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鈍感婚約者は気付かない
しおりを挟む俺には婚約者がいる。
政略的な物だったので、まさか自分がここまで彼女に溺れる日が来るとは思わなかった。
そんな俺の婚約者のステーシアは、鈍感だ。それに加えて俺も、大切なことを口にしない。だから上手く伝わらないことがおおいけれど、きっと俺が彼女を愛しているのは気付いてくれているだろう。そう信じたい。
「あー、ステーシアが今日も可愛い…」
そう呟いた俺に、親友のバルドが呆れたような笑いをする。
「今日も見事な溺愛っぷりだなぁ」
「可愛いだろ?俺のステーシア」
「お前のじゃないけど可愛いな」
「俺のだ。そんでお前が可愛いとかいうな、いかがわしい目で俺のステーシアを見やがって!」
「お前が聞いてきたんだろ!そんで一番いかがわしい目で見てるのはお前だ!」
ニコニコと笑っているステーシアが本当にかわいい、天使か。
「あーあ、早く結婚してぇ…」
そう言った俺に、バルドがそういえば、と呟く。
「彼女、いいの?」
「あ?」
あぁ、あの女か。ストーカー女のマリーン。
「あの女、気持ち悪い。俺のことすきすき言いやがって」
「まぁな」
俺には愛しのステーシアがいるのに、抱けなどと迫ってきて。少しは愛らしいステーシアを見習ったらどうなんだ。
「そんなに言うならさっさと自分のものにしちゃえばいいのに」
「しようとしたさ」
それこそ、迫って襲おうとした。
けれど、嫌だと泣くステーシアに嫌われたくなかったのだ。
初めてなので怖いのだろう。仕方ない。
「本当なら早く子供を作って、俺だけの世界に閉じ込めたい…」
「歪んだ愛情だなぁ」
「…あ?」
遠くに見える、愛しいステーシアの横顔。
その隣にいるのは……同じクラスのグレイソンだ。気に入らない、ステーシアと話すなんて。と思いきや、二人でどこかへ行こうとしている。
「ステーシア!」
思わず呼び止めてしまった。そんな奴と何を話すというのだろう。どこへ行くというのだろう。
彼女は少し驚いた顔をしてこちらを振り返った。あぁ、可愛い。俺だけの天使。
「あら、アルフレッド様。どうかなさいましたの?」
「その…どこへ、行くんだ?」
他の男と話しさえもしないで欲しいと、そう願う。グレイソンならば尚更だ。コイツは昔から、ステーシアに気があると見え見えなのだ。
「少し話があって。アルフレッド様は先にお帰りになって」
話とはなんだろう。というか、ステーシアは俺以外と話さなくていいだろう?それに先に帰れなんてつれないものだ。
「いや、待っているよ」
というかその話とやらの内容を知りたのだ。
「いいんですの、長くなりますから。では、また明日。ごきげんよう」
止める間もなくグレイソンを連れてどこかへ行ってしまったステーシアの背中を追いかけようとしたのだが。
「まぁアルフレッド様!こんなところで会うなんて偶然…いいえ、運命ですわね!」
「なっ、お前どうしてここにいる!?」
タイミング悪く、ストーカー女のマリーンが来た。
「これは最早運命ですわ、今日こそ告白の返事をお聞かせになって!」
逃げようにも腕をぎっちりホールドされているので抜け出せない。
「放せ!何度も言っている、俺にはステーシアがっ…!」
そうだ、ステーシア。消えた方向を見るけれどそこには誰もいない。探すのは不可能だろう。
(ステーシア…)
ストーカー女マリーンはやはりどこまでもついてきて、結局帰らざるを得なかった。
***
翌日、俺は気分が悪いまま登校した。それもそのはず、ストーカー女が待ち伏せて、俺の腕に絡みついて離れないのだ。
今日はステーシアを屋敷まで迎えに行き、昨日グレイソンと何を話していたのか問い詰めようと考えていたのに。台無しだ。
そうして歩いていると、後ろから愛おしい声が聞こえた。この声はーー
「ステーシア!!」
やはり。あぁ、朝からステーシアの姿を見られるなんて幸せだ。…けれどその幸せも、一瞬で崩れ落ちた。
「あら、アルフレッド様。おはようございます」
にこりと天使の笑みを浮かべる彼女。その隣で俺から目を逸らした男、グレイソン。何故お前が、誰が、ステーシアの隣を歩くことを許可した?
