16 / 30
第一章
15 旅路
しおりを挟む
勇一、ディケーネ、二エスの三人で、『嘆きの霊廟』を目指して街をでて歩き出す。
街道にも、多くの行商人が行き来している。
もう王子の来訪が直前ということもあり、ここ数日は特に行商人の数が更に増えている。
中には、馬車が十数台もつらなる長距離行商隊などもいる。
荷物は重いものの、ニエスがいてくれるお蔭で、本来の持つべき量に比べれば、かなり少なめだ。
勇一も、ここ一週間で歩くことにはすっかり慣れてきているし、これくらいなら一日中歩いても問題なさそうである。
ゆっくりと歩いている商隊などは、どんどん追い抜いて先をいそぐ。
「えっ? ディケーネ様って 奴隷になってしまわれたんですか?」
「ちょっと事情があってな。今はこのユーイチの奴隷だ」
ディケーネとニエスは顔見知りなので、歩きがてらガーズルトーク(?)に花を咲かせている。
「そうだったんですかあ。色々ご苦労なさってるんですねー」
「それ程でもない。まあ、だから、私のことはもう、ディケーネと呼び捨てにしてくれ」
「う、そう言われましても、いきなり呼び捨てはしずらいですよ。
年上ですし、ディケーネさんって読んでいいですか?」
「ああ、それでもかまわん」
天気がよく、風も気持ちいい。
街から離れると、少しづつ行き交う商人達も減っていく。
どこまでも続くような草原の中にある一本道を、気軽に歩く。
なんとも、ほのぼのとしたピクニック気分だ。
そんな調子で街道を歩き、街をでて一時間程経ったあたりで、街道の前方に見知った集団が見えてきた。
「ん? んんん? あの集団って、例のドラゴン退治のレイドパーティーだよな」
「ああ、そうだな」
街道の前方に、ドラゴン退治のレイドパーティーの集団だった。
どうやら目的地の方向が同じらしい。
先に街を出たレイドパーティーの集団は、馬に乗っている者もいるものの大多数は歩きで、中には荷車を引いている者などもいる。全体の動きは普通に歩くよりもやや遅い。その為に勇一達が追いついてしまったようだ。
「何か問題でも、あるんですか?」
勇一とディケーネが二人して微妙な顔をしているので、ニエスが不思議そうに聞いてくる。
「いや、別に問題は無いんだけどね」
「ああ、問題ない」
二人の答えに、さらにニエスが不思議そうにしているが、それ以上は聞いてこなかった。
歩き続けると、自然に集団の一番後ろに追いついてしまった。
そのまま歩みをゆるめず後ろから追い抜いていくと、冒険者達がジロジロとこちらをみてくる。
勇一が見たことある顔もあるし、ディケーネも知っている冒険者がいるはずだが、別に声は掛けて挨拶もしない。
どんどん追い越し、前へと進んでいく。
先頭の馬にのった集団の近づいた。『水と炎の旅団』のメンバーがいるのが見える。
その横を勇一達が通り過ぎようとすると、気がついたグルキュフが声をかけてきた。
「おい、そこのお前、ちょっとまて」
無視して歩き続ける。こんな男に構っている暇もない。
そんな勇一に対して、馬を寄せてきた。
馬上から、蔑むように見下ろしてくる。
「この屑新人が、よくも私の警告を無視して邪魔してくれたな。この報いはいつか受けてもらうからな、覚悟しておけ」
勇一は、グルキュフの事手にしない。こんな奴、無視するに限る。
でも、ディケーネは違うようだ。安い脅し文句にも、言い返す。
「よくも、恥ずかしげもなく、そんな事が言えるものだな。お前には誇りはないのか?」
うーん。
知ってはいたが、意外と気短いよねディケーネって。言われたら言い返さずにいられない性格だよね。
すっごい負けず嫌いだし。
勇一がそんな事を思う。
そのやり取りが聞こえたのか、後ろにいた『水と炎の旅団』のメンバーの女性が露骨に顔をしかめた。
「グルキュフ、もう止めときなよ。あんたさあ、確かに有能だけど、……時々物凄くかっこ悪いわよ」
