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継続編
第二十六話 戸惑い
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一がはるかと距離を縮めるなか、彰悟は一人、廊下の隅に佇んで悩んでいた。もちろん一との関係はこれからも保っていきたい。だが、末永はあの様子だと何をしだすかわからない恐ろしさがあった。いっそ一にもこのことを話し、相談しようと思ったが、なんとなくそれはしてはいけない気がしていた。
「あ、彰悟ー!」
そんなことを考えていると、一が自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「お、おう!」
少しぎこちなかっただろうか、一の前ではなるべく元気に明るく、いつも通り、一に異変を察知されないよう振る舞おうと彰悟は決意した。
「誰?おともだち?」
一の背中からひょこっとはるかの顔が飛び出した。はるかは非常に小柄なので、遠くから見たら一の体に完全に隠れていたので、彰悟は少し驚いた。
「(なんだこの小動物…?)」
などと思ってしまった。
「あ、うん!そうなんだ!俺の友達で、矢本彰悟て言うんだ!同じクラスだよ!」
「そうだったんだ!まだクラスの子達全然覚えられてなくてごめんね…。彰悟くん!改めて、よろしくね!」
「お、おぉ。よろしくな!」
何故か二人は握手しだした。一は、二人のことを微笑ましく見ていた。
「こんなところで一人で何してたの?いつもの彰悟らしくない真剣な表情してたよ?」
彰悟は少し驚いた。
「あ、あぁ。ちょっとな。えっと、うまいラーメンを作る極意を考えててな…。」
彰悟は嘘をつくのが絶望的に下手くそだった。
「そうなんだ!ラーメン好きなの?!私もラーメン大好き!」
はるかは人の感情を読み取るのは得意でも、嘘を見破るのは絶望的に下手くそだった。
「…。」
なんかもうどこからつっこんでいいのかわからない一であった。
……………
「おやぁ。ありがとねぇ。」
「いやいや、それほどでも!この子猫ちゃんがご無事でよかったです!」
「そうですね!ほんとにこの子が無事で何よりです(私たちはボロボロですが…)。」
神谷と桜はトメさんに頼まれた、ペットの猫を探しだす任務を遂げた。
「本当にありがとうねぇ…。こんなことほんとはお巡りさんのやることじゃないのにねぇ…。光ちゃん(神谷)は昔から優しいから…。」
「いやいや!何でも僕らに頼んでくださいよ!市民の皆さんを助けるのが僕たちの仕事なんですから!」
「そうですよね!(正直毎日のように通常業務以外で徹夜は辛かったぁ…。)」
一体神谷の気力はどこから来るのか。連日のように特務課での雑用と猫の捜索で疲弊しきった桜は、ぎこちない笑顔を作るのがやっとだった。
「そんじゃトメさん、僕たちこれで失礼するけど、何かまた困ったことあったらいつでも教えてね!」
神谷は相変わらずニコニコとしている。
「ほんとに、ほんとにそう言ってくれてありがとねぇ。強いて言うなら最近引っ越して来たお隣さんとうまくやっていけるかが少し不安だわ。」
「お隣さん?」
どうやらトメさんの住むマンションの部屋の隣の部屋に引っ越ししてきた人がいるらしい。ちなみにトメさんの住むマンションはかなりの高級マンションだ。
「そうなんだ!確かに初めて会う人と関わるのって緊張するけど、トメさんのおおらかな人柄だったら、誰とでも仲良くなれるよ!」
「まぁっ!光ちゃんたらお上手なんだからぁ!」
トメさんは、そう言って微笑みながら神谷の肩をバシッと叩いた。
「じゃあ、また来るよ!バイバイ!」
「うん!仕事頑張ってねぇ!」
トメさんの元気な声を背に、神谷と桜は再び仕事に戻った。
「あ、彰悟ー!」
そんなことを考えていると、一が自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「お、おう!」
少しぎこちなかっただろうか、一の前ではなるべく元気に明るく、いつも通り、一に異変を察知されないよう振る舞おうと彰悟は決意した。
「誰?おともだち?」
一の背中からひょこっとはるかの顔が飛び出した。はるかは非常に小柄なので、遠くから見たら一の体に完全に隠れていたので、彰悟は少し驚いた。
「(なんだこの小動物…?)」
などと思ってしまった。
「あ、うん!そうなんだ!俺の友達で、矢本彰悟て言うんだ!同じクラスだよ!」
「そうだったんだ!まだクラスの子達全然覚えられてなくてごめんね…。彰悟くん!改めて、よろしくね!」
「お、おぉ。よろしくな!」
何故か二人は握手しだした。一は、二人のことを微笑ましく見ていた。
「こんなところで一人で何してたの?いつもの彰悟らしくない真剣な表情してたよ?」
彰悟は少し驚いた。
「あ、あぁ。ちょっとな。えっと、うまいラーメンを作る極意を考えててな…。」
彰悟は嘘をつくのが絶望的に下手くそだった。
「そうなんだ!ラーメン好きなの?!私もラーメン大好き!」
はるかは人の感情を読み取るのは得意でも、嘘を見破るのは絶望的に下手くそだった。
「…。」
なんかもうどこからつっこんでいいのかわからない一であった。
……………
「おやぁ。ありがとねぇ。」
「いやいや、それほどでも!この子猫ちゃんがご無事でよかったです!」
「そうですね!ほんとにこの子が無事で何よりです(私たちはボロボロですが…)。」
神谷と桜はトメさんに頼まれた、ペットの猫を探しだす任務を遂げた。
「本当にありがとうねぇ…。こんなことほんとはお巡りさんのやることじゃないのにねぇ…。光ちゃん(神谷)は昔から優しいから…。」
「いやいや!何でも僕らに頼んでくださいよ!市民の皆さんを助けるのが僕たちの仕事なんですから!」
「そうですよね!(正直毎日のように通常業務以外で徹夜は辛かったぁ…。)」
一体神谷の気力はどこから来るのか。連日のように特務課での雑用と猫の捜索で疲弊しきった桜は、ぎこちない笑顔を作るのがやっとだった。
「そんじゃトメさん、僕たちこれで失礼するけど、何かまた困ったことあったらいつでも教えてね!」
神谷は相変わらずニコニコとしている。
「ほんとに、ほんとにそう言ってくれてありがとねぇ。強いて言うなら最近引っ越して来たお隣さんとうまくやっていけるかが少し不安だわ。」
「お隣さん?」
どうやらトメさんの住むマンションの部屋の隣の部屋に引っ越ししてきた人がいるらしい。ちなみにトメさんの住むマンションはかなりの高級マンションだ。
「そうなんだ!確かに初めて会う人と関わるのって緊張するけど、トメさんのおおらかな人柄だったら、誰とでも仲良くなれるよ!」
「まぁっ!光ちゃんたらお上手なんだからぁ!」
トメさんは、そう言って微笑みながら神谷の肩をバシッと叩いた。
「じゃあ、また来るよ!バイバイ!」
「うん!仕事頑張ってねぇ!」
トメさんの元気な声を背に、神谷と桜は再び仕事に戻った。
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