ステーシアの隣を歩いていいのは、婚約者の俺だけだろう?
「……グレイソン、何故ステーシアと一緒に…?」
「え、あー…」
言い淀んだグレイソンが気に入らない。言えない理由があるわけでもあるまいに。
だが意図して一緒に来たわけではないだろう。
「く、来る途中にでも会ったのか?」
そうだ、そうに違いない。そう思ったのに、彼女は天使の笑みでそれを全否定した。
「いいえ、アルフレッド様。グレイソンが私の屋敷まで迎えに来て下さったの」
「な、んだと?迎えに、きたって、一緒に、来たのか?」
「えぇ、そうですわ」
どういうことだ?どうして俺のステーシアをこの男が迎えに行く必要がある?昨日の話とやらとなにか関係があるのか?ステーシアはどうして当たり前にそれを受け入れてる?
君も俺を好きでいてくれてるんじゃなかったのか?
頭が痛い。クラクラする。何も思い浮かばない。
気がつけば放課後になっていて、教室に戻って荷物を取らなければ。そう考えて、足を踏み出した時だ。
「アルフレッド」
「…グレイソン?」
「話がある、ステーシアのことで」
「!!」
ステーシアのこと。もしかしたら、何か教えてくれるかもしれない。
「な、なんだ?」
「…単刀直入に言う。彼女と別れてくれないか?」
「……は?」
「彼女が、僕との結婚を望んでくれている」
「…何を言っている?頭でも沸いたか?」
馬鹿なのか、それともステーシアに優しくされて調子に乗ってるのか。後者なら、二度とステーシアに認識してもらえないようにしてやる。
「彼女がそう言ったんだ、僕と結婚したいと」
「妄想か?」
心臓がバクバクと昂ぶるのを感じた。それを聞いて動揺しているのは、最近のステーシアの態度が以前よりも冷たくなったと感じたからだ。
「嘘だと、妄想だと思うのなら彼女に聞いてみればいい。丁度いま、教室にいる」
どうして俺の知らないステーシアの居場所をこいつが知っている。もしや、俺にとってのマリーンのような存在か?ストーカーか?
それを問う前に、一刻も早く否定の言葉が欲しかった。彼女に違うと一言いわれるだけで俺は、永遠に幸せに浸ることが出来るだろう。
「…ステーシア?」
誰もいなくなった教室に、ステーシアは一人佇んでいた。
「あら、アルフレッド様。丁度良かったですわ」
「…なんだと?」
丁度良かった?なにが、どう良いんだ?
「お話したいことがあったんですの」
人が入ってくる気配がした。それがグレイソンだと分かった。けれど俺はそれよりも、話について気になった。否定の言葉が欲しくて来たのに、言われるであろう言葉はきっと否定ではない。
「ステーシア」
「グレイソン。貴方も、丁度良かったわ。こちらに来て」
手招きしたステーシアに、グレイソンが近付く。それだけで腹立たしいほどに、俺は彼女を愛している。
「ステーシア、どうしてグレイソンを呼ぶ?」
「丁度良かったからですわ。アルフレッド様、私との婚約をなかったことにしてくださいませ」
「……は?」
あまりにも突然のことに、何と返せば良いのか分からない。それ以前に、言葉の意味が理解できなかったし、しようとも思わなかった。出来るとも思わない。
「実は私、グレイソンとの間に子供が出来てしまいましたの」
グレイソンの腕に、ステーシアは絡みつく。子供。子供が、出来た。グレイソンとステーシアの、子供。
「アルフレッド様?」
何故、こんなことになっている?分からない、何も考えられない。
頭が真っ白になって、まるで絶望のどん底に押し入れられたような感覚。
身体の力が抜けて、情けなくもその場に座り込んでしまった。愛しいステーシアの声はまだ続く。
「グレイソン、手を貸して差し上げて」
「え、僕が?」
「貴方以外にグレイソンがいるの?」
「…分かったよ」
目の前に、男の手が差し伸べられる。それがグレイソンの手だと考えるまでにも、とても時間がかかってしまった。
そして、それと同時に絶望が悲しみになり、悲しみが怒りへと変わった。
この手を差し伸べた男のせいで、俺は。
「ふざけるな!!!」
よくも、俺からステーシアを奪ってくれた。殴るだけでは物足りない。
グレイソンの頬を殴り、そのまま頭を地面に擦り付ける。
「ぅぐっ…!」
汚らしい声で呻いたグレイソンに、ステーシアが駆け寄る。嫌だ、近付かないで欲しい。俺以外を見ないで、俺だけを見ていて。
「グレイソン、大丈夫!?」
「あ、あぁ」
どうしてお前がステーシアに心配される?そんな権利がお前にあるか?
