みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~

黒色の猫

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閑話・エルマーナ 13 ラウム視点

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 お父様が言い訳する前に、お母様の腕がお父様の首へと伸び、一瞬のうちにお父様の意識を落としてしまった。
 そのお陰で、お父様の魔方陣への妨害がなくなったので、弱まっていた魔方陣の光が、徐々に強くなってきた。
 それを見て、ひと安心した私は、

「お父様を止めてくれてありがとう、お母様。」

 助けてくれたお母様にお礼を伝える。
 お母様は、お父様の事をそっと確認しながら、

「…気にしなくていいわ。」

 そう言ってくる。
 言い終わると同時に、お父様の首に回していた腕を外すとお父様はそのまま床へと倒れ込んだ。
 お母様は、それをチラッと見ただけで、特にその事に対して触れる事なく私に話しかけてくる。

「それで、ラウム。その魔方陣は召喚用よね?」

「うん、そうだよ。むこうで出来た私の友達が、私の事を呼んでくれようとしているの。」

 お父様の時と違い、私は素直にお母様にその事を教える。

「むこうの友達? あぁ、ラウムあなたまた人界に行って来たのね?」

「うん… ごめんなさい…」

「確かに、勝手に行くのは褒められた事じゃないけど、別にむこうで悪さをしたり、危ない事をしている訳ではないんでしょ?」

「それは誓ってやってないよ!!」

「なら別に、私はここで転がっている人と違って、とやかく言うつもりはないわ。だって、むこうでも学べる事は多いと思うしね。でも、だからといって勉強をサボるのはよくないわね。」

「うっ… 今後は、ちゃんと勉強します…」

「あぁ後、むこうに行く時も、一言言ってからにして欲しいわね。」

「それも、ちゃんとします…」

「そう、忘れないようにね。それでラウムは、その友達と契約をするつもりなのね?」

「うん!! その子は、エルって言うんだけど、何でも呪詛をかけられているみたいで、力になってやりたいと思っているの!!」

「そう。自分でちゃんと決めたんならそれでいいわ。でも、無理だけはしないようにね。」

「うん!!」

「なら、そろそろかな…」

 お母様がそう言うと、魔方陣の光がこれでもかと光だした。

「それじゃあラウム、いってらっしゃい。」

「行ってきます!!」

 その挨拶を最後に、何かに引っ張られるような感じがして、気づけばエルたちのいる部屋へと移動していた。





「行ったわね…」

 ラウムが呼ばれたのを見送った後、

「ほら、あなた。気絶なんてしてないんだから、早く起きなさい。」

「あぁ、分かった…」

 初めから、気絶なんてしていなかったあの人がすっと、体を起こした。
 どういう事かというと、それは私が部屋にきた時までさかのぼる。
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