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再来編
第十九話 もう逃げないから
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目を覚ました一は真っ先に怪物を探した。
「どこだ?どこにいる?」
怪物を探す一の眼差しは、先程までとは全く異なったものだった。どうやら覚悟はできているようだ。
「いた!」
怪物は一が真っ先に見た方とは反対の方角にいた。なぜか怪物はまだ、ランドマークタワーのそばにいて、敢えてそこに留まっていたようだった。
「(なぜ動いてない?そもそも奴等の目的はなんだ?破壊活動を本能的に行うなら、壊し尽くしたこの場所を離れるはずだ。無駄な体力を消耗しないようにしているか。それとも…)」
そうこう考えているうちに再び怪物が雄叫びをあげた。
「グウオォォォォォォォォォ!!!」
まるで地震でも起きたかのようにタワーが揺れた。凄まじい気迫だった。
「(まずい!早く何とかしないと)」
一がそう思った瞬間、足音がした。
「よう。やっぱりお前、ここにいたか。」
「?!」
一は驚いた。なんとそこには神谷がいた。
「(やっぱりってなんだ?!まさか、神谷さんはこの不可解な一連の現象について何か知っているのか?もしかして、母さんのことも…。)」
一の脳裏にそんな考えがよぎった。
「(いや、今はそんなことを考えている場合じゃない!)」
一は直ぐに思考を止めて、まずは行動しようとした。
「神谷さん!」
一が突然大きな声で神谷を読んだ。
「なんだ?」
「頼みがあります!あなたが何故ここにいるのか、何を知っているのか、聞きたいことは山ほどあります!だけど、まずは一緒にあの怪物と戦ってくれませんか?!」
一は自分でも馬鹿げたことを言っていると思いながらも神谷に訴えた。怪物に唯一対抗できうる、サンという武器を持たない神谷に何ができるのだろうか、と。
「いいぜ。もとよりあのクソ野郎をどうにかするつもりでここに来た。」
神谷は意外にもあっさりと一の提案に乗った。
「それより一般人のお前がどうやって戦おうってんだ?それにその格好なんだ?何かのコスプレってやつか?学校の制服ではないもんな?」
神谷にサンのことを尋ねられて一は困った。正直に話してしまったら間違いなく自分は神谷に捕まると。そうなったら色々と厄介そうだった。
「(だけど、前回の事件では、怪物を含んだ事件の記憶が自分以外の人間には無くなっていた。もしかしたら今回も神谷さんの記憶が消えるかもしれない!)」
一は一か八か、神谷にサンのことを話すことにした。
「実は、このスーツやケータイは、あの怪物たちに唯一対抗できる武器なんです!実際に、僕は、この前怪物が現れたときもこれを使って倒したんです!」
一は正直に神谷に話した。
「…っぷ!」
「?!」
神谷は思わず吹き出した!
「あはははは!うひひ!あははははは!」
神谷はまるで漫画のキャラクターのように笑いだした。
「何がおかしいんです?!僕の言ってることは信じられないかもしれません!だけど、嘘じゃありません!本当です!」
一は少しムッとしてそう言った。
「いや、ごめんごめん!君の言ってることを冗談だと思った訳じゃないよ!こんな状況で、そんな真顔で嘘なんかつけると思わないさ。だけど、こんなおっさんになっても自分が今まで知らなかった、本当に漫画みたいな話があるなんて、世界は自分の想像以上に面白いと思ってね。」
一はキョトンとした。
「(…なんなんだこの人は?大分変わってる人だな…。本当にこんな人が刑事なのか?)」
「さーてと、んじゃ、さっさとあの化け物倒そうぜ!」
「…はい…。ちなみに何か考えはあるんですか?」
「おいおい!戦おうって言い出したのは君だろ!言い出しっぺの君が戦い方を俺に提案しろよ!」
「うっ…。」
意外にも正論じみたことを言う神谷の言葉に一は戸惑った。一には何も考えがなかったのだ。
「どうやら、なにも考えてなかったみたいだね。まぁ、仕方ない。俺に考えがあるから、それ、試してもいいかな?」
まるでゲームを攻略しようとする子供のような口調で神谷は言った。
「(つくづく楽天的な人だな…。)」
と一は思った。
………
「本当にこんな作戦であの怪物を倒せるんですか?!」
「んー、多分大丈夫じゃん?」
「はぁっ。」
作戦を聞いて、一は大きくため息をついた。
「まぁ、他に何も思い付きませんし、それでいきましょう…。」