何度も何度も、蹴る。蹴って、蹴って、蹴って、それでも足りなくて、また殴る。
「な、なにをなさるの!!?やめてくださいませ!!」
庇うように、ステーシアがグレイソンに抱きついた。このまま殴ろうとすれば確実に、彼女にも当たってしまう。それだけは出来ない。けれど彼女をこの男から引き離したいのに、それが叶わない。手の力が抜けていく。
「グレイソン、大丈夫!?」
「だ、大丈夫……じゃねぇよ!痛いっての!!」
グレイソンの額から流れている血を、ステーシアが白いハンカチで拭く。
「大変、血が…!医務室に行かないと!アルフレッド様、お願いです、グレイソンを医務室に運ぶのを手伝って…!」
「……俺に、それを、頼むか?お前が…」
どうしてお前は、俺を裏切っておきながら、そんな風に平然と話しかけてくる。その男を助けろという。
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「え?」
「子供?俺が迫った時は、やめてくれと言ったくせに?」
彼女を早く自分だけのものにしたくて、縛りたくて、俺は迫った。彼女はそれを嫌だと、やめてくれと拒んだ。泣きながら。
怖かっただけだと、焦ることはないと。そう必死に理性を抑えた俺が、馬鹿みたいだ。
「何でだよ……俺はダメで、ソイツはいいのか?」
もう嫌だ。この男が全部悪いのか?そうに決まっている。俺の純粋なステーシアに余計なことを吹き込んで丸め込んだに違いない。
その思いを、一発に込めて思いっきり蹴る。
すると、ステーシアがこちらを見上げて睨んで、叫んだ。
「おやめになって!!貴方のためにこうしているのに、グレイソンをこんなにしてっ!」
いつも大人しいステーシアがこんな風に叫んだのなんて見たことがない。それほど、その男が、グレイソンが。
「そんなにソイツが大事か!俺と結婚するなどと言っておきながら、ソイツと子供が出来た?妊娠する?ふざけんじゃねぇよ!!!」
「ど、どうしてそんなに怒るのです?私は貴方のために…」
俺のため?これのどこが俺のためだって?
「俺のために他で子供作ったってか?ふざけんなっ!!」
「あ、アルフレッド様?」
こんなにも、俺はお前を愛しているのに。政略結婚ではあるけれど、それでも、お前を愛しているのに。
「お前と結婚まですると思っていた、お前に好かれていると思っていた、俺が馬鹿だった…」
「? 結婚はあの少女とすればよろしいのでは?」
「…は?」
あの少女?なにを言っている?
「あの方がお好きなんでしょう?」
「……あの方?」
だから、誰のことーー
「名前は何と仰ったかしら……そう、マリーン様だわ。貴方、あの方がお好きなんでしょう?」
ーーは?
「は……はぁぁぁぁあ!!!?」
「きゃっ!?」
思わずステーシアの腕を掴む。何をどう勘違いしたらそうなるんだ?
「アイツは俺のストーカーだっ!俺が好きなのはなぁ、っ、っ………」
お前。ダメだ、こんな時くらい、ちゃんと口にしなければ。
知っていたではないか、彼女が鈍いこと。そこに惹かれたのに。俺は口にしなさすぎた。
「アルフレッド様?あの、とにかくグレイソンを…」
どうして俺の気持ちが分からない。
閉じ込めて、俺の名前しか呼べないようにしてやりたいと、そう願う俺の心をどうして分かっていてくれない。
「お前が好きなんだよ!!なんで分かってないんだよ!鈍感にも程があるだろ!!!」
「……え?」
素っ頓狂な声を出すステーシアに苛立ちが募る。けれど俺はきっと、何があろうと彼女を手放すことは出来ない。彼女を知ったその日から、そらは分かっていたことだ。
俺は彼女を、この世で一番、それ以上に、愛している。
「なのに、子供?っ…ふざけんな、こんな子堕ろせ!」
「そ、それは無理な話ですわ」
「はぁ!?」
無理?堕ろしたくないってか?
