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継続編
第ニ十九話 隣人
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「あ、こんばんは!トメさん!」
今日の神谷は非番だ。基本的に神谷は、非番の日は朝から晩までパチンコに明け暮れたあと、スーパーで半額になった弁当と缶ビールを数本とセブンスターとラッキーストライクのソフトを2つずつほど買って家に帰るという生活をしている。今日もパチンコで3日分の給料くらいの金額を儲けて、上機嫌でスーパーにやってきたところ、トメさんとであった。ちなみに神谷は何故か昔から不気味なくらいに運が良く、パチンコでは時給換算すると本業よりも儲けているという噂があるほどだ。
「あぁ!光ちゃん!」
今晩の夕御飯を何にしようか悩んでいたところ、突然声をかけられたトメさんが振り替えって返事をした。
「どうも!最近は元気?猫ちゃんは?」
「お陰さまで元気だよぉ!うちの子も元気すぎるくらいでねぇ。またどこかいっちゃったときはお願いしたいわ。でも…」
少しトメさんの表情が暗くなった。
「どうかした?」
「この前、お隣に引っ越してくる人がいるっていったでしょ?」
「あぁ、そんなこと言ってたね。」
「そのお隣さんがね、この前ご挨拶に来たのよ。」
「あ、そうなんだ。」
「そうなの、ご家族で来てね。40前後のご夫婦と、娘さんでね、とっても仲良さそうで、ご夫婦はとても気さくそうな方たちでね、仲良くなれそうだなと思ったのよ。」
「へぇ。良かったじゃん!」
「そう、そこまではいいんだけどね。だけど、夜な夜な変な音が聞こえてくるのよ。」
「変な音?」
「そうなの。何かをドンドン叩くような音とか、叫び声のような…。最初はお父さんが酔ってるのか、娘さんをしかってるかと思ったのよ…。だけど、結構な頻度でね…。それにこの前は女の子のすすり泣くような声が聞こえてきたのよ…。ねぇ、これって虐待ってやつじゃないのかな?」
トメさんは今にも泣き出しそうになりながらおろおろしていた。
「うーん。」
これには神谷も顔つきが変わった。
「今のトメさんから聞いた話だけでは虐待って断定はできないなぁ…。だけど、かなり気になるから、今度調べてみるよ!また何かあったら俺のところに電話ちょーだい!」
「そうかい…。いつもありがとねぇ。光ちゃんにお話しできて少しほっとしたわぁ。」
そう言って二人は各々の夕食の買い出しに戻った。
………
はるかと別れて家についた一は、思いきって彰悟にSNSを使って連絡をとろうとした。電話もした。だが、待てど暮らせど連絡は来ず、悶々としていた。
「(彰悟、どうしたんだろうなぁ…。)」
気分転換がてらテレビをつけた。するとそこにははるかが映っていた。学校で見かけたときとは雰囲気が違った。黒いセクシーなワンピースを着て、黒のハイヒールを履いて、舞台の上で一人歌っていた。普段の小柄でかわいらしい印象とは違い、妖艶で怪しげな雰囲気が出ていた。
「(こういうこともやるのか…。今までイメージしてたアイドルとは違うな…。)」
もちろんはるかも、極一般的(と言っては語弊があるかもしれないが)なアイドルらしい歌を歌ったり、バラエティ番組に出演したりもしている。しかし、はるかの所属している事務所としてははるかのあらゆる可能性を引き出して売り出したいという方針らしい。今のご時世で、どこのアイドルグループにも属さず、一人の『芳野はるか』として活動してここまで売れているというのはかなり凄いことなのだろう。
歌い終えると、歓声と拍手が沸き上がった。しかし、はるかの横顔はどこか悲しげで、儚い印象だった…。
今日の神谷は非番だ。基本的に神谷は、非番の日は朝から晩までパチンコに明け暮れたあと、スーパーで半額になった弁当と缶ビールを数本とセブンスターとラッキーストライクのソフトを2つずつほど買って家に帰るという生活をしている。今日もパチンコで3日分の給料くらいの金額を儲けて、上機嫌でスーパーにやってきたところ、トメさんとであった。ちなみに神谷は何故か昔から不気味なくらいに運が良く、パチンコでは時給換算すると本業よりも儲けているという噂があるほどだ。
「あぁ!光ちゃん!」
今晩の夕御飯を何にしようか悩んでいたところ、突然声をかけられたトメさんが振り替えって返事をした。
「どうも!最近は元気?猫ちゃんは?」
「お陰さまで元気だよぉ!うちの子も元気すぎるくらいでねぇ。またどこかいっちゃったときはお願いしたいわ。でも…」
少しトメさんの表情が暗くなった。
「どうかした?」
「この前、お隣に引っ越してくる人がいるっていったでしょ?」
「あぁ、そんなこと言ってたね。」
「そのお隣さんがね、この前ご挨拶に来たのよ。」
「あ、そうなんだ。」
「そうなの、ご家族で来てね。40前後のご夫婦と、娘さんでね、とっても仲良さそうで、ご夫婦はとても気さくそうな方たちでね、仲良くなれそうだなと思ったのよ。」
「へぇ。良かったじゃん!」
「そう、そこまではいいんだけどね。だけど、夜な夜な変な音が聞こえてくるのよ。」
「変な音?」
「そうなの。何かをドンドン叩くような音とか、叫び声のような…。最初はお父さんが酔ってるのか、娘さんをしかってるかと思ったのよ…。だけど、結構な頻度でね…。それにこの前は女の子のすすり泣くような声が聞こえてきたのよ…。ねぇ、これって虐待ってやつじゃないのかな?」
トメさんは今にも泣き出しそうになりながらおろおろしていた。
「うーん。」
これには神谷も顔つきが変わった。
「今のトメさんから聞いた話だけでは虐待って断定はできないなぁ…。だけど、かなり気になるから、今度調べてみるよ!また何かあったら俺のところに電話ちょーだい!」
「そうかい…。いつもありがとねぇ。光ちゃんにお話しできて少しほっとしたわぁ。」
そう言って二人は各々の夕食の買い出しに戻った。
………
はるかと別れて家についた一は、思いきって彰悟にSNSを使って連絡をとろうとした。電話もした。だが、待てど暮らせど連絡は来ず、悶々としていた。
「(彰悟、どうしたんだろうなぁ…。)」
気分転換がてらテレビをつけた。するとそこにははるかが映っていた。学校で見かけたときとは雰囲気が違った。黒いセクシーなワンピースを着て、黒のハイヒールを履いて、舞台の上で一人歌っていた。普段の小柄でかわいらしい印象とは違い、妖艶で怪しげな雰囲気が出ていた。
「(こういうこともやるのか…。今までイメージしてたアイドルとは違うな…。)」
もちろんはるかも、極一般的(と言っては語弊があるかもしれないが)なアイドルらしい歌を歌ったり、バラエティ番組に出演したりもしている。しかし、はるかの所属している事務所としてははるかのあらゆる可能性を引き出して売り出したいという方針らしい。今のご時世で、どこのアイドルグループにも属さず、一人の『芳野はるか』として活動してここまで売れているというのはかなり凄いことなのだろう。
歌い終えると、歓声と拍手が沸き上がった。しかし、はるかの横顔はどこか悲しげで、儚い印象だった…。
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