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再来編
第二十二話 罰
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「全く何をしとるんだ馬鹿者!」
朝早くから鳴神警察署内に響き渡る怒号が、特務課から発せられている。怒号をとばしているのは、特務課課長の加藤だ。
「事件現場での避難者保護及び調査を行わないなどの職務怠慢、一般道路での大幅な速度超過、事件に関係ない未成年者への執拗な調査などなど、あんな非常事態に一体何をやってたんだ?!」
加藤の怒りは頂点に達していた。その矛先はもちろん、神谷と桜だ。
「いや、しかし課長…。大変申し上げづらいのですが、緊急を要すると判断したので…。パトカーもサイレンをならして赤色の蛍光灯をつけいたので、速度はいくら出しても一応大丈夫ですよね?」
桜が恐る恐る言った。
「だから、緊急を要するようなことではなかっただろ?!明らかにこの五代という少年は事件に関係ないだろ!そのために職務を怠るわ一般道で暴走するわ…。パトカーが暴走してるって市民からのクレームやら職務怠慢で他の課や上からも怒りの声が届いてるんだよ!このままではお前らだけでなく私も責任をとらなくてはならないかもしれん!全く…出世が遅れるじゃないか!」
どうやら課長は自分の身を心配して怒っているようだ。
「いやぁ、課長、ここは特務課でっせ?他の課やら上からの圧なんて今に始まったことじゃないですし、この課に配属された時点で出世街道からは外れてますよ(笑)。」
神谷が皮肉を言うと課長はしばらく黙り混んでから、はあっと深いため息をついてから口を開いた。
「全く…。お前にはとことん呆れるよ、神谷。間違いなく優秀であり、ノンキャリの星とまで言われていたお前がこんな様とはな…。近藤もこいつを反面教師にした方がいいぞ。お前は、本来こんなところにはいない人間なんだからな。」
「(ノンキャリの星と言われていた?やっぱり神谷さんてすごい人なの?そういえば神谷さんの過去の話って全然知らないな…。)」
課長の話を聞いて桜は、ふとそんなことを思った。
「とりあえず、しばらくの間の謹慎処分だ。お前らの今後は追って連絡する。話は以上だ。」
そう言って課長は神谷たちへ背を向けてどこかへ向かった。おそらくこれから今回の件に関して、署内の会議があるのだろう。その足取りは重く、課長は叩かれることを覚悟して向かったように見えた。
「やれやれ、謹慎か。流石に今回は謹慎中に捜査とかやったらほんとにクビになりそうだ。」
「そうじゃなくてもクビになりそうですけどね。」
桜が嫌味を言うと、二人とも先程の課長に負けないくらいの深いため息をついた。
……………
「おはよー一!ん?今日は元気ないな?」
事件から一夜開けて、一は普通に学校に登校した。しかし、肉体的にも精神的にも疲れは残っており、特に神谷からの調査はかなりこたえた。
「そうかな…。ちょっと疲れがたまってるのかも…。」
明らかに一の顔色は悪かった。
「大丈夫かぁ?それより昨日もランドマークタワー付近で事件があったらしいぜ。これまたこないだの事件みたいにそこにいた人の記憶が一切無いみたいなんだ。鳴神市って前々から不気味なこと多かったけど、今回ばかりはなんかほんとに怖いな…。」
どうやら彰悟の話によると、人々の記憶は前回の事件と同様、無くなっていたようだ。おそらく神谷の記憶も、昨日の感じと今の話からして無くなっているだろうと思い、少しほっとした。だが、まだ安心はしきれない。おそらくまた近いうちに怪物と戦うことになるだろう。そんな気がしてならない。
「お前も気を付けろよ。なんかほんとに体調悪そうだな。困ったことがあったらいつでもなんでも言ってくれよ!俺たち友だちなんだからさ!」
「うん…。ありがとう。」
『友達なんだから』この言葉を聞いて一は少し勇気が湧いた。そうだ、自分は今回の事件を通して成長したと実感している。守りたいものができたのだ。絶対今度も戦いに打ち勝ち、生き残って見せる!そして、また母さんと会う!一は強く決意した。
