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第3章:第1節
新たな攻略対象三人目 カルマ
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「……ヴァンパイアの匂い消したのに、よく分かったね。」
好意の眼差しで私に視線を送る三つ子の一人…カルマが部屋のドア付近にもたれかかっていた。
________カルマ。人間界で夢音カルマと呼び、『BLOODY PRINCE ~Devildom Guardian~』に登場する由奈の新たな攻略対象の一人で三つ子の末っ子。
身長は164㎝と私と僅か1㎝の差で、水色髪の天然パーマで前髪によって左眼が隠れた状態。雰囲気がジメジメと醸し出しており、基本無口で最低限のことしか話さない。
また薬品マニアと言われている相当の変わり者で、薬品以外は興味を示さない。
ゲーム上では、由奈を見てもカルマは興味を示すことがなかった。勿論、話を進めるうちにだんだん興味を示すのだが………
(私を見るこの好意の眼差しは一体………!?)
ヴァンパイアハンターであるはずの私にカルマの目はキラキラ輝いていて、拉致された当日にボクのお嫁さんにする宣言を発言していたことから、これは明らかに私に興味を示していた。
「……ボクが作ったヴァンパイア専用の臭い消しは、まだ……完璧じゃないみたい。」
それに無口で自分から話しかけることがほぼないカルマが、やけにお喋りであることも気になる。
「……何か言いたげだね?」
私の視線に気付いたカルマは、前髪がかかってない右目で好意の眼差しのまま首を傾げて見つめ返す。
「私に何か用ですか?」
ガクッと首を項垂れた私は先程の質問をもう一度、カルマに問いかけた。するとカルマは手に持ってる小瓶の細長い部分を持ちながら、私のところに歩み寄る。
「……君からヴァンパイアハンターの匂いするから、臭い消しを作った。これは君専用。」
そう言ってカルマは私に手に持った小瓶を渡される。実は拉致されて翌日、臭い消しが無いことに気付いた私は服を買った帰りの際にセレスが既にカルマに臭い消しを作ってと伝えてあるらしい。臭い消しを付けず二週間経っていた。
「……まぁ、ボクとしてはヴァンパイアハンターの匂いなんて気にしないんだけど……二人が煩いから。」
カルマは1サイズ大きいダボダボの白衣で顔を擦り付ける。彼が薬品を使って色んな薬を作る時の服装だ。
「これ本当に臭い消し、ですか?」
私は当然、臭い消しだと言われてハイそうですかと簡単に頷けるはずがない。いくら攻略対象が作ったと言っても、今持ってる小瓶は臭い消し以外かもしれない。
「……君に渡す前にちゃんと実験してるから、れっきとした臭い消し。」
疑うなら今ボクの前で着けてみてと言われる。カルマの目が光らせて決死な表情を浮かべていて、頭の良い私はそんなカルマの表情で嘘をついてないと悟った。
「ハァー、今の表情で嘘はついてないと分かりました。なので………きゃっ!?」
着替えるので部屋から出て下さい、溜息吐いて、その言葉を紡ぐ前にグイッと引っ張られてベットの方に放り出される。その際に手に持っていた小瓶は引っ張られた拍子にベットの上に落ちる。
「……スピカ、ボクのお嫁さんになって?」
私の上に覆い被さったカルマは、好意の眼差しで私を見下ろす。
「無理!」
私を見下ろすカルマにキッと睨み付けた、当然の模範解答だろう。まず内容が飛躍し過ぎだ。恋人同士…ましてや友達ですらなっていないのに、いきなりお嫁さんになってはおかしい。
「……なんで?ボク、ヴァンパイアハンターでも気にしないよ?」
(そういう意味じゃない!!)
いや、自分がヴァンパイアハンターだというのもそうだが………
「いきなりお嫁さんになってって言われても無理だし、それに私は好きな人がいるから!!」
「……好きな人がいるの?」
「そう。だからお嫁さんにならないし、なるつもりもないから!」
カルマは基本、面倒くさいことは巻き込みたくないタイプで『来る者は拒まず去る者は追わず』だ。こう言ってしまえば諦めてくれるだろうと思った私だったが……
「……そいつ、ボクより強いの?」
カルマは好意の眼差しからメラメラと怒りを露わにして、不機嫌になる。
(あれ?何この反応、予想外なんだけど!?)
てっきり、そうなんだと一言で諦めてくれるのかと思ったのに予想外の反応に私は動揺を隠せない。
(というか、まずこの状況をなんとかしなければ!)
