ONE

四百珊瑚

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再来編

第十五話 一の家

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 授業が終わり、一は彰悟を連れて帰宅した。

 「神谷さん!二人とも帰ってきましたよ!」

 「んあっ?!」

 っと声をあげ、神谷は起きた。

 「ちょっと!一くんを監視するって言ったの神谷さんじゃないですか!なんで居眠りしてるんですか!」

 「ごめんごめん!ちょっと疲れててね。」

 頭をボリボリと掻きながら、だるそうに神谷が答えた。

 「疲れてるのは私も一緒です!」

 どうやら桜もここ最近の疲れが相当たまっているようで、少し苛立っている様子だった。

 「んー。んじゃ、さくらちゃん寝ていいよ。俺、見張っとくから。」

 「ほんとですか?!それでは、おやすみなさい!」

 と言って車の座席を倒した瞬間桜は眠りについてしまった。

………

 「ここが一の家かー!ほんとに一人暮らししてるんだな!」

 一方そのころ、彰悟は初めて訪ねる一の家を見てワクワクしていた。

 「うん!ちらかってるけどどうぞあがって!」

 「お邪魔します!」

  二人は家の中に入った。一の家は小さな古いアパートの一室で、生活に必要なものと、寝るスペースほどの広さしかなく、男子高校生二人が入ると少し窮屈に感じた。
 
 「ほぇー。全然散らかってないじゃん!ちゃんとしてんだなぁ。」

 どうやら彰悟は一の家を気に入った様子だ。

 「テレビとゲームもあるじゃん!対戦しようぜ!」

 「うん!ちょっと待ってて!お菓子とか出すよ!」

 「お!わりーな!サンキュー!」

 一にとって、友達が自分の家に来るのは初めてで、だれかと一緒にゲームをすることも初めてだった。一は胸を踊らせながらコップに茶を注いだ。

………

 「うぁー!何度やっても勝てねぇ!お前ゲームうますぎるだろ!」

 彰悟が少し嬉しそうに悔しがっていた。

 「そうかな?やった!」

 一はとてもうれしかった。今までゲームをやるのはいつも一人だったが、友達とゲームをして、褒められるとは、一にとっては信じられないことだった。

 こんな時間がずっと続けばいいと思っていたが、時刻はすでに18:00となっていた。

 「いっけね!店の手伝いあるからそろそろ帰るわ!わりーな!また今度遊ぼう!」

 彰悟は帰らなくてはいけない時間になった。

 「うん!今日はすごい楽しかった!また来てよ!」

 一は大きく手を振って彰悟を見送った。彰悟も笑顔で手を振り替えした。

 彰悟が帰り、一は一人で片付けを始めた。

 「あれ?なんだ、すごい眠い…。」

 片付けを始めた一だったが、とても強い睡魔に襲われ、眠りについてしまった。

………

 「おっ!彰悟くんが出て来た。」

 一方その頃、神谷はずっと監視を続けていた。

 「青春だねぇ。」

 神谷がそう呟いた瞬間、突然鳴神市の緊急警報が鳴った。

 「なんだ?!」

 「はっ?!どうしたんですか?!」

 桜も驚いて飛び起きた。

 『緊急警報!緊急警報!謎の生命体が鳴神ランドマークタワー付近に出現!市民のみなさんは冷静に避難してください!繰り返します…』

 「謎の生命体だと?!また何か起こるのか…。」         
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