「グレイソンとの子供なんて、初めからいませんもの…」
「……はぁ!?」
どういうことだ!!?
「あ、あなたが、私と婚約破棄したいのだとばかり思って、グレイソンに手伝ってもらって…」
「だからどうしてそうなる!!」
「だ、だって、貴方、早く結婚したいって仰ってたでしょう!?」
「そんなの、お前とに決まってるだろ!?」
「ええっ!?」
「何を勘違いしてるんだよ、この馬鹿!!!」
勘違いにも程というものがあるだろう!?
というか、これが勘違いで誤解で、…グレイソン!!!やっちまった!!
「てか、嘘ってことは、俺は無実のグレイソンをこんなにしちまったのか?」
はあっとため息をついてしまったのは仕方ない。こうなったのは、ハッキリとマリーンを拒絶してこなかった俺にも責任があるだろう。
「と、とにかく医務室に…」
「そうだな……おい、お前は他の男に触るな」
もういい、この際開き直ってしまおう。
「え?」
「いいか、俺以外の男に触るんじゃねぇ。さっき腕を組んでるの見て、俺がどれだけコイツを殺したいと思ったか」
「え、ご、ごめんなさい」
素直に謝るステーシアに気を良くしながら、アルフレッドは続ける。それは先に聞いておくべきことだ。
「…あと、俺以外の奴と、子供が出来るようなことしてないよな?」
「あ、当たり前ですわ!!」
真っ赤になるステーシアを見て、つくづく思う。天使だ。あー、犯したい。
「そりゃ良かった。してたら相手の男を殺しに行くところだ」
「そんなこと…」
「あと、覚悟しとけ。お仕置きだ、後でたっぷり子作りしてやるよ」
「はい!?」
そもそも子供と言い出したのはステーシアだ。これに乗じて遠慮なく、思う存分やらせてもらおうではないか。
「あの、後でとは、何年後で…」
何年?そんなに待てるものか。すぐにでも犯したい。
まぁ、とりあえずは。
「…コイツを医務室に連れてすぐにでも」
「はいぃ!?」
「嫌ですわ!私のアルフレッド様!!」
泣き喚くマリーンはとんでもないことを口にした。
「ステーシアが、あの女がいなくなれば貴方は私と…」
「…おい、それ以上言ってみろよ?」
女だからと躊躇していたけれど、ステーシアに危害を加えるとなれば話は別だ。
「お前を、生きていたことを後悔するまでいたぶってやるよ」
ステーシアが妊娠したのは言うまでもない。当たり前だ、計算してやったんだから。
「本当は前に迫った時に、子供を作って結婚する予定だったんだ」
今だから言えることに、ステーシアは微笑みを返してきた。
「お前が好きだから、嫌がることはしたくなかった。…愛してるよ、ステーシア」
まぁ、痛いとか言われても止めなかったけど。それは割愛だ。
「わ、私も…愛してます……あ、グレイソンも来てくれてる…!」
ニヤニヤしそうになったけれど、結婚式にまで他の男の名前が発せられるのは気に入らない。
けれどグレイソンに申し訳ないことをしたのも事実である。ステーシアの視線を辿ると、まるで見せつけるように顔にガーゼを貼ったグレイソンがこちらを呆れたように見ている。
きっとステーシアはそれを見て、まだ傷が癒えないのかと心配しているだろう。
「後でもう一度謝らないと…」
やっぱりな。けど、残念。
「何を言っているんだ?会わせるわけがないだろう?」
「え?」
「…言っておくけど、お前はもう学園には戻さないからな」
「ええっ!?」
何故驚く。何度も言っていることなのに。
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「え、で、でも」
ノーは言わせない。
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「っ…はい…!」
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早く、俺しか見えないようになればいいのに。
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死が二人を別つまで?俺は死んでも、ステーシアと別れたりしない。
どこまでも、縛り付けてやる。
だってそんな俺を愛し、許してくれたのは他でもないステーシアなのだから。
「愛してるよ、ステーシア」
君の魂が消える、その瞬間まで。逃がしはしない。
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