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287話・ぷくー

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 ノーリ君は、大きな声を出し驚きながらも、手に持っていた物を後ろに隠す。
 ノーリ君の行動に、内心くすりと笑みを溢しながら、あれが転移結晶で間違いないなと確信しつつ、もう手遅れであることを伝える。





 ~時は少し遡り~

 グラディウスさんのいないなか、昼食が始まった。
 昼食の際、帰ってくるのが遅くなった理由を尋ねられたり、朝食時に聞けなかったエルマーナさんたちの話をしたりして昼食を食べ終えた。
 そして、食べ終えてすぐ、

「ふぁ…」

 大きな欠伸が出た。
 先程眠っていのたが、お腹が膨れた事もあってか、再び眠気が襲ってきた。

「ふふ大きい欠伸ね。ノーリ君は、昨日はあまり眠れなかったの?」

 僕の欠伸を見たナニーさんがそう尋ねてくる。
 "はい、そうです"と正直に答えて、変になにかを勘ぐられても困るので、

「いえ、そんな事ないですよ。たぶん、お腹一杯になったからだと思います。」

 そう答えておく。

「そうなのね。なら、片付けは私とアリーでやっておくから休んできていいわよ?」

「あ、いやそれは…」

 それは何だか悪いと思い、断ろうとした所で、

「そうですよ、ノーリさん。私もナニー先生たちのお手伝いをしますから、どうぞゆっくり休んでいて下さい!!」

 エルマーナさんは、両手を胸の前で力強く握りしめながら、そう言ってくる。

「そ… そう? なら、お言葉に甘えて、部屋で休ませて貰いますね。もし、何か用事がある際はいつでも呼んで下さい。」

 ここまで言われて、逆に断るのもよくないと思い、休ませて貰う事にした。

「分かったわ。何かあったら頼ませて貰うわね。」

「はい。その時は任せて下さい。では、これだけ片付けて休ませて貰いますね。」

 ささっと自分が食べた分の食器を重ねて、台所まで持っていく。
 後ろで、エルマーナさんが何か言ったような気がしたが、流石にこれくらいはさせて貰わないと、申し訳ないので、聞こえないふりをして片付ける。
 食器を片してから戻ってくると、ナニーさんらは笑っており、エルマーナさんは、ぷくーと頬を膨らませていた。

「もうノーリさん!! 私が片付けようと思ったのに!!」

「ごめんごめん。流石に全部やって貰うのは悪いと思ったから。」

 本気で怒っている訳ではないと思うが、謝っておく。

「全くもう… でも、それがノーリさんらしいですね…」

「ん? 何か言った?」

 最後、ボソッと何か言ったような気がした為、聞き返す。

「何でもないです。さ、ノーリさんは休んで下さい。」

「あ、ちょっと、分かったから背中を押さないで。」

 エルマーナさんに、背中を押されて、食堂から追い出された。
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