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閑話・エルマーナ 20 ラウム視点

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 3つ目の条件を言う時のお母様は、いつもの笑顔ではなく、とても真剣な顔をしていた。
 お母様が言っている事の意味を考える前に、

「母としてではなく、長く生きて来た者として言わせて貰うけど、生きていくなかで、自分の思い通りの事をなす事は、とても難しい事なの。それが、より難しい事なら、途中で諦める人が出るくらいにわね。だから、今回も必ずしも、そのエルマーナちゃんの呪詛が回復するとは思わないように。それこそ、その先の事まで考えなさいって事よ。」

 真剣な顔のままそう言ってくる。

「…それは、最悪エルが死んでしまうって事ですか?」

「えぇ、その通りよ。まぁ、そんな事がないように、私たちも力を貸すけど、絶対はないからね。だから、その事を覚悟出来ないようなら、さっきは、傍にいなさいとは言ったけど、許可を出す事は出来ないわ。ラウム、どうしますか?」

 お母様が、何故こんな事を言ってくるのかと考える迄もなく、私の事を思って言ってくれているのが伝わってくる。
 確かに、私はまだ生物の死を目の当たりにした事はない。だから、それを踏まえて覚悟出来ないようなら、お母様は、本当に許可してくれる事はないだろう。

「…分かりました。私も、いつまでも子供でいるつもりはありません。だから、覚悟を決めます!!」

「分かったわ。なら、あなたのやりたいようになさい。あ、ちゃんと最初に言った2つも守るのよ。」

「はい!! ありがとうございます、お母様!!」

 条件付きで、私はラウムの傍にいる事の許可を得た。





 ラウムから話も聞けたので、疲れている様子はないが、一応休むように伝え、ラウムは部屋を後にした。
 部屋に戻っていく気配を確認してから、話しかける。

「今のを聞いたでしょ、あなた。」

「あ… あぁ。」

「私たちが思っている以上に、あの子も成長しているって事よ。」

「…そうだな。」

「それに、ラウムの契約者は女の子なのよ。だから、そんなに心配しなくてもいいんじゃないの?」

「う… うん、まぁ、そうだな…」

「だから、後でちゃんとラウムに、一言言ってあげなさいよ。」

「分かった… なら、後でラウムに、一言いいに行ってくるよ。」

「えぇ、そうしなさい。でも…」

「でも?」

「先に、仕事は終わらせてからにしてね。」

「あぁ、分かっている。さっさと仕事を終わらせて…」

「あぁ、後それと、許可なく勝手に声をあげた事についての折檻は、後でする予定だから覚悟しておいてね。」

 そう言うと、あの人は、顔を青くするのであった。
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