朝早くから鳴神警察署内に響き渡る怒号が、特務課から発せられている。怒号をとばしているのは、特務課課長の加藤だ。
「事件現場での避難者保護及び調査を行わないなどの職務怠慢、一般道路での大幅な速度超過、事件に関係ない未成年者への執拗な調査などなど、あんな非常事態に一体何をやってたんだ?!」
加藤の怒りは頂点に達していた。その矛先はもちろん、神谷と桜だ。
「いや、しかし課長…。大変申し上げづらいのですが、緊急を要すると判断したので…。パトカーもサイレンをならして赤色の蛍光灯をつけいたので、速度はいくら出しても一応大丈夫ですよね?」
桜が恐る恐る言った。
「だから、緊急を要するようなことではなかっただろ?!明らかにこの五代という少年は事件に関係ないだろ!そのために職務を怠るわ一般道で暴走するわ…。パトカーが暴走してるって市民からのクレームやら職務怠慢で他の課や上からも怒りの声が届いてるんだよ!このままではお前らだけでなく私も責任をとらなくてはならないかもしれん!全く…出世が遅れるじゃないか!」
どうやら課長は自分の身を心配して怒っているようだ。
「いやぁ、課長、ここは特務課でっせ?他の課やら上からの圧なんて今に始まったことじゃないですし、この課に配属された時点で出世街道からは外れてますよ(笑)。」
神谷が皮肉を言うと課長はしばらく黙り混んでから、はあっと深いため息をついてから口を開いた。
「全く…。お前にはとことん呆れるよ、神谷。間違いなく優秀であり、ノンキャリの星とまで言われていたお前がこんな様とはな…。近藤もこいつを反面教師にした方がいいぞ。お前は、本来こんなところにはいない人間なんだからな。」
「(ノンキャリの星と言われていた?やっぱり神谷さんてすごい人なの?そういえば神谷さんの過去の話って全然知らないな…。)」
課長の話を聞いて桜は、ふとそんなことを思った。
「とりあえず、しばらくの間の謹慎処分だ。お前らの今後は追って連絡する。話は以上だ。」
そう言って課長は神谷たちへ背を向けてどこかへ向かった。おそらくこれから今回の件に関して、署内の会議があるのだろう。その足取りは重く、課長は叩かれることを覚悟して向かったように見えた。
「やれやれ、謹慎か。流石に今回は謹慎中に捜査とかやったらほんとにクビになりそうだ。」
「そうじゃなくてもクビになりそうですけどね。」
桜が嫌味を言うと、二人とも先程の課長に負けないくらいの深いため息をついた。
……………
「おはよー一!ん?今日は元気ないな?」
事件から一夜開けて、一は普通に学校に登校した。しかし、肉体的にも精神的にも疲れは残っており、特に神谷からの調査はかなりこたえた。
「そうかな…。ちょっと疲れがたまってるのかも…。」
明らかに一の顔色は悪かった。
「大丈夫かぁ?それより昨日もランドマークタワー付近で事件があったらしいぜ。これまたこないだの事件みたいにそこにいた人の記憶が一切無いみたいなんだ。鳴神市って前々から不気味なこと多かったけど、今回ばかりはなんかほんとに怖いな…。」
どうやら彰悟の話によると、人々の記憶は前回の事件と同様、無くなっていたようだ。おそらく神谷の記憶も、昨日の感じと今の話からして無くなっているだろうと思い、少しほっとした。だが、まだ安心はしきれない。おそらくまた近いうちに怪物と戦うことになるだろう。そんな気がしてならない。
「お前も気を付けろよ。なんかほんとに体調悪そうだな。困ったことがあったらいつでもなんでも言ってくれよ!俺たち友だちなんだからさ!」
「うん…。ありがとう。」
『友達なんだから』この言葉を聞いて一は少し勇気が湧いた。そうだ、自分は今回の事件を通して成長したと実感している。守りたいものができたのだ。絶対今度も戦いに打ち勝ち、生き残って見せる!そして、また母さんと会う!一は強く決意した。
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