その横にいる、頭に刺青をいれた、やたらいかつい感じの男も、同意するかのように無言で頷いた。
そんなパーティー仲間二人の意見に、グルキュフは『ふん』と鼻を鳴らすだけで、何も答えない。
何も無かったかのように隊列の先頭に戻っていった。
ディケーネはまだ、何か言い足りな気だった。
事情のわからないニエルは、ちょっと心配そうな表情を浮かべている。
結局、そのまま歩を進めて、先へと急ぐことにした。
だが少し歩いて、ある程度集団から離れた頃に、後ろから呼び止める声が聞こえた。
「いよぅぅうう 新人くぅぅぅん」
嫌な予感しかしない。勇一が振り返ると、やっぱり声を掛けてきてるのは、モヒカンの男だった。
集団から抜け出して、わざわざ小走りで追いついてくる。
ディケーネが睨みつけるが、それを無視して勇一に近よってきた。
「そんな怖い顔すんなってぇぇえ」
またも馴れ馴れしく、無理やりに肩を組んでくる。
ニヤニヤといやな笑顔を浮かべた顔をちかづけてきて、早口にまくし立てた。
「知ってると思うけどさぁあ、あのグルキュフのぉ旦那は、トドみたいなぁ男爵様に金もらってぇさあ、そこのディケーネちゃんに誰も寄せ付けないよぉうにしいてたんだよぉ。
俺が新入りのお前にちょっかい出したのだって、グルキュフ旦那のぉ命令さぁあ」
「だからなんだ? 自分は悪くないとでも言うつもりか?」
勇一は、その言動に腹が立ってくる。
「まあ、蹴りいれたのはぁあ、俺の趣味だけどなぁああ ひゃははははっはは」
耳元で響くモヒカンの男の笑い声があまりに煩わしくて、我慢できなくなって、体を無理矢理に引き離す。
「怒るなよぉおぉ、新人くぅぅん、じょうおぉく じょうおぉく。冗談だってぇばぁ。
あれはほらぁ、せんぱぁいからの愛の鞭だとかぁ、そうゆぅうのなんだよぉおおお」
そして、なんとモヒカン男はいきなり手を合わせて、勇一に頭を下げた。
「ごめぇんごめぇん。本当にあやまるようぅ。仲良くしょうぜえぇ。
っていうかぁ、俺はよぉ。ちょうっと新人くぅぅんの事を、見直してるんだぜぇええ。俺の蹴りぃくらっても、まったくへこたれずに次の日も依頼うけてたしぃいいいい。根性あるじゃぁぁぁああん。
それにぃ、それにぃ、聞いたぜぇ、聞いちゃったぜぇぇえええええええ。なんでもすっげぇえ大金で、そのディケーネちゃんを男爵様からぁあ、横からかっさらっちまったらしいじゃねえかぁぉぁああああ。
邪魔されたぁああ、グルキュフ旦那なんて、顔まっかぁあにしてぇマジギレしてたぜぇぇえええええ。
やるじゃねえかぁああああ なあぁあああ、新人くぅぅんよぉぉおおおおぉお。
まじぃいでぇえええ 見直おしちまったぜぇぇぇええええええ。仲良くしようぜぇぇええええええ。
で、ところでさぁ」
モヒカン男の目が、蛇のように鈍く光る。
「そぉんな大金、どうやってぇ 手に入れたのぉ?」
「こんな奴に構ってる暇はないぞユーイチ」
ディケーネがそう言って、無理矢理にユーイチとモヒカンの男の間に体を割り込ませてきた。
「さあ行くぞ」
牽制するようにモヒカンの男を睨みつけ、ユーイチの手を握り、引っ張って早足で歩き出す。
取り残される形になったモヒカン男は、無理には追ってこず、その場で大きく手をふっていた。
「じゃあぁぁなああ 新人くぅぅん またなぁぁああああ」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、いつまでも手を振っていた。
そんな事がありながらも、とにかく『嘆きの霊廟』目指して歩く
ひたすら、歩いて歩いて歩いて、歩き続ける。
――――――
そして、歩きづくめの一日が、終わった。
「もう、『嘆きの霊廟』は目の前だ。あまり森に入ってしまった所でキャンプすると危険なので、今日はここら辺でキャンプをしようと思うが、どうだ?」
まだ、日は落ちきっていない若干早目の時間だったが、もちろん異論はない。