「何でちょっと不満そうなんだよ!」
明らかに不満そうな一に、声を荒げる神谷であった。
「んじゃ、早速ですけど後方支援頼みますよ。」
そう言って一は、ビルの壁にできた穴から、怪物の頭の方に向かって飛び出した。
「おうよ!任せとけい!」
そう言って神谷は拳銃を取り出した。
「ズガァン!」
銃声が聞こえ、その直後怪物の眼球に着弾した。
「グ、ヴアァァァァァァァァァ!!!」
怪物は痛みのあまり悲鳴をあげた。前の野球場に現れた怪物同様、眼球は弱点のようで、予想以上に攻撃は聞いていた。
『4010 enter, shotgun mode.』
続いて、一がケータイを使って空中で攻撃した。一の攻撃は、先程神谷が放った弾が着弾した方とは別の眼球にヒットした。
「グオォ!」
怪物は再び悲鳴をあげた。これで怪物は痛みに怯んだだけでなく、視覚が完全に封じられた。
「よっこいしょおぉぉぉぉぉぉーーー!!!」
続いて神谷が、100kg以上はするであろう岩石をビルから投げ飛ばした。そして、その岩石が怪物の足にクリーンヒットした。タワーの天辺から投げ落としたことも相まって、凄まじい衝撃が怪物の足に加わり、怪物の足はぺしゃんこになり、血潮が吹きわたった。
「ウガアァァァ!!グァ!ブアァァァ!!!」
怪物は悲鳴を上げながら転倒した。転倒した怪物の腹の表面に一が着地した。そして、すかさず攻撃しまくった。
『1111 enter, machine-gun mode.』
「うおぉぉぉぉ!!!」
一は叫びながらケータイを握りしめた。そして、腹の表面から頭部にかけて、走りながら容赦なく銃を連発した。怪物の体のあちこちに風穴が開き、ついに怪物は悲鳴をあげることも止め、静止した。そして数秒後、怪物の体が爆発し、辺りに粉塵が飛び散った。まさに、一が己の弱さと怪物の脅威に勝利した瞬間だった。
「どこだ?どこにいる?」
怪物を探す一の眼差しは、先程までとは全く異なったものだった。どうやら覚悟はできているようだ。
「いた!」
怪物は一が真っ先に見た方とは反対の方角にいた。なぜか怪物はまだ、ランドマークタワーのそばにいて、敢えてそこに留まっていたようだった。
「(なぜ動いてない?そもそも奴等の目的はなんだ?破壊活動を本能的に行うなら、壊し尽くしたこの場所を離れるはずだ。無駄な体力を消耗しないようにしているか。それとも…)」
そうこう考えているうちに再び怪物が雄叫びをあげた。
「グウオォォォォォォォォォ!!!」
まるで地震でも起きたかのようにタワーが揺れた。凄まじい気迫だった。
「(まずい!早く何とかしないと)」
一がそう思った瞬間、足音がした。
「よう。やっぱりお前、ここにいたか。」
「?!」
一は驚いた。なんとそこには神谷がいた。
「(やっぱりってなんだ?!まさか、神谷さんはこの不可解な一連の現象について何か知っているのか?もしかして、母さんのことも…。)」
一の脳裏にそんな考えがよぎった。
「(いや、今はそんなことを考えている場合じゃない!)」
一は直ぐに思考を止めて、まずは行動しようとした。
「神谷さん!」
一が突然大きな声で神谷を読んだ。
「なんだ?」
「頼みがあります!あなたが何故ここにいるのか、何を知っているのか、聞きたいことは山ほどあります!だけど、まずは一緒にあの怪物と戦ってくれませんか?!」
一は自分でも馬鹿げたことを言っていると思いながらも神谷に訴えた。怪物に唯一対抗できうる、サンという武器を持たない神谷に何ができるのだろうか、と。
「いいぜ。もとよりあのクソ野郎をどうにかするつもりでここに来た。」
神谷は意外にもあっさりと一の提案に乗った。
「それより一般人のお前がどうやって戦おうってんだ?それにその格好なんだ?何かのコスプレってやつか?学校の制服ではないもんな?」
神谷にサンのことを尋ねられて一は困った。正直に話してしまったら間違いなく自分は神谷に捕まると。そうなったら色々と厄介そうだった。
「(だけど、前回の事件では、怪物を含んだ事件の記憶が自分以外の人間には無くなっていた。もしかしたら今回も神谷さんの記憶が消えるかもしれない!)」
一は一か八か、神谷にサンのことを話すことにした。
「実は、このスーツやケータイは、あの怪物たちに唯一対抗できる武器なんです!実際に、僕は、この前怪物が現れたときもこれを使って倒したんです!」
一は正直に神谷に話した。
「…っぷ!」
「?!」
神谷は思わず吹き出した!
