妹に長女の座を奪われた侯爵令嬢、『文官』加護で領地を立て直す

「フラヴィニー侯爵家息女マリリーズ、お気の毒だが私に貴女と婚約する気はない!」
 夜会で侯爵家次男から突然そんな宣言をされた14歳のマリリーズは、一歳下の妹ミュリエルの謀にはまったことを知る。
 マリリーズが4歳のとき侯爵の父が死亡し、国の決まりで長女が15歳で成人するまで叔父が暫定爵位についていた。
 しかし再婚した叔父と母は、ミュリエルが長女であると偽って国に届けてしまった。
 以後マリリーズは三人から虐げられて生きている。
 このままではミュリエルが15歳で爵位を継ぎ、マリリーズは放逐されることが予想される。
 10歳のとき加護を賜る儀式で、ミュリエルは強力な火魔法を、マリリーズは聞いたことのない『ブンカン』という加護を得る。いろいろ事務仕事に役立つが、極め付きは読める場所にある文書を書き換えられることだ。
 文官に役立つ能力を得たということで、それからマリリーズは男装をして叔父とともに王宮に通い、執務を手伝うことを命じられた。
 ほとんど使用人と変わらない扱いの日々が続く。
 そんな中でマリリーズは領地の窮状を知る。当てにならない叔父には秘密に、家宰の協力を得て、マリリーズは加護の能力をさまざまに利用して領地の立て直しを目指すことにした。
「この現状を捨て置くわけにはいかない、ここで目を逸らしたら絶対後々に悔いが残る!」と。
 領地救済と成人後の自立を目指して、マリリーズは行動する。
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