早速荷物を置いてキャンプの準備を行う。
と、言っても、今回は短期の遠征なので、天幕などは使わないごくごく簡単なものだ。
皆で手分けして周りから枝木を集め、それにディケーネが魔法具を使って火をつける。
焚き火を中心にして、周囲に今朝買った魔物除けの薬品をまく。これで終わりだ。
作業をしている内に、辺りが暗くなってきた。
焚き火の炎がゆらゆらと揺れ、薄く辺りを照らしだす。
空を見上げると満天の星が見える。勇一は今まで見てきた都会の星空とは似ても似つかぬ物だった。
焚き火を囲みながらの食事は乾し肉と堅い黒パンだけの簡単な物だが、まったく苦にならない。
美女と三人で焚き火を囲んで、何がって訳じゃないけど、いい雰囲気だ。
アウトドアなど殆ど経験したことがない勇一は、その雰囲気だけでなんとなくワクワクウキウキ気分になってしまう。
食事が終わるとディケーネが、おもむろに言った。
「じゃあ、ユーイチ。まず寝ろ」
「ワクワク気分ぶち壊しかよ! てか、いきなり寝ろと言われても寝れねーよ!」
「文句を言うな、交代で寝るんだ。さっさと寝ろ。まずは私が寝ずの番をするから、ニエスも先に寝ろ」
「はい、それでは先に寝かさせて頂きますね」
ニエスは、躊躇なく寝る準備を始める。
背負い袋から革製の寝袋を取り出すと、もぞもぞと体を入れ始める。
可愛らしい芋虫の状態になると、すぐさま目を閉じた。
「ユーイチも、さっさと寝ろ」
確かにディケーネが言ってる事が正しい。勇一も渋々と寝袋に入る。
でもなあ、いきなり寝ろと言われても無理だっちゅーの。
しかも、考えてみたらすぐそこに美少女のニエスも寝てるじゃないか。
この状況で、どうやって眠れちゅーんだ。無理だっての。
勇一は、そんな事を思っていたのだが、心配無用だった。
何気に目をつむると、十秒と持たずに眠りに落ちた。
荷物を担いで一日歩くのは、予想以上に体を疲れさせていたようだった。
――――――
「おい、ユーイチ起きろ」
「うん? ああ 交代の時間か」
ディケーネに揺り起こされる。
まだ眠いが、そんな事も言ってられない。
目をこすり、頭を振って、寝ぼけている頭をなんとか起こそうとする。
「いや、交代じゃない。もう朝だから起きろ」
んん? どうゆう事だ?
寝袋から抜け出して、周りを見回すと確かにもう朝だった。
「私が、ちょっと交代の時間を間違えた。寝ずの番は私とニエスで行った。
とにかく、もう朝だから起きて出発の準備をしてくれ」
嘘だな。
さすがに勇一でも解る。
たぶん疲れて眠りこけている勇一を起こさずにおいて、旅慣れたディケーネとニエスで寝ずの番をまわしたのだろう。
「有難う、ディケーネ。お蔭でぐっすり眠れたよ」
「何の事を言ってるのか解らん」
「とぼける気なのか?」
「何の事か、解らん。解らんが、私はユーイチが無理をしていないか、心配だ……」
「気持ちは嬉しいよ。だけどさ、もうちょっと俺の事も信頼してくれよ」
「……確かにそうだな。すまない」
ちょっとだが、気まずい空気が流れる。
そこへ、さっきまで近くにいなかったニエスが、森からでてきた。
「あ、お早うございます御主人様。今日も宜しくお願いしますね」
森からでてきたニエスは、なんとなく気まずくなった空気の中で、満面の笑みを浮かべて挨拶してくれる。
朝日を浴びてキラキラと光り、地上に降りた天使そのものの笑顔で、彼女は言った。
「朝っから、たっぷり大きいのが出てスッキリしましたー。ディケーネ様も行かれますか?」
「いや、私はいい」
んん? んんんん?
勇一の顔が、ちょっとだけ歪む。
何か意味不明の事をニエスが言ってるぞ?!
何を言ってるのか解らない! 俺にはニエスが何を言ってるのか解らないことにするのだ!
そうだよ、まさかアイドル顔まけのネコミミ美少女のニエスが! そんな! そんな!
いや、解ってるよ。解ってはいるさ。現実としては、そりゃそうなんだろうけども! でも、そんな!
