僕が可愛いって本当ですか?

さよ

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本編

ばく 2

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 ハルーファスでは一夫多妻や一妻多夫が認められている。

「もちろん、幸多の気持ちを無視して結婚を迫る気はねぇよ。半年な、わかった。……あ? キスもすんなだと? ふざけんな! ちょっとでも幸多の気持ちがグラついたら良いだろ。そんくらい許せ」

 軽く言い合いをした後、幸多のいる部屋へと戻った。

 薬を飲ませて三日目。少しだけ起きている時間が延びたのだろうか。それもわずかであまり変わった気がしない。
 五日目は一時間ほど起きている幸多を見ることができた。少し喋ることもできるし、翌日には食事もできるか確認しておこう。
 六日目になると七時間は座って起きていることにヒューとデンドルムは喜んだ。
 完全回復したら幸多のことを口説くとデンドルムが宣言したので「殴っておくから安心して休んで」とヒューは笑いながら幸多に言った。

 それからは半日以上起きていられるようになった。そろそろ大丈夫そうだ。念のためもう一日様子を見る。
 その後デンドルムが確認したが、呪いも消えているようだった。

「ご心配をおかけしました……」

 しゅんとした顔で言う幸多を、ヒューは笑顔で抱きしめた。食事こそいつもの量にはほど遠いが、徐々に戻していく途中である。

 眠っている間、幸多は夢の中で幼馴染みと一緒にいた。もとの世界にいた頃の夢を見ていたのだ。特に楽しいものではなかったけれど、なんだか懐かしかった。
 覚める直前、小学生の姿をした幼馴染みが幸多の名前を呼んだ気がしたが、何を言いたかったのだろうか。

(続きも見なかったし、気にしないでおこう)

 しっかり目が覚めてから見たデンドルムは、幸多にとって眩しいくらいに輝いて見えた。
 白いショートの髪に薄縹うすはなだの瞳、中性的な顔立ちは、つり目がりりしく見せていた。耳は幸多のイメージするエルフと同じように長い。

 そんな彼から発せられた言葉は「オレとの結婚も考えてほしい」だ。このことについては、今ヒューから詳しく話を聞いたばかりである。

(あちらとは違うことばかりで混乱するなぁ……)

 そもそも子どもはどうするのか、男同士ではできないだろうと思い話したら、そこは生む気があるのであればなんとかなるという返事が返ってきた。

 どうやって子どもを授かるのかと聞いたら、メイの実というのを使うらしい。
 子宮がなかったり、あったとしても卵を持たない者のためにあるのだと。ただし、魔力を使う必要があり生まれるのは魔族のみ。

 メイの実に宿った命は、鶏の卵ほどに育つと生まれる。色は人それぞれだけれど、見た目は透き通っていて宝石に似ているという。
 それを魔力の泉に沈めると数年から数十年かけて育ち、年数によって子どもの姿であったり大人の姿で魔力の泉から出てくる。
 そのままフラッといなくなったり親のもとへ帰ってくるかは本人次第である。あまりに幼すぎると、子の魔力で親が呼ばれることもあるらしい。

「子どもに会えないかもしれないのは、さびしいな」
「こればかりは自分達ではどうにもならないんだ……でも、なんとなくだけれど、うちの子達はみんな帰ってくる気がするんだよねぇ」

 根拠はないし、できてもいないのに言うことじゃないね……とヒューは苦笑いしていた。
 結婚については数日後にはブレスレットが完成するという。

(いつの間に用意したんだろう)
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