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閑話・ラウム 1

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 私は、濡れた頬を拭い、隣に寝ているエルを見る。
 あれから幾日過ぎ去ったのか、エルはいまだに目覚めない。
 エルにかけられた呪詛の治療薬であるエリクサーを見つけられていないからだ。
 私は、エルの呪詛が進む(起きている時間が減る)につれて、こっちの世界にいる時間が増えてきた。
 そして今では、目覚める事がなくなってしまったエルの力に少しでもなりたい私は、その想いをしっかり両親に伝え、やりたいようにやってきなさいと許可を得て、精霊界に戻らずに、こっちで過ごしている。
 当初、昼間は、普段隠している姿を現し、得意の転移の力を使い、今までは、控えていた人との接触を図りながら、情報を集め秘薬を探す。当然とばかりに、厄介事に巻き込まれもしたが、相手にする時間も馬鹿馬鹿しいので、すぐにその場を離脱する。
 夜は、必ず戻ってきて、エルの傍に付き添いながら、体を休め寝ている。
 だけど、そんな日が続いていく内に、エルがいつまでこの状態が続くのか、もしかしたら明日には最悪の事が起こってしまうのではないかという焦りや不安から、エルの傍にいる時間の方が増えてきた。
 今日も、午前中は秘薬探しをし、午後からはエルの傍にいようと思う。
 そうと決まれば、すぐ行動に移した。





「はぁ…」

 予定より戻るのが遅くなってしまったが、今日もこれといった成果はなかった。
 ただ戻って来た時、何だかいつもと雰囲気が違っていた。
 エルの部屋に戻る前に、ナニーにどうかしたのか、聞いてみると、エルの姉であるグラディウスが来ているとの事だった。
 グラディウスに話を聞こうかと思ったが、グラディウスだけでないとの事だったので、グラディウスから話を聞いていたナニーから話を聞いてから、私は、エルの部屋へと戻った。
 ナニーの話では、グラディウスたちもまだ秘薬を見つけてはないようだった。
 エルの部屋で、今後どうすればいいのか考えている内に、扉をノックする音が聞こえ、

「ラウム様、グラディウスです。」

 どうやら、グラディウスがやって来たみたいだ。
 そのまま部屋に入って貰い、改めて、グラディウスの話を聞く。
 話を聞き終え、

「グラディウスは、そのノーリとやらがエルを助けてくれる可能性があると?」

「可能性というか、私が勝手に期待しているだけですね。」

「そう… 私も、そのノーリとやらを見てみたいけど、今どこにいるの?」

「今は、お風呂に入っていますね。ラウム様が見てみたいのなら、お風呂が終わった後、隣の部屋に泊まって貰おうと思っているので、その前にここに連れてきましょうか?」

 グラディウスがそう提案してきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)

 エルフにとって、精霊は力を貸して貰う対象と共に、敬う相手でもあるので、基本は、丁寧な対応をしています。
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