「あはははは!うひひ!あははははは!」
神谷はまるで漫画のキャラクターのように笑いだした。
「何がおかしいんです?!僕の言ってることは信じられないかもしれません!だけど、嘘じゃありません!本当です!」
一は少しムッとしてそう言った。
「いや、ごめんごめん!君の言ってることを冗談だと思った訳じゃないよ!こんな状況で、そんな真顔で嘘なんかつけると思わないさ。だけど、こんなおっさんになっても自分が今まで知らなかった、本当に漫画みたいな話があるなんて、世界は自分の想像以上に面白いと思ってね。」
一はキョトンとした。
「(…なんなんだこの人は?大分変わってる人だな…。本当にこんな人が刑事なのか?)」
「さーてと、んじゃ、さっさとあの化け物倒そうぜ!」
「…はい…。ちなみに何か考えはあるんですか?」
「おいおい!戦おうって言い出したのは君だろ!言い出しっぺの君が戦い方を俺に提案しろよ!」
「うっ…。」
意外にも正論じみたことを言う神谷の言葉に一は戸惑った。一には何も考えがなかったのだ。
「どうやら、なにも考えてなかったみたいだね。まぁ、仕方ない。俺に考えがあるから、それ、試してもいいかな?」
まるでゲームを攻略しようとする子供のような口調で神谷は言った。
「(つくづく楽天的な人だな…。)」
と一は思った。
………
「本当にこんな作戦であの怪物を倒せるんですか?!」
「んー、多分大丈夫じゃん?」
「はぁっ。」
作戦を聞いて、一は大きくため息をついた。
「まぁ、他に何も思い付きませんし、それでいきましょう…。」
「何でちょっと不満そうなんだよ!」
明らかに不満そうな一に、声を荒げる神谷であった。
「んじゃ、早速ですけど後方支援頼みますよ。」
そう言って一は、ビルの壁にできた穴から、怪物の頭の方に向かって飛び出した。
「おうよ!任せとけい!」
そう言って神谷は拳銃を取り出した。
「ズガァン!」
銃声が聞こえ、その直後怪物の眼球に着弾した。
「グ、ヴアァァァァァァァァァ!!!」
怪物は痛みのあまり悲鳴をあげた。前の野球場に現れた怪物同様、眼球は弱点のようで、予想以上に攻撃は聞いていた。
『4010 enter, shotgun mode.』
続いて、一がケータイを使って空中で攻撃した。一の攻撃は、先程神谷が放った弾が着弾した方とは別の眼球にヒットした。
「グオォ!」
怪物は再び悲鳴をあげた。これで怪物は痛みに怯んだだけでなく、視覚が完全に封じられた。
「よっこいしょおぉぉぉぉぉぉーーー!!!」
続いて神谷が、100kg以上はするであろう岩石をビルから投げ飛ばした。そして、その岩石が怪物の足にクリーンヒットした。タワーの天辺から投げ落としたことも相まって、凄まじい衝撃が怪物の足に加わり、怪物の足はぺしゃんこになり、血潮が吹きわたった。
「ウガアァァァ!!グァ!ブアァァァ!!!」
怪物は悲鳴を上げながら転倒した。転倒した怪物の腹の表面に一が着地した。そして、すかさず攻撃しまくった。
『1111 enter, machine-gun mode.』
「うおぉぉぉぉ!!!」
一は叫びながらケータイを握りしめた。そして、腹の表面から頭部にかけて、走りながら容赦なく銃を連発した。怪物の体のあちこちに風穴が開き、ついに怪物は悲鳴をあげることも止め、静止した。そして数秒後、怪物の体が爆発し、辺りに粉塵が飛び散った。まさに、一が己の弱さと怪物の脅威に勝利した瞬間だった。
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