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閑話・頼み事

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 走ってきた事で、少し息を切らしながら、ナニーさんはエルマーナたちの事を聞いてくる。
 だから私は、あった事をそのままナニーさんに伝える。

「そう、何もないのね。良かった… じゃあ、少ししたら2人とも戻ってくるのね?」

「その筈です。」

「なら、そのままお昼の準備を終わらせても大丈夫そうね。それで、ぐーちゃんは、このまま行くの?」

「いえ、一応2人が戻ってきたのを確認してから、行こうと思ってます。」

「そっか。なら、ぐーちゃんに頼みたい事があるんだけど、いいかしら?」

「頼みですか? 何ですか?」

 私がそう尋ねると、ナニーさんは、笑顔を浮かべたまま、スッと右手をあげる。
 その右手は、ギュッと握られ拳を作り出していた。

「あぁ…」

 それだけで、ナニーさんが何をお願いしたいのか理解出来てしまう。

「私の変わりにお願いしてもいいかな?」

「はい、分かりました。任せて下さい。」

 ナニーさんからのお願いを引き受ける。
 と言っても、仲良さげな2人を見た後だし、軽めの拳骨で済ませようかと思っていたのだが、

「あ、後、ぐーちゃん、手加減するのはいいけど、一応治ったばかりなのに、皆に心配をかけさせた罰なんだから、少しは強めでいかないと駄目よ。」

 私の考えを読んだのか、ナニーさんからそう言われる。

「…分かりました」

 私は、心の中で2人に謝りつつ、ナニーさんの気持ちも分からなくはないので、結局拳骨は、強めで行く事にした。





 決めていた通り、2人への拳骨は強めでいった。
 拳骨した後は、ナニーさんに急かされ、2人は手洗いをしにいった。

「改めて、代わりをしてくれて、ありがとうね、ぐーちゃん。」

「いえ気にしないで下さい。あ、でも、どうして自分でしなかったんですか?」

 先程聞きそびれた事を尋ねる。

「私がしなかった理由? そうね、しいてあげるとしたら、ほぼ初対面のノーリ君に拳骨するのに躊躇いがあったからかな。でも、ぐーちゃんなら、2人ともに遠慮なくやってくれると思ったからだね。」

「あぁ、そんな理由だったんですね。でも、ナニーさんでも、躊躇う事とかあるんですね。」

「ん? どういう事かな、ぐーちゃん?」

「え、だって、私の時は、初対面なんて関係なく、拳骨しましよね?」

「あぁ、確かにそんな事もあったわね。まぁでもそれは、ぐーちゃんが、身内って事もあったし、レジーナからも遠慮せずに、叱ってもいいと言われたからだね。」

「そ… そんな話があったんですね。」

 今更ながら、お母さんとナニーさんの間にそんな話があったとは知らなかった。
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