて、寂しかったでしょ。私も寂しかった。だけど、折角今のパパに巡りあえて再婚したんだから、娘の私に気を使わず、幸せになって!」
「ふふっ。大人らしいことを言うようになったわね。だけどあなたはいつまでも私の愛しい娘よ。」
「えへへ。ママ大好き!」
母からの優しい言葉に喜び、母の懐にはるかが抱きついた瞬間、ダイニングの扉が開いた。
「おぉ!おはようのぞみさん、それにはるか!」
はるかの現在の父が現れて、はるかの母とはるかに挨拶した。
「おはようございます文人さん!」
それに対してはるかの母が返事をした。
「あ、おはようお義父さん…。」
はるかも返事をした。
「あ、そういえば昨日刑事さんがいらしたのよ。何か近所の方から、うちから騒音がするって言われたらしくてね。二人とも何か知らないかしら?」
昨日の神谷たちとのやり取りをふと思い出したのぞみが二人に聞いてみた。
「いや、僕は知らないな。」
文人が答えた。
「…。私も、…知らない。」
しばらく間をおいて、はるかも返事をした。
「やっぱりそうよねぇ…。後で刑事さんにお伝えしなくちゃ。あらいけない!目玉焼きが焦げちゃうわ!ちょっと待ってて!」
そう言って母が慌ててキッチンに向かった。そして、ダイニングにおかれた大きな机の周りに並んだ椅子に腰掛けていたはるかの対面に、義父も座った。
「昨夜は楽しかったね、はるか。だけど、お楽しみもしばらくおあずけだね。」
のぞみに聞こえないよう、義父が小声ではるかに囁く。
「…。」
はるかは何も言わなかった。いや、言えなかった。
その言葉が暗闇のなかで響き渡り、はるかは目を覚ました。大量の汗をかき、過呼吸になりながら起きる。最近は同じ夢を見て、同じように苦しみながら起きる。
「また同じ夢…。」
目から涙が溢れた。目を擦りながら、ダイニングへ向かう。ダイニングには朝食の匂いが漂っていた。
「あらおはようはるか。」
そこには料理をしている母がいた。母に実際に会うのは数週間ぶりだ。
「ごめんなさいね。昨日は疲れていて、早く眠ってしまったわ。昨日の帰りは遅かったのね?体は大丈夫?」
昨夜もはるかは仕事の都合で深夜に帰宅した。母はもう寝てしまっていて、久々に母の姿を見て、話したいのは山々だったが、起こすのも悪いと思い、入浴した後就寝した。
「大丈夫だよ!元気いっぱい!」
全エネルギーを振り絞って無理やり笑顔を作った。
「そう…。ならよかったわ。ごめんなさいね、実の家族なのになかなか会えなくて…。そういえば、おとうさんとはうまくいってる?」
「え?うん…。おとうさんとっても優しいよ…。」
「そう…。よかったわ。でも、何かおとうさんとうまくいかないことがあったら、私に相談していいわよ。まだ難しいこともあるでしょ。」
「そうだね…。だけど、お母さん、パパが亡くなってずっと悲しくて、寂しかったでしょ。私も寂しかった。だけど、折角今のパパに巡りあえて再婚したんだから、娘の私に気を使わず、幸せになって!」
「ふふっ。大人らしいことを言うようになったわね。だけどあなたはいつまでも私の愛しい娘よ。」
「えへへ。ママ大好き!」
母からの優しい言葉に喜び、母の懐にはるかが抱きついた瞬間、ダイニングの扉が開いた。
「おぉ!おはようのぞみさん、それにはるか!」
はるかの現在の父が現れて、はるかの母とはるかに挨拶した。
「おはようございます文人さん!」
それに対してはるかの母が返事をした。
「あ、おはようお義父さん…。」
はるかも返事をした。
「あ、そういえば昨日刑事さんがいらしたのよ。何か近所の方から、うちから騒音がするって言われたらしくてね。二人とも何か知らないかしら?」
昨日の神谷たちとのやり取りをふと思い出したのぞみが二人に聞いてみた。
「いや、僕は知らないな。」
文人が答えた。
「…。私も、…知らない。」
しばらく間をおいて、はるかも返事をした。
「やっぱりそうよねぇ…。後で刑事さんにお伝えしなくちゃ。あらいけない!目玉焼きが焦げちゃうわ!ちょっと待ってて!」
そう言って母が慌ててキッチンに向かった。そして、ダイニングにおかれた大きな机の周りに並んだ椅子に腰掛けていたはるかの対面に、義父も座った。
「昨夜は楽しかったね、はるか。だけど、お楽しみもしばらくおあずけだね。」
のぞみに聞こえないよう、義父が小声ではるかに囁く。
「…。」
はるかは何も言わなかった。いや、言えなかった。
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