勇一は、深く考える事を、途中でやめた。
その後、準備を整えて、改めて『嘆きの霊廟』を目指す。
「ここから、北にもう少しいくと『嘆きの霊廟』がある」
「あれ? ここって?」
勇一には周りの森に、なぜか見覚えがあった。
気のせいか?
森なんて何処でも同じような風景だし。
「ああ、そう言えば、すぐそこでユーイチと初めて会ったんだったな」
そうだ、ここら辺が、俺が始めてこの異世界に来た場所なんだ。
見覚えがあって当然だよな。
元の世界で、行き成り吹き飛ばされて、ここにきたんだ。
見覚えがある?
その言葉が別の記憶を急に引き出した。
ふと、あの曇り空を思い出す。
モヒカン男に蹴られる直前にみた風景。あの曇り空の日、丘の上の岩の上からみた風景。
そうだ。
あれは、子供の頃によく親につれていってもらった自然公園の展望台から見た富士山の風景にそっくりだった。
思わず勇一が駆け出す。
「おい、ユーイチ何処行くんだ。『嘆きの霊廟』はあっちだぞ!」
勇一は止まらない。走り続ける。
走りつづけながら思い出す。
最近、依頼をこなす為に散々歩き回ったダーヴァの街の周辺を思い出す。
元の世界の地図を思い出す。
それが、頭の中で、ゆっくりと重なりあった。
ある場所で急に止まる。そこは何もない森の中だった。
「間違いない。ここだ。ここに、覚えがあるんだ」
その場所は、ちょうど勇一がこの世界に現れた場所だ。
「だから、ここはユーイチが襲われた場所だろう。私と始めてあった場所でもあるな。
見覚えあるに決まっているさ」
追いついてきたディケーネが、ちょっと呆れ気味にいう。
ちがう。
この場所。
フェンス沿いのあの道なんだ。
あの場所だ。
コンビニに寄ってから、いつも通るフェンス沿いの長い直線を歩いていた、あの場所。
何の前触れもなく突然に、後方からとてつもない力で吹っ飛ばされた、あの場所。
体が空中に放り出された瞬間、頭の中が真っ白になって、そこで意識がとだえた、あの場所。
間違いない。
フェンスはなくなり、道路のアスファルトがなくなり、草がはえ、森にになっているが……
同じ場所だ。
「おい、いったいどうしたんだユーイチ。顔色も悪いぞ」
「なあ、ディケーネ。『嘆きの霊廟』ってどっちにあるんだ?」
ディケーネの心配をよそに、勇一が質問した。
いまひとつ、訳がわけらなかったが、ディケーネは素直にある方向を指さした。
「あちらに、もう少し歩くだけで『嘆きの霊廟』の入り口があるぞ」
指さした方向は、元の世界では、長いフェンスの向こう側だった。
長いフェンスの向こう側。
そこは、元の自分がいた世界では、自衛隊の基地があった場所だ。
『嘆きの霊廟』にたどり着いて、一目見たとき、それが何なのか勇一には直ぐにわかった。
それは自衛隊基地のシェルターだった。
街道にも、多くの行商人が行き来している。
もう王子の来訪が直前ということもあり、ここ数日は特に行商人の数が更に増えている。
中には、馬車が十数台もつらなる長距離行商隊などもいる。
荷物は重いものの、ニエスがいてくれるお蔭で、本来の持つべき量に比べれば、かなり少なめだ。
勇一も、ここ一週間で歩くことにはすっかり慣れてきているし、これくらいなら一日中歩いても問題なさそうである。
ゆっくりと歩いている商隊などは、どんどん追い抜いて先をいそぐ。
「えっ? ディケーネ様って 奴隷になってしまわれたんですか?」
「ちょっと事情があってな。今はこのユーイチの奴隷だ」
ディケーネとニエスは顔見知りなので、歩きがてらガーズルトーク(?)に花を咲かせている。
「そうだったんですかあ。色々ご苦労なさってるんですねー」
「それ程でもない。まあ、だから、私のことはもう、ディケーネと呼び捨てにしてくれ」
「う、そう言われましても、いきなり呼び捨てはしずらいですよ。
年上ですし、ディケーネさんって読んでいいですか?」
「ああ、それでもかまわん」
天気がよく、風も気持ちいい。
街から離れると、少しづつ行き交う商人達も減っていく。
どこまでも続くような草原の中にある一本道を、気軽に歩く。
なんとも、ほのぼのとしたピクニック気分だ。
そんな調子で街道を歩き、街をでて一時間程経ったあたりで、街道の前方に見知った集団が見えてきた。