そう思った矢先、私に覆い被さったカルマの体はヒョイっと誰かに引っ張られる。
「……何早朝に襲い込もうとしてんだ?カルマ。」
カルマの背中を片手で引き寄せたルウトが眉を顰めながらカルマに睨み付けた。
好意の眼差しで私に視線を送る三つ子の一人…カルマが部屋のドア付近にもたれかかっていた。
________カルマ。人間界で夢音カルマと呼び、『BLOODY PRINCE ~Devildom Guardian~』に登場する由奈の新たな攻略対象の一人で三つ子の末っ子。
身長は164㎝と私と僅か1㎝の差で、水色髪の天然パーマで前髪によって左眼が隠れた状態。雰囲気がジメジメと醸し出しており、基本無口で最低限のことしか話さない。
また薬品マニアと言われている相当の変わり者で、薬品以外は興味を示さない。
ゲーム上では、由奈を見てもカルマは興味を示すことがなかった。勿論、話を進めるうちにだんだん興味を示すのだが………
(私を見るこの好意の眼差しは一体………!?)
ヴァンパイアハンターであるはずの私にカルマの目はキラキラ輝いていて、拉致された当日にボクのお嫁さんにする宣言を発言していたことから、これは明らかに私に興味を示していた。
「……ボクが作ったヴァンパイア専用の臭い消しは、まだ……完璧じゃないみたい。」
それに無口で自分から話しかけることがほぼないカルマが、やけにお喋りであることも気になる。
「……何か言いたげだね?」
私の視線に気付いたカルマは、前髪がかかってない右目で好意の眼差しのまま首を傾げて見つめ返す。
「私に何か用ですか?」
ガクッと首を項垂れた私は先程の質問をもう一度、カルマに問いかけた。するとカルマは手に持ってる小瓶の細長い部分を持ちながら、私のところに歩み寄る。
「……君からヴァンパイアハンターの匂いするから、臭い消しを作った。これは君専用。」
そう言ってカルマは私に手に持った小瓶を渡される。実は拉致されて翌日、臭い消しが無いことに気付いた私は服を買った帰りの際にセレスが既にカルマに臭い消しを作ってと伝えてあるらしい。臭い消しを付けず二週間経っていた。
「……まぁ、ボクとしてはヴァンパイアハンターの匂いなんて気にしないんだけど……二人が煩いから。」
カルマは1サイズ大きいダボダボの白衣で顔を擦り付ける。彼が薬品を使って色んな薬を作る時の服装だ。
「これ本当に臭い消し、ですか?」
私は当然、臭い消しだと言われてハイそうですかと簡単に頷けるはずがない。いくら攻略対象が作ったと言っても、今持ってる小瓶は臭い消し以外かもしれない。
「……君に渡す前にちゃんと実験してるから、れっきとした臭い消し。」
疑うなら今ボクの前で着けてみてと言われる。カルマの目が光らせて決死な表情を浮かべていて、頭の良い私はそんなカルマの表情で嘘をついてないと悟った。
「ハァー、今の表情で嘘はついてないと分かりました。なので………きゃっ!?」
着替えるので部屋から出て下さい、溜息吐いて、その言葉を紡ぐ前にグイッと引っ張られてベットの方に放り出される。その際に手に持っていた小瓶は引っ張られた拍子にベットの上に落ちる。
「……スピカ、ボクのお嫁さんになって?」
私の上に覆い被さったカルマは、好意の眼差しで私を見下ろす。
「無理!」
私を見下ろすカルマにキッと睨み付けた、当然の模範解答だろう。まず内容が飛躍し過ぎだ。恋人同士…ましてや友達ですらなっていないのに、いきなりお嫁さんになってはおかしい。
「……なんで?ボク、ヴァンパイアハンターでも気にしないよ?」
(そういう意味じゃない!!)
いや、自分がヴァンパイアハンターだというのもそうだが………
「いきなりお嫁さんになってって言われても無理だし、それに私は好きな人がいるから!!」
「……好きな人がいるの?」
「そう。だからお嫁さんにならないし、なるつもりもないから!」
カルマは基本、面倒くさいことは巻き込みたくないタイプで『来る者は拒まず去る者は追わず』だ。こう言ってしまえば諦めてくれるだろうと思った私だったが……
「……そいつ、ボクより強いの?」
カルマは好意の眼差しからメラメラと怒りを露わにして、不機嫌になる。
(あれ?何この反応、予想外なんだけど!?)
てっきり、そうなんだと一言で諦めてくれるのかと思ったのに予想外の反応に私は動揺を隠せない。
(というか、まずこの状況をなんとかしなければ!)
そう思った矢先、私に覆い被さったカルマの体はヒョイっと誰かに引っ張られる。
「……何早朝に襲い込もうとしてんだ?カルマ。」
カルマの背中を片手で引き寄せたルウトが眉を顰めながらカルマに睨み付けた。
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