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229話・謝罪

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 自然と視線を扉の方をむけると、ノーリ君の顔が見えたと思った瞬間、物凄い勢いで扉が閉められた。
 一瞬の出来事で気のせいかとも思ったけど、すぐそんな事ないかと思い返し、とりあえずタオルで体を隠して、私の方から扉を開けると少し離れた所でノーリ君が床に座り込んでいた。





 脱衣所の扉を開けると、目の前に誰かの裸があった。

 バンッ

 僕は、今まで生きてきた十数年の中で、1番最速で扉を閉めた。
 扉を閉めた後は、とりあえずそのまま数歩後ろ下がりその場に座り込み、僕から声をかけるのでなく、相手の出方を伺う。僕から声をかけると再び驚かせる可能性があると判断したからだ。
 するとすぐに扉が開き、扉の先にいたのが、グラディウスさんだと判明した。

「やっぱりノーリ君だったのね。それで、ノーリ君は、そこで何してるの?」

「謝る準備です。」

「謝る準備?」

「はい、そうです。」

「その謝るのって私によね?」

「当たり前じゃないですか。」

「そうよね。でも、何に対して謝るの?」

「えっ?」

「ん?」

 何だか話が噛み合っていないので、とりあえず起こった事の整理をしてみる。

「先程、僕が脱衣所の扉を開けましたよね。」

「一瞬で閉めたけど、確かに開けてたわね。それで?」

「その際… その… なんと言いますか…」

「ん? …あぁ、もしかしてその時私の裸でも見えたの?」

 僕は声に出さず、こくりと頷く事で答える。

「それでノーリ君は、その事について謝る為にここで座っていたと?」

「はい、そうです。わざとではないとは言え、人がいる可能性を考慮せずに開けた僕が悪いですから。本当にすみません。」

 僕は謝ると同時に頭を下げる。
 これは、以前本で読んだ勇者が伝えたとされる謝り方だ。

「頭をあげて、ノーリ君。」

 言われた通り頭をあげる。

「その謝って貰って悪いんだけど、そもそも私は怒ってないわよ?」

「そうなんですか?」

「えぇ、そうよ。」

「本当なんですか? 普通裸を見られたら嫌がると思うんですが、僕の為にそう言っているとかじゃないですよね?」

「嘘じゃないわ。そりゃあ、裸を見られたのは恥ずかしいとは思うし、進んで人に見せようとは思わないけど、わざとじゃないんでしょ?」

「はい。わざとじゃありません!!」

「なら尚更怒ることじゃないわ。だから、そろそろ立ち上がって頂戴ノーリ君。そうしないと、ずっと座らせている私の方が、何だか悪者みたいに感じるわ。」

 少し困った風に言ってくるので、これ以上困らせるのも悪いと思い立ち上がる。
 だけど怒ってはいないとはいえ、悪い事をしたのに変わりはないので、最後にもう一度謝っておいた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)

グラディウス的には、裸を子供に見られた所でとも思っています。
またノーリは、グラディウスの裸を見て、罪悪感しか抱いておりません。
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