3 / 126
第1章:第1節
攻略対象一人目 桃野凪
しおりを挟む「ねぇ」
「はい、何ですか?……って、先生が質問は後に聞けって言われてましたね。僕に何か質問ですか?」
休み時間、読書していた私は桃野に声をかけられる。
「確かに質問はあるけど、まず自己紹介してもいい~?」
「……どうぞ」
桃野は大胆に表現して首を傾げる。
________桃野凪、由奈の攻略対象の一人で栖蘭学園の三年生。
身長は157㎝と男性平均身長よりやや低めで小悪魔系キャラ。
どんな相手に対しても人懐っこく、神楽先生をあだ名で呼んだり、時にいじり倒しても怖いもの知らず。
髪は明るい茶髪で目元はクリッとしている。
前世では桃野凪は「BLOODYPRINCE」シリーズの攻略対象の中でトップ3になるほど、人気があるキャラ。
ゲーム上でも桃野凪は他の攻略対象と比べ、体を使って表現する場面が多い。言わば無邪気なのだ。
前世で大抵は、桃野凪が大好きって言う人が多かったが、私はどちらかと言うと苦手だ。
嫌い、ではない。"苦手"、である
何故なら桃野凪は、私の推してるキャラを毛嫌いしてるし、推しキャラのバットエンドでは桃野凪はヤンデレになって、主人公殺そうとしてたから。
けど、どの結末になるかは、主人公である由奈次第で………
私はどの結末になっても対処しなければならない。
(由奈がバットエンドとかそんなこと、この私がさせないけどな!)
「僕、桃野凪って言うんだ~。」
ええ、知ってますとも。
「僕は……さっき自己紹介してたので、ご存知でしょう。」
「えっと………藤野スピカちゃん?」
「確かに合ってますが、何故間があるのですか?聞いてたのならその間はいりません。そして何故疑問形なんですか?」
藤野スピカはヴァンパイアに対して、毛嫌いしてるため容赦しない。相手がヴァンパイアと分かると、隙を与えないようとことん攻める。
(藤野スピカとして接しないとストーリーを変わってしまう恐れが……!)
予想していたエンドが全部違っていたらそれこそ、お手上げ状態だ
「ス、スピカちゃんってさ……ドSなんだね。」
確かにサポートキャラであるスピカは、ヴァンパイアに対して、冷たくあしらうがドSではない。ゲーム公式でも、ドSとは一言も書いてないのだ。
「この僕がドSですか………初めて言われましたよ、桃野君」
「凪」
小悪魔系キャラである凪が真剣な顔で私を見る
「…凪君」
「君付けダメ!」
おい、君付けダメなのか!?
「僕のこと、凪って呼び捨てにして!学年同じなんだから~」
そう言って凪はコロッと表情を変え、目をウルウルにして私を見る
「…分かりました。凪、僕のことも呼び捨てにして頂けますか?出来れば"ちゃん"付けなしで。」
「え?なんで~?」
いや、なんでって………
「凪が自身のことを呼び捨てにしてと、さっき仰いました。ならば僕のことも呼び捨てにしてもらわないと不平等かと、今度、僕のことを"ちゃん"付けで呼んだら無視しますのであしからず。」
淡々と流暢に口にした私は凪を見て眼鏡をクイっと上げる。
「……そろそろ美術室に移動しなければ」
チラッと時計を見て私は席を立つ。
「あっそうか!スピカちゃんは美術を選んでたんだ。あー、僕も美術にすれば良かったな~」
凪が喋ってる間に私は扉の前に立ち、扉を開ける。
「って、スピカちゃん。僕を無視しないでよー!」
藤野スピカとして接すると決めているので当然、無視する。
「スピカのドS!」
「……僕はドSではありません。それと僕のこと呼び捨てにしましたね。分かって頂いて光栄です。凪」
そう言って私は美術室へと移動した。
0
お気に入りに追加
295
あなたにおすすめの小説
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ここは乙女ゲームの世界でわたくしは悪役令嬢。卒業式で断罪される予定だけど……何故わたくしがヒロインを待たなきゃいけないの?
ラララキヲ
恋愛
乙女ゲームを始めたヒロイン。その悪役令嬢の立場のわたくし。
学園に入学してからの3年間、ヒロインとわたくしの婚約者の第一王子は愛を育んで卒業式の日にわたくしを断罪する。
でも、ねぇ……?
何故それをわたくしが待たなきゃいけないの?
※細かい描写は一切無いけど一応『R15』指定に。
◇テンプレ乙女ゲームモノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
ゲームの序盤に殺されるモブに転生してしまった
白雲八鈴
恋愛
「お前の様な奴が俺に近づくな!身の程を知れ!」
な····なんて、推しが尊いのでしょう。ぐふっ。わが人生に悔いなし!
ここは乙女ゲームの世界。学園の七不思議を興味をもった主人公が7人の男子生徒と共に学園の七不思議を調べていたところに学園内で次々と事件が起こっていくのです。
ある女生徒が何者かに襲われることで、本格的に話が始まるゲーム【ラビリンスは人の夢を喰らう】の世界なのです。
その事件の開始の合図かのように襲われる一番目の犠牲者というのが、なんとこの私なのです。
内容的にはホラーゲームなのですが、それよりも私の推しがいる世界で推しを陰ながら愛でることを堪能したいと思います!
*ホラーゲームとありますが、全くホラー要素はありません。
*モブ主人のよくあるお話です。さらりと読んでいただけたらと思っております。
*作者の目は節穴のため、誤字脱字は存在します。
*小説家になろう様にも投稿しております。
乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!
美月一乃
恋愛
前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ!
でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら
偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!
瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。
「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」
と思いながら
私の婚約者は6人目の攻略対象者でした
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
王立学園の入学式。主人公のクラウディアは婚約者と共に講堂に向かっていた。
すると「きゃあ!」と、私達の行く手を阻むように、髪色がピンクの女生徒が転けた。『バターン』って効果音が聞こえてきそうな見事な転け方で。
そういえば前世、異世界を舞台にした物語のヒロインはピンク色が定番だった。
確か…入学式の日に学園で迷って攻略対象者に助けられたり、攻略対象者とぶつかって転けてしまったところを手を貸してもらったり…っていうのが定番の出会いイベントよね。
って……えっ!? ここってもしかして乙女ゲームの世界なの!?
ヒロイン登場に驚きつつも、婚約者と共に無意識に攻略対象者のフラグを折っていたクラウディア。
そんなクラウディアが幸せになる話。
※本編完結済※番外編更新中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる