勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~

竹間単

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【第五章】 美少女と、魔物の住処で性(さが)を知る

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 ケイティとレイチェルは、一人ずつでも可愛いが、二人で並ぶとよりアイドルらしかった。
 ピンク色の髪をツインテールにした妹キャラっぽいケイティと、水色の髪をショートカットにしたお姉さんキャラっぽいレイチェル。
 お互いの存在がお互いの良さをより引き出している。

「どうでしたか!?」

「アイドルっぽく見えましたか!?」

 少しの期待と緊張で目を見開く彼女たちに、俺は心からの拍手を送った。

「素晴らしかったです。二人とも、とても素敵なアイドルでした」

 俺の言葉を聞いた瞬間、ケイティとレイチェルが飛び跳ねながら二人でハイタッチをした。
 仲良しで微笑ましい。
 ……と思ったのも束の間、彼女たちは我先にと俺の前に飛び出してきた。

「ショーン様、次はケイティのソロ曲を聴いてください!」

「ケイティの歌よりも、レイチェルのダンスを見てください!」

「もう、レイチェルってば。じゃあケイティは歌って踊るもん」

「それならレイチェルも歌って踊るわ」

 圧が強い。
 このくらい前に出ようとした方が、アイドルとしては成功するのかもしれないが。

「まあまあ。時間はあるので、両方披露したらいいんじゃありませんか?」

 俺は平和主義の見本のような言葉を述べて場を鎮めようとした。
 しかし俺の言葉は、彼女たちの前に出たがる心に火を点けただけだった。

「時間があるということは、ショーン様はまだまだケイティたちを見てくれるんですか!?」

「ショーン様に見せたいものはいっぱいあります! 全部、披露したいです!」

「二人には持ち歌がたくさんあるということですか?」

 俺の質問に彼女たちは大きく頷いたが、彼女たちが持っているものは、歌だけではなかった。

「歌も良いですが、ケイティはクモの早食いも出来ます!」

「レイチェルはトカゲの大食いが出来ます!」

「ケイティは怪談だって得意です!」

「レイチェルだって漫談が得意です!」

「ケイティの目隠しけん玉も見てください!」

「レイチェルのブリッジ歩行も見てください!」

 だんだんかくし芸大会みたいになってきた……。
 クオリティは分からないが、二人は出来ることの幅が広いようだ。

「そんな特殊なことも出来るんですね」

「アイドルは多芸な方が、露出の機会が増えますから」

 アイドルになるために二人で特訓をしたのだろうか。
 涙ぐましい努力だ。
 ……努力の方向性が合っているかは分からないが。

「露出で思い出しました! この前水着を手に入れたので、レイチェルの水着姿を見てください」

「レイチェルずるーい。じゃあケイティも水着着ちゃうもん」

「じゃあ二人で水着ファッションショーをしようよ、ケイティ」

「とってもいい考えね、レイチェル」

 二人は俺に向かって満面の笑みを見せた。

「これから水着ファッションショーを披露するので、水着に着替えてきますね!」

「ポロリもあります!」

「無くていいです」

 余計な一言を付け足したケイティに、余計なことはしなくていいと伝えておいた。
 アイドルは、そういうことをもったいぶってこそだ。
 そういった方向で身体を張るのは、落ち目になってからでいい。



 少ししてから、水着に着替えるために隣の部屋へ行っていたケイティとレイチェルが戻ってきた。
 予告通り、二人とも水着姿だ。

 服を着ているときも思っていたが、水着になると余計に細い。
 これがアイドル体型なのだろうか。
 近くで見ると心配になってしまう細さだ。

「先程のお洋服も似合ってましたが、お二人は水着も似合いますね」

「ありがとうございます!」

「アイドル界のトップを狙えちゃいますか!?」

「はい。きっと大人気アイドルになれますよ。えっと、あの、水着はちょっと刺激が強いですが」

 そうなのだ。
 俺が予想していたよりも、二人の水着は際どいものだった。
 どう考えても、海で泳ぐ衣服として適しているとは思えない。
 泳ぐために手足を大きく動かすと、水着が脱げて波に流されてしまいそうだ。

「せっかく着たし水着のまま歌おうか、レイチェル」

「ケイティ、それいい案かも」

「俺は反対です。その水着で踊るのはかなり危険と言いますか……刺激的すぎます!」

 水着で激しいダンスを踊るとどうなるかは、考えなくても分かる。
 そして俺は、そういったことに免疫がない。
 うっかり鼻血でも出したら、陰で一生笑われてしまう。

「可愛いだけじゃなくて、たまに刺激的なところを見せるのも人気が出そうよね。レイチェル?」

「せっかく肌が綺麗だしスタイルもいいんだから、見せていかないとね。ケイティ?」

 しかし俺の反対など聞こえなかったかのように、二人は話を進めた。

「もう、こういうときは息ピッタリなんですから!」

 俺ではテンションの上がった二人を止めることが出来ないようなので、代わりに自身の目を両手で覆った。
 いざとなったら、すぐに目を隠せる仕様だ。
 いざではないときは、指の隙間から二人を見ればいい。

「では聴いてください。『魔物はおじゃまものじゃない☆』」

 二人は水着姿のまま、歌を歌いダンスを踊り始めた。
 しかし先程聴かせてくれた曲とは違い、今回の曲はしっとりとしたバラードだった。
 そのため、ダンスも激しいものではなくゆっくりとした動きだ。
 若干タイトルと曲調が合っていない気もするが、この曲調のおかげで最後まで水着は二人の身体の上に水着の形のまま残っていた。



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