僕が可愛いって本当ですか?

さよ

文字の大きさ
上 下
21 / 21
番外編

我が子とスライム ※

しおりを挟む
 ヒューとの子は二人、長男が現在十七歳で長女が十一歳。そして次に帰ってきたのが始との子だった。五歳になるその男の子は、何やら生き物を拾ってきたらしい。
 上の子二人はデンドルムとお出かけ中のため、ヒューと始と幸多で会っていたのだが……男の子は「こうちゃん、だっこ!」と幸多に抱っこされ首をかしげて問いかける。

「こうちゃん、よろこぶ?」

 男の子からヒューに渡された薄紫のでろっとした生き物はスライムだ。両手で持てるほどの大きさをしている。それを指さして、ニコニコしながら男の子は足をぶらぶらさせていた。
 なんて物を拾ってきたのだこの子は。

「なんでかな?」
「だって、きもちいいってかいてあるよ?」
「ん? どういうこと?」
「あのねー、このこからセンがでてて、そこに、もじがかいてある!」

 それを聞いたヒューは、鞄から黄色いゼリーのような物を取り出した。

「これは?」
「うーん……しびれるんだって!」
「……」

 男の子はヒューの手の上をじっと見たかと思うと、元気よく言った。ヒューは無言になり、始は「何が見えているんだ?」と顎に手を置いて呟く。
 ふんふんと鼻歌を歌い始めた男の子は、この話に飽きたのか周りをキョロキョロと見始めた。
 悩んでいた始は「……あ」と何かを思いついたようだ。

「もしかして、俺の能力を一部使えるのか? ゲーム画面を見るように、文字が目の前に現れている……?」

 そう言った始に、ヒューは納得したとうなずいた。
 幸多はヒューが机に置いたスライムを眺め、男の子の頭を優しくなでながら言う。

「ヒュー、このスライムどうしよう?」
「……動きも速くないし、庭の小さな噴水にでも放り込んでおけば大丈夫だと思う」

 森へ……と言いかけたが男の子の顔が悲しそうに歪むのを見て、少し悩んだヒューは庭の方へとスライムを連れていった。

「幸多、いつか使おうな」
「言うと思った! 使わないからね!」

 楽しそうに笑う始に、真っ赤になった幸多が叫んだ。
 紫色だったから、てっきり毒なんだと思うじゃないか。人間も使っていたからって、エロいスライムなんて使いません! と目をつり上げる幸多だった。

 変な物を持ってきたことに驚いて男の子に名前を伝えていなかったが、ヒューが帰ってきたところで名前を教えたら目をキラキラさせて何度も呟いていた。

◇ ◇ ◇

 スライムがペット(?)になって一ヶ月。
 ある日、幸多は体に違和感を覚えてベッドから起き上がる。

「う、ん?」

 もぞもぞ。尻に違和感が。今、身につけているのは上に羽織っているシャツ一枚。昨日はデンドルムと過ごしていたので幸多が眠った後に着せたのだろう。

 それにしても……何か入っている。確認するためベッドから降りて歩き出そうとしたけれど、穴にぴったりくっついた物が動き出したことで足から力が抜けて膝を突く。
 手で尻を触ってひっついている物を引っ張ってみると、薄紫が見えた。なんとなくそんな気はしていたよ……と幸多は肩を落とす。
 そのまま引っ張って取り出そうとするが、つるっと手から離れ穴へ戻ってしまった。

「うぅ、動かないで……っ……あ、ああっ……」

 小刻みに震えだしたスライムは陰茎にも絡みつく。全体を刺激されて幸多のモノは反応し始めていた。薄く伸びたものが優しく睾丸をくるみこむ。

「ヒュー、助けて、っあう、あ、そこ、……だめだって……っ」

 感じるところばかり触れられ、体が揺れる。スライムを剥がそうとするが、うまくつかめない。
 幸多が悶えていると、遠くから走る音が聞こえ扉が大きな音を立てて開いた。

「幸多!」
「ど、どうしようっ……ヒュー、……あっ……」

 幸多がモタモタしていると、ヒューが駆け寄りスライムをむんずとつかみ一気に引き抜いた。
 でこぼこと形を変えていたため中を刺激しながら出て行く。同時に幸多のモノもズリズリとなでながら離れていった。

「あぁっ……!」

 背中を反らし、突き抜ける快感にじっと耐える。先端からはびゅっと精が飛び出し、床へと飛び散った。
 いつもと違う疲労感が残り放心状態になる。朝からなぜこんな目に遭わなければいけないのかと、幸多は涙目になった。立ち上がる気力もなくうつむく。
 スライムはぷるぷる震えヒューの手から逃れて、精液を吸収するために飛び散った液に近づいた。きれいにし終えたスライムは、気が済んだのか幸多に絡むことなく部屋から出て行く。

 しばらく無言で立ち尽くしていたヒューは幸多を抱き上げベッドへ戻すと、庭の噴水へと向かった。

「……捨てるか」

 そう呟き早足で廊下を突っ切る。外は良い天気だけれど、ヒューの心は荒れていた。
 噴水の前に立ったヒューは水の中に沈んでいるスライムを逃がさぬようつかみ、魔法を使い遠くの森へと放り投げる。二度と帰ってくるなとにらみ、幸多の元へと戻った。

 しかし、場所を覚えてしまったのかスライムはいつの間にか噴水にいた。何度捨てても戻ってくる。
 幸い、頻繁に侵入してくることはないが幸多が襲われるのは避けたい。仕方がない、誰か雇おうかとヒューは考えた。淫魔ならば依頼すれば受けてくれるだろうか……。七日に一回、食事を与えておけば大丈夫なはずだ。

(雇うまでに時間がかからなければ良いけれど……)

 念のため他の解決方法はないかとうなりながら歩くヒューを、子ども達は不思議そうに眺めるのだった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

独占欲強い系の同居人

狼蝶
BL
ある美醜逆転の世界。 その世界での底辺男子=リョウは学校の帰り、道に倒れていた美形な男=翔人を家に運び介抱する。 同居生活を始めることになった二人には、お互い恋心を抱きながらも相手を独占したい気持ちがあった。彼らはそんな気持ちに駆られながら、それぞれの生活を送っていく。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!

結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)  でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない! 何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ………… ……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ? え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い… え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back… ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子? 無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布! って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない! イヤー!!!!!助けてお兄ー様!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

究極の雨男で疎まれていた俺ですが異世界では熱烈歓迎を受けています

まつぼっくり
BL
ずっとこの可笑しな体質が嫌だった。でも、いつかこの体質で救える命もあるんじゃないかと思っていた。 シリアスそうでシリアスではない 攻 異世界の虎さん✕ 受 究極の雨男 ムーンさんからの転載です

処理中です...