「ん? んんん? あの集団って、例のドラゴン退治のレイドパーティーだよな」
「ああ、そうだな」
街道の前方に、ドラゴン退治のレイドパーティーの集団だった。
どうやら目的地の方向が同じらしい。
先に街を出たレイドパーティーの集団は、馬に乗っている者もいるものの大多数は歩きで、中には荷車を引いている者などもいる。全体の動きは普通に歩くよりもやや遅い。その為に勇一達が追いついてしまったようだ。
「何か問題でも、あるんですか?」
勇一とディケーネが二人して微妙な顔をしているので、ニエスが不思議そうに聞いてくる。
「いや、別に問題は無いんだけどね」
「ああ、問題ない」
二人の答えに、さらにニエスが不思議そうにしているが、それ以上は聞いてこなかった。
歩き続けると、自然に集団の一番後ろに追いついてしまった。
そのまま歩みをゆるめず後ろから追い抜いていくと、冒険者達がジロジロとこちらをみてくる。
勇一が見たことある顔もあるし、ディケーネも知っている冒険者がいるはずだが、別に声は掛けて挨拶もしない。
どんどん追い越し、前へと進んでいく。
先頭の馬にのった集団の近づいた。『水と炎の旅団』のメンバーがいるのが見える。
その横を勇一達が通り過ぎようとすると、気がついたグルキュフが声をかけてきた。
「おい、そこのお前、ちょっとまて」
無視して歩き続ける。こんな男に構っている暇もない。
そんな勇一に対して、馬を寄せてきた。
馬上から、蔑むように見下ろしてくる。
「この屑新人が、よくも私の警告を無視して邪魔してくれたな。この報いはいつか受けてもらうからな、覚悟しておけ」
勇一は、グルキュフの事手にしない。こんな奴、無視するに限る。
でも、ディケーネは違うようだ。安い脅し文句にも、言い返す。
「よくも、恥ずかしげもなく、そんな事が言えるものだな。お前には誇りはないのか?」
うーん。
知ってはいたが、意外と気短いよねディケーネって。言われたら言い返さずにいられない性格だよね。
すっごい負けず嫌いだし。
勇一がそんな事を思う。
そのやり取りが聞こえたのか、後ろにいた『水と炎の旅団』のメンバーの女性が露骨に顔をしかめた。
「グルキュフ、もう止めときなよ。あんたさあ、確かに有能だけど、……時々物凄くかっこ悪いわよ」
その横にいる、頭に刺青をいれた、やたらいかつい感じの男も、同意するかのように無言で頷いた。
そんなパーティー仲間二人の意見に、グルキュフは『ふん』と鼻を鳴らすだけで、何も答えない。
何も無かったかのように隊列の先頭に戻っていった。
ディケーネはまだ、何か言い足りな気だった。
事情のわからないニエルは、ちょっと心配そうな表情を浮かべている。
結局、そのまま歩を進めて、先へと急ぐことにした。
だが少し歩いて、ある程度集団から離れた頃に、後ろから呼び止める声が聞こえた。
「いよぅぅうう 新人くぅぅぅん」
嫌な予感しかしない。勇一が振り返ると、やっぱり声を掛けてきてるのは、モヒカンの男だった。
集団から抜け出して、わざわざ小走りで追いついてくる。
ディケーネが睨みつけるが、それを無視して勇一に近よってきた。
「そんな怖い顔すんなってぇぇえ」
またも馴れ馴れしく、無理やりに肩を組んでくる。
ニヤニヤといやな笑顔を浮かべた顔をちかづけてきて、早口にまくし立てた。
「知ってると思うけどさぁあ、あのグルキュフのぉ旦那は、トドみたいなぁ男爵様に金もらってぇさあ、そこのディケーネちゃんに誰も寄せ付けないよぉうにしいてたんだよぉ。
俺が新入りのお前にちょっかい出したのだって、グルキュフ旦那のぉ命令さぁあ」
「だからなんだ? 自分は悪くないとでも言うつもりか?」
勇一は、その言動に腹が立ってくる。
「まあ、蹴りいれたのはぁあ、俺の趣味だけどなぁああ ひゃははははっはは」
耳元で響くモヒカンの男の笑い声があまりに煩わしくて、我慢できなくなって、体を無理矢理に引き離す。
「怒るなよぉおぉ、新人くぅぅん、じょうおぉく じょうおぉく。冗談だってぇばぁ。
あれはほらぁ、せんぱぁいからの愛の鞭だとかぁ、そうゆぅうのなんだよぉおおお」
そして、なんとモヒカン男はいきなり手を合わせて、勇一に頭を下げた。
「ごめぇんごめぇん。本当にあやまるようぅ。仲良くしょうぜえぇ。
っていうかぁ、俺はよぉ。ちょうっと新人くぅぅんの事を、見直してるんだぜぇええ。俺の蹴りぃくらっても、まったくへこたれずに次の日も依頼うけてたしぃいいいい。根性あるじゃぁぁぁああん。
それにぃ、それにぃ、聞いたぜぇ、聞いちゃったぜぇぇえええええええ。なんでもすっげぇえ大金で、そのディケーネちゃんを男爵様からぁあ、横からかっさらっちまったらしいじゃねえかぁぉぁああああ。
邪魔されたぁああ、グルキュフ旦那なんて、顔まっかぁあにしてぇマジギレしてたぜぇぇえええええ。
やるじゃねえかぁああああ なあぁあああ、新人くぅぅんよぉぉおおおおぉお。
まじぃいでぇえええ 見直おしちまったぜぇぇぇええええええ。仲良くしようぜぇぇええええええ。
で、ところでさぁ」
モヒカン男の目が、蛇のように鈍く光る。
「そぉんな大金、どうやってぇ 手に入れたのぉ?」
「こんな奴に構ってる暇はないぞユーイチ」
ディケーネがそう言って、無理矢理にユーイチとモヒカンの男の間に体を割り込ませてきた。
「さあ行くぞ」
牽制するようにモヒカンの男を睨みつけ、ユーイチの手を握り、引っ張って早足で歩き出す。
取り残される形になったモヒカン男は、無理には追ってこず、その場で大きく手をふっていた。
「じゃあぁぁなああ 新人くぅぅん またなぁぁああああ」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、いつまでも手を振っていた。
そんな事がありながらも、とにかく『嘆きの霊廟』目指して歩く
ひたすら、歩いて歩いて歩いて、歩き続ける。
――――――
そして、歩きづくめの一日が、終わった。
「もう、『嘆きの霊廟』は目の前だ。あまり森に入ってしまった所でキャンプすると危険なので、今日はここら辺でキャンプをしようと思うが、どうだ?」
まだ、日は落ちきっていない若干早目の時間だったが、もちろん異論はない。
早速荷物を置いてキャンプの準備を行う。
と、言っても、今回は短期の遠征なので、天幕などは使わないごくごく簡単なものだ。
皆で手分けして周りから枝木を集め、それにディケーネが魔法具を使って火をつける。
焚き火を中心にして、周囲に今朝買った魔物除けの薬品をまく。これで終わりだ。
作業をしている内に、辺りが暗くなってきた。
焚き火の炎がゆらゆらと揺れ、薄く辺りを照らしだす。
空を見上げると満天の星が見える。勇一は今まで見てきた都会の星空とは似ても似つかぬ物だった。
焚き火を囲みながらの食事は乾し肉と堅い黒パンだけの簡単な物だが、まったく苦にならない。
美女と三人で焚き火を囲んで、何がって訳じゃないけど、いい雰囲気だ。
アウトドアなど殆ど経験したことがない勇一は、その雰囲気だけでなんとなくワクワクウキウキ気分になってしまう。
食事が終わるとディケーネが、おもむろに言った。
「じゃあ、ユーイチ。まず寝ろ」
「ワクワク気分ぶち壊しかよ! てか、いきなり寝ろと言われても寝れねーよ!」
「文句を言うな、交代で寝るんだ。さっさと寝ろ。まずは私が寝ずの番をするから、ニエスも先に寝ろ」
「はい、それでは先に寝かさせて頂きますね」
ニエスは、躊躇なく寝る準備を始める。
背負い袋から革製の寝袋を取り出すと、もぞもぞと体を入れ始める。
可愛らしい芋虫の状態になると、すぐさま目を閉じた。
「ユーイチも、さっさと寝ろ」
確かにディケーネが言ってる事が正しい。勇一も渋々と寝袋に入る。
でもなあ、いきなり寝ろと言われても無理だっちゅーの。
しかも、考えてみたらすぐそこに美少女のニエスも寝てるじゃないか。
この状況で、どうやって眠れちゅーんだ。無理だっての。
勇一は、そんな事を思っていたのだが、心配無用だった。
何気に目をつむると、十秒と持たずに眠りに落ちた。
荷物を担いで一日歩くのは、予想以上に体を疲れさせていたようだった。
――――――
「おい、ユーイチ起きろ」
「うん? ああ 交代の時間か」
ディケーネに揺り起こされる。
まだ眠いが、そんな事も言ってられない。
目をこすり、頭を振って、寝ぼけている頭をなんとか起こそうとする。
「いや、交代じゃない。もう朝だから起きろ」
んん? どうゆう事だ?
寝袋から抜け出して、周りを見回すと確かにもう朝だった。
「私が、ちょっと交代の時間を間違えた。寝ずの番は私とニエスで行った。
とにかく、もう朝だから起きて出発の準備をしてくれ」
嘘だな。
さすがに勇一でも解る。
たぶん疲れて眠りこけている勇一を起こさずにおいて、旅慣れたディケーネとニエスで寝ずの番をまわしたのだろう。
「有難う、ディケーネ。お蔭でぐっすり眠れたよ」
「何の事を言ってるのか解らん」
「とぼける気なのか?」
「何の事か、解らん。解らんが、私はユーイチが無理をしていないか、心配だ……」
「気持ちは嬉しいよ。だけどさ、もうちょっと俺の事も信頼してくれよ」
「……確かにそうだな。すまない」
ちょっとだが、気まずい空気が流れる。
そこへ、さっきまで近くにいなかったニエスが、森からでてきた。
「あ、お早うございます御主人様。今日も宜しくお願いしますね」
森からでてきたニエスは、なんとなく気まずくなった空気の中で、満面の笑みを浮かべて挨拶してくれる。
朝日を浴びてキラキラと光り、地上に降りた天使そのものの笑顔で、彼女は言った。
「朝っから、たっぷり大きいのが出てスッキリしましたー。ディケーネ様も行かれますか?」
「いや、私はいい」
んん? んんんん?
勇一の顔が、ちょっとだけ歪む。
何か意味不明の事をニエスが言ってるぞ?!
何を言ってるのか解らない! 俺にはニエスが何を言ってるのか解らないことにするのだ!
そうだよ、まさかアイドル顔まけのネコミミ美少女のニエスが! そんな! そんな!
いや、解ってるよ。解ってはいるさ。現実としては、そりゃそうなんだろうけども! でも、そんな!
勇一は、深く考える事を、途中でやめた。
その後、準備を整えて、改めて『嘆きの霊廟』を目指す。
「ここから、北にもう少しいくと『嘆きの霊廟』がある」
「あれ? ここって?」
勇一には周りの森に、なぜか見覚えがあった。
気のせいか?
森なんて何処でも同じような風景だし。
「ああ、そう言えば、すぐそこでユーイチと初めて会ったんだったな」
そうだ、ここら辺が、俺が始めてこの異世界に来た場所なんだ。
見覚えがあって当然だよな。
元の世界で、行き成り吹き飛ばされて、ここにきたんだ。
見覚えがある?
その言葉が別の記憶を急に引き出した。
ふと、あの曇り空を思い出す。
モヒカン男に蹴られる直前にみた風景。あの曇り空の日、丘の上の岩の上からみた風景。
そうだ。
あれは、子供の頃によく親につれていってもらった自然公園の展望台から見た富士山の風景にそっくりだった。
思わず勇一が駆け出す。
「おい、ユーイチ何処行くんだ。『嘆きの霊廟』はあっちだぞ!」
勇一は止まらない。走り続ける。
走りつづけながら思い出す。
最近、依頼をこなす為に散々歩き回ったダーヴァの街の周辺を思い出す。
元の世界の地図を思い出す。
それが、頭の中で、ゆっくりと重なりあった。
ある場所で急に止まる。そこは何もない森の中だった。
「間違いない。ここだ。ここに、覚えがあるんだ」
その場所は、ちょうど勇一がこの世界に現れた場所だ。
「だから、ここはユーイチが襲われた場所だろう。私と始めてあった場所でもあるな。
見覚えあるに決まっているさ」
追いついてきたディケーネが、ちょっと呆れ気味にいう。
ちがう。
この場所。
フェンス沿いのあの道なんだ。
あの場所だ。
コンビニに寄ってから、いつも通るフェンス沿いの長い直線を歩いていた、あの場所。
何の前触れもなく突然に、後方からとてつもない力で吹っ飛ばされた、あの場所。
体が空中に放り出された瞬間、頭の中が真っ白になって、そこで意識がとだえた、あの場所。
間違いない。
フェンスはなくなり、道路のアスファルトがなくなり、草がはえ、森にになっているが……
同じ場所だ。
「おい、いったいどうしたんだユーイチ。顔色も悪いぞ」
「なあ、ディケーネ。『嘆きの霊廟』ってどっちにあるんだ?」
ディケーネの心配をよそに、勇一が質問した。
いまひとつ、訳がわけらなかったが、ディケーネは素直にある方向を指さした。
「あちらに、もう少し歩くだけで『嘆きの霊廟』の入り口があるぞ」
指さした方向は、元の世界では、長いフェンスの向こう側だった。
長いフェンスの向こう側。
そこは、元の自分がいた世界では、自衛隊の基地があった場所だ。
『嘆きの霊廟』にたどり着いて、一目見たとき、それが何なのか勇一には直ぐにわかった。
それは自衛隊基地のシェルターだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
異世界列島
黒酢
ファンタジー
【速報】日本列島、異世界へ!資源・食糧・法律etc……何もかもが足りない非常事態に、現代文明崩壊のタイムリミットは約1年!?そんな詰んじゃった状態の列島に差した一筋の光明―――新大陸の発見。だが……異世界の大陸には厄介な生物。有り難くない〝宗教〟に〝覇権主義国〟と、問題の火種がハーレム状態。手足を縛られた(憲法の話)日本は、この覇権主義の世界に平和と安寧をもたらすことができるのか!?今ここに……日本国民及び在留外国人―――総勢1億3000万人―――を乗せた列島の奮闘が始まる…… 始まってしまった!!
■【毎日投稿】2019.2.27~3.1
毎日投稿ができず申し訳ありません。今日から三日間、大量投稿を致します。
今後の予定(3日間で計14話投稿予定)
2.27 20時、21時、22時、23時
2.28 7時、8時、12時、16時、21時、23時
3.1 7時、12時、16時、21時
■なろう版とサブタイトルが異なる話もありますが、その内容は同じです。なお、一部修正をしております。また、改稿が前後しており、修正ができていない話も含まれております。ご了承ください。
異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~
ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。
対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。
これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。
防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。
損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。
派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。
其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。
海上自衛隊版、出しました
→https://ncode.syosetu.com/n3744fn/
※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。
「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。
→https://ncode.syosetu.com/n3570fj/
「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。
→https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369
装甲列車、異世界へ ―陸上自衛隊〝建設隊〟 異界の軌道を行く旅路―
EPIC
ファンタジー
建設隊――陸上自衛隊にて編制運用される、鉄道運用部隊。
そしてその世界の陸上自衛隊 建設隊は、旧式ながらも装甲列車を保有運用していた。
そんな建設隊は、何の因果か巡り合わせか――異世界の地を新たな任務作戦先とすることになる――
陸上自衛隊が装甲列車で異世界を旅する作戦記録――開始。
注意)「どんと来い超常現象」な方針で、自衛隊側も超技術の恩恵を受けてたり、めっちゃ強い隊員の人とか出てきます。まじめな現代軍隊inファンタジーを期待すると盛大に肩透かしを食らいます。ハジケる覚悟をしろ。
・「異世界を――装甲列車で冒険したいですッ!」、そんな欲望のままに開始した作品です。
・現実的な多々の問題点とかぶん投げて、勢いと雰囲気で乗り切ります。
・作者は鉄道関係に関しては完全な素人です。
・自衛隊の名称をお借りしていますが、装甲列車が出てくる時点で現実とは異なる組織です。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる