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昇天編
第十一話 対面
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放課後になると、一は彰悟に連れられて、彰悟の家にやってきた。
「ここが彰悟の家か…。」
正直、一は彰悟の家を見て驚いた。勉強ができて運動神経もよく、明るい性格でクラスの中心人物の彰悟の家は、お世辞にも立派な家とは言えなかった。木造の古い家で、ところどころ汚れが目立ち、ガタがきていそうだった。どうやら二階が住居になっていて、一階は店になっているようだった。
「実は俺の家ラーメン屋なんだ!さびれた店だけど味だけは確かなんだ!今日は奢るから腹一杯食ってけ!」
僕は彰悟に連れられて店のなかに入った。店の中はカウンター席に椅子が6つ並んでおり、四人掛けのテーブルが二つあった。入り口のそばには漫画が置かれた木製の本棚があった。
僕は、カウンター席の中でも厨房よりの一番端の席に座った。
「ちょっと待っててくれ!着替えてくるわ!」
と言って彰悟は厨房の中に入っていった。
しばらくすると薄汚れた白い割烹着に黒い腰巻きをした矢本がお冷やを片手にカウンター席を挟んで向かいにやってきた。
「ほい。お冷やな。ラーメンどれ食う?」
僕は少し迷って、メニューを見て真っ先に目に入った種類を注文することにした。
「豚骨醤油ラーメンで!」
「はいよ!ちょっと待っててな!」
彰悟は再び厨房に戻っていった。厨房からはラーメンの良い臭いが漂ってきた。彰悟はすぐにラーメンを持ってやって来た。
「ほい!豚骨醤油ラーメンお待ち!おまけで大盛りにしといたぞ!」
実は僕は本当は大盛りにしようか迷っていたが、奢って貰うということで気を使って大盛りにはしなかった。だが、その僕の気持ちに気づいたかのように彰悟は大盛りを持ってきた。
ラーメンは麺も具もたくさんで、スープは少し揺れたらこぼしそうなほどだった。
「いただきます!」
僕はラーメンを口に含んだ。ラーメンは非常に旨かった。正直店の外観を見てからあまり味には期待していなかったが、僕の予想は見事に裏切られた。それにしてもうまい、うますぎる。こんなにうまいラーメンは初めて食べたかもしれない。
「これ、彰悟が作ったの?」
思わず僕は気になったことを聞いてみた。こんなにうまいラーメンを同級生が作っていたとしたら、もはや事件と言っても過言ではない。
「うーん。まぁ、湯切りとか簡単な調理くらいは俺もやるけど、大体は俺の親父が作ってるな!スープは親父が一から作ってて、麺や具も親父が長年かけて見つけた名店のものを直接取り寄せて作ってる!」
「そうなんだ!そういえば親父さんは厨房にいるの?折角ご馳走になるから是非挨拶したいんだけど…。」
「あ、悪ぃな!実は親父、2階で寝てるんだ!このラーメン屋の稼ぎだけじゃとてもじゃないけど食ってけないから他にもいろんなバイトをやってて寝る時間も不規則なんだわ!昨日の夜から今日の朝まで工場のバイトしたあと新聞配達やって、帰って来て仕込みをしたらすぐ寝ちまったみたいだ!」
「そうなんだ…。大変なんだな…。なんかそれなのにこんなにうまいもん奢ってもらってしまってなんか悪いな…。」
「いやいやいいんだよ!気にすんなって!これは俺からのほんの気持ちだから!」
そんな会話をしながらラーメンを食していると、突然店の扉が開いた。
「あ、いらっしゃい!」
「どうも。こんにちは。君が矢本彰悟くんかな?あれ?お友だちも一緒かい?」
これが一、彰悟、神谷、近藤の四人が初めて出会った瞬間だった…。
「ここが彰悟の家か…。」
正直、一は彰悟の家を見て驚いた。勉強ができて運動神経もよく、明るい性格でクラスの中心人物の彰悟の家は、お世辞にも立派な家とは言えなかった。木造の古い家で、ところどころ汚れが目立ち、ガタがきていそうだった。どうやら二階が住居になっていて、一階は店になっているようだった。
「実は俺の家ラーメン屋なんだ!さびれた店だけど味だけは確かなんだ!今日は奢るから腹一杯食ってけ!」
僕は彰悟に連れられて店のなかに入った。店の中はカウンター席に椅子が6つ並んでおり、四人掛けのテーブルが二つあった。入り口のそばには漫画が置かれた木製の本棚があった。
僕は、カウンター席の中でも厨房よりの一番端の席に座った。
「ちょっと待っててくれ!着替えてくるわ!」
と言って彰悟は厨房の中に入っていった。
しばらくすると薄汚れた白い割烹着に黒い腰巻きをした矢本がお冷やを片手にカウンター席を挟んで向かいにやってきた。
「ほい。お冷やな。ラーメンどれ食う?」
僕は少し迷って、メニューを見て真っ先に目に入った種類を注文することにした。
「豚骨醤油ラーメンで!」
「はいよ!ちょっと待っててな!」
彰悟は再び厨房に戻っていった。厨房からはラーメンの良い臭いが漂ってきた。彰悟はすぐにラーメンを持ってやって来た。
「ほい!豚骨醤油ラーメンお待ち!おまけで大盛りにしといたぞ!」
実は僕は本当は大盛りにしようか迷っていたが、奢って貰うということで気を使って大盛りにはしなかった。だが、その僕の気持ちに気づいたかのように彰悟は大盛りを持ってきた。
ラーメンは麺も具もたくさんで、スープは少し揺れたらこぼしそうなほどだった。
「いただきます!」
僕はラーメンを口に含んだ。ラーメンは非常に旨かった。正直店の外観を見てからあまり味には期待していなかったが、僕の予想は見事に裏切られた。それにしてもうまい、うますぎる。こんなにうまいラーメンは初めて食べたかもしれない。
「これ、彰悟が作ったの?」
思わず僕は気になったことを聞いてみた。こんなにうまいラーメンを同級生が作っていたとしたら、もはや事件と言っても過言ではない。
「うーん。まぁ、湯切りとか簡単な調理くらいは俺もやるけど、大体は俺の親父が作ってるな!スープは親父が一から作ってて、麺や具も親父が長年かけて見つけた名店のものを直接取り寄せて作ってる!」
「そうなんだ!そういえば親父さんは厨房にいるの?折角ご馳走になるから是非挨拶したいんだけど…。」
「あ、悪ぃな!実は親父、2階で寝てるんだ!このラーメン屋の稼ぎだけじゃとてもじゃないけど食ってけないから他にもいろんなバイトをやってて寝る時間も不規則なんだわ!昨日の夜から今日の朝まで工場のバイトしたあと新聞配達やって、帰って来て仕込みをしたらすぐ寝ちまったみたいだ!」
「そうなんだ…。大変なんだな…。なんかそれなのにこんなにうまいもん奢ってもらってしまってなんか悪いな…。」
「いやいやいいんだよ!気にすんなって!これは俺からのほんの気持ちだから!」
そんな会話をしながらラーメンを食していると、突然店の扉が開いた。
「あ、いらっしゃい!」
「どうも。こんにちは。君が矢本彰悟くんかな?あれ?お友だちも一緒かい?」
これが一、彰悟、神谷、近藤の四人が初めて出会った瞬間だった…。
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