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閑話・エルマーナ 5

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 ラウム様の呼び方の提案に少し戸惑ってしまう。

「えぇ、そうよ。その代わり私は、エルマーナの事をエルって呼ばせてもらうから。」

「私の呼び方はそれで構わないのですが、やはりラウム様を呼び捨てにするのは…」

「なに、駄目なの? 友達になるんだからそれくらい構わないでしょ?」

「友達…」

 私はその言葉に少し心が浮き立つのを感じた。
 エルフはもともと長寿の種族な為なのか、子供を授かる事が少ない。だから、私にも同世代と呼べるエルフがあまりいなく、もしいたとしても私が王族である為か、交流がなく知り合いと呼べる方もお姉様の知り合いなどが多く、私の友達と呼べる方は誰もいない。
 だから、浮き立つ気持ちを抑えながら、

「ラウム様は、私と友達になって下さるんですか?」

 そう聞いてみる。

「そのつもりだけど何かいけないの?」

「いえ、そういう訳ではないですけど… 本当に友達になって下さるんですか?」

「だから、そう言っているでしょ? え、もしかして嫌なの?」

「全然嫌じゃないです!! むしろ、私からお願いしたいくらいです!!」

「そう、なら良かったわ。それじゃあ、宜しくね、エル。」

 ラウム様は、そっと手を差し出してくる。

「はい、宜しくお願いします、ラウム… 様。」

 私は両手でその手を握りながら返事をするが、やはり私には呼び捨てのハードルが高く最後に様をつけてしまった。

「まぁ、呼び捨ては今後でいいから頑張ってみて。」

「はい、頑張ってみます…」

 微笑ましいものを見るかのようなラウム様の視線に少し恥ずかしくなり、気になる事を尋ねる。

「私がラウム様を視る事が出来た理由は分かりましたが、本来精霊は、精霊界と呼ばれる場所にいると聞いた事があるのですが、ラウム様はどうしてここにおられるのですか?」

「私も普段は精霊界にいるんだけど、むこうじゃ勉強ばかりだから、息抜きをしにこっちに来たのよ。」

「そうなんですね。でも、そんな簡単にこちらへやってこれるんものなのですか?」

「普通は出来ないわね。本来大抵の中位以上の精霊は、精霊界に存在し、こっちの誰かに召喚されたりしない限り、こっちに来る事はないわね。」

「…でしたら、ラウム様は誰かに召喚されたのですか?」

 私たち以外の誰かラウム様をここにと少し警戒しながら聞いてみる。

「いや、私は自分の力でこっちに来たわよ。」

「どういう事ですか?」

「あぁ、私が上位精霊って話はしたと思うけど、私が何を司る精霊か言ってなかったわね。私は、こう見えて、とても稀有けうな空間を司る精霊なのよ。」

 ラウム様は、私の疑問に対し、包み隠すことなくそう教えてくれた。
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