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第1章:第3節

不安とドキドキ

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昨日、臭い消しをつけない状態で、ミナトと七海君に接してた私は慌てふためいていた。


(ということは、ヴァンパイアハンターだと気づかれてる可能性が……!?)


改めて振り返ってみると、思い当たる節があった。ミナトは私を見て剣幕な顔つきだったし、七海君は別れた際に何か言おうとしてた。


でもミナトの場合、凪のこともあったからもしかしたらそっちかも知れないが、匂い嗅いでたから、可能性はゼロではない。


(仮に、ミナトにヴァンパイアハンターだとバレてた場合、私をその場で殺してるよね……)


なんせ、ミナトルートのバットエンドにて、ミナトと闘いに負けて、瀕死状態のスピカをナイフによってグサリとトドメを刺してたから。それも何回も……


(あれ相当、ヴァンパイアハンターに怨みがあるってことだよね。と言うか……)


前世の記憶の中にあるゲームのことを思い出していた。


(ミナト以外のキャラには、ヴァンパイアハンターだとバレてないんだよね。)


なんせ由奈と攻略対象達の絡みが多いため、スピカはサポートキャラではあるものの、本編にあまり出演してない。


(取り敢えず、顔を洗ってこよう…)


ウジウジしてても埒があかないので、部屋を出てお風呂場へと向かう。


お風呂場に着いた私はドアノブに手を触れ、お風呂場に入り洗面所の前に立ち、顔を洗う。


「……………きゃっ!?」


そして顔をサッパリした私は、一旦部屋へ戻ろうとしたら、フワリと後ろから重みがのしかかる。


「やっぱそっちの方が、似合ってて可愛いぜ。スピカ」



同室者であるミナトに後ろから抱きつかれ、下ろした髪を触れながら耳元に囁かれた私は思わずビクリと跳ねる。



「前から思ってたけど、ミナト君って……」
「……二人きりの時は呼び捨て、な?」
「はい?何言って……」
「女だとバラされても良いんなら、構わねぇけど?」




そう言ってミナトはククッと喉を鳴らす。後ろに抱きつかれてるから顔は見えないが、恐らく悪魔のような笑みを浮かべているに違いない。けど……____



(この様子だと、私がヴァンパイアハンターであることは気付いてない…………のかな?)
 



油断は出来ないけど、ミナトのどこか楽しげな雰囲気に私はひとまず、安堵する。


それと同時に私の胸がドキドキと鼓動がなり、心拍数が上がり始める。




「ミ、ミナトって…………」
「ん?」



"なんで僕を構うんですか?"



その言葉を言おうとしたが、私は躊躇って……____



(ミナトのことだ。お前の血が美味かったから、と言うに違いない………)



センチメンタルになっていると私の胸がチクリと、針が刺されたように痛かった。



(あれ、なんで胸が痛むんだろう?)





「……体温、冷たいんですね」



声が震えながらも、このドキドキとさっきの気持ちを悟られたくなかった私は言おうとした言葉と違うことを口にした。



「ヴァンパイア、だからな」



背中から服越しで伝わるミナトの体温は、ヴァンパイアだからか____体がヒンヤリしてて